Google(グーグル)は、アメリカ合衆国のソフトウェア会社、あるいは、同社の運営するインターネット上での検索エンジンである。
独自開発したプログラムが、世界中のウェブサイトを巡回して情報を集め、検索用の索引を作り続けている。約30万台のコンピュータが稼動中といわれる。検索結果の表示画面や提携したウェブサイト上に広告を載せることで、収益の大部分をあげている。
検索エンジンとしては、2002年には世界で最も人気のあるものになり、AOLなどのクライアントを通じてインターネット検索のトップを占めるまでになっている。日本では、Yahoo! JAPANに次いでシェア2位である。
目次
会社
米Google本社のCEOはエリック・シュミット。日本法人のグーグル株式会社のCEOは村上憲郎。
沿革
- 1996年1月 - Googleの原型となる、バックリンクを分析する検索エンジンBackRub(バックラブ)が、スタンフォード大学で博士課程に在籍していたラリー・ページとセルゲイ・ブリンによって開発される。もともとは研究プロジェクトとして始められたものだった。
- 1998年9月7日 - アンディ・ベクトルシャイムからの10万ドルの資金援助を受け、カリフォルニア州メンロパークにある友人のアパートで創業。
- 1999年 - 3月パロアルトに移転。6月マウンテンビューに移転。
- 1999年6月7日 - KPCB、セコイア・キャピタルから2500万ドルの資金を調達。
- 2001年8月 - 日本法人のグーグル株式会社を設立。
- 2003年2月 - Pyra Networksを買収し、Bloggerを獲得。
- 2003年10月 - gooと検索エンジンについて提携。
- 2004年7月 - 画像管理ソフトを開発しているPicasaを買収。
- 2004年8月19日 - NASDAQで株式公開。ティッカーシンボルは「GOOG」。
- 2004年10月27日 - 人工衛星や航空撮影の画像をデータベース化したソフトを販売しているKeyholeを買収。その後、Keyholeの技術を使ったGoogle マップ、Google Earthが公開される。
- 2005年3月 - Urchinを買収。その後、Google Analyticsを開始。
- 2006年3月 - Upstartleの「Writely」の開発チームを買収。
- 2006年10月9日 - GoogleがYouTubeを16億5000万ドル(約1950億円)で買収すると発表。また、YouTubeを買収した後も「Google Video」、「YouTube」の名称を変えないことも発表。テンプレート:N
- 2006年11月1日 - 企業向けウィキシステム、JotSpotを買収する。
社風
Googleの本社社屋は "Googleplex" の愛称で親しまれている。この言葉は、googolplex(グーゴルプレックス)の言葉遊びであり、Googleとcomplexとのかばん語でもある。料理人が各国の料理を提供する無料ランチ、フィットネスジムやサウナを完備したキャンパス、定期的に開催されるローラーホッケーのイベントなど充実した福利厚生サービス、オフィス内でも猫以外のペットを持ち込むのも可能で社員デスクにはおもちゃなど遊び道具を持ち込めたり、ラバライトやゴムボールがあちらこちらに置かれた独特な企業文化で知られる[1]。また、ナスダック市場に公開するに先立ち、無料ランチを継続して提供することを宣言した。博士号を持つ者も多く、人材採用の面で学歴を非常に重視することでも知られている。
また、Googleでは、勤務時間の20%を個人のプロジェクトに割かなければならない「20 percent time」というルールがあり、そこからOrkutやGmailなどの実験的サービスが生まれている。
グーグルの社風については、自由な企業文化と肯定的にとらえる見方がある一方、子供っぽいと見られることもある。(ただし、この場合の子供っぽいという表現は必ずしも否定的な意味を伴うものではない。)
社外での活動
Googleは社内で多くのオープンソースソフトウェアを使っているため、オープンソースの開発者を雇ったりするなど、オープンソースの支援を積極的に行っている。
2005年には、「Google Summer of Code」というオープンソースの開発に資金を提供するプロジェクトを行った。これは、Googleが、指定したプロジェクトに参加する学生に開発費用を提供するというもので、一定期間の補助を受けて開発を行う。また、これを受けて、日本でも「夏休みコード道場」というプロジェクトが、FSIJ(フリーソフトウェアイニシアティブ)の主催の元、Google日本法人の協力で開始された。
現在は、ウィキペディアに対しても資金提供をするなど、オープンな文化に対する積極的な支援を行う企業としても名前をあげつつある。
また、2005年9月28日には、NASAと提携し、大規模コンピューティングの活用や、データマイニング、ナノ、バイオテクノロジーでの協力などを行うことを発表している。
2007年1月21日に放送されたNHKスペシャルでは、Google初となるテレビ局の長期取材に答え『グーグル革命の衝撃 ~あなたの人生を“検索”が変える~』が放送された。
名前の由来
Googleという言葉は、googol(グーゴル)という言葉の綴りまちがいに由来する( o という文字が抜けて e が入っている)。1997年にラリー・ページたちが新しい検索エンジンの名前を考えてドメイン名として登録した際、googol.comをgoogle.comと綴りまちがえたのがその起源と言われる[2]。
グーゴルという言葉は、アメリカの数学者エドワード・カスナーの甥のミルトン・シロッタによって作られたもので、1グーゴルは10100(1のあとに0が100個続く数・10の100乗(じょう)と読む)である。この言葉に似た言葉を社名に用いていることは、WWW上の膨大な情報の組織化がGoogleの使命であることを意図している。
Googleを悪用したサイト
2000年から2001年にドメインが登録されたというGoogleを装ったタイポスクワッティングサイト「Googkle.com」が、2005年4月頃に現れた。現在は閉鎖している。2007年には「goggle.com」というタイポスクワッティングサイトが現れた。こちらは、今現在もまだ閉鎖されていないので閲覧には注意のこと。
Googleにアクセスする際、アドレスバーにgoogle.comと入力するはずが、キーの押し間違いで上記のURLを入力して接続してしまうとGoogleとは全く関係ないサイトに接続され、コンピュータウイルスやスパイウェアなどのマルウェアを送りこまれてコンピュータの破壊活動をされてしまう。
有名検索エンジンを詐称した同様の事件はYahoo! JAPANでも起きており、利用者はアドレスのタイプミスなどに注意を求められる。
なお、gooogle.comなど一部のタイプミスのドメインは、google.comに転送されるようになっている。
Googleに対する批判
検閲
中国版Googleでは検閲を行っており、「天安門事件」や「台湾」などの単語を検索しても政権に不都合なものは表示されない。また、「ダライ・ラマ14世」も禁止ワードに指定されており、チベット人の反感を買っている。米国版Googleでは表示されるが、中国国内から中国版Google以外にアクセスすることは出来なくなっている。
Googleは反サイエントロジーサイトの削除を行っていたことも判明している。宗教団体サイエントロジーが同団体に批判的なサイトの削除をデジタル・ミレニアム著作権法(DMCA)を根拠に求めたところGoogleは削除に応じた。その後Googleの姿勢を批判する市民グループが訴訟の動きを見せたことから元に戻したが、一時的にでも削除を行ったことはGoogleの社会的影響力の大きさから批判をする向きも多い。
CNET出入り禁止事件
2005年7月、CNETのエリノア・ミルズ記者が執筆したGoogle絡みのプライバシー問題についての記事中、説明の一環として、CEOのエリック・シュミットについてGoogleで検索した結果を公表した。そこには、シュミットのおおよその資産や自宅住所、シュミットがGoogle株の売却を行ったことなどが掲載されていた。Google広報部は、この行為はプライバシー侵害に当たるとして、CNETの全サイトを検索結果から外した。さらに、CNETの記者全員からの取材を1年間拒否するとの声明を出した。その2ヶ月後に両者は和解しCNETのサイトは再び検索結果に表示されるようになったが、圧倒的影響力を背景に言論の封殺を目論んだGoogleの行為を危険視する声がある。
グーグル八分(Google八分)
検索の際、検索エンジンスパムなどの検索妨害行為があるサイトや、各国の法律に照らし合わせてGoogleが違法と判断したサイトを、意図的に検索結果から除き、ユーザーが該当サイトのURLを検索できないようにすること、およびその対象となったサイトのこと。しかし、最近は上記のような問題がないと思われるサイトも意図的に検索結果から除外されることがあり、企業などでは検索結果が収益に大きく影響するため、死活問題となっているケースも多い。しかもグーグルは検索結果からの排除に関する基準を明確に示しておらず、不透明な手続にて行われているため、検索結果の社会的影響力に応じた責任を果たしていないというユーザーからの不満も多い。実際に検索結果から除外された企業が名誉毀損などでグーグルを訴えており、今後の裁判の行方に関心が集まっている。
派生語
ググる
Googleが語源。元々は、Googleを利用してウェブページを検索するという意味である。このことは、Googleがメジャーな検索エンジンであることを表しているが、単に語呂がよかったという面もある。
インターネット掲示板「2ちゃんねる」などでは調べもしないで質問をする人(クレクレ君)に対し、「それくらいググれ」という使い方をする。「ググって来る」など多種多様な活用語が存在する。
さらに、検索サイトで検索する行為一般、インターネットとも関係なく単に探す行為をググると言うことある(例: Yahoo!でググれ・歩いてお店をググる…など)が、この使い方はGoogleで検索することと混同して混乱を招く可能性がある。
google(動詞)
英語圏では、「google」が「(広義ではYahoo!などを含めたすべての)検索エンジンで検索する」という意味の動詞として使われることが多くなっている。日本語の「ググる」と同義である。 英語版ウィキペディアにも収録されている(en:Google (verb))。なお、Googleは商標の普通名称化を招くとしてこの用法に抗議している[3]。
2006年7月6日にMerriam-Websterが発表した辞書の最新版では、「google」という動詞が「WWWの情報を得るためにGoogleの検索エンジンを利用する」という意味で掲載された。
関連書籍
- Google―なぜグーグルは創業6年で世界企業になったのか ISBN 4839916071 2004年12月
- ザ・サーチ グーグルが世界を変えた ISBN 4822244873 2005年11月
- Google誕生 ガレージで生まれたサーチ・モンスター ISBN 4872576446 2006年5月
- グーグル Google 既存のビジネスを破壊する(著:佐々木俊尚、文春新書) ISBN 4166605011 2006年4月20日 第1刷発行
- グーグルのすごい考え方(著:二村高史、知的生きかた文庫) ISBN 4837975836 2006年9月10日 第1刷発行
- Google 最強のブランド戦略 邪悪にならないこと ISBN 4797330031 2006年9月
関連項目
- Sitemaps
- elgooG - 中国のインターネット検閲を回避するミラーサイト