コペンハーゲン解釈

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コペンハーゲン解釈(コペンハーゲンかいしゃく)は、量子力学解釈の一つである。 余計な仮定を含まず、実験結果のみを受け入れ、フォン・ノイマンの射影仮説を素直にそのまま適用する。 現代の量子力学の主流解釈であるとされている。

コペンハーゲン解釈の特徴

一口にコペンハーゲン解釈と言っても、実は、様々な解釈の集合体であり、明確な合意事項は少ない[1]。最小限の共通事項は、実験結果を重視し、背後にある実在は考えないものとされる[2]

量子力学の各種実験結果は、粒子が空間的に一点に存在することを示しているが、同時に、空間的に広がりを持つ波の存在も示している。そして、いつどのようにして広がりを失ったかについては分からない。そこで、波動関数は複数の異なる状態ベクトルが重なりあった状態で時間発展しているとし、観測結果と整合させるために射影仮説を導入する[3]。射影仮説では、観測行為によって、異なる状態ベクトル間の干渉がなくなり、確率解釈に従って、そのうちの1つが選ばれて可観測量が決定される(波動関数の収縮とも呼ばれる)とする。尚、「観測」が何を示すのかは曖昧で、具体的な定義はない。

補足

コペンハーゲン解釈以外にも様々な解釈があるが「標準的なコペンハーゲン解釈は、現代的な量子測定理論の教えに従って正しく使えば、今のところ全く不都合はなく、別の様々な解釈は、自然科学としては単なる言い換えに過ぎない」[4]とされる。

収縮メカニズムのみを説明する理論。相互作用を及ぼす相手の大きさによって収縮速度が変化する[5]。原理的にシュレーディンガーの猫等の観測問題を解決可能だが、数学的厳密さに欠ける[6]
  • GRW
収縮メカニズムのみを説明する理論。システム全体の粒子の数が収縮速度を決める[7]
量子もつれによる一貫した歴史を式に表現したものは、エヴェレットの定式化と呼ばれる。
量子デコヒーレンス(干渉性の喪失)理論によって、異なる状態ベクトル間の干渉が失われるとされる。
デコヒーレンス後の異なる状態ベクトルは全て実在すると考える。(=多世界の実在)
多世界解釈には、コペンハーゲン解釈と同等の仮定を内包しており[8]、その他にも多世界の実在を仮定している。
  • Consistent histories
多世界の実在を仮定しないこと以外は、多世界解釈とほぼ同じ。
  • 人間原理
「観測者の意識が量子の状態を決める」とする解釈であり、コペンハーゲン解釈の一派に数えられることもあるが、現代の物理学者の支持は得られていない。
  • デ・ブロイ-ボーム理論
非局所的隠れた変数理論の一種。

注釈

  1. 吉田伸夫『質問集』
  2. Colin Bruce著/和田純夫訳『量子力学の解釈問題―実験が示唆する「多世界」の実在』P.104
  3. 清水明「量子測定の原理とその問題点」
  4. 清水明「量子測定理論入門」
  5. Colin Bruce著/和田純夫訳「量子力学の解釈問題―実験が示唆する『多世界』の実在」P.131-138,167,168
  6. 吉田伸夫「シュレディンガーの猫」
  7. Colin Bruce著/和田純夫訳「量子力学の解釈問題―実験が示唆する『多世界』の実在」P.255-256
  8. 清水明"Modern Theory of Quantum Measurement and its Application"

関連項目