ソーシャル・ネットワーキング・サービス
ソーシャル・ネットワーキング・サービス(英語: Social Networking Service, SNS)とは社会的ネットワークをインターネット上で構築するサービスのこと。登録制、招待制などのいくつかの仕組みがあり、そのサービスのポリシーごとに分類される。
目次
概要
ソーシャル・ネットワーキング・サービスとは人と人とのつながりを促進・サポートする、コミュニティ型の会員制のサービスである。あるいはそういったサービスを提供するWebサイトを指す。
ソーシャル・ネットワーキング・サービスの中心であり主目的は、人と人とのコミュニケーションにある。友人・知人間のコミュニケーションを円滑にする手段や場を提供したり、趣味や嗜好、居住地域、出身校、あるいは「友人の友人」といったつながりを通じて新たな人間関係を構築する場を提供している。人のつながりを重視して「既存の参加者からの招待がないと参加できない」というシステムになっているサービスが多いが、最近では誰でも自由に登録できるサービスも増えている。
代表的なソーシャル・ネットワーキング・サービスとして日本最大の会員数を持つmixi、世界最大の会員数を持つMySpaceなどがある。
又、2004年頃より大手企業各社でも社内でのコミュニケーションの活性化や内定者囲い込み、SOX法対策等にも使われはじめており、有名な事例としてはジョンソン&ジョンソン、NTT東日本の社内活用や、総務省の省内活用があげられる[1]。社内SNSには情報の地域間格差を解消するために導入している企業も多い。
基本的な機能
SNSで「友達になりたい」と近づきエステ勧誘、400人が被害
インターネットの会員制交流サイト「ソーシャル・ネットワーキング・サービス」で「友達になりたい」と近付き、 高額なエステ契約を結ぶよう勧誘したとして、警視庁は2013年6月6日、東京都内でエステサロンを運営する「フランチェスカ ビアンキリミテッド」の実質経営者・岡田真由美(40)と従業員ら男女計5人を、特定商取引法違反(不実の告知など)容疑で逮捕した。
同庁は、同社が2012年までの約2年間に、同様の手口で20~30歳代の女性約400人を勧誘、約5億円の 契約を結んだとみて、販売実態の解明を進める。
岡田らは2011年11月~2012年6月、エステの勧誘目的であることを隠して都内の20歳代の女性3人を、運営する港、渋谷両区のエステサロン2店に連れて行き「正規の値段は20回で450万円 だが親戚価格の150万円でいい」などと特別な値引きを装い、高額なエステ契約を結ばせる勧誘をした。
女児をハメ撮りレイプした鬼畜男(42)「小中学生のブログを見つけ悩み相談に乗るだけで40人食えた」
ブログで悩み相談受け呼び出し…女児ら強姦の男を最終送検(2013年3月 大阪府警)
インターネットのブログを通じて知り合った小学生の女児ら10人にわいせつ行為をしたとして、大阪府警サイバー犯罪対策室は3月13日、強姦などの容疑で、福岡県北九州市戸畑区沢見の無職、井上貴志(42)=同罪などで公判中=を逮捕、最終送検したと発表した。
井上は女児らのブログにアクセスしたり、自身のブログに誘導したりして、学校の悩み相談などに真摯に対応。信頼関係を築いた上でホテルに呼び出し、犯行に及んでいた。井上のパソコンからは少女50人の裸の写真約6,000枚とポルノ動画約50本が見つかった。
送検容疑は平成22年12月~24年9月、ブログで知り合った大阪や沖縄など7府県の当時11~16歳の少女10人に乱暴したり、ビデオカメラで裸を撮影したりしたとしている。「40人くらいの少女と性的関係を持った」と容疑を認めている。
ミクシィ悪用、デート商法…詐欺で14人逮捕(2013年)
ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)で知り合った若い男女をデートに誘い、「必ずもうかる」と偽って投資用ソフトウエアを販売したとして、大阪府警生活経済課は5月28日、大阪市西区のソフト販売会社「WAO」社長で、韓国籍の片和男(33)(大阪市西区)ら男女14人を詐欺、特定商取引法違反(不実の告知)容疑で逮捕した。
片らは近畿や東海など18府県の延べ約1000人に販売し、約9億5800万円を売り上げたといい、府警はSNSを使った新手のデート商法とみて全容解明を進める。
他の逮捕者は、いずれも同市のソフト販売会社「WISH」経営者で、同籍の李相成(33)(大阪市西区)、同「フェーズノート」経営の長棟聖司(36)(大阪府茨木市)両容疑者ら。
片らは一昨年8月~昨年9月、会員制交流サイト「ミクシィ」利用者だった大阪、兵庫両府県の男女10人(22~26歳)に「自動的に投資するので、素人でも利益が出る」などと偽り、投資ソフト(約100万円)19本を計1830万円で販売した。
片は「どのように販売したかは知らない」と容疑を否認。李、長棟両容疑者ら6人も否認している。
最近の小学生「大人は都合のいい事しか言わないから信用出来ない。ネット(SNS)に書いてある事が真実」
信じられるのはネットと、ソーシャルメディアでつながっている友だちとのやり取りだけ――。
総務省情報通信政策研究所の「平成25年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」からは、メディアが流す情報を信用する傾向が見えた。
10代でそれぞれのメディアを「全部信頼できる」「大部分信頼できる」と回答した人の合計は「インターネット」が38.1%、「テレビ」が73.4%と、どちらも他の年代よりも高かった。まだ発展途上という理由があるかもしれないが、10代は他の年代に比べてネットやテレビを信じる傾向にある。
友だちが一番大切で興味関心がそこに集中ししかもインターネットを信頼できると考える10代の子どもたちはSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)やネットでの書き込みを簡単に信じてしまう傾向にある。
実際に、保護者や教員などの大人が言うことではなく、ネットに書いてあることを信じている小学生がいる。小学校5年生のA男は、掲示板やSNSに書いてあることこそが真実だと思い込んでいる。
「大人は都合のいいことしか言わない。ネットには本当のことがあるから信じる。本当のことは都合が悪いから隠されてるんだ」と言って、ネットから得たであろう知識をとうとうと述べた。
その内容には極端なものが多かったが、A男はネットで見つけたそれらの情報を心から信じ切っていた。確かにネットでは、公に表に出せない真実が公開されていることもあるが、真実のふりをしたデマも出回っている。A男の考え方は単純すぎると言わざるを得ないがその半面で周囲の大人が信用に値しない言動をしているではないかと心配になった。
SNSが入り口“平日昼限定の不倫”にハマった主婦
夫とはセックスレス……とはよくある話だが、“家庭にセックスを持ち込まない”は妻たちの間でも、当たり前になっていた。「このまま終わりたくない」「もう一度、快感で満たされたい」……性を諦められない妻たちが白昼、貪欲に活動するさまを覗いてみた。
<小野桂子さん(仮名)34歳・結婚8年・子供2人>
小野桂子さんが、抜け出せない不倫の泥沼にハマっていったきっかけは、暇つぶしで覗いたSNS。
「最初は『趣味合いそうですネ』なんて何げないメールで。メル友感覚でやりとりをしていたら、熱烈な愛の告白が始まったんです」
「お前を心から愛している」「死に際は一緒にいたい」など、会ったこともない男の愛の囁きに、桂子さんの芯は疼いてしまった。
「産後太りして、家族だけではなく周りからも女扱いされない自分を、唯一、『愛してる』と言ってくれるのが彼なんです」
初対面はメール交換から2か月後。待ち合わせ場所は互いの中間駅にあるラブホテルの前だった。
「エッチする約束をしていたので、この日のためにダイエットをして、2週間で5kg痩せたんです(笑)。言われるがまま、捧げました」
家族に対しての罪悪感はなく、「また会いたい」という思いは、日ごとに募り、平日昼間の呼び出しを待つ日々が始まった。
「今では私のスマートフォンは彼とのセックス写真、動画が溢れています。旦那や子供に見られたら一巻の終わり。だから、おばさんくさくて嫌いだけど、エプロンを着て携帯はポケットにずっと入れてる。これなら自然でしょ?(笑)」
関係が始まって1年。子供の帰宅前に家に戻るためには会えるのは日中限定。営業回りで忙しいという彼とは3か月会っていない。今日も桂子さんはポケットのスマホを握りしめ、連絡を待つ。
「多分、SNSで他の女性も口説いているかもしれません。でもいいんです、ホテルのサービスタイムだけでも一緒にいられれば」
ビジネスモデル
SNSのビジネスモデルは大きく分けて「広告収入モデル」「ユーザー課金モデル」「他サイト誘導・連動モデル」が成立している。
広告収入モデル
インターネット広告により収益を得るモデル。広告収入を収益の柱としているSNSはmixiやMySpaceなどが挙げられる。いかに多数のユーザーをサイト上に滞在させ、PV(ページビュー)を獲得できるかがこのモデルの鍵となる。SNSで広告収入をあげるにはそれなりのユーザー数が必要とされるため、そこまでコミュニティを育てていくにはサーバーなどを運営していく計画的な資本戦略が必要とされる。
ユーザー課金モデル
提供しているサービスに対し、サービス利用料という形でユーザーに対して直接課金し、収入源とするモデル。PVの多さに依存せず、人的ネットワークなどSNSの特徴を積極的に活用したサービスの提供に重点を置いている点に特徴がある。現在ではビジネスネットワークの構築や職探しに利用される米国LinkedInなどのSNSが挙げられる。
またこれとは別に基本的に無料で提供しているサービスに一部サービスに付加機能を加えた有料サービスを提供して課金をするモデルもある。(例:mixiプレミアム)
他サイト誘導・連動モデル
SNSサイト内での広告収入や課金収入に頼るのではなく、SNSをユーザーの集客や定着のツールとして捉え、自社・他社問わず他のサイトに誘導、あるいは連動させることにより得られるシナジー効果(相乗効果)を期待するモデル。ヤフー株式会社の井上雅博CEOが語るようにYahoo! Daysなどの大手ポータルサイトが運営するSNSはこのモデルを取り入れようとしている。
また携帯向けSNSのモバゲータウンはモバオク、ミュウモなどの外部の課金サービスに誘導することで収益をあげている。
なお、これら三つのモデルは、そのいずれかはそれぞれのSNSで中心となっているものの、例えば広告収入モデルはほぼすべてのSNSで取り入れられているように、ビジネスモデルを組み合わせていくのが一般的である。
アメリカ、韓国では広告収入以外にもEC事業(アバター、ホムピー)といった色々なビジネスモデルが構築されつつある。例えばサイワールドなどは月10億円以上の利益を広告(20%)とEC(80%)により生み出している[2]。その一方で、限られた会員内とはいえ、個人情報の流出の懸念も一部であり、未成年者の利用を制限する動きもある。(アメリカでは12歳以上なら利用が可能の為)
歴史
SNSサービスは1997年から開始され100万ユーザーまでいったSixDegrees.comなどがあるが、本格的に普及したのは少し後の2002年にスタンフォード大学の卒業生が始めたFriendsterから、アメリカの大手検索エンジン提供会社Googleの一社員であったOrkut Buyukkoktenが開発したorkutなども有名で2004年1月には日本でも情報技術者の間で本格的に広まった。
日本では、2003年12月にはSFC Incubation Villageにてビート社による期間限定のマッチング実験「SIV Connect」そしてネットエイジ社による有料の合コンマッチングSNSのGocooが始まる。翌年2004年2月21日に田中良和の個人運営「GREE(グリー)」と2月後半にはイー・マーキュリー (現:株式会社ミクシィ) 提供の「mixi (ミクシィ) 」がプレオープン、3月3日にオフィシャルオープンした。その他数ヶ月遅れで、Yubitomaのエコー、フレンドマップ、Minii、キヌガサなどがほぼ同時期にスタート。Gocooなど古いにもかかわらず、限られたユーザーで普及した理由としては最初から課金をしてハードルが高かった事が原因にあげられている。(課金モデルは途中から変更)[3]
2004年の初期段階では、GREEが最も会員数が多く、イベント中心に盛り上がりを見せた。当初はWEBメール機能や日記機能をつけておらず、会員数が10万人あたりで、最初から日記機能のあったmixiに抜かれた(但しmixiもリリース当初はまだコミュニティ機能などは実装されていなかった)。
現状
日本では、以前から多くあった「Web日記サイト」「グループウェアサイト」「インターネットコミュニティ」などの機能を上手く取り込み、一種のポータルサイトとして機能しつつある。社内でも社内向けコミュニケーションから始まり、内定者や学校の卒業生の囲い込みなど、色々な用途に使われている。最近ではグリー、imapuなどでも携帯電話にも応用されており、さまざまな形でSNSは普及している。
YouTubeやFlickrといった画像共有・動画共有サイトが人気になったことにより、日本でもAmebaVisionなど類似のものが相次いで開設されている。
総務省の発表によると、2006年3月末現在の日本でのSNS利用者数は、716万人に達するという。これは前年度(2005年3月末)の111万人の6.5倍の数字であり、急速に認知度が高まっていることが伺える。予想ではSNSの利用者数は2007年3月に1042万人に拡大すると見られている[4]。
米最大のSNS、MySpaceは公式の発表によると米国の会員数だけで6000万人を記録しており、2006年11月現在の総ユーザー数は1億2000万人と発表されている。2006年の現在でも月に600万人のペースでユーザーを増やし続けている。マドンナ、U2、ビヨンセ、マライア・キャリーなど300万のアーティストが参加しており、若者に人気が高い。尚、マイスペースは2006年11月に日本語版のベータ版を開設した。
韓国ではサイワールドが大変な人気を誇っており、利用者は1800万人。韓国の総人口の約3分の1が参加している事になる。2007年になりアメリカのSecond Lifeなどバーチュアル空間のSNSが急成長を見せている。又、海外ではFriendsterからMySpaceのようにクローズドなSNSからオープン型のSNSへとSNSの流れが徐々に変化しつつある。[5]。
その一方で、日本国内で見れば、コミュニティが巨大化してゆく事で、例え外部要因であっても何か事が起きれば「祭り」が発生してしまったり、匿名性を高くできるものでは、俗にいう「2ちゃんねる化」が起きる、他にも地縁による結びつきが大きい地域コミュニティなどでは政治的な意図を持つ者などによりコミュニティが混乱させられたり、他にもブログや2ちゃんねるなども含めた広範囲なコミュニティをも利用して恣意的な情報操作が行われるケースもあるなど、SNS文化が巨大化するに連れて運営のリスク要因も増加している。この為、SNSコミュニティの質的な維持の為に、機能・サービスの拡充の他、より慎重かつ繊細なシステムの管理運営能力が運営会社に要求される状況となっている。
問題点
個人情報の取り扱い
学校などの同窓会を模した老舗のSNS「この指とまれ!」(ゆびとま、会員数約300万人)の運営は、指定暴力団山口組傘下暴力団の元組長・下村好男(ゆびとま代表取締役社長)によって行われている。下村は2007年2月に逮捕され、社長職を解任。
SNSから情報入手。怒り覚えてストーカーになる男性が増加
続発するストーカー事件。殺人、傷害に発展するケースもこのところ相次いでいる。被害女性がシェルターに逃げても、警察に訴えても、名前を変えて移り住んでも、なお彼らは執拗に追ってくる。
そしてストーカー認知件数の過半数が、元夫、そして交際相手によるものだ。桶川女子大生ストーカー事件などのように、DVや暴力に走りがちな性向を持つ男性による凶行が目立つ。
しかし、フェイスブックやミクシィといったSNSが、一般の人をストーカーへと豹変させている事例が増えている。
「いまはネット上に個人情報が溢れています。たとえばフェイスブックでは、その人の楽しい日常を写真付きで知ることができます。ほんの少しの交際でも人を妬みやすい人は、自分がこんな悲惨な境遇に置かれているのに、あいつは…などと、別れた妻や恋人の日常の情報を入手することで、怒りを覚えてストーカーになってしまう男性が後を断たないんです」
一度交際や結婚した関係だからこそ、ストーカーになりやすいと指摘する。
「別れたときのつらさは、時が解決するもの。時の経過とともに、人間の記憶は薄れていくからです。かつては、いったん別れてしまったら、相手を知る手がかりがなかったから、きれいに忘れることができました。でも今は、ネットで誰でも追跡ができる時代。SNSで共通の友人や知人を介して情報が入ってくるようになりました。だから、忘れられないのです」
もうつながりたくない。静かにブーム「圏外旅行」
毎日更新される友人、知人のフェイスブック、1日何件も届くLINEのチャット、会社や取引先からのCCメール…。
煩わしいと思ったことはないだろうか?スマートフォンを持ち始めると、いつでもどこでも、連絡を取り、知りたいことが調べられる半面、四六時中画面をチェックする習慣が生じる。いっそのこと電波の届かない場所に行きたい。こんな願望をかなえる旅のスタイルが、静かに始まっている。
「メールも見ない。何にもつながらない場所に行きたい」
こう思い立った東京都港区のグラフィックデザイナー、白木彩智(さち)さん(26)は一週間の有給休暇を取り2013年11月1日、東京・竹橋桟橋から船に乗り、伊豆諸島の最南端、青ケ島に向かった。同じ都内でありながら、本州の東京からは南に約360キロ離れた太平洋の孤島で、村の人口はわずか170人ほど。面積は約6平方キロメートルしかなく、一周約9キロの小さな島だ。
まず、八丈島まで一晩かけてフェリーで行った。青ケ島へは、さらに船で2時間半。八丈島の港で出会った60歳ぐらいの元気な男性が青ケ島を案内してくれた。
「島に着くと、そのおじさんの紹介で別の島の人とも出会い、自宅でご飯をごちそうになったり、宿まで送っていただいたり…。本当にすてきな旅行でした」
スマートフォンの電源を念のために切り、話し相手は島内で実際に合った人々だけ。青い海と濃い緑、湿気を含んだ暖かい空気。都内とは思えないほど、親しげで親切な人々に囲まれ、仕事のことも友人のことも、思い悩んだ自分の将来のことも一時的にすっかり忘れられた。
「頭を空っぽにして、前向きになれた」と白木さんは振り返る。
旅行から戻った後は、仕事のアイデアも次々と浮かび、リフレッシュできたという。
携帯電話やインターネットといったデジタル環境から距離を置く行動は「デジタルデトックス(デジタル環境からの解毒)」と呼ばれている。青ケ島村役場によると、役場周辺では、ドコモやau、ソフトバンクもつながるが、中心部以外はつながらない場所が多い。島に5軒ある民宿にはWiFiネットワークを用意してあるところもあれば、ないところも。村営の無料キャンプ場は一部、携帯の電波がつながる場所もあるがほとんどつながらないため「10月にはわざと携帯電話を持ってこなかったというグループも来た」(職員)という。
静岡県熱海市では2014年8月、デジタル機器と距離を置く1泊2日の宿泊プラン(税別23,000円)が登場した。「櫛稲(クシュナダ)」という会社が運営する施設で、チェックインの際、機器をフロントに預けておく。
あふれる情報と常時「つながる状態」から距離を置きたいと、旅に「圏外」の環境を求める人々は静かに増えつつあるようだ。
JTB総合研究所が2014年10月1日発表したスマートフォン使用についての調査では、フルタイムワーカーを中心に「SNS疲れ」ともいえそうな現象がみられた。過去1年間の旅行で「あえてSNSがつながらない場所に出かけた」人は2060人中45人。JTBが近年の動向を踏まえて初めて加えた設問だが、同じ回答をした中で、最も比率が高かったのは29歳以下の男性で3.9%(206人中8人)。全体で比較すると、学生や無職の人よりもフルタイムで働く人の割合が高い。
調査分析を担当した同総研の早野陽子さんは「SNSを多用する一部の人と、SNSに疲れ、距離を置きたいと考える人の二極分化が始まっている。特に働いている人はプライベートの旅行中も仕事から完全に切れることがなく、オンとオフの境界線があいまいになりがち。『つながらない』場所をあえて訪れるという新しいツアーにニーズを感じる」と話す。
また、「デジタルデトックスのすすめ」などの著書がある、ライフハッカー(生活や働き方についてのブログメディア)編集長、米田智彦さん(41)は「バーチャルメディアは一種の中毒性、依存性もあり、時に現実の人間関係を上回るほど優先されることがある。また、インターネット産業などで働く人々は、就業中のパソコンに加えて、スマートフォンの普及により24時間体制でメールやネットに追われるような生活で、みな疲労感を抱えている」と指摘する。
海外では、チェックインの際にフロントにスマートフォンやノートパソコンを預け、アロマキャンドルやボードゲームなどネットに接続しないで遊べるキット「デジタル・サバイバル・キット」を提供するホテルも登場しているという。米田さんは「過度な情報社会に疲れた人々のために『圏外を買う』時代が来ているのかもしれない」と話している。
脚注
- ↑ 総務省ビジネスブログ及びビジネスSNSの活用事例の公表
- ↑ 韓国の巨大SNS「サイワールド」日本版、慎重な船出
- ↑ GOCOO閉鎖[1]
- ↑ ソーシャル・ネットワーキング・サービス、安心感から利用者急増
- ↑ 世界のSNS
関連項目
外部リンク
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