学校制服
学校制服(がっこうせいふく、school uniform)とは、主に学校機関で用いられる制服、標準化された服飾セットである。 多くの国では、初等学校や中等学校で普及している(以下リストを参照)。制服はその学校のドレスコードの基礎となっている。
男子制服はダークのズボンと明るい色のシャツ、時折ネクタイを採用する傾向がある。女子制服は国や学校制度によって非常に多様であるが、典型的にはドレスまたはブラウスと、スカートまたはキュロットまたはジャンパースカートを採用する傾向がある。いくつかの国は女子にズボンを認めている。ブレザーやスーツに似たジャケットは男女とも一般的で、とりわけ気候の寒い国に多い。
いくつかの国はすべての学校に共通の標準制服制度を持っているが、他の国では学校ごとに個別の制服を持っており、色やバッジで違いを出している。
目次
各国の学校制服
アメリカ合衆国
アメリカ合衆国ではほとんどすべての学校が何かしらドレスコードを制定している。生徒の服飾について、どの色や種類の服を着用できるか、どの種の服飾アクセサリーが許されるかなどの規制が存在する。米国の制服は典型的にはインフォーマル (smart casual) であり、英国やラテンアメリカのような厳密なドレスコードではない。
採用例は少ないが、女子制服として日本と同様のセーラー服が採用されている例もある。
1996年にクリントン大統領が一般教書演説で制服導入の必要性を大きく打ち出したことで、都市部の学校の41%が制服を導入した。
アルゼンチン
アルゼンチンの公立学校では、白のスモックが最も普及した学校制服である。これはアルゼンチンが19世紀末から20世紀初頭までイタリア移民の主要な渡航先であったため、イタリアの影響を受けたためだと思われる。幾つかの19世紀末のヨーロッパの国、特にフランスやイタリアなどはスモックを学校制服として定めていた。それは、貧しい子供たちがその貧しい衣服によって傷つかないよう、違いをカバーする方法であったと思われる。
公立学校ではの生徒は公式な制服を要求されず、生徒はスモックの下に任意の服を着用することができる。しかし多くの私立学校では公式な制服を定めており、それらのほとんどは英国風の制服を採用している。
イスラエル
教育大臣リモール・リブナットにより、約1400のイスラエル国立学校では生徒は制服着用が求められるようになった。
インド
インドでは制服は初等学校から高等学校まで一般的である。男子は多くは明るい色のシャツとダークの長ズボンである。女子は多くはシャツとスカートである。いくつかの学校では女子にサルワール・カミーズを規定している。いくつかの学校では生徒はネクタイを着用する必要があり、特にキリスト教系ミッション校に多い。
政治的な決定で、インド政府は子供のsportingな宗教シンボルを禁止することはない。一部のイスラム教徒女子はベールを、多くのシーク教徒男子はターバンを制服に合わせて着用している。公立私立を問わず多くの学校では男子生徒の長髪や髪染めを禁止している。
イングランド
ウェールズ
英国ウェールズでは、ウェールズ議会政府が制服と外観ポリシーを定めたガイドラインを発行している。
オーストラリア
オーストラリアの学校制服は一般的に英国モデルを継承している。
ほとんどすべての公立・私立学校と、全てのカトリック学校、全てのオーストラリア州では、義務的な制服ポリシーが存在する。ルールの程度は学校のシステムによりけりである。制服と外見は一般的に私立学校とカトリック学校で厳しく、公的学校では緩い。
男子の場合、制服は一般的にボタンアップの白シャツかポロシャツ、短ズボン(特に夏服)または長ズボンであり、多くはグレーである。短ズボンは暖かい時期であり、スクールカラーの足首まで長い靴下も求められる。ネクタイは一般的に私立学校の男女に規定されている。ブレザーはカトリック学校と私立学校で一般的である。女子の制服は、チェックやストライプのドレスが夏季や中等学校で一般的であり、冬季はボタンアップやポロシャツとスカートである。体育教育やスポーツのために別の制服が存在することが多く、それはショーツとシャツで構成される。女子のためにスプレージャケットやネットボールスカートが存在する。初等教育の最終学年には、最終学年であることを示す独自のパーカーやジャンパーが存在する事が多い。また、中等教育の最終段階でも、それを区別するために独自の制服を持つことが一般的になりつつある。
ガーナ
ガーナでは、すべての生徒が学校制服を着用する必要がある。
カナダ
公立学校はほぼ全校が私服であるが、一部の私立学校では制服が採用されている。同じ法人が運営する学校であっても、年齢層により制服が異なる場合がある。たとえばEcole Notre Dame des Victoiresで採用されている制服は、2年生以下の男女はセーラー服(男子は半ズボン、女子はスカート)、3年生以上の男子はポロシャツとスラックス、3年生以上の女子はセーラー服にスカートである。
カンボジア
カンボジアの制服は、1950年代のタイの制服に似ている。 カンボジアでは今制服が流行している。 制服が導入される前は、生徒は多くは白シャツに青または黒のズボンかスカートを着用していた。初等学校と中等学校の両方で、生徒は男女共にドレスコードの範囲で任意の服を着用できた。規則では指定された種類の服を要求するのではなく、色・スカートの長さなどが定められている。
キューバ
キューバでは学校制服が用いられている。年齢や性別に関係なくすべての生徒は学年を示す色の制服を着用する。子供たちはキューバ開拓者集団のメンバーとしてスカーフを着用する。
キューバでは、ペルーと同じタイプのH型吊り紐の吊りスカート(赤色)が小学生女子の制服となっている他、伝統的な高校や大学の中にも、吊りスカートを制服としている学校がある。
ジャマイカ
ジャマイカではハイスクールの女子制服が制定されており、明るい紺色のプリーツの吊りスカートである。
スイス
ジュネーブにあるオンディーヌ音楽学校では、小学部の学生の衣装が男子、女子ともにセーラー服(男子はズボン、女子はスカート)である。
タイ
タイでは1889年に制服が導入され、現在の制服は2005年から使用されている。
未就学児童から大学生まですべての生徒が制服を着用する。学校や年代に応じて制服は異なる。一般的に、男子は白のシャツと短ズボンを着用する。ズボンの色と長さは学校により様々である。男子大学生も同様だが、短パンに変わって黒のズボンを着用する。
女子は白のブラウスとスカートを着用する。スカートの色と長さは学校と年齢によって様々である。一般的に若い生徒は足に届くまでの長いスカートを着用し、大学生は短いものを着用する。スカートは一般的に青か黒であるが、学校によってその他の色も存在する。
いくつかの学校は男女ともに一日おきに代わりの制服を定めている。その多くは色つきシャツとズボンで構成される。
タイは、大学でも制服を着用している4つの国の1つである。
台湾
韓国と同様、かつて日本統治時代の名残で、詰襟学生服、セーラー服を着用していた。
現在の台湾では小中学校を中心に制服が着用されているが、中学校の場合セーラー服はほとんど無く、概ね日本の女子高生が着用しているようなチェック柄のものが流行のようだが、昔ながらの紺色の制服を採用している学校も多い。また、台北市立第一女子高級中学(通称・北一女)のように、日本ではほとんど見かけない明るい鮮やかな緑色の制服を採用している学校もある。これらの緑色の制服はミャンマーなどでも見かけた。蘇澳高級海事水産職業學校など、一部の水産学校では男子、女子ともにセーラー服(水兵服、下はズボン)が採用されているが、海軍とは関係が無い。小学校の制服は、男子はYシャツに半ズボン、女子は吊りスカートであるところが多く、日本の小学校の制服と似ているが、冬期は女子も長ズボンを着用する場合がある。また、台北市敦化國小、台中縣文昌國小、高雄縣大華國小、台南市天主教私立寶仁國小などのように、男女ともセーラー服が採用されている例もある(中国の場合とは異なり、海軍とは関係がない。あくまで子供服を起源とするデザインである)。なお、台湾の小学校制服には地域性があり、私服の場合も含めて、地域ごとに類似した制服が採用される傾向がある。
中華人民共和国
中華人民共和国の学校では制服は一般的である。殆どの中等学校は、いくつかの初等学校と同様に制服の着用を求めている。中国本土での制服は通常2セット存在し、夏服と冬服がある。男子は冬はジップアップセーターとズボン、夏は色つきシャツと短パンである。 女子は冬は男子と同様である。中国の南部地域では、青と白のスウェットシャツとズボンを着用する
中学・高校生は登下校時や体育を含むすべての授業で、「校服」と呼ばれるジャージ上下を着用する。日本でいう制服もあるものの、特別な活動の際にしか着用しない[1]
海軍少年軍校に指定された小学校および海軍が財政的な援助をした小学校では、男子・女子ともにセーラー服が採用されている。男子はズボン、女子はスカートまたはズボンをあわせる。
チリ
チリでは殆どの学校が制服を持っている。
デンマーク
デンマークでは、公立学校と私立学校の殆どには制服はない。しかしながら、国で最も有名な2つの学校であるHerlufsholm SchoolとSorø Akademiには現存している。
ドイツ
ドイツでは、16世紀から生徒に落ち着いてスタイリッシュになりすぎないよう規定が設けられ、とりわけ中等学校やグラマースクールや類似機関に多い。多くのケースでは、規定は全市民における特定社会階級を対象とした広範囲な法律の一部として定められた。
ブルーコートは中等学校の生徒の義務的なシンボルとして広がったが、18世紀の後半には使用されなくなった。新しい時代には、実質的には学校制服は修道学校や私立寄宿学校以外に存在していなかった。
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トンガ
トンガではすべての学校で制服が求められる。制服の多くは協会に関係した色で、公立学校の場合は赤である。たいていカトリック学校では水色、Wesleyanではロイヤルブルー、英国国教会ではネイビーブルー、LDS学校では緑である。スクールカラーの縞が入った民族衣装Ta'ovalaとtupenuは、通常男子がボタンアップ白シャツと共に着用する。
初等学校の生徒は多くはショーツとボタンアップ白シャツを着用する。ほぼすべてのトンガの中等学校では、女子に白シャツとジャンパースカートの着用を求めているが、カトリック学校では短袖ブラウスとスカートの着用を認めている。多くの生徒は、英国式中等学校ではローマ式サンダル、その他の多くの学校ではゴム草履を履くことが求められる。
ナイジェリア
ナイジェリアでは学校制服が用いられている。不利な境遇の家庭のために金融的に支援するプログラムが用意されており、the Chairman of Ejigbo Local Council Development Area, LCDA, Kehinde Bamigbetanなどはラゴス州の教育水準向上を目指し、7200の制服を9つの初等学校の生徒エリアに配布した。
ニカラグア
ニカラグアでは、ペルーほど制服は統一されていないのかもしれないが、農村部の学校にも、日本の最近の女子高の制服のような、チェック柄のおしゃれなジャンパースカートや吊りスカートが制服として採用されている学校がある。色はほとんどの場合青系の色である。
ハイチ
ハイチでは、ハイスクールに女子制服が制定されており、赤、黄、黒、茶などの混じったチェック柄のプリーツの吊りスカートである。この国の制服は他の中南米諸国の制服に比べ、スカート丈が長めになっているのが特徴である。この国ではガールスカウトの制服も吊りスカートである。
日本
日本の学校制服 を参照
フィリピン
フィリピンでは、学校制服は小学校から高校まで一般的でいくつかのカレッジでも存在する。男子は、一般的に襟付き短袖白シャツ(Barong Tagalogに似ている)、ズボン(カーキ・黒・ブラウン・ネイビーブルー色)である。女子は、長袖または短袖の白のブラウス、リボンまたはネクタイ、プリーツスカートである。
1970から80年代まで学校制服は、男子は白の長袖シャツと黒のズボン、女子は白の長袖または短袖のブラウスとリボンと青のプリーツスカートが一般的であった。時を経て、スカートの多くは短くなり、長際は上膝から半インチまでに短くなった。最長は下膝1インチであった。違反するケースが増加したため、学校の女子の服飾規定は1990年末までにだんだんと厳しくなりスカートはそれよりも長くなった。
いくつかの学校では白シャツの上に上着とネクタイの着用が求められ、男子に多い。しかしこれは大抵はいくつかのカレッジや国際学校のみである。
ブラジル
ブラジルでは、私立学校の生徒は高校でのいくつかの例外を除き制服を着用しなければならない。公的学校の生徒は制服を着用しなければならない。一般的に、制服は青のズボンと胸に校章がプリントまたは刺繍された白のTシャツである。いくつかの学校は指定された色の靴が求められ、黒や白などである。いくつかの高校は代わりにジーンズの着用を認めている。学校は生徒の支出を抑えようと他種の衣類について制限している。
ブルンジ
ブルンジでは、学校制服が生徒に義務付けられている。
ベトナム
ベトナム南部や中部の女子高校生の制服は、民族衣装であるアオザイで、色は白である。ハノイなどの北部はブラウスにスカートである。
ホーチミン市にあるNhan viet 高校 (一般高校)は、2015年に制服を変更して、男子はセーラー服、女子はセーラー襟つきのアオザイを採用した。新制服には、島嶼を守る水兵を尊敬する意味合いを込めたとのこと。
女子のみセーラー服の学校もいくつか存在する。
脚注
- ↑ 西村克仁 『日本は中国でどう教えられているのか』 平凡社、2007年。ISBN 9784582853988 P25
参考文献
- Alleyne, Sylvan I., Velma LaPoint, Jennifer Lee and Harold W. Mitchell (2003) Alleyne, Sylvan I., Velma LaPoint, Jennifer Lee and Harold W. Mitchell Black Educators' Views on Middle School Students' Dress and Uniforms: Addressing Challenges from Commercialism J. Negro Educ. 72 4 2003 418-426 Commercialism in the Lives of Children and Youth of Color: Education and Other Socialization Contexts.