ジュニアアイドル
ジュニアアイドルとは、日本の芸能界で活躍する低年齢の児童アイドルのこと。「チャイドル」や「ローティーンアイドル」とも呼ばれる。1990年代以降、アイドルの概念の拡大と共に注目されるようになった。
低年齢のファッションモデルもジュニアアイドルに因んで、ジュニアモデル(ティーンズモデル)と呼ばれる。
その多くは大成せず、人知れず引退している場合が多い。
概要
1990年代中頃、テレビ等での活動が増え始めた小学生のタレントやアイドルを指してフリーライター・作家の中森明夫により、「チャイドル」(「チャイルド」と「アイドル」の混成語)という造語も作られた。「チャイドル」という言葉の最初の使用例は、1996年3月の『週刊SPA!』の特集記事である[1]。元々子役等のほかアンダーグラウンドな媒体で小学生・中学生のモデルの活動は見られたが、1990年代には日本の被服文化の影響を受けたブルセラがブームとなり、お菓子系アイドルという呼び名も生まれた。2000年代に入るとそれらを含めた広義での「ジュニアアイドル」という呼称が主流となる。
雑誌や広告等のモデルや俳優(子役)から始まり、地上波のテレビドラマやテレビコマーシャルなどの出演により人気が出る場合が多い。ジュニアアイドルによってはグラビアアイドルとして写真集などを出したり、歌手などへ活動範囲を広げ、アイドル的な芸能活動を行なう場合も多い。
成長して「ジュニア―」の範疇に含まれなくなった場合にはもちろん普通の“アイドル”に変わり、また「歌手」「女優」などと呼ばれることになる。
活動媒体
1970年代頃から小中学生のモデルを起用した写真集やイメージビデオなどが多く発売されるようになったが、モデルがヌードになる作品も多かった。水着止まりのビデオや写真集は知名度のあるアイドル以外では商品価値が低く売上が見込めなかった(多くの大手出版社も少女ヌードを通常の作品もしくはアートとして販売しており、それが普通だった)。少女のヌードは1980年代後半頃から徐々に自主規制や批判の対象とされ、1999年11月に児童ポルノ禁止法が施行されると市場からは姿を消した。
2002年過ぎ頃からはいわゆるお菓子系といわれるジャンルで活動するジュニアアイドルの水着や着エロ作品がDVDソフト市場の成長にも乗じて発売本数を増やし、新しいマーケットを形成した。2000年代中頃から参入メーカーも増え、拡大し、アイドルDVDのひとつのジャンルとなった。
ジュニアアイドルとして活動し、その後も引き続き活動するケースも多く、ジュニアアイドル出身の女優やタレントも多く活動している。ジュニアアイドル時代に知名度を上げる者もいればその後の活動で知名度を上げる者もいる。また、わが子をアイドルにしたいという夢を持つ熱心な親を持つ者も多い。
ジュニアアイドルのイメージDVDのギャラは1本あたり10万から30万円程度が相場とされているが[2]、1本1万5000円程度というケースもある[3]。
2007年以降、いわゆるショタコンをターゲットとした男子のジュニアアイドルのイメージDVDもリリースされている。[4]。
活動媒体の多様化により、2000年代後半に入るとテレビ、音楽、出版、インターネット等、様々な場所でジュニアアイドルの活動は今まで以上に多く見られるようになった。
また、出演モデルに年齢を詐称をさせている作品もあり[注 1](16歳女子高生とうたっていながら実際は18歳以上など)、それは一目瞭然なものもあるがモデルによっては分かりにくいこともある。
男子のジュニアアイドルの特徴として、砂浜で上半身裸になって空手やビーチボールを披露する、ふんどしや白いブリーフ1枚の姿になる、半ズボンの学校制服を着る、水着姿で砂遊びをしたり風呂場で玩具を使って遊ぶなどの表現がある。
ジュニアアイドルの年齢の範囲においては厳密な定義は無く、概ね下は小学生から上は高校卒業年齢の18歳ぐらいまでがジュニアアイドルに当て嵌まると見てよい。また15歳以下(中学生以下)は労働基準法第56条の年少労働者として例外的に就業することができる者(修学時間外に限る)という点から、年齢の区切りとして一つの根拠を持つ。また便宜上、13歳以下=U-13(アンダー・サーティーン)、15歳以下=U-15(アンダー・フィフティーン)など、ある一定の年齢で区切りを設ける場合もある。
DVD撮影・発売における逮捕
2007年10月16日、ジュニアアイドルの写真集・DVD業界大手の心交社のチーフプロデューサー、ビデオ制作会社の監督ら4人が、当時17歳の女子高校生が出演したDVDが児童ポルノ禁止法違反に当たるとの疑いで警視庁少年育成課に逮捕されたが、東京地検は「他作品に比べ猥褻とはいえない」として不起訴とし、ヌードのない作品に対しての同法の適用が検討された例を作った。このケースでは撮影角度やポーズなどから「過激な水着姿もわいせつな映像にあたる」と判断され、逮捕に至った。
17歳の高校生のモデルを過激な水着姿で撮影したとして、仲村みうが以前所属していた事務所「アイアップ」の元社長ら4人が児童福祉法違反の疑いで逮捕されたことが2007年12月3日に分かった。それに関しては仲村本人が、『ジュニアアイドルの過激な露出の流れを作ったのは、みうなのかな…って思っています。』とコメントをしている。
ジュニアアイドルが所属する事務所のひとつピンキーネットは、当時16歳の所属モデルをわいせつな動画に出演させたとして、代表者らが2009年2月16日、児童ポルノ禁止法違反の疑いで警視庁少年育成課などに逮捕された。
17歳の高校生のモデルを過激な水着姿で撮影したとして、仲村みうが以前所属していた事務所「アイアップ」の元社長ら4人が児童福祉法違反の疑いで逮捕されたことが2007年12月3日に分かった。それに関しては仲村本人が、『ジュニアアイドルの過激な露出の流れを作ったのは、みうなのかな…って思っています。』とコメントをしている。
ジュニアアイドルが所属する事務所のひとつピンキーネットは、当時16歳の所属モデルをわいせつな動画に出演させたとして、代表者らが2009年2月16日、児童ポルノ禁止法違反の疑いで警視庁少年育成課などに逮捕された。
2009年7月19日には、16歳の女子高校生が「過激な水着姿」で出演する「わいせつな内容」のDVDを製造したとして、児童ポルノ禁止法違反(提供目的の製造)の疑いで、東京都港区のビデオソフト販売会社「レイフル」の社長やビデオ監督ら計4人が神奈川県警少年捜査課に逮捕された。
いずれも乳首や局部を映さず性行為を含まないイメージビデオであるが、法律を適用し摘発に踏み切っており、表現の多様化や未成年者の保護についての議論のきっかけとなった。
上記のような背景を受けて、2010年1月19日、「ジュニアアイドル」と称して水着姿の少女の写真をDVDなどで販売する行為について、東京都が保護者に指導できるよう条例化を検討し始めたことが報じられた。
主な「ジュニアアイドル」
主なジュニアアイドルについてはジュニアアイドル一覧及び、子役の項参照。
関連項目
脚注
注釈
出典
- ↑ チャイドル年表’94—’97、『日経エンタテインメント!』1997年9月号より。(インターネットアーカイブのキャッシュ)
- ↑ 香月真理子 『欲望のゆくえ 子どもを性の対象とする人たち』 朝日新聞出版、2009年、148頁。ISBN 978-4022505019。
- ↑ 読売新聞社会部 『親は知らない―ネットの闇に吸い込まれる子どもたち』 中央公論新社、2010年、169頁。ISBN 978-4120041709。
- ↑ 『欲望のゆくえ 子どもを性の対象とする人たち』161-166頁。