すいとん
この項目では、食品のすいとんについて説明しています。水を利用して水面や水面下で相手に覚られないように姿を隠す遁術または忍法については「水遁」をご覧ください。 |
水団(すいとん)は、小麦粉に水を加えて練り混ぜたものを適当な大きさに加工して汁に入れて煮た食品、または小麦粉でできた具を指す。以下に詳述。
水団は地方によってひっつみ、はっと、つめり、とってなげとも呼ばれ、手延べうどんの古形ととらえられるほうとうや、その他の小麦食であるかっけなどとの関連も認められる。これら全ての小麦食において、グルテンの生成によるこしが求められ、すいとんの場合には、ちぎる際の強い引きちぎりがこしを出すコツとなっている。従って作る際には、製麺適正にすぐれた中力粉(うどん粉)を用いる必要がある。
中央アジアのチベットやラダックには同様の小麦食が知られ、うどん様のものはトゥクパ、すいとん様のものはスキューと呼ばれ、現地では古い時代に中国から伝わったものとされる。これらは日本の小麦食のルーツを考える上で非常に注目されるであろう。伝統的にすいとんを日常食として食べる地域は、同じ粉食料理の体系に位置付けられるほうとうやうどんと同様に、米が収穫量の少ない水利の乏く裏作での麦栽培が行われていた地域や、冷害、ききんの常習地帯で貧しかった山間地に多い。
現代では後述する戦争のイメージが強い食べ物だが、室町時代の書物に「水団」の文字が見られるほど歴史は深い。江戸時代~戦前においては庶民の味として親しまれ、すいとん専門の屋台や店舗があったほどである。
第二次世界大戦の終戦直後の食糧事情の悪い時期に簡単に作れ、暖がとれ、空腹を満たす目的で野菜等の入っていない汁または湯にすいとんを入れたものが炊き出された。出汁をとってないので、あまりおいしくなかったといわれている。
終戦記念日に質素な水団を食べ、過去を偲ぶ行為が戦後行われるようになり、今でも夏に水団を食べて戦中戦後の苦労を偲ぶ習慣が一部の家庭で残っている。
作り方の一例
- 小麦粉1kgに対し、ぬるま湯または水500~600cc程度を用いてかき混ぜそぼろ状にした後、ひとつにまとまるように器の中でまとめて、更に圧して10分程度練り混ぜてグルテンの生成を促し粘りをだす。
- 練り終わった生地を1時間程度寝かせ、生地全体に水分を行き渡らせて熟成させる。
- 具材として野菜や肉を適当な大きさに切った後、煮て、出汁を加える。
- 生地を適当な大きさ・厚みに加工し、またはちぎってだし汁に入れて更に煮る。
- 水団に火が通ったら薬味のねぎ等を好みに合わせて入れて食べる。テンプレート:Food-stub