生活保護問題
テンプレート:子記事 生活保護問題(せいかつほごもんだい)とは、日本の生活保護制度を巡る諸問題のことである。
目次
- 1 生存権
- 2 政治・行政の背景
- 3 生活保護制度見直し問題
- 3.1 加算制度廃止問題
- 3.2 生活保護、都内に住む30代の単身世帯なら、13万7400円を毎月受け取り、医療費無料、住民税、水道料金、受信料免除
- 3.3 「私たちに何が必要かを考えてほしい」生活保護毎月24万・携帯代2万5千円の受給者
- 3.4 保護水準を巡る議論
- 3.5 警察OB採用に反対する支援団体(2012年4月)
- 3.6 47歳男性「税金?払うわけないじゃん。保険料なんかも一切払ってない」
- 3.7 生活保護打ち切りで発狂、福祉事務所にガソリンを撒いて放火(2012年4月)
- 3.8 「生活保護費を減らされた。担当した職員の退職金からとってやる!」と役所にガソリンまいた男を逮捕
- 3.9 「病院のお金もかからんし、生活は前よりずいぶん楽になった。ビールも毎日、寿司屋もたまに行く」
- 3.10 生活保護むさぼる在日外国人!悪質すぎる不正受給の手口とは
- 3.11 時給1000円1日8時間のバイトを週5でやるよりも生活保護なのか
- 4 地域格差問題
- 5 不正受給問題
- 6 生活保護費ピンはね問題
- 7 現業員の配置実態
- 8 脚注
- 9 関連文献
- 10 関連項目
- 11 外部リンク
生存権
なお、生活保護法は保護を請求する権利(保護請求権)を無差別平等に保障している。また、行政手続法第7条では「行政庁は、申請がその事務所に到達したときは遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならない」と定められている[1]。
したがって、保護請求権を行使する具体的な方法である保護の申請は、絶対的な権利として保障されている。つまり、保護申請があれば福祉事務所は無条件に受理してすみやかに保護の要否についての審査を開始するというのが生活保護法の根本原則である。
そして、生活保護の申請は要式行為(定められた形式で行うことが成立要件である行為)ではない。つまり、保護申請に「形式上の要件」はなく、申請の意思表示が行われれば、それが所定の申請用紙ではなく独自用紙によるものであろうと、口頭によるものであろうと、それだけで申請行為は成立する。従って、申請者が福祉事務所に対して申請意思を表示すればその瞬間に福祉事務所は原則14日以内に保護を開始するか却下するかの決定を行う義務を負うことになる(前述のように、「保護申請を受理しない」ということは法令上ありえない)。
福祉事務所においては、通常生活相談に来た人に対し、失業中の場合は雇用保険の失業等給付を受給できないか、60歳以上の場合は年金を受給できないか、病気、ケガなどで障害を負った場合は障害年金を受給できないかなどの、他法優先の制度の趣旨説明の他に就労の可不可、扶養義務者の扶養義務などについて説明を行う。上記のように申請権は絶対で、福祉事務所は必ず申請を受けて審査しなければならず、申請自体を拒むことは違法である。にもかかわらず、一旦申請されてしまうと多くの場合、保護を開始しなければならないことから、違法に申請を拒否しているとの主張を、全国生活と健康を守る会連合会[2]や日本弁護士連合会[3]などが行っている。
最後の頼みとして相談に来た相談者に、「稼働能力がある(まだ、年齢が若い)」[4]、「扶養義務者がいる」[5]、「ホームレスである」(申請時に住所を有していないことが保護しない理由にならないことは言うまでもない。[6])」、「現住居の家賃が高すぎる」[7]、来所者が女性ならば「水商売に身を投じても働くべし」などを理由に窓口で申請自体を断念させているという事例が多いとされている。この問題は水島宏明が『母さんが死んだ―しあわせ幻想の時代に』で既に指摘していた他、朝日新聞(2006年7月16日付け)、2006年1月15日放送の日本テレビ系『NNNドキュメント』「ニッポン貧困社会生活保護は助けない」、2006年11月30日放送の『報道ステーション』、2007年2月25日放送の『NNNドキュメント』「その先は孤独死行き詰まる生活保護」で「ヤミの北九州方式による水際作戦」などマスコミでは多く報じられ、県議会や国会でも取り上げられた。
北九州市は『報道ステーション』の放送内容に抗議したが[8]、2007年2月に行われた市長選挙で、これまでの市の生活保護行政を批判した北橋健治候補が前市長の後継者を破って当選した。北橋新市長の下で、第三者による検証委員会が設置され、市の保護行政の検証が進められている。
政治・行政の背景
福祉事務所がこのような対応を行う背景として、いわゆる「123号通知」(昭和56年11月17日厚生省社会局保護課長・監査指導課長通知 社保第123号「生活保護の適正実施の推進について」)の存在が指摘されている[9]。ただし、議員などが同席したり弁護士やPSWなどが同席すると申請書の交付が比較的容易になされたりすることなどから、申請書の交付の遅延による申請の遅れにつき、審査請求において初回相談日を申請日と見なすと判断された事例もある。その他、最近は、昔のように隣近所、地域の人達が食料やお金を援助するなどの助け合いがなくなった。親族も援助を断る人が多くなったため行政の負担が多くなったと2009年1月16日付け日本経済新聞朝刊の生活保護の特集記事で指摘している。
また、山谷、あいりん地区などの日雇い労働者は本来は生活保護を受けられるはずなのに受けさせないのは全員に生活保護を実施すると財源がパンクするから実施しないのではないかと田中康夫はラジオ番組のBATTLE TALK RADIO アクセスなどで指摘している。
なお、この問題に対して日本司法支援センター(法テラス)は、2007年4月から生活保護申請時に弁護士が同行する事業を始めると発表した。
生活保護制度見直し問題
厚生労働省の生活保護見直し検討会議(座長は樋口美雄慶應義塾大商学部教授)は、近年問題になっている生活保護費不正受給、生活保護を受けている家庭より所得が低く貧窮している家庭の増加などを考慮し、生活保護費のうち、主に生活扶助の食料費などを減額していく見通しを明らかにしたが、政府の方針としては、当面の間、見送りとなった。
加算制度廃止問題
一定年齢以下の子供のいる、母子家庭に認められていた母子加算制度が、2005年度から段階的に縮小され2009年4月に全廃された。それにより、子の教育に支障が出ているとの声が一部母子家庭から挙がっている。ただ、生活保護費の現金支給によって教育を考えるのか、奨学金制度の拡充といった面において教育制度を考えるのか議論はあるが、将来を担う子供達にまでしわ寄せが来るのは問題である。2004年に宇都宮市でおきた、生活保護家庭の子の衰弱死問題も生活保護を受けている両親が改造車やコスプレ衣装に保護費を使っていたことが知られており、子の体内からセロハンテープが検出された。現金支給が教育問題を全て解決する訳ではない。また子どもへの負担は一人親家庭・両親健全家庭のどちらでも存在するが、子どもがいる両親健全家庭には加算されていないため、離婚(または偽装離婚)を推奨する可能性もある。
厚生労働省は母子加算の打ち切りの代替措置として、母親に対する就業支援を実施している。ちなみに、2009年4月に母子加算打ち切りとなった約5万世帯の内、約3万世帯が病気などによる就業困難世帯である。
打ち切りに対し、日本全国で日本国憲法第25条の生存権の侵害を根拠とした行政訴訟が提起されている。2008年12月25日広島県内の32人が広島市などに決定取り消しを求めた訴訟の判決が広島地裁であり、請求はすべて退けられ、原告控訴となった。尚、将来的には障害者加算も廃止の方向であり、検討が必要とされる。既に高齢者加算は廃止されている。
母子加算廃止の根拠とされた社会保障審議会の答申は廃止を提案したものではないとする報道がある。また、同じく廃止の根拠とされた統計についてサンプル数が少なかったことなどを指摘されて、厚生労働省が問題があることを認めたとの報道がある。
生活保護、都内に住む30代の単身世帯なら、13万7400円を毎月受け取り、医療費無料、住民税、水道料金、受信料免除
2012度予算の生活保護費は約3兆7000億円で、受給者は約209万人(152万世帯)となり、過去最高となった。 だが、生活保護制度の運用実態はあまり国民に知られていない。
憲法25条に定められた「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を保障するための制度は、「正直者がバカを見る」という悪平等を生んでいる現実がある。
その趣旨や目的から逸脱した不正受給問題により、「矛盾」や「不公平」が顕著になれば、制度そのものが問題視され、支援を必要とする人までもが社会から敵視されかねない。
では、生活保護の受給者には、どのような「恩恵」と「制限」があるのか。
生活保護費は、国が定める「最低生活費」に基づいて決められている。年齢と居住地域によって違いがあるが、都内に住む30代の単身世帯なら、生活扶助8万3700円に加えて、住宅(家賃)扶助として最大5万3700円が加わり、合計13万7400円を毎月受け取ることができる。
都内の30代夫婦、就学年齢の子2人の世帯で試算した場合、扶養家族分の保護費に授業料や通学費などの教育関連扶助を加えると少なくとも月額29万4260円。
年収にすれば350万円である。また、医療扶助により医療費が無料となるほか、住民税や水道基本料金、NHK受信料の免除、自治体運営の交通機関の無料乗車券など、事実上の“追加給付”もある。
ちなみに、都内の最低賃金(時給837円)で週5日、1日8時間働いた場合の収入は月額約13万4000円。しかも、ここから年金保険料や国民健康保険料、NHK受信料などを支払えば、それこそ生活もままならない。
低賃金で働いた者の収入より、「働かずに得られる収入」の方が多いという不公平感は拭えない。
「私たちに何が必要かを考えてほしい」生活保護毎月24万・携帯代2万5千円の受給者
「とにかくうれしいです」。金沢市のAさん(45)は、年内の母子加算復活が決まり、安心した表情を見せた。毎月、生活保護費など約24万円で暮らす。育ち盛りの小中学生の娘3人との4人家族で、5万円弱の食費は増える一方だ。支給日前の夕食は、具がモヤシだけのお好み焼きやふりかけご飯でしのぐこともある。「ごめん、もうお金ないから」「いいよ」。素直に納得してくれる娘たちには感謝している。
節約できるのは洋服代ぐらい。今年4月に中学校に入学した次女(12)には、体操服を1枚しか買ってやれなかった。「これでもう1枚買えます」
母子加算の復活に伴い、代替措置の「ひとり親世帯就労促進費」は廃止が決まった。所得に応じて月額最大1万円を支給し、就労による自立を支援する制度だ。9月に仕事が始まり、11月分から受け取る予定だったAさんは、「1万円がなくなるのは大きい」と残念そうに話した。一方で、参考書の購入などに使える「学習支援費」は継続される見込みに。3人分で約9400円と少ない額ではなく、「もしなくなったら、生活費に食い込んでいた」と胸をなで下ろした。
当初「10月にも」としていた母子加算の復活時期は12月までずれ込み、代替措置の扱いが継続と廃止に分かれた。要求額が過去最大に膨らんだ来年度予算の編成をにらんだ財務省と厚生労働省が“綱引き”した結果だ。「学習支援費は教育のためのお金で、母子加算とは趣旨が違う。まず、受ける側に何が必要かを考えてほしい」。当事者よりも予算ありきの議論に、違和感を隠さない。
母子加算では子ども1人に約2万円が支給されるが、2人目以降の上乗せ分は1000円ほど。「子どもが3人いれば、お金も3人分かかるのに」。復活自体は喜ぶものの、仕組みには釈然としない部分も残る。
「母子家庭のみ」という条件にも疑問がある。「大変なのは父子家庭も一緒では」。この機会に「ひとり親加算にした方がいい」と提案する。
「生活第一」を旗印に掲げ、動きだした鳩山政権。その一歩一歩が私たちの暮らしをどう変えていくのか。石川、富山両県の11人にその「監視役」にななってもらい、身近で起きた変化や感じたことを随時、報告していく。
Aさん(45)約10年前に離婚し、両親とは死別。現在は金沢市内のアパートに住む。今年9月、派遣社員として旅行添乗員の仕事に就いた。 http://www.chunichi.co.jp/hokuriku/article/news/CK2009102502000188.html
保護水準を巡る議論
バブル崩壊後の「失われた10年」「ロストジェネレーション」に代表される長期不況のため、社会の低所得層の収入水準が低下し、また生活保護の支給額が上昇したため、また、最低賃金が低いことから低所得層と生活保護受給者においては所得額が接近した。そのため、生活保護を受けている方が働くよりも収入が増える場合も多く(ワーキングプア)、これに反発する声もある。警察OB採用に反対する支援団体(2012年4月)
生活保護費の不正受給対策で、自治体が退職した警察官を福祉事務所に配置する動きが出ている。横浜市も今月から、県警OB4人を採用した。これに対し、市内で生活保護受給者を支援する団体は「生活保護の相談に来る人が、威圧的と感じる」と、反発の声を上げている。
「市は、生活保護を受給しないようにしているようだ」。
受給者らを支援する団体「寿日雇労働者組合」(横浜市中区)の組合員近藤昇さん(63)は憤る。
「路上生活者の中には、警察官から『ここで寝るな』とか言われ、嫌な思いをしている人が多い。警察官がいると聞いたら、生活保護の相談に行かなくなる。市は、むしろ現場に出て、話を聞きに行く必要があるぐらいなのに」と訴える。
団体のメンバーの一人で、生活保護を受ける男性(59)「警察に厄介になった人は、警察官がいたら、嫌だろう」と強調する。
市健康福祉局保護課によると、警察官OBには、悪質な不正受給を分析して見抜き、県警に被害を届ける際の手続きを手伝ってもらったり、暴力団周辺者らが窓口に来たときや、暴れる人に対応することを期待する。
今回、横浜市が採用した4人は市内でも生活保護受給が多い中区、南区、鶴見区、旭区の相談窓口の福祉保健センターを担当する。
当初、市内全18区の福祉保健センターに常時、警察官OBを配置する計画だったが、支援団体の反発で撤回。OBは窓口に常駐せず、必要なときに、4区のセンターに行ってもらうことにした。
同課の巻口徹課長は「まじめに受給している人も不正を疑われ、迷惑がかかるので、悪質な不正にはきちんと対応する必要がある。受給に来る人を威嚇するということではない」と説明。その上で、警察官OBが窓口で、一人で接することはないとした。
47歳男性「税金?払うわけないじゃん。保険料なんかも一切払ってない」
「税金? 払うわけないじゃん。だって、そもそも俺ここに住んでないもん」
平気な顔で笑うのは、都内の2LDKの公営団地で妻子と生活している47歳だ。彼は3年前まで暮らしていた九州からいまだに住民票を移していない。 住民登録もしていないので、都民税等の督促も来ない。
彼は、母娘家庭の「内縁の夫」という立場だ。シングルマザーだった今の妻と知り合ったのは7年前だが、現在にいたるまで籍を入れない理由は「いろいろ得だから」だという。
「カミさんは身体が弱くてあまり働けないということで生活保護を受けている。だから飲みに行く時なんかはそこから小遣いもらってるよ。うちは税金や保険料なんかは一切払ってない。こういうのがないと生活はかなり助かるよ」
まるでうまく節約をしているかのように誇らしげに語るが、一家は決して貧しいわけではない。彼は友人の紹介でイベントの下請け業を営み、妻も生活保護の手前、「無職」ということになっているが、実際は知人のスナックで週2~3日バイトしている。ふたりとも報酬は現金日払いで受け取っている。
唯一、今の生活で不便を感じるのは、田中氏名義の国民健康保険証がないことだが、「風邪を引いた時は謝礼を払って知り合いの保険証を使わせてもらう」
いま、公的な支払いを拒否する人々が急増している。定期的な収入もあるし、家賃を払い、時には嗜好品や娯楽にもカネを費やすが、税金や公共サービスに対する負担はしたくないと踏み倒す。
生活保護打ち切りで発狂、福祉事務所にガソリンを撒いて放火(2012年4月)
2012年4月10日午後4時25分ごろ、川崎市川崎区東門前の川崎区役所大師福祉事務所から「男が待合室にガソリンのような液体をまいて火を付けた」と110番があった。
神奈川県警川崎署員が駆け付けたところ、男は近くに居合わせた男性に取り押さえられており、現住建造物等放火未遂容疑で現行犯逮捕された。長椅子3脚が焦げるなどしたが、火は既に消し止められており、男が軽傷を負ったほかにけが人はいなかった。 逮捕されたのは、同区大師町、無職松浦則之容疑者(57)。「ガソリンをまき、火を付けたことは間違いない」と容疑を認めているという。 逮捕容疑は同日夕、大師福祉事務所1階の待合室で、携行缶に入ったガソリンのような液体をまいて火を付け、焼損させようとした疑い。同事務所によると、松浦容疑者は生活保護受給者だったといい、午後4時20分ごろ、携行缶を持って訪問。顔見知りの女性職員に自宅から立ち退いたと告げた際、「居住先がないと生活保護を受けられなくなる」と言われ、その直後に放火したとみられる。
「生活保護費を減らされた。担当した職員の退職金からとってやる!」と役所にガソリンまいた男を逮捕
2012年4月24日午前11時40分頃、大阪府藤井寺市岡の同市役所5階人事課に男が入り込み、「火をつけるぞ」などと言って、ペットボトルに入れたガソリンを床にまいた。近くにいた職員が取り押さえ、駆け付けた府警羽曳野署員が現住建造物等放火未遂などの疑いで現行犯逮捕した。取り押さえる際、ガソリンが男性職員(36)の目に入り、軽傷。
同署の発表では、同市国府、無職の武貞馨容疑者(75)。調べに対し、「職員の対応に不満があった。火をつけるつもりはなかった」と供述している。同市の説明では、武貞容疑者は生活保護を受給しており、23日にも人事課を訪れ、「生活保護費を減らされた。今春退職した担当職員の退職金から取り立てる」などと言って元職員の住所を聞こうとしたが、市側は断った。
「病院のお金もかからんし、生活は前よりずいぶん楽になった。ビールも毎日、寿司屋もたまに行く」
生活保護受給者数は、2012年1月の時点で、制度開始当初(1950年)を超える過去最大の209万1902人にまで達した。税金から支出される生活保護関連予算は3兆7000億円に上る。消費税1.5%に匹敵する数字だ。
生活保護受給者増大には、長引く不況や震災が影響しているが、その陰で、多くの人が首を傾げるような生活保護のグレーゾーン受給者が増えているという現実がある。
大阪市に住むAさん(73才)は元喫茶店店主。国民年金を受給しているが、4年前からあわせて生活保護も受け始めたという。
「15年前に妻に先立たれ、お客さんがあまりはいらへんくなった。その後、店を売ってずっと借家住まい。国民年金は30年以上保険料を払ってきたけど、もらえる金額は月4万9000円程度にしかならん。貯金を切り崩しながら細々と暮らしてきたんやけど、とてもじゃないけどやっていけへん」(Aさん)
そこで、区の福祉事務所に行き、窓口で生活保護を相談。資産や収入を書いて申告書を出すと、審査が始まった。
「1週間後くらいにケースワーカー(一般的に自治体の生活保護担当者をこう呼ぶ)という相談員の家庭訪問があって、貯金通帳を全部見せたんや。それから、また1週間くらい後やね、福祉事務所から電話で連絡があって、8万円近くが毎月振り込まれるようになった。
年金とあわせると、月13万円程度。病院のお金もかからんし、生活は前よりずいぶん楽になった。それまで3、4日に1回だったビールも毎日飲めるし、週に1回はおでん屋や焼き鳥屋、たまには寿司屋に行くときもある。タバコも1日1箱。20才の時から吸っているんでやめられへんのや」(Aさん)
自営業者の場合、国民年金に加入して20才から60才までの40年間、保険料を払い続けると、月額約6万6000円が支給される(Aさんの場合は未払い期間が約10年あったため、その分、受け取り分も減額されている)。これに対し、生活保護の場合、地域によって差はあるが、月額10万~15万円だから、年金の倍以上の金額が受け取れることもあるわけだ。それだけではない。医療費は全額免除、住民税は非課税で、NHK受信料は無料、まだ60才に達していないなら国民年金の支払いも免除される。
生活保護むさぼる在日外国人!悪質すぎる不正受給の手口とは
売れっ子お笑いコンビ、次長課長の河本準一(37)の母親が受給していたことで、生活保護制度のいびつな現状が明らかになっている。在日外国人による不正受給も急増しているのだ。
実は定職を持ちながら、生活保護のほか別の福祉手当との二重、三重取りをして“年収”600万円という世帯もある。関東のある都市には、不正行為に手を染める外国人が集まる団地も存在。日本の福祉制度がしゃぶり尽くされている。
「日本人はどれだけ間抜けなのか」 男性A(26)は笑いながらこう語る。
両親ともに東南アジア出身の在日外国人2世で、妻と子の3人暮らし。製造会社の正社員として働いている。愛車は、新車価格約300万円の国産車。何不自由ない生活を送りながら、その懐には国から毎月決まった額の“お小遣い”が入ってくる。
「妻が去年から生活保護を受けているんだよ。児童手当やほかの福祉手当を合わせて月20万円が丸々入ってくる。僕の給料と合わせると(月の世帯収入は)50万円ぐらい。年収にすると600万円以上になるね」
本来、生活保護は「生活に必要な収入を得るだけの労働が不可能」な人のみが得られる福祉制度だ。家族を養えるだけの定職を持つAは、 この条件に当てはまらず、紛れもない不正受給になる。
なぜこんなことが可能なのか。
「妻とは離婚してるんだ。といっても、書類上の話。偽装離婚ってやつだよ。役所に妻に『子供を抱えて生活できない』って訴えさせたら、すぐに(生活保護の)受給が認められたよ」
形式上は離婚になっているため、妻子は別のアパートを借りている。だが実際には、そこに住まず、普段はAの自宅で同居している。
「僕が住む団地の入居者はほとんどが外国人。中国人やインド人もいるけど、一番多いのが同郷(東南アジア)の人間だよ。300人は下らない。で、そのほとんどが生活保護をもらっているよ」
時給1000円1日8時間のバイトを週5でやるよりも生活保護なのか
『生活保護3兆円の衝撃』。3兆円を1億3千万人で割った数字もすごいが、昨今の増え方とその原因が問題視されている。
「今の生活保護制度は、いったん受給してしまうと、そこから抜け出すインセンティブ(動機)がまったくない制度となっている。そこが一番の問題です」 社会保障論を専門とする鈴木亘教授は言う。
近年受給者が急増し、不正受給も多いとされ、問題視されている生活保護。生活保護は年間3兆3000億円支給され、増加中。大阪では18人に1人が受給しているなど、その多さも問題になっている。受給者は医療費や年金も免除される。受給者の医療費は3兆円の中の半分くらいを占めている。運営の厳しい病院が、受給者に本当は必要ない薬を処方しまくって儲けるような問題も多い。
また、貧困ビジネス業者が、ホームレスを集めて役所に連れて行って生活保護を受けさせ彼らを業者のアパートに契約させ、相場よりも高い家賃で生活させたり、病院で処方させた不要な睡眠導入剤や向精神薬を転売したり、ダークな話は尽きない。
受給者本人の所得があるのに隠していたり、そういう不正は当然許されない。しかし現在の受給者200万人以上のことを考えると不正を調べる職員給与だけでも相当な額になる。なにより、一部の不正を正すために、本当に必要な人が受給できないようでは福祉の意味がない。2009年までの生活保護問題はそういう、「不正との戦い」だけで済んでいた。
だが、リーマンショックの影響で急増した生活困難者を支えるために、「生活保護を受けられる基準」が実質変化したことによって、生活保護の状況は一変したという。理屈はこうだ。リーマンショック後、派遣切りや工場閉鎖などで失職した人が急増した。
2008年末、日比谷公園「年越し派遣村」のことを覚えている人も多いだろう。本来失業者は雇用保険の給付などで生活しながら次の仕事を探す、というシステムになっているが、給付日数が終わるまでに次の仕事が見つからなかったり、そもそも保険をもらえる条件を満たせない人が多かった。
20年以上働いていても、失業すれば150日しか雇用保険の給付は行われない。10年未満だと90日。3か月でなんとかしないといけない。もらえない場合、貯金だとか世話してくれる人がなければ、すぐに生活できなくなる。こういう人たちが生活していくために、緊急で生活保護の基準を「働けるけど仕事が見つからなくてお金もなくて困ってる人」もオッケーということにしたのだ。
失業者を支えるいくつかのセーフティーネットはあるが、その網目が、どれも新しい時代の失業者を受け止めることができていない。失業者を生活保護でしか受け止められなくなっており、生活保護は失業者のためにデザインされたものではなかったので、失業者が元の生活に戻ることを阻害してしまっている。
時給1000円、1日8時間のバイトを週5でやっても、年金やら税金を払うと生活保護のほうが多くなったりする。役所もハローワークも、職員は大勢の失業者を受け持っていて、細かいチェックや手厚い就労支援までは手が回らない(そもそも就労支援のデザインとかも疑問が多いもので、職業訓練などの成果も極めて低い)。そしてそのうち働く意欲そのものがなくなってしまう受給者が少なくない。
地域格差問題
生活保護の受給の難しさには地域較差があるとされているが、このような差が生じる説明として行政側の対応に原因を求める見方と単に地域に存在する保護対象者や申請者の数の差、または年齢差によって高齢者には積極的に保護する姿勢など、様々な視点で考える見方がある。
厚生労働省が発表した平成17年の厚生労働白書によると、富山県の保護率が全国一少なく、保護率の高い北海道や大阪府との差は約十倍であった。このことについて、富山県の生活保護支給抑制策に起因しているという意見と、単に県内経済と勤勉な県民性に起因するという意見がある。後者の意見は富山県が各種統統計上で生活保護の対象となる家庭が少ないこと示唆されている事実に立脚している。たとえば持家率、住宅延面積、世帯当たりの所得で全国1位の座を保っており[10]、世帯当たりの自動車保有数や共働き率等で上位を占める。
全国的に見ても保護者が少ない富山県や保護者の増加が低い福岡県では、前述の「水際作戦」だけでなく、本来開始すべき事例について申請を却下されたという意見が「全国生活と健康を守る会」などで報告されている。扶養照会(福祉事務所が申請者・受給者の三親等以内の親族に対して扶養が出来ないかを確認する事務手続き)を逆手にとって、電話で朝な夕な多数の電話攻勢をして月1万円の援助なら可能という回答を理由にして「扶養義務者による扶養可能」と、本来扶養可能の判断基準は生活保護の最低生活費が基準になるのにもかかわらず、無理矢理扶養可能としたりなどの行為が生健会に多数報告されている。また酷い場合には扶養義務者ではない友人に扶養や支援をさせようとした例もあるという。
また、生活保護者数の人口比が最も高い大阪市では、人口の約4.47%(約12万人)が生活保護を受給しており、市財政において市税収入6868億円[11]に対し、生活保護費が2443億円である[12]。
不正受給問題
水際作戦に代表されるような不当な生活保護受給権抑制の一方で、元来受給資格要件を満たしていないにも関わらず生活保護を受給する者や生活保護受給者として法定された義務も怠たり不正に生活保護を受給する者も数多い。また、実際に支給されるべき金額以上の保護費を不正に受給した者も存在している。
所得隠しによる不正受給
所得税の源泉徴収による申告をしない雇用主の下での現金払いによる就労や、友人の名義を借りた不正就労による賃金の受給、オークションや中古リサイクル店などへの売却金、仕送りの受け取り、主ではない未成年受給者(主に高等学校在学生)のアルバイト収入、生命保険解約返戻金や事故などによる賠償金、ギャンブルによる配当金、株取引や先物取引、外国為替証拠金取引など、これらは本来、全て収入として福祉事務所に申告するべきものであり、通常はその収入分を減額した金額で保護費が支給される[13]。
不正受給が過失によるものであるなど、再犯の可能性が低いものについては、生活保護法第63条による不正受給金額の返還命令が行われ、悪質な場合は同78条による徴収の実施や同85条に基づく罰則規定が適用されることとなる。また、保護の廃止が検討され、さらには刑法の詐欺罪や所得税法違反(虚偽申告)などが適用される。
課題
悪質な不正受給が跡を絶たない理由には、福祉事務所が積極的な不正追求を行う担保となりうる法令的根拠の整備が乏しいことにも原因があるという指摘がある。現状、近隣住民からの苦情や告発があっても刑事告訴にまで発展するケースは稀であり、警察も積極的に立件に乗り出さなかったという行政側の体制の不備を指摘する声もある。もっとも、悪質な不正受給は、言うまでもなくその行為を行う被保護者に非があることから、より厳格な受給決定手続や啓蒙の必要性が唱えられている。
これに関係し、不正受給者には暴力団その他の団体が絡む件も多い(後述、滝川市の事件)。また不正受給を是正しようとするケースワーカーに有形無形の圧力も加えられることもある。不正受給の方法が被保護者同士の情報交換やインターネットなどによって広範囲に知れ渡る事例もある。過去に雑誌「裏モノJAPAN」で不正受給の方法についての特集が組まれた。
滝川市では、不正受給していた元暴力団員の夫婦のみならず、介護タクシー会社の役員が、不正受給に関与していたとして逮捕されている。また、大阪府岸和田市では、43歳の男性が、通院交通費として同市から約438万円を受け取り、これを元に、東京都や福岡県の病院へ、新幹線や航空機を利用して遠距離通院していた事実が発覚している。
生活保護費ピンはね問題
近年はホームレスに保護を受けさせ、受けた支給金を騙し取るグループの存在が指摘されている[14]。 一部の任意団体などが、路上生活者にアパートを借りさせ生活保護を申請させた上で、生活保護費の多くを「経費」と称してピンはねしていたことが報道されている[15][16]。
これは、住所のない者からの生活保護申請を「受理」しないという、役所の対応(前出のように問題がある)を逆手に取った「ビジネス」であると言える。
現業員の配置実態
厚生労働省は平成17年厚生労働白書の中で生活保護現業員(ケースワーカー、地区担当員など、福祉事務所によってその名称は異なる)の配置数不足が増加傾向にあることを発表した。2000年の配置定数に対する現業員不足数は354人であったが、2004年には1198人になっており、約3.4倍となっている。また、東京都は2004年6月に「生活保護制度改善に向けた提言」の試案を発表し[17]、その中で保護率の増加に現業員の配置が追いついておらず一人当たりの担当世帯数が増加していることを指摘した。同時に、現業員の経験不足や社会福祉主事の資格を持つ担当者の低下をも示している。地方自治体の職員にとって生活保護事務は事務処理の膨大さ(単に訪問業務をこなせば良い訳ではない)や前述の北九州市のように「申請します」「ハイどうぞ」と簡単に受理すると人事考課が下がる(北九州市は否定している。)、安全面(「10 担当職員への暴力行為」参照)から敬遠される傾向の高い業務の一つであり、結果的に社会人としても公務員としても経験が不足している新人職員が配置されることも少なくない。
福祉職員が作った福祉川柳が批判を受け掲載した機関紙が一時休刊、発行団体も事態の総括を余儀なくされた事があった。 一部を引用すると「金がない それがどうした ここくんな」「休みあけ 死んだと聞いて ほくそえむ」などの川柳があった[18]。
現業員の配置定数は、1951年に制定された社会福祉事業法(現:社会福祉法)から変更されておらず、その間にも介護保険制度の創設など現業員の業務は増加している。また、生活保護の他法優先の原則によって、現業員には広範な福祉制度に対する高い知識力が求められる。これら現業員の質をいかに高めるかについても大きな課題となっている。
脚注
- ↑ 「申請を受理したとき」ではなく「申請が到達したとき」という表現をとっていることに非常に重要な意味がある。申請が行われればその時点で行政庁は審査を開始する義務を負う。従って、行政庁には申請を受け付けないという選択肢は無い。そもそも、行政手続法は「受理」という概念をそもそも否定している。
- ↑ 「生活保護申請権保障を/全生連が厚労省申し入れ」しんぶん赤旗、2006年10月14日
- ↑ 「貧困の連鎖を断ち切り、すべての人の尊厳に値する生存を実現することを求める決議」日本弁護士連合会、2006年10月6日
- ↑ 「稼働能力がある」だけでは保護しない理由にはならず、「稼働能力があり、それを活用できる場があるにもかかわらず、稼働能力を活用しようとしない」場合にはじめて却下が可能となるものである。つまり、稼働能力を有していても、それを活用できる場がない場合や、求職活動をしていても職が得られない場合は保護の要件を欠けるものではない。
- ↑ 生活保護法4条2項は「民法に定める扶養義務者の扶養は保護に優先して行われるものとする」と規定しているが、この「扶養義務が保護に優先する」とは、保護受給者に対して実際に扶養援助が行われたら収入認定してその援助の金額の分だけ保護費を減額、または保護を廃止するという意味であり、「保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる」とする4条1項とは異なり、扶養自体は保護の前提要件ではない。まだ扶養義務者に援助を求めていない場合や援助を求めたが断られた場合でも、そのことのみを理由に保護申請を却下することはできない。申請者がまだ扶養義務者に援助要請をしていなくても、要保護状態であれば保護を開始し、保護開始後に福祉事務所が扶養期待可能性に応じて扶養義務者に受給者への援助の可否を照会すればよいものである。この点、1946年制定の旧生活保護法では、「扶養義務者が扶養をなしうる者」は実際に扶養援助がなされていなくても保護の要件を欠くとされていたが、1950年制定の現行生活保護法ではこの欠格条項は撤廃されている。なお、申請者が20歳を超え成年を迎えていると申請者の親族が援助する余裕があっても援助したくないと主張した場合は扶養義務を強制することができない。
- ↑ 厚生労働省は2009年3月、住居がなくても生活保護申請を受け付けるよう自治体に通知している。
- ↑ 申請時点で住宅扶助基準額を超える家賃の住宅に居住しているとしても、そのこと自体は申請者の要保護性とは何の関係もなく、保護を開始してから転宅費を一時扶助して基準額以内の住居に転居させるべきものである。
- ↑ 「生活保護の実施に対する批判について」。掲載期間経過で削除済み。
- ↑ 「123号通知」自体は、暴力団関係者が絡んだ不正受給を契機として、申請書に添付する関係書類などを定めたものである。なお、この通知については2000年3月31日付け社援第15号厚生省社会局保護課長・監査指導課長通知によって、同意書(実施機関が金融機関や保険会社に対して、申請者が資産の有無等を調査することに同意したことを証明する文書)の提出が必ずしも必須ではないなどの改正が行われている。また、2001年6月以降は地方自治法第245条の9第1項に基づく「事務処理基準」とされた。
- ↑ 統計局ホームページ
- ↑ 大阪市役所ホームページ 大阪市財政の現状 H20年度予算
- ↑ 朝日新聞 夕刊 2009年2月19日 大阪市内版:人口比4.47%、12万人速報値、2443億円(21年度予算)
- ↑ もっとも、申告した収入が正当な労働による収入である場合の必要経費や、事故賠償金の一部を治療費に当てるなど、生活費に用いる資産ではないことが明らかな場合は、その分を収入認定から控除することができる。ただし、その判断は福祉事務所で行うため、あらゆる収入は必ず福祉事務所に届け出なければならない。
- ↑ NHK『クローズアップ現代』2007年3月7日放送「狙われた生活保護」
- ↑ 「生活保護費ピンハネ:板敷きに布団1枚(その1) 「食って寝るだけ」 /千葉」『毎日新聞』2009年7月18日]
- ↑ 「生活保護費ピンハネ:板敷きに布団1枚(その2止) 「通帳、受給者に返還」 /千葉」『毎日新聞』2009年7月18日]
- ↑ 福祉局 「~安心と自立を支える仕組み(セーフティネット)の構築に向けて~「生活保護制度改善に向けた提言」(東京都試案)を公表」 東京都、2004年6月17日
- ↑ 産経ニュース2008.4.6 09:15
関連文献
- 湯浅誠 『あなたにもできる! 本当に困った人のための生活保護申請マニュアル』 同文舘出版, 2005年8月, ISBN 4495568612
関連項目
外部リンク
- Q&A 生活保護編 - 自立生活サポートセンター・もやいサイト内