お土産キーホルダー
お土産キーホルダー(おみやげキーホルダー)
概要
広くは、観光地の土産屋などで売られているキーホルダー全般。その材質(プラスチック、木、金属など)や形状(プレート型、人形型、マスコットなど)に一切の制限はなく、ホルダー部(鍵などを保持するキーリングとメダル部分を連結するチェーン)が付いてさえいれば、最広義の意味でのお土産キーホルダーと言える。
狭義の意味において、とくにお土産キーホルダーのコレクターにとっては、一部例外はあるものの、”お土産キーホルダー友の会”説によれば
- 観光地の地名またはその土地と認識できる表現もしくは表記が用いられていること(場所特定性)
- 真鍮またはその他金属製であること(材質限定性)
上記2点が最低必要条件となっている。 ただし、この条件はたぶんに主観的なものであり、コレクターそれぞれにより価値観が異なるのは言うまでもない。
また、例外としては、地名部分が差し替え可能なシール添付による場合でも、そのシール自体に場所特定性を担保できる表現さえあれば、狭義のお土産キーホルダーとして認定されることもあり得る。材質に関しても、木製やプラスチック製であっても、そのデザイン性、独自性によってはコレクションに加えられることもある。
別称として、観光地キーホルダー、KH(Key Holderの略)、キーホなどと呼ばれることもある。一方で、現在は土産として渡された場合、コレクター以外には喜ばれることがないため、嫌な土産物ということで”いやげもの”なる蔑称も存在する。
歴史
昭和の時代において、土産といえば観光ペナントかキーホルダーかという時期があった。観光地の土産屋、サービスエリア、ドライブインなどでは必ずといっていいほど専用コーナーが設けられ、老若男女を問わず人気のある定番の土産物であった。
お土産業界での隆盛を極める一方、多様化の一途をたどり、実用性を重視したものから装飾品めいたファンシーものまで多種多様なキーホルダーが登場した。しかし、1990年代前半をピークに売り上げは右肩下がりに転じるとともに、販売場所も徐々に減少し、近年では地方限定キティやカトちゃんなど根付キャラクターものに完全にその地位を奪われた感がある。
キーホルダーが衰退した原因は諸説あるが、
- デジタルカメラおよび携帯電話の普及(誰でも気軽に簡単に旅行の思い出を写真として保存できるようになったこと、そして携帯のアクセサリとしてキャラクター根付の価値が上がったこと)
- インターネットの発達(いつでもどこでも行きたい場所の情報を入手できるようになったこと)
が原因ではないかと推測される。
メディアの中心がまだテレビや新聞だった時代は、旅行に行ったという証拠物としての存在価値があった。高度経済成長期の中、マイカー時代が到来したとはいえ家族旅行はまだまだ一大行事であり、カメラ自体も高級品の部類で子供がおいそれと持てる代物ではなかった。それ故、子供が旅行に行ってきたということを証明するには、写真よりも手軽で安価なキーホルダーをランドセルにじゃらじゃらとぶら下げるか、部屋にペナントを飾ることで誇示するしかなかったのではなかろうか。お土産キーホルダーは、一部の愛好家を除いて、ある種ステータスとしての役目をすでに終えたのであろう。今後、ペナンと同じように絶滅の道をたどってしまうのか、はたまた再び陽の目を見る日を待つ身か、今はただ土産屋の片隅でじっと耐えるのみである。