ジガ・ヴェルトフ
ジガ・ヴェルトフ(Dziga Vertov, Дзига Вертов, 1896年1月2日 - 1954年2月12日)は、ロシア出身の映画監督。出生当時ロシア領だったポーランドのビアリストクに、ユダヤ人家庭の三人兄弟の長男として生まれた。ジガ・ヴェルトフはペン・ネームで、「コマのように回転する人形」を意味する。本名はデニス・アルカジェヴィチ・カウフマン(Denis Kaufman, Денис Аркадьевич Кауфман)で、末弟のボリス・カウフマン(Борис Кауфман)は『新学期・操行ゼロ』や『アタラント号』(以上ジャン・ヴィゴ監督)、『波止場』(エリア・カザン監督)のカメラマンを勤めた。
ニュース映画の制作で映画界入りし、ドキュメンタリーの制作にも着手。その傍らでマヤコフスキー等のロシア・アヴァンギャルドの芸術家達とも親交を結ぶようになった。幾つかの長編ドキュメンタリーを制作した後に、自らの映画論の集大成とも言うべき『カメラを持った男』(1929年)を制作。多重露光、ストップ・モーション、スロー・モーション、早回し、移動撮影など当時の最先端の撮影技法を多用した先鋭的な作品だった。
『カメラを持った男』によりジガ・ヴェルトフの名前は西欧にも知れるところとなったが、ソヴィエト政府からは形式主義的との批判を受け映画製作の機会を奪われ、晩年はスターリンによる反ユダヤ政策の影響でニュース映画の編集に従事させられた。
商業映画から決別したジャン=リュック・ゴダールがジャン=ピエール・ゴラン等と作った映画製作集団のジガ・ヴェルトフの名称は、この人物に由来している。
主な監督作品
- カメラを持った男(1929年)(Человек с киноаппаратом)
- ドンバス交響曲(1930年)(Симфония Донбасса)
- レーニンの三つの歌(1934年)(Три песни о Ленине)
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