唇
唇(くちびる、脣)とは、哺乳類の口の回りにある器官である。解剖学的には口唇(こうしん)という。
特徴
唇は口の上下に1つずつあるひだで、区別する場合には「上唇(うわくちびる)」「下唇(したくちびる)」という。柔らかく内部の筋肉によって自由に動くことができる。多くの哺乳類ではその縁は次第に薄くなるが、ヒトの場合はこのひだの内側が外側にめくれ出て、分厚くなっていることが大きな特徴である。この部分は薄い皮に覆われて血流が透けて見えるため赤く見え、ひだ全体ではなくここだけを特に唇と呼ぶこともある。どちらの唇も中央が幅広く両端に向かって細くなるから、それが上下合わせられた形は、全体としてはほぼ木の葉型であるが、上唇より下唇の方がやや幅広く、上唇の中央が少しくぼむので、左右不対称にゆがんだ木の葉型となる。
- この形を唇型ということがある。また、花の形で、花弁が大きく上下二つにまとまったものを唇花(くちびるばな)、あるいは唇形花(しんけいか)と言い、そのような花の下側が大きい花びらとなって受けるような形になっているものを唇弁(しんべん)という。
このヒト特有の唇は口腔の外にあるが、解剖学的には外胚葉性の皮膚ではなく内胚葉性である。
類人猿においては、ヒトの様な粘膜が外に現れた唇はなく、皮膚の部分のみしかない。しかし、内側の粘膜を自らめくって表に現す行動が見られる。
特徴
唇は口の上下に1つずつあるひだで、区別する場合には「上唇(うわくちびる)」「下唇(したくちびる)」という。柔らかく内部の筋肉によって自由に動くことができる。多くの哺乳類ではその縁は次第に薄くなるが、ヒトの場合はこのひだの内側が外側にめくれ出て、分厚くなっていることが大きな特徴である。この部分は薄い皮に覆われて血流が透けて見えるため赤く見え、ひだ全体ではなくここだけを特に唇と呼ぶこともある。どちらの唇も中央が幅広く両端に向かって細くなるから、それが上下合わせられた形は、全体としてはほぼ木の葉型であるが、上唇より下唇の方がやや幅広く、上唇の中央が少しくぼむので、左右不対称にゆがんだ木の葉型となる。
- この形を唇型ということがある。また、花の形で、花弁が大きく上下二つにまとまったものを唇花(くちびるばな)、あるいは唇形花(しんけいか)と言い、そのような花の下側が大きい花びらとなって受けるような形になっているものを唇弁(しんべん)という。
このヒト特有の唇は口腔の外にあるが、解剖学的には外胚葉性の皮膚ではなく内胚葉性である。
類人猿においては、ヒトの様な粘膜が外に現れた唇はなく、皮膚の部分のみしかない。しかし、内側の粘膜を自らめくって表に現す行動が見られる。
役割
ひだ全体を指す唇の方は随意的にある程度自由に動かすことができ、飲食の際に口から食物が出ないようにする役割を持つ。ヒトの場合、発声の際にこれを調節し、口笛などはこの部分で発音する。また表情の形成に重要な役割を果たす。口紅のように色を塗ってこれを装飾することや、穴を開ける(ピアス)などの方法でこれを強調する方法が様々な民族で見られる。
他方、ヒトの性行為に於いて、唇の接触は重要な意味を持つ。唇同士の接触はキス(接吻)と呼ばれる。また、唇による他の部位への愛撫も様々に行なわれる。一説によれば、ヒトに独特のめくれた赤い唇は女性性器の模倣である。たとえば性的に興奮すると腫れぼったくなったり、その表面が濡れて光るのを色っぽいと感じるあたりにその可能性が感じられる。
慣用句
- 唇を噛む
- 悔しさなどをこらえる
- 唇を反す(翻す)
- 悪口を言う
- 唇を盗む
- 相手の意向に関わりなくキスをする
- 唇を尖らす
- 不満げな顔つき
- 唇亡びて(尽きて)歯寒し
- 利害関係のある一方が滅びると、他方にも影響が出る(春秋左氏伝より)
- たらこ唇
- 厚い唇の形容
節足動物の場合
節足動物の口器は主として付属肢に由来する構造からなり、そのため左右の対をなす構造からなるが、これに口の前後に配置して前後方向に動く構造が加わる場合があり、これに唇の名が与えられる例がある。口の前にあるものを上唇(じょうしん)、後ろにあるものを下唇(かしん)といい、これらは互いに異なった由来を持つ。
参考文献
- 宮地伝三郎,『動物社会』,1969,筑摩書房
関連項目