イスラーム国
news |title= 反体制派司令官殺害される=アルカイダ系と内紛―シリア|date= 2013-07-12|url= http://www.jiji.com/jc/zc? : 東京新聞の記事では2014年7月時点では「イスラム教スンニ派の過激派『イスラム国』」と表記していた<ref name="pet">{{cite news|url=http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2014070902000123.html|title=「イスラム国」シリア油田地帯掌握 資金力をさらに強化|newspaper=東京新聞|date=2014-07-09|accessdate=2014-07-09}}</ref>。 : [[日本放送協会|NHK]]では、7月時点では「イラクとシリアで活動するイスラム過激派組織[http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140706/k10015779461000.html]」「イスラム国家の樹立を一方的に宣言した過激派組織[http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140708/k10015819441000.html]」などと表記していた。が、その後(日本人がその組織についてのニュースを聞く頻度が増えるにつれ)次第に、音声では単に「イスラム国」と呼ぶようになった。ただしNHKでは画面上に文字として表示する時は、意識的にカッコをつけて'''「'''イスラム国'''」'''と表示することもある(2014年10月23日時点)が、カッコはつけない時もある。 ; 呼称に対する批判 : イスラーム国は[[スンニ派]]の組織であるが、同じくスンニ派が主流である[[エジプト]]や[[サウジアラビア]]の宗教指導者は「過激思想はイスラーム教とは認められない」「イスラーム教にとっての一番の敵だ」と非難を表明している。エジプトの[[ファトワー]]庁では、ISは「イスラーム教を悪用しているに過ぎず、イスラームという宗教のイメージが損なわれる」として、「イスラーム国」の名称を使わないよう外国メディアに求めている<ref>{{cite news |title=エジプト:「イスラム国」使わないで…宗教イメージ損なう|newspaper=[[毎日新聞]] |date=2014-9-4 |url=http://mainichi.jp/select/news/20140904k0000e030190000c.html |accessdate=2014-9-5 |author=秋山信一}}</ref>。 == 歴史 == 2000年頃に[[アブー・ムスアブ・アッ=ザルカーウィー]]がヨルダンなどで築いた '''As Jama'at al-Tawhid wal-Jihad'''(「タウヒードとジハード集団」という意味、 略称: JTJ)を前身とする。この集団はアフガン戦争後はイラクに接近し、2003年のイラク戦争後はイラク国内でさまざまなテロ活動を行った。2004年に[[アル=カーイダ]]と合流して名称を「[[イラクの聖戦アル=カーイダ組織]]」と改めたが、外国人義勇兵中心の彼らはイラク人民兵とはしばしば衝突した。 2006年1月にはイラク人民兵の主流派との対立をきっかけに名称を「[[ムジャーヒディーン諮問評議会]]」と改め、他のスンニ派武装組織と合流し、さらに2006年10月には解散して他組織と統合し、「イラク・イスラーム国」と改称した。 [[2009年]][[10月25日]]と[[12月8日]]、イラク・イスラーム国は首都[[バグダード]]で自爆テロを実行し、両日合わせて282人が死亡、1169人が負傷した<ref>[http://news.bbc.co.uk/2/hi/middle_east/8325600.stm Baghdad bomb fatalities pass 150] BBC(2009年10月26日)2013年7月31日閲覧</ref><ref>[http://news.bbc.co.uk/2/hi/middle_east/8400865.stm Baghdad car bombs cause carnage] BBC(2009年12月8日)2013年7月31日閲覧</ref>。[[アメリカ軍]]はイラク・イスラーム国はインターネット上の組織に留まり、組織内に実際にバグダーディー師と呼ばれる人物は存在しないと主張していたが<ref>{{Cite news |title= イラクのアルカイダ指導者を拘束、イラク軍発表|date= 2009-04-23|author= Ammar Karim|url= http://www.afpbb.com/articles/-/2595527?pid=4065240|accessdate= 2014-06-20|agency= AFP|publisher= AFPBB News}}</ref>、[[2010年]][[4月18日]]、イラクの[[ヌーリー・マーリキー]]首相はイスラーム国の[[首長]]([[アミール]])[[アブー・ウマル・アル=バグダーディー]]と同戦争相[[アブー・アイユーブ・アル=マスリー]]が[[ティクリート]]近郊で行われたアメリカ軍と[[イラク軍]]の合同作戦により死亡したと発表した<ref>[http://www.afpbb.com/article/war-unrest/2719532/5639532 イラク、アルカイダ幹部2人を殺害 同組織に打撃] AFPBB News(2010年4月20日)2013年7月30日閲覧</ref>。しかし、その後もバグダーディーの声明が度々報じられており<ref name="AFP20130410">{{Cite news |title= シリア反体制派にイスラム過激派、武装勢力が明かす|date= 2013-04-10|url= http://www.afpbb.com/articles/-/2938033?pid=10560953|accessdate= 2014-06-20|agency= AFP|publisher= AFPBB News}}</ref><ref>{{Cite news |title= イラク首都近郊の2刑務所を武装集団が襲撃、多数脱走の情報も|date= 2013-07-22|url= http://www.afpbb.com/articles/-/2957216?pid=11068352|accessdate= 2014-06-20|agency= AFP|publisher= AFPBB News}}</ref>、真相は不明である。 [[2012年]][[3月20日]]には、バグダードを含む数十都市で連続爆弾テロを実行し、52人が死亡、約250人が負傷した<ref>[http://www.47news.jp/CN/201203/CN2012032501001482.html アルカイダ系武装勢力が犯行声明 イラクの連続爆弾テロ] [[共同通信]](2012年3月25日)2013年8月4日閲覧</ref>。 [[2013年]]4月、[[アブー・バクル・アル=バグダーディー]]は[[アル=ヌスラ戦線]]はイラク・イスラーム国の下部組織であり、今後はアル=ヌスラ戦線と合併して組織を「イラクのイスラーム国」から「イラクとシャームのイスラーム国」(略称: ISIS)(別称「'''イラクとレバントのイスラム国'''」(略称: ISIL))に改称するとの声明を出し<ref name="cnn35053738"/><ref name="AFP20130410"/><ref>[http://www.bbc.co.uk/news/world-middle-east-23283079 Key Free Syria Army rebel 'killed by Islamist group'] BBC(2013年7月12日)2013年7月30日閲覧</ref>、[[シリア]]への関与強化を鮮明にした<ref>{{Cite news |title= Syria's al-Nusra Front 'part of al-Qaeda'|date= 2013-04-10|url= http://www.bbc.com/news/world-middle-east-22078022|accessdate= 2014-09-16|publisher= [[BBC NEWS]]|language= 英語}}</ref>。同年7月、検問所での通行許可を巡り口論となった[[自由シリア軍]]の司令官を殺害した<ref>{{Cite news |title= 反体制派司令官殺害される=アルカイダ系と内紛―シリア|date= 2013-07-12|url= http://www.jiji.com/jc/zc?k=201307/2013071200937|accessdate=2013-07-30|agency= [[時事通信]]|publisher= ニュースばこ|archiveurl= http://newsokulog.com/news_111327.htm|archivedate= 2013-07-12}}</ref>。 [[2013年]][[7月21日]]、[[アブグレイブ刑務所]]とバグダード近郊のタージにある刑務所を襲撃し、500人あまりの受刑者が脱獄、治安部隊21人と受刑者20人が死亡した<ref>[http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/crime/2957557/11074157?ctm_campaign=txt_topics イラク刑務所襲撃、アルカイダ系組織が犯行声明] AFPBB News(2013年7月23日)2013年8月5日閲覧</ref>。脱獄者の中には、武装勢力の戦闘員や幹部も多数含まれているとされる。イスラーム国側によると、今回の襲撃をもってイスラム教徒を牢獄から解放する一連の作戦は終了したとしている<ref>{{Cite news |title= アルカーイダ系が犯行声明 イラク刑務所襲撃|date= 2013-07-23|url= http://sankei.jp.msn.com/world/news/130723/mds13072321240002-n1.htm|accessdate= 2013-08-05|agency= 共同通信|publisher= [[MSN産経ニュース]]|archiveurl= https://web.archive.org/web/20130723192607/http://sankei.jp.msn.com/world/news/130723/mds13072321240002-n1.htm|archivedate= 2013-07-23}}</ref>。 2013年8月、[[アレッポ]]近郊のシリア空軍基地を制圧<ref>[http://online.wsj.com/article/SB10001424127887323420604578652250872942058.html Islamists Seize Airbase Near Aleppo] [[WSJ]](2013年8月6日)2013年9月29日閲覧</ref>。同年9月、自由シリア軍がシリア軍から奪還し1年近く支配下に置いていた[[トルコ]]国境沿いの{{仮リンク|アッザーズ|en|Azaz}}を戦闘の末に奪取、制圧した<ref>[http://www.cnn.co.jp/world/35037432.html アルカイダ系がトルコ国境の町を制圧 シリア反体制派で内紛] [[CNN]](2013年9月19日)2013年9月29日閲覧</ref><ref>{{Cite news |title= シリアでイスラム過激派が勢力拡大|date= 2013-09-23|url= http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130923/k10014741701000.html|accessdate= 2013-09-29|publisher= [[NHK]]|archiveurl= http://blog.goo.ne.jp/kanayame_47/e/3564abe8b9ffbaf0a401a8dd9b396f73|archivedate= 2013-09-23}}</ref>。アッザーズ制圧の際、現地で活動していた[[ドイツ]]人医師を拘束している<ref>[http://www.hurriyetdailynews.com/al-qaeda-group-and-fsa-declare-truce-as-turkey-keeps-syria-border-gate-closed.aspx?pageID=238&nID=54744&NewsCatID=338 Al-Qaeda group and FSA declare truce as Turkey keeps Syria border gate closed] Hürriyet Daily News(2013年9月19日)2013年9月29日閲覧</ref>。 「イラクとシャームのイスラーム国」は、[[アルカーイダ]]と関連のある武装集団だが、2013年5月に出された[[アイマン・ザワーヒリー]]の解散命令を無視して[[シリア]]での活動を続けているなど、アルカーイダや[[アル=ヌスラ戦線]]との不和が表面化している<ref>{{Cite news |title= アル・カーイダ系組織に不和…シリアで活動|newspaper= [[読売新聞]]|date= 2013-11-09|author= 溝田拓士|url= http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20131109-OYT1T01147.htm|accessdate= 2013-11-09|archiveurl= https://web.archive.org/web/20131110214325/http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20131109-OYT1T01147.htm|archivedate= 2013-11-10}}</ref>{{efn|この声明に対して、ヌスラ戦線のリーダーであるアブー・ムハンマド・アル=ジャウラニ(Abu Mohammad al-Jawlani)はイラク・イスラーム国との関係は認めたものの、合併については否定したうえアルカーイダのリーダー、アイマン・ザワーヒリーに対する忠誠を誓約した。しかしシリアで活動するヌスラ戦線のメンバーによると、多くのメンバーがISISに合流したという<ref>{{Cite news |title= Iraqi al-Qaeda chief rejects Zawahiri orders|date= 2013-06-15|url= http://www.aljazeera.com/news/middleeast/2013/06/2013615172217827810.html|accessdate= 2014-09-16|publisher= [[Aljazeera]]|language= 英語}}</ref>。}}。この不和の原因はISISの残虐行為が挙げられており<ref>{{Cite news |title= イスラム過激派、シリア反体制派8人処刑 遺体はりつけに NGO|date= 2014-06-30|url= http://www.afpbb.com/articles/-/3019202|accessdate= 2014-06-30|agency= AFP|publisher= AFPBB News}}</ref>、実際にアルカーイダを上回る残虐な組織であるとの指摘するメディアもある<ref name="jiji2014081800029">{{cite news |title=アルカイダ上回る残虐さ=女性を性奴隷、身代金誘拐-弱体化は当面困難・イスラム国|newspaper=[[時事通信社]] |date=2014-8-18|url=http://www.jiji.com/jc/zc?k=201408/2014081800029 |accessdate=2014-8-24}}</ref>。2014年2月には、アルカーイダ側が「イラクとシャームのイスラーム国」とは無関係であるとの声明を出した<ref>{{Cite news |title=シリアの武装集団ISILとは無関係、アルカイダがネットで声明|url=http://in.reuters.com/video/2014/02/04/シリアの武装集団ISILとは無関係-アルカイダがネットで声明字幕・4日?videoId=276703720&videoChannel=200|agency=Reuters|date= 2014-02-04|accessdate= 2014-07-08}}</ref>。[[シリア騒乱]]の反政府派とも衝突しており、一部のシリアの反政府派は連合を組んで、ISILを攻撃している。シリア反体制活動家は、ISILについて「[[バッシャール・アル=アサド|アサド]]大統領よりも酷い悪事を働いている」と語っている<ref>{{Cite news |title= シリア内戦、反体制派3派が連合してISILと激しい戦闘 |date= 2014-1-5 |url= http://www.afpbb.com/articles/-/3005977 |accessdate= 2014-7-12 | publisher= [[フランス通信社|AFPBB News]] }}</ref>。 2014年2月には支配地域の[[ラッカ]]でキリスト教徒に対して、課税([[ジズヤ]])及び屋外での宗教活動の禁止を発表した<ref>{{Cite news |title= シリアのイスラム武装勢力、キリスト教徒に課税|date= 2014-02-27|url= http://www.afpbb.com/articles/-/3009430|accessdate= 2014-06-20|agency= AFP|publisher= AFPBB News}}</ref>。 また、シリアの油田地帯を掌握し、原油販売も行っていると伝えられている<ref name="pet"></ref>。 === イラクへの侵攻 === [[2014年]]に入り、[[シリア]]の反[[バッシャール・アサド|アサド]]政権組織から武器の提供や、戦闘員の増員を受けたため、急速に軍事力を強化した。その軍事力を使い政権奪還を目指して、イラクの各都市を攻撃し始めた<ref>{{cite news |title=イラク過激派攻勢 政権打倒へ戦力を増強 シリアから武器・戦闘員を獲得 |newspaper=[[産経新聞]] |date=2014-6-14 |url=http://sankei.jp.msn.com/world/news/140614/mds14061409230001-n1.htm |accessdate=2014-6-14}}</ref>。2013年12月30日のイラク西部[[アンバール県]][[ラマーディー]]の座り込み運動の解散をきっかけとして侵攻を開始し、1月にラマーディーと同県の都市である[[ファルージャ]]を掌握<ref>{{Cite press release |title= イラク西部アンバール県の治安情勢(外務大臣談話)|publisher= [[外務省]]|date= 2014-01-09|url= http://www.mofa.go.jp/mofaj/page4_000339.html|accessdate= 2014-06-30}}</ref><ref>{{Cite news |title= イラクのファルージャ、武装勢力ISILが掌握 新たに65人死亡|date= 2014-01-05|url= http://www.afpbb.com/articles/-/3005973|accessdate= 2014-06-20|agency= AFP|publisher= AFPBB News}}</ref>、3月に[[サーマッラー|サマラ]]を襲撃した<ref name="REUTERS20140605"/>。サマラからは[[6月5日]]のイラク軍の空爆により追放されたが<ref name="REUTERS20140605">{{Cite news |title= Iraq dislodges insurgents from city of Samarra with airstrikes|date= 2014-06-05|author= Ghazwan Hassan|url= http://www.reuters.com/article/2014/06/05/us-iraq-security-idUSKBN0EG1RG20140605|accessdate= 2014-06-20|agency= [[REUTERS]]|language= 英語}}</ref>、[[6月6日]]、[[モースル]]に複数の攻撃を実施した<ref>{{Cite news |title= Deadly fighting breaks out in Iraq's Mosul|date= 2014-06-07|url= http://www.aljazeera.com/news/middleeast/2014/06/deadly-car-bomb-attacks-rocks-iraq-north-20146682623969252.html|accessdate= 2014-06-20|publisher= [[Aljazeera]]|language= 英語}}</ref>。[[6月10日]]、モースルを陥落させた。武装集団は、数百人規模で9日夜からモースル市街地を攻撃し、10日までに政府庁舎や警察署、軍基地、空港などを制圧した。過激派系のウェブサイトは、武装集団が刑務所から約3千人の囚人を脱走させたとしている<ref>[http://sankei.jp.msn.com/world/news/140611/asi14061110010006-n1.htm イラク 政権に打撃 過激派、第2の都市制圧] MSN産経ニュース(2014年6月11日)2014年6月12日閲覧</ref>。6月11日に[[モースル]]のトルコ領事館を制圧し、同国の在モースル総領事を含む領事館員ら48人を誘拐した<ref>[http://www.afpbb.com/articles/-/3017436 イラク過激派、トルコ総領事ら49人を拉致] AFPBB News(2014年6月11日)2014年6月12日閲覧</ref>。6月15日政府軍との戦闘の末、{{仮リンク|タルアファル|en|Tal Afar}}を制圧<ref>{{Cite news |title= スンニ派武装組織、イラク北西部のタルアファル制圧|date= 2014-06-16|url= http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0EQ1BH20140615|accessdate= 2014-06-21|agency= REUTERS}}</ref>、6月17日にはバグダッド北東約60キロの[[バアクーバ]]まで進撃し<ref name="mainichi201406108">{{Cite news |title= イラク:「サウジは過激派組織ISILを支援」と非難声明|newspaper= [[毎日新聞]]|date= 2014-06-18|author= 秋山信一|url= http://mainichi.jp/select/news/20140618k0000e030165000c.html|accessdate= 2014-06-20}}</ref>、6月20日までに{{仮リンク|バイジ|en|Baiji, Iraq}}の油田施設を包囲した<ref>{{Cite news |title= イスラム過激派、北部の空港占拠 製油施設を包囲、攻防続く|date= 2014-06-20|url= http://www.47news.jp/CN/201406/CN2014062001002405.html|accessdate= 2014-06-21|agency= 共同通信|publisher= [[47NEWS]]}}</ref>。6月25日、[[イラク戦争]]で「キャンプ・アナコンダ」として知られている{{仮リンク|バラッド統合基地|en|Joint Base Balad|}}を攻撃しアジール油田地帯を制圧した<ref>{{Cite news |title= 武装勢力がイラク空軍基地を攻撃、複数の小規模油田制圧|date= 2014-06-30|url= http://jp.reuters.com/article/jpUSpolitics/idJPKBN0F01WC20140625|accessdate= 2014-06-30|agency= REUTERS}}</ref>。また、[[ニーナワー県]]を[[断水]]させた<ref name="IRIB20140626">{{Cite news |title= イラクで、テロ組織ISISによる残忍な措置が継続|date= 2014-06-29|url= http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/46266-イラクで、テロ組織isisによる残忍な措置が継続|accessdate= 2014-06-30|agency= アルメナール・チャンネル|publisher= [[IRIB]]}}</ref>。ISISは占領したモースルで[[シャリーア]]の強制による統治を行い、イラク政府への協力者に対する殺害ならびに盗みや強盗をした者の手足を切る刑罰を課しており<ref name="IRIB20140626"/><ref>{{Cite news |title= イラク北部モスル 過激派掌握2週間 イスラム法強制始まる|newspaper= 東京新聞|date= 2014-06-26|author= 中村禎一郎|url= http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2014062602000143.html|accessdate= 2014-06-30}}</ref>、モースルの住民は退去を迫られている<ref name="IRIB20140626"/>。 [[国際政治学者]]の[[酒井啓子]]は、これらの攻撃に対してマーリキー首相は全く対応できていないと指摘している<ref>{{cite news |title=国家の統一性に危機 旧バース党勢力も復権狙う 酒井啓子・千葉大教授 |newspaper=[[産経新聞]] |date=2014-6-14 |url=http://sankei.jp.msn.com/world/news/140614/mds14061409310002-n1.htm |accessdate=2014-6-14}}</ref>。一方、6月17日にイラク首相府はISISを[[スンナ派]]の[[サウジアラビア]]が財政的に支援し、大量虐殺を引き起こした責任があると非難する声明を発表した<ref name="mainichi201406108"/>。これに対してはサウジアラビアと[[アメリカ合衆国|アメリカ]]から反発が出ている<ref name="mainichi201406108"/><ref>{{Cite news |title= 米国:イラクのサウジ非難に強い反発 サキ国務省報道官|newspaper= 毎日新聞|date= 2014-06-18|author= 和田浩明|url= http://mainichi.jp/select/news/20140618k0000e030166000c.html|accessdate= 2014-06-20}}</ref>。[[アメリカ共和党|米共和党]]の[[ランド・ポール]][[アメリカ合衆国上院議員|上院議員]]はISISが強化された理由の一つとして、アメリカ政府がシリア政権打倒のためISISに武器を移送したことを挙げている<ref>{{Cite news |title= 米上院共和党議員、「イラク現状はアメリカのテロ支援の結果によるものだ」|date= 2014-06-23|url= http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/46109-米上院共和党議員、「イラク現状はアメリカのテロ支援の結果によるものだ」|accessdate= 2014-06-24|agency= [[:en:Fars News Agency|ファールス通信]]|publisher= IRIB}}</ref>。また、[[オーストラリア]]の{{仮リンク|ジュリー・ビショップ|en|Julie Bishop}}外務大臣は150人の[[オーストラリア人]]がISISに加入していると明らかにし、彼らの帰国の懸念を表明した<ref>{{Cite news |title= 豪外相が、同国人のテロ組織への加担を懸念|date= 2014-06-19|url= http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/46003-豪外相が、同国人のテロ組織への加担を懸念|accessdate= 2014-06-20|agency= [[DPA]]|publisher= IRIB}}</ref>。6月20日、[[国連人権理事会]]はISISの侵攻によって100万人の住民が避難を余儀なくされていると声明を出した<ref>{{Cite news |title= 1mn displaced since ISIL appeared in Iraq: UNHCR|date= 2014-06-20|url= http://www.presstv.ir/detail/2014/06/20/367875/1mn-displaced-since-isil-appeared/|accessdate= 2014-06-30|publisher= [[PRESS TV]]|language= 英語}}</ref>。 === イスラーム国の樹立宣言 === [[File:President Obama Makes a Statement on Iraq - 080714.ogg|サムネイル|[[ヤズィーディー]]教徒への援助と、イスラーム国への空爆を宣言するオバマ大統領]] [[File:2014-08-16 Demonstration Jesiden Eziden Aleviten Kurden in Hannover gegen die Terrorgruppe Islamischer Staat (IS), (313).JPG|サムネイル|2014年8月16日に[[ドイツ]]、[[ハノーファー]]で行われたイスラム国への抗議デモ]] 2014年6月29日、ISISは同組織の[[アブー・バクル・アル=バグダーディー]]が「[[カリフ]]」であり、あらゆる場所のイスラム教徒の指導者であるとし、イスラーム国家であるカリフ統治領をシリア・イラク両国のISIS制圧地域に樹立すると宣言した。また同声明において組織名からイラクとレバントを削除し、「イスラーム国 (Islamic State)」と改変することを発表した<ref name="AFP20140630"/>。 2014年8月8日、アメリカ軍がイスラーム国の武装勢力に対して、限定的な空爆及び[[ヤズィーディー]]などに対して支援物資の供給を開始。初日は、[[クルディスタン地域]]の[[アルビル]]近郊に展開していた野砲や車列が攻撃対象となった<ref>{{Cite news|url=http://www.afpbb.com/articles/-/3022712|title=米軍、イラク北部の「イスラム国」に空爆 2011年の撤退後初|work=AFPBBNews|publisher=フランス通信社|date=2014-08-09|accessdate=2014-08-12}}</ref>。アメリカは、空爆の期限を設けず、今後も空爆を実施することを示唆している<ref>{{Cite news|url=http://www.news24.jp/articles/2014/08/10/10256967.html |title=空爆「成功」今後も続けていく~オバマ氏|publisher=[[日テレNEWS24]] |date=2014-8-10|accessdate=2014-8-23}}</ref>。同年10月に入って、空爆の作戦名は「[[生来の決意作戦|生来の決意]]」(Operation Inherent Resolve)と名付けられていることが明らかになっている。 ただし、アメリカ軍の空爆は、イスラム国の[[イラク]]支配地域に限定されており、イスラム国の本拠地であるシリアでは実施されていないため、空爆の効果を疑問視する向きもある。シリア国内のイスラム国拠点を攻撃しないのは、イスラム国と対立する[[バッシャール・アル=アサド|アサド]]政権を支援する形になるためと指摘されている<ref>{{cite news |title=米空爆の「イスラム国」、本拠地シリアで勢力増す |newspaper=[[ウォール・ストリート・ジャーナル]] |date=2014-8-11 |url=http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052702303721104580085253602807276 |accessdate=2014-8-23 |author=Maria Abi-Habib}}</ref>。2014年8月22日、アメリカはシリア国内の拠点に対する空爆の検討を開始したと発表した<ref>{{cite news |title=「国境には制約されない」米高官、シリアでのイスラム国空爆検討を認める |newspaper=[[産経新聞]] |date=2014-8-22 |url=http://sankei.jp.msn.com/world/news/140823/amr14082321450010-n1.htm |accessdate=2014-8-25 | author=青木伸行}}</ref>。この時点で、イスラーム国の支配領域の合計面積は、イギリスより広くなっている<ref name="bloombergNAW8586KLVRT01">{{cite news |title=「イスラム国」は油田備えたタリバン-莫大な自己資金力が脅威 |newspaper=[[ブルームバーグ (企業)|Bloomberg]] |date=2014-8-25 |url=http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NAW8586KLVRT01.html|accessdate=2014-8-27 |author=Indira A.R. Lakshmanan }}</ref>。 8月24日、イスラーム国はシリア北東部の[[ラッカ県]]にあるシリア政府軍の空軍基地を制圧、ラッカ県のほぼ全てを手中に収めた<ref>{{cite news |title=「イスラム国」、シリア北部の空軍基地を制圧 |newspaper=[[ウォール・ストリート・ジャーナル]] |date=2014-8-25|url=http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052970204431804580112652692087156 |accessdate=2014-8-27 |author=SAM DAGHER}}</ref>。この時、イスラーム国は先日、シリア兵500人を捕らえたが、8月28日、このうち160名を処刑したと発表、[[公開処刑|処刑映像を公開]]した<ref>{{cite news |title=イスラム国、シリア兵160人以上を処刑 映像公開|newspaper=[[フランス通信社|AFPBB News]] |date=2014-8-29 |url=http://www.afpbb.com/articles/-/3024373|accessdate=2014-8-29 }}</ref>。 8月25日、[[アメリカ合衆国]]のバラク・オバマ大統領は、[[アメリカ軍]]によるシリア上空での偵察飛行を承認した<ref>{{cite news |title=オバマ米大統領、シリアでの偵察飛行を承認 空爆の準備か |newspaper=[[CNN]] |date=2014-8-26 |url=http://www.cnn.co.jp/usa/35052889.html |accessdate=2014-8-27 }}</ref>。 シリアのアサド政権は、イスラーム国の勢力拡大に対して国際社会と協力する用意があると表明した。これまでアサド政権打倒を目指してきた反政府派を支援してきた[[イギリス]]や[[アメリカ合衆国]]の協力も歓迎するとしている<ref>{{cite news |title=シリア、米国との対テロ共闘の「用意ある」|newspaper=[[フランス通信社|AFPBB News]] |date=2014-8-26 |url=http://www.afpbb.com/articles/-/3024064 |accessdate=2014-8-27|author=Serene ASSIR }}</ref>。2014年8月31日、[[ドイツ]]はイスラーム国が自国の安全保障の脅威になるとして、イスラーム国と対峙するクルド人勢力に武器を供与する方針を発表した<ref>{{cite news |title=独もイスラム国を「脅威」と判断…武器支援へ |newspaper=[[読売新聞]] |date=2014-9-2|url=http://www.yomiuri.co.jp/world/20140902-OYT1T50009.html |accessdate=2014-9-3 |author=工藤武人}}</ref>。ドイツは世界第3位の武器輸出国である一方で、これまでは紛争地域への武器輸出を見送ってきたが、方針を転換した<ref>{{cite news |title=イスラム国に対抗 独がクルド人部隊に武器供与へ |newspaper=[[テレビ朝日]] |date=2014-9-2 |url=http://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000033741.html |accessdate=2014-9-3}}</ref><ref>{{cite news |title=ドイツが軍事貢献へカジ クルド勢力に武器、東欧派兵も |newspaper=[[日本経済新聞]]|date=2014-9-3 |url=http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM02H05_S4A900C1FF2000/ | accessdate=2013-4-9-3|author=赤川省吾}}</ref>。 2014年9月1日、[[国際連合]]の[[国際連合人権理事会|人権理事会]]は、イスラーム国の[[イラク]]での[[人権侵害]]を「最も強い言葉」で非難する決議を全会一致で採択<ref>{{cite news |title=イスラム国非難決議を採択 国連人権理、調査求める |newspaper=[[朝日新聞]] |date=2014-9-2|url=http://www.asahi.com/articles/ASG920SHJG91UHBI036.html |accessdate=2014-9-3 |author=神田大介 }}</ref>、イスラーム国の行為は[[戦争犯罪]]や[[人道に対する罪]]に当たるとした<ref>{{cite news |title=国連 イスラム過激派組織の残虐行為非難|newspaper=[[日本放送協会|NHK]] |date=2014-9-2 |url=http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140902/k10014270711000.html| accessdate=2014-9-3 }}</ref>。 2014年9月19日、[[国際連合安全保障理事会|国連安全保障理事会]]は、全会一致でイスラーム国の壊滅に向けて対策強化を求める議長声明を採択した<ref>{{cite news |title=国連安保理、「イスラム国」壊滅へ議長声明採択 |newspaper=[[読売新聞]] |date=2014-9-20 |url=http://www.yomiuri.co.jp/world/20140920-OYT1T50036.html |accessdate=2014-9-20 |author=白川義和| author2=水野哲也 }}</ref>。また同日、[[フランス]]はイスラーム国のイラク北東部の補給所に対して、初の空爆を実施した<ref>{{cite news |title=フランス、イスラム国に初の空爆―イラク北東部で補給所を破壊 |newspaper=[[ウォール・ストリート・ジャーナル]] |date=2014-9-20 |url=http://jp.wsj.com/news/articles/SB10656493786288173419804580164983143840418|accessdate=2014-9-21 |author =NOÉMIE BISSERBE }}</ref>。 == イスラム原理主義 == 2014年イスラム国は[[コーラン]]の解釈に基づき奴隷制度の復活、運用を国際社会に公表している<ref>Islamic State Says Slavery is Established Part of Islamic Law.''The Islamic State's (ISIS, ISIL) Magazine'' Wed, September 10, 2014</ref>。 == 事件 == [[画像:Wien - Kobane-Demo 2014-10-10 - V.jpg|thumb|2014年10月10日、[[オーストリア]]の[[ウィーン]]で行われた、[[亡命]][[クルド人]]によるイスラーム国を批判するデモ]] 2014年6月11日、[[イラク]]の[[モースル]]にあった[[トルコ]]領事館にいたトルコの外交官や軍人、その子どもたち49人が、イスラーム国によって拉致された。のちにイラク人スタッフ3人は解放されたが、トルコ人たち46人は3ヶ月後の9月20日まで拘束されていた。解放後、トルコ人たちは無事に母国へと戻った。この拉致事件の解決には、詳細は不明であるが、トルコの情報機関と軍、警察当局が取り組んだとされる。身代金の支払いは無かったという<ref>{{cite news |title=イスラム国が拉致のトルコ総領事ら46人、無事解放 イラク |newspaper=[[フランス通信社|AFPBB News]] |date=2014-9-21 |url=http://www.afpbb.com/articles/-/3026570 |accessdate=2014-9-24 |author=Dilay GUNDOGAN}}</ref>。 2014年7月、イラクのモースルにあったイスラム教徒とキリスト教徒の双方が崇拝する預言者ヨナの墓があるナビ・ユヌス(Nabi Yunus)聖廟を爆破したほか、[[盗掘]]も行っており、これに関し[[国際連合教育科学文化機関|ユネスコ]]の[[イリナ・ボコヴァ]]事務局長が「カルチュラル・クレンジング(文化浄化)」であると批判した<ref>[http://www.afpbb.com/articles/-/3027509 AFP BB NEWS](2014年9月30日)</ref>。 2014年8月、シリアを訪れた民間軍事会社のCEOと見られる日本人男性がイスラーム国と見られるイスラム過激派によってシリアで拘束され、流血している彼を尋問している様子を撮影した動画がYouTubeにアップロードされ、波紋を呼んでいる。2014年8月24日現在、日本政府などに対する身代金要求はなく<ref>[http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140818/plc14081815560013-n1.htm 政府、安否確認急ぐ 身代金要求なし 不法入国か] - MSN産経ニュース(2014年8月18日付、2014年8月24日閲覧)[http://megalodon.jp/2014-0824-0125-24/sankei.jp.msn.com/politics/news/140818/plc14081815560013-n1.htm キャッシュ]</ref>、シリア政府や武装組織「イスラム戦線」を通じて解放への交渉が行われている<ref>[http://www.yomiuri.co.jp/national/20140823-OYT1T50029.html 日本人拘束、イスラム国との解放交渉進まず] - YOMIURI ONLINE(2014年08月23日付、2014年8月24日閲覧)[http://megalodon.jp/2014-0824-0126-10/www.yomiuri.co.jp/national/20140823-OYT1T50029.html キャッシュ]</ref>と報道されている。[[2004年]]の[[イラク日本人青年殺害事件]]と[[2013年]]の[[アルジェリア人質事件]]に続くイスラム教原理主義者による日本人拘束事件となった。<!--出典不明なのでコメントアウト。「殺害行為」とは報道されていない。 既に斬首され処刑されたという噂から日本政府に対する税金の身代金要求まで情報が錯綜している。[[イラク日本人青年殺害事件]]と2013年の[[アルジェリア人質事件]]に続くイスラム教原理主義者による日本人への殺害行為に日本の安全保障の弱点が浮き彫りになった。日本政府は一刻も早い対応を迫られている。2014年8月16日、アメリカのエリック司法長官は日本への敵対行為をやめるようISに要求した。--> [[8月19日]]、拘束していた米国人ジャーナリスト、[[ジェームズ・フォーリー_(ジャーナリスト)|ジェームズ・フォーリー]]を[[斬首]]し、処刑動画が投稿された。ISは米軍による空爆への報復と主張している<ref>[http://www.afpbb.com/articles/-/3023534 「イスラム国」、米国人記者の「斬首」映像公開 2014年08月20日 09:05 発信地:ベイルート/レバノン] - [[フランス通信社]]</ref>。[[8月20日]]、[[ホワイトハウス]]はこの動画が本物であると発表した<ref>[http://www.bbc.com/news/world-middle-east-28867627 Foley beheading video shocks the world, Obama says] - [[BBC]] 20 August 2014 Last updated at 18:40</ref>。なお、フォーリー記者の処刑を担当した兵士は、動画の中で[[英語]]を話していたが、その[[発音]]に[[イギリス英語|イギリスの特徴]]のあることから、[[イギリス]]人の可能性が指摘されている。イギリスの警察などは、身元の調査を開始した<ref>{{cite news |title=米ジャーナリスト殺害 英国人関与か |newspaper=[[日本放送協会|NHK]] |date=2014-8-21 |url=http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140821/k10013959701000.html |accessdate=2014-8-24}}</ref>。 == 戦力 == === 装備 === 戦闘員の多くは[[AK-47]]や[[RPG-7]]を装備し移動には[[テクニカル]]を利用するなど、テロリスト然とした装備であったが、事態が長期化するにつれて[[イラク軍]]から[[鹵獲]]したアメリカ製およびヨーロッパ製の武器([[M4カービン]]や[[FN MAG]]など)や、欧米からの志願兵が持ち込んだ戦闘服、タクティカルベスト、暗視ゴーグルなどの近代的な装備を利用し始めている。またイラク軍の基地を制圧した際には、[[ハンヴィー]]や[[MRAP]]などの装甲車、[[T-55]]や[[M-46 130mmカノン砲|59-I式カノン砲]]や[[ZU-23-2]]などの地上戦力だけでなく、[[MiG-21]]、[[UH-60 ブラックホーク]]といった航空機までも入手しているとされる<ref>[http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052702303721104580085253602807276 米空爆の「イスラム国」、本拠地シリアで勢力増す] - [[ワシントン・ポスト]]</ref>。 イスラーム国は、数的には決して圧倒的ではないが、優れた西側の兵器や[[シリア騒乱]]で得た戦闘経験を持ち、攻撃目標の適切な選択をすることで、不必要な犠牲を出さない効率的な戦い方を心得ており、志願兵の流入と相まって勢力を拡大している<ref>{{cite news |title=「イスラム国」が勢力拡大を続ける5つの理由 |newspaper=[[フランス通信社|AFPBB News]] |date=2014-8-11 |url=http://www.afpbb.com/articles/-/3022684 |accessdate=2014-8-23 |author=Jean Marc MOJON }}</ref>。 === 兵力 === [[画像:Al-Hayat Media Center-english-logo.png|thumb|優れた広報戦略で兵士を獲得するイスラーム国広報組織「アル・ハヤート」のロゴ。なお、[[ロンドン]]に本部を置く[[アラビア語]]日刊紙の[[アル・ハヤート]]と同名であるが、無関係である。]] イスラム国の構成員は、1万数千人と言われているが、そのうち、約6300人はイスラム国の建国を宣言してからの加入者だと言われており、建国宣言から急速に勢力を拡大している。新規参加者のうち大半は[[シリア]]人とされる。[[アメリカ合衆国]]の[[中央情報局|CIA]]は、戦闘員の数は2万人から3万1500人に上るとする見方を示している<ref>{{cite news |title=「イスラム国」戦闘員3万人に拡大か |newspaper=[[日本放送協会|NHK]] |date=2014-9-12 |url=http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140912/k10014552151000.html |accessdate=2014-9-13}}</ref>。 1300人ほどの外国人がおり、彼らは[[アラブ世界|アラブ諸国]]や[[ヨーロッパ|欧州]]、[[中華人民共和国|中国]]などから参加している<ref>{{cite news |title=イスラム国:建国宣言後の1カ月で6300人が新加入 |newspaper=[[毎日新聞]] |date=2014-8-21 |url=http://mainichi.jp/select/news/20140821k0000e030199000c.html |accessdate=2014-8-24}}</ref>。ヨーロッパ諸国では、イスラム国をはじめとする[[イスラム過激派]]に加わった自国民が、帰国した後にテロを起こす可能性を危惧している<ref>{{cite news |title=米記者殺害犯はイギリス人? 英米が特定急ぐ 「イスラム国」映像の覆面男 |newspaper=[[ウォール・ストリート・ジャーナル]] |date=2014-8-21 |url=http://jp.wsj.com/articles/SB10001424052970203403704580104701142494366 |accessdate=2014-8-24 |author=MARGARET COKER |author2=NICHOLAS WINNING}}</ref>。イギリスの[[デーヴィッド・キャメロン|キャメロン]]首相は、2014年8月29日、イギリス国籍のイスラーム国の戦闘員は少なくとも500人にのぼると語り、国外でテロ行為に関わった疑いのある英国民の出入国を抑制する方針を発表した。ただし、[[居住移転の自由|移動の自由]]を侵害しかねない懸念もあり、[[自由民主党 (イギリス)|イギリスの自民党]]は[[国際法]]違反と指摘している<ref>{{cite news |title=イスラム国戦闘員の英国人500人 首相、帰国禁止方針 |newspaper=[[朝日新聞]] |date=2014-9-2|url=http://www.asahi.com/articles/ASG9213L7G91UHBI037.html |accessdate=2014-9-3 |author=渡辺志帆}}</ref>。[[ドイツ]]の[[アンゲラ・メルケル|メルケル]]首相によれば、イスラム国要員は約2万人で、うち[[ヨーロッパ|欧州]]出身者が約2000人を占めると語っている<ref>{{cite news |title=欧州出身だけで2千人…イスラム国戦闘員の1割 |newspaper=[[読売新聞]] |date=2014-8-28 |url=http://www.yomiuri.co.jp/world/20140828-OYT1T50131.html |accessdate=2014-9-3 |author=工藤武人}}</ref>。ドイツからは、400人を超える若者がイスラーム国の戦闘員となり、このうち100人はドイツに帰国しているとされる。ドイツの[[トーマス・デメジエール|デメジエール]]内相は、イスラーム国を支援するあらゆる活動を禁止する方針を発表した<ref name="k10014572951000">{{cite news |title=独 「イスラム国」の支援活動を禁止 |newspaper=[[日本放送協会|NHK]] |date=2014-9-12 |url=http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140912/k10014572951000.html|accessdate=2014-9-13}}</ref>。[[アメリカ国防総省]]は、10人ほどのアメリカ人がイスラーム国に参加しているらしいと発表した<ref>{{cite news |title=米国人10人ほど イスラム国戦闘員か |newspaper=[[日本放送協会|NHK]] |date=2014-9-5 |url=http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140905/k10014370111000.html| accessdate=2014-9-5 }}</ref>。[[田母神俊雄]]によると、[[イスラエル]]訪問時に9人の[[日本人]]がイスラーム国に参加しているという情報を得たと[[ブログ]]で発表した<ref>{{cite web | publisher = 田母神俊雄オフィシャルブログ | title =イスラエルを訪問して | url =http://ameblo.jp/toshio-tamogami/entry-11927690420.html | date = 2014-9-20 | accessdate = 2014-10-6}}</ref>が、[[中山泰秀]]外務副大臣がイスラエルに確認した所、そのような情報は無いという回答であった<ref>{{cite news |title=「イスラム国への日本人参加」否定 中山副大臣、イスラエル次官に電話で確認 |newspaper=[[産経新聞]] |date=2014-10-2 |url=http://www.msn.com/ja-jp/news/national/%E3%80%8C%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%83%A0%E5%9B%BD%E3%81%B8%E3%81%AE%E6%97%A5%E6%9C%AC%E4%BA%BA%E5%8F%82%E5%8A%A0%E3%80%8D%E5%90%A6%E5%AE%9A-%E4%B8%AD%E5%B1%B1%E5%89%AF%E5%A4%A7%E8%87%A3%E3%80%81%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%82%A8%E3%83%AB%E6%AC%A1%E5%AE%98%E3%81%AB%E9%9B%BB%E8%A9%B1%E3%81%A7%E7%A2%BA%E8%AA%8D/ar-BB6YYqk |accessdate=2014-10-6 }}</ref>。しかし、2014年10月6日、[[警視庁]]は[[北海道大学]]の学生がイスラーム国に加わろうとしたとして、[[国交に関する罪|私戦予備および陰謀]]の疑いで事情聴取をした。学生はイスラーム国司令官と太いパイプを持っている[[中田考]]の紹介によって、イスラーム国幹部と接触しようとした。中田は幹部に学生を紹介し、ルートや通訳の手配をしたことについて公安の事情聴取と家宅捜索を受けた。非イスラム教国の中では、[[ロシア]]から最も多くの戦闘員が出ており、その数は800人という説がある<ref name="afpbb3030582">{{cite news |title=空爆でも止まらない外国人戦闘員の流入、イスラム国|newspaper=[[フランス通信社|AFPBB News]] |date=2014-11-1 |url=http://www.afpbb.com/articles/-/3030582 |accessdate=2014-11-3 |author=James PHEBY }}</ref>。 イスラーム国の構成員は[[Twitter]]や[[YouTube]]にアカウントを開設し、画像や動画を投稿するなどして[[プロパガンダ]]活動を展開していたが、2014年8月下旬にTwitterやYouTubeなどから相次いでアカウント停止処分を受けたため<ref name="itmedia_diaspora">[http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1408/22/news099.html Twitterから閉めだされた「イスラム国」、分散型SNSのDiasporaに乗り換え] - ITmedia(2014年08月22日付、2014年8月24日閲覧)</ref><ref>[http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM2100I_R20C14A8EAF000/ ツイッター、過激派の投稿を遮断 ネット利用せめぎ合い] - 日本経済新聞電子版(2014年8月21日付、2014年8月24日閲覧)</ref>、インターネット上での活動を分散型SNSの[[Diaspora]]へ移行する動きを見せた<ref name="itmedia_diaspora" />。イスラーム国は、[[インターネット]]を使った巧みな宣伝術を持っており、欧米からも若者が加わる要因となっている<ref name="jiji2014081800029"/>。 かつて、ヨーロッパ人がイスラーム過激派に加わる者は、不遇な生活環境や家庭的に恵まれない若者が多かったとされるが、現在は中流・富裕層も多くいるとされる。[[France 24|フランス24]]によれば、イスラーム国は、[[アルカーイダ|アル・カーイダ]]と比較して、領土的地盤があり、資金が豊富で、巧みな広報戦略などの点で、参加者にとって魅力的に映っているとされる<ref>{{cite news |title=フランス:若い女性や中流・富裕層出身者がイスラム国参加 |newspaper=[[毎日新聞]] |date=2014-9-19 |url=http://mainichi.jp/select/news/20140919k0000m030038000c.html |accessdate=2014-9-21 |author=宮川裕章}}</ref>。 イスラーム国は、13歳の[[少年兵]]も動員しているとされ、国連は懸念を示している<ref>{{cite web |title=「子どもの被害、最大700人」国連がイスラム国批判 |newspaper=[[朝日新聞|朝日新聞デジタル]] |url=http://www.asahi.com/articles/ASG990QDNG98UHBI02Y.html|data=2014-9-9 |accessdate=2014-9-13|author=金成隆一}}</ref>。 アメリカやフランスの研究機関によると、[[チュニジア]]からは3000人、[[サウジアラビア]]からは2500人が戦闘員としてイスラーム国に参加している。また、[[中東]]と[[北アフリカ]]の全域でイスラーム国の[[細胞 (政党)|細胞組織]]の増加を示す証拠が増えてきており、[[リビア]]にはすでに3000人の戦闘員がいるとされる<ref name="afpbb3030582"/>。 === 組織 === [[サッダーム・フセイン]]政権時代の元将校や元政治家が現指導体制の中核を担っている。<ref>{{cite news|title= イスラム国:国家的統治 フセイン政権残党が組織|newspaper=[[毎日新聞]] |date=2014-9-15 |url=http://mainichi.jp/select/news/20140915k0000m030093000c.html|accessdate=2014-9-15 }}</ref>バグダディの下で最高指導部に位置しているのはどちらも旧イラク軍将校である「シリア担当」のアブ・アリ・アンバリと「イラク担当」のアブ・ムスリム・トゥルクマニである。 最高指導部の下に「財務担当」「国防担当」「広報担当」という役割を持つ行政機関の「評議会」が存在し、さらにその下に地域ごとに支配を担当する24人の知事がいる。「評議会」の構成員にいるのは旧イラク軍元将校や政治・行政経験のある[[バース党]]員などイラク人であり、知事は半数がシリアを管轄、もう半数がイラクを管轄として職務にあたっている。 また、イスラム法とこれらの体制が合致しているか審査する宗教機関も存在する。仮に現体制がイスラム法に背いた場合、退陣を迫る権利を有しているという。<ref>{{cite news|title= ISISの指揮系統 最高指導者1人、副官2人に知事24人|newspaper=[[CNN]] |date=2014-9-21 |url=http://www.cnn.co.jp/world/35054085-2.html|accessdate=2014-9-21 }}</ref> === 評価 === 2014年8月22日、[[チャック・ヘーゲル]][[アメリカ合衆国国防長官|国防長官]]は記者会見で、イスラーム国の特徴として野蛮な思想と洗練された軍事力、潤沢な資金を併せ持つことを挙げ、「これまでに見たどの組織よりも洗練され、資金も豊富で、単なるテロ組織を超えている」と評した<ref>{{cite news |title=「イスラム国」勢い衰えず 警戒強める欧米諸国 |newspaper=[[日本経済新聞]] |date=2014-8-23 |url=http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM22H11_S4A820C1FF1000/ |accessdate=2014-8-25 }}</ref><ref>{{cite news |title=「イスラム国、ただのテロ集団でない」米国防長官 |newspaper=[[朝日新聞]] |date=2014-8-22 |url=http://www.asahi.com/articles/ASG8Q3FZTG8QUHBI00B.html |accessdate=2014-8-25 | author=小林哲}}</ref>。イスラーム国は、アメリカ合衆国の最大の敵として急浮上している<ref>{{cite news |title=「イスラム国」勢い衰えず 警戒強める欧米諸国 |newspaper=[[日本経済新聞]] |date=2014-8-23 |url=http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM22H11_S4A820C1FF1000/ |accessdate=2014-8-25 }}</ref><ref>{{cite news |title=コラム:米国「究極の敵」に急浮上したイスラム国 |newspaper=[[トムソン・ロイター|Reuters]] |date=2014-8-27|url=http://jp.reuters.com/article/jpUSpolitics/idJPKBN0GR0MD20140827 |accessdate=2014-8-27 | author=Jack Shafer}}</ref>。豊富な資金源を持つイスラーム国は、アル・カーイダをしのぐ影響力を持つ可能性も指摘されている<ref>{{cite news |title=イスラム国:アフリカにも影響力 豊富な資金力も一因 |newspaper=[[毎日新聞]] |date=2014-9-2 |url=http://mainichi.jp/select/news/20140903k0000m030120000c.html|accessdate=2014-9-3 }}</ref>。 == 経済 == イスラーム国は、[[原油]]販売や、支配地住民への略奪や[[租税|課税]]、[[密輸]]などを通じて、2014年には1日当たり100万ドルを調達していたが<ref name="cnn35052773">{{cite news |title=イラクで油田奪取のイスラム過激派、密売で1日2億円稼ぐ |newspaper=[[CNN]] |date=2014-8-24 |url=http://www.cnn.co.jp/world/35052773.html |accessdate=2014-8-27 }}</ref>、その後、制圧した原油が増加し、2014年8月下旬時点では1日当たり200万[[アメリカ合衆国ドル|ドル]](約2億800万[[円 (通貨)|円]])余りの資金を調達していると見られている<ref name="bloombergNAW8586KLVRT01" />。イスラーム国は、1日あたり3万[[バレル]]の原油を産出しているとされる<ref name="cnn35052773"/>。また、[[遺跡]]の盗掘も資金源になっていることが判明した<ref>[http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20140627004 ナショナルジオグラフィックニュース](2014年6月27日)</ref>。 その一方で、イスラーム国は住民から略奪するだけでなく、[[銀行]]や[[発電所]]、[[モスク|礼拝所]]や[[パン]]屋に至るまで運営している。残虐なだけでなく現実主義的な側面もある。利があると見れば、敵対するはずのアサド政権と親しい業者とも取引を行う他、元アサド派や、多数いる外国人にも要職を任せており、貧困層や母子家庭への支援も行っている<ref>{{cite news |title=焦点:次世代見据えるイスラム国、シリア北東部で「国家モデル」構築 |newspaper=[[トムソン・ロイター|Reuters]] |date=2014-9-5 |url=http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0H007W20140905|accessdate=2014-9-5 |author=Mariam Karouny}}</ref>。 == 対外関係 == 国家樹立を宣言しているが、その宣言を認める国はなく、ほぼ全ての国と敵対している。シーア派のイランは反イスラーム国の戦いを続けるイラクのクルド人勢力に武器を提供しており<ref>{{cite news |title=イランがイラク・クルド人勢力を支援、反「イスラム国」戦闘で |newspaper=[[ブルームバーグ (企業)|Bloomberg]] |date=2014-8-26 |url=http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NAX7WB6VDKHX01.html|accessdate=2014-9-20 |author=Zainab Fattah }}</ref>、かつては同じスンニ派を信じるためにイスラーム国の動きを静観していた[[サウジアラビア]]などの湾岸諸国もまた、テロの温床になりかねないとしてイスラーム国を強く批判するようになっている<ref>{{cite news |title=湾岸も「イスラム国」警戒 同じスンニ派サウジなど 静観一転、テロ温床懸念 |newspaper=[[朝日新聞]] |date=2014-9-7 |url=http://www.asahi.com/articles/DA3S11337801.html |accessdate=2014-9-20 }}</ref>。 [[アラブ連盟]]は2014年9月7日に会合を開き、イスラーム国を含む過激派勢力に対抗するために「必要なあらゆる措置を取る」という声明を発表した<ref>{{cite news |title=【イラク情勢】「あらゆる措置をとる」対イスラム国でアラブ連盟が合意 米国に言及なし |newspaper=[[産経新聞]] |date=2014-9-8 |url=http://sankei.jp.msn.com/world/news/140908/mds14090810060001-n1.htm| accessdate=2014-9-20 |author= 大内清}}</ref>。 2014年9月11日、[[ヨルダン]]、[[エジプト]]、[[トルコ]]、[[サウジアラビア]]、[[アラブ首長国連邦|UAE]]、[[オマーン]]、[[クウェート]]、[[バーレーン]]、[[カタール]]の外相が、[[ジョン・ケリー]][[アメリカ合衆国国務長官|国務長官]]と会談し、アメリカの軍事作戦に協力することを約束した<ref>{{cite news |title=中東諸国、対「イスラム国」で米国との共闘を約束 |newspaper=[[ウォール・ストリート・ジャーナル]] |date=2014-9-12 |url=http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052970203714004580148541140258552 |accessdate=2014-9-20 |author=Maria Abi-Habib in Beirut | author2=Jay Solomon in Washington}}</ref>。2014年9月19日、トルコは、シリアとの国境にある有刺鉄線を排除し、国境を開放、イスラーム国から逃げてくるクルド人などをトルコ領内に受け入れた<ref>{{cite news |title=シリアのクルド人、6万人以上がトルコに避難 イスラム国が攻勢|newspaper=[[フランス通信社|AFPBB News]] |date=2014-9-21 |url=http://www.afpbb.com/articles/-/3026562 |accessdate=2014-9-24 |author=Bulent Kilic}}</ref>。 2014年9月22日、アメリカの国防総省はアメリカ軍がシリア北部のラッカにて、「「イスラム国」に対する空爆を実施した」と明らかにした<ref>{{Cite news |title= 米がシリア領内で空爆 対「イスラム国」、イラクに続き|newspaper= 朝日新聞|date= 2014-09-23|author= 大島隆|url= http://www.asahi.com/articles/ASG9R3K01G9RUHBI00L.html|accessdate=2014-09-23}}</ref>。アメリカの国防総省は「攻撃には戦闘機、爆撃機が参加したのに加え、巡航ミサイル「トマホーク」も使用された」と説明<ref>{{Cite news |title= 米国がシリア空爆を開始「イスラム国」標的|newspaper= MSN産経ニュース|date= 2014-09-23|author= 加納宏幸|url= http://sankei.jp.msn.com/world/news/140923/amr14092311040004-n1.htm|accessdate=2014-09-23}}</ref>。 イスラーム国は[[スンニ派]]を信仰しているとされるが、同じスンニ派であっても敵対する者は容赦なく排除する。[[イラク]]のスンニ派部族の中には、イスラーム国と相容れずに戦っている者も少なくないが、イスラーム国は彼らを大量に処刑、殺害している<ref>{{cite news |title=イスラム国:「スンニ派部族を大量処刑」 米が懸念表明 |newspaper=[[毎日新聞]] |date=2014-11-1 |url=http://mainichi.jp/select/news/20141102k0000m030059000c.html |accessdate=2014-11-2 |author=和田浩明}}</ref><ref>{{cite news |title=イスラム国、イラクで部族民40人以上を「処刑」 |newspaper=[[フランス通信社|AFPBB News]] |date=2014-10-30 |url=http://www.afpbb.com/articles/-/3030347 |accessdate=2014-11-2 }}</ref>。 勢力を伸ばすイスラーム国を支持したり、傘下に入ったりする過激派組織は増えている。2014年6月、イスラーム国が国家の樹立を宣言した時、ナイジェリアの[[ボコ・ハラム]]は支持を表明している<ref>{{cite news |title=ナイジェリア:ボコ・ハラムが停戦合意を否定 |newspaper=[[毎日新聞]] |date=2014-11-2 |url=http://mainichi.jp/select/news/20141102k0000m030030000c.html |accessdate=2014-11-3 |author=服部正法 }}</ref>。2014年9月には、[[フィリピン]]の過激派組織[[アブ・サヤフ]]がイスラム国との共闘を宣言した<ref>{{cite news |title=フィリピン過激派組織がISISと共闘宣言 |newspaper=[[ニューズウィーク]] |date=2014-10-2 |url=http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2014/10/isis-1.php |accessdate=2014-11-3 |author=ミシェル・フロルクルス }}</ref>。2014年10月14日、イスラーム国と対立する[[ターリバーン]]と関係の深い[[パキスタン・ターリバーン運動]]の幹部6人がイスラーム国の傘下に入った<ref>{{cite news |title=「イスラム国」シンパ増殖 過激派が傘下入り |newspaper=[[日本経済新聞]]|date=2014-10-19 |url=http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM19H0F_Z11C14A0FF8000/ | accessdate=2014-11-3| author=押野真也 }}</ref>。 ===主張する領土=== [[画像:Territorial control of the ISIS.svg|thumb|{{legend|#c12838|2014年10月時点での実効支配地域}} {{legend|#f6e2d2|2006年時点で、イスラーム国が領土と主張していた地域|outline=black}} {{legend|#fefee9|上記2点以外の、[[イラク]]と[[シリア]]の領域|outline=black}}]] [[画像:Claim to power of ISIS.png|サムネイル|2014年時点で、イスラーム国が領土だと主張している地域]] イスラム国は、イラク、シリアなどの中東諸国を、[[サイクス・ピコ協定]]に代表されるヨーロッパの線引きにより作られた「'''サイクス・ピコ体制'''」だとしてこれを否定し<ref>[http://sankei.jp.msn.com/world/news/140629/mds14062909010002-n2.htm (3)覆された中東秩序 軋む「押しつけの国境」]、[[産経新聞]]、[[2014年]][[6月29日]]、同年[[8月13日]]閲覧</ref>、武力によるイスラーム世界の統一を目指している。 2014年、イスラム国は5年後に占拠する領土のプランを発表した<ref>[http://www.breitbart.com/Big-Peace/2014/07/01/ISIS-Releases-Map-of-5-Year-Plan-to-Spread-from-Spain-to-China ISIS RELEASES MAP OF 5-YEAR PLAN TO SPREAD FROM SPAIN TO CHINA]、BREITBART、2014年[[7月1日]]、同年10月24日閲覧</ref>。彼らが主張する「領土」はスペインからアフリカ北部、中近東を経てインド、[[中国]]にまで及んでおり、歴代の[[イスラム王朝]]の領土と重なっているが、その区割りは現在の国境とは異なっている。 彼らはこれらの「領土」を、イラクを除いて古称によると思われる独自の名称で呼んでいる。 *アナトール(Anathol) - [[トルコ]] *[[アンダルス]](Andalus) - [[スペイン]]、[[ポルトガル]] *[[マグレブ]](Maghreb) - アフリカ北西部 *[[ヒジャーズ]](Hijaz) - [[サウジアラビア]]南部 *イラク(Iraq) - 現在のイラクからサウジアラビア北部の東半分まで *[[クルディスタン|コルディスタン]](Koldistan) - トルコ、イラク、[[イラン]]の[[クルド人]]居住地 *[[大ホラーサーン|ホラーサーン]]([[:w:Greater Khorasan|Khurasan]]) - 西はイランから[[インド]]まで、北は[[カザフスタン]]、西は中国西部([[チベット自治区]]、[[新疆ウイグル自治区]]の西半分)にまで達する。ただし[[バングラデシュ]]は含まれていない。 *シャーム(Sham) - シリア、[[イスラエル]]からサウジアラビア北部の西半分まで *クークァズ(Qooqaz…[[アラビア語]]で『[[コーカサス]]』){{efn|オリジナルのサイトには"Qoozaz"と表記されているが、これは誤記だと指摘されている<ref>[http://www.reddit.com/r/MapPorn/comments/29vlc5/isis_released_map_of_5year_plan_to_spread_from/ ISIS Released Map of 5-Year Plan to Spread from Spain to China[475x356]]、reddit.com、2014年7月4日、同年10月24日閲覧</ref>。}} - [[ロシア]]からイランにかけての[[カスピ海]]西岸。 *オロブパ(Orobpa) - [[東ヨーロッパ|南東ヨーロッパ]]及び[[ギリシャ]]。東は[[クリミア半島]]にまで達する。 *アルキナナ(The land of Alkinana) - [[エジプト]]、[[スーダン]]及び[[リビア]]東部。 *ハバシャ(The land of [[:w:Habesha people|Habasha]]) - [[カメルーン]]から[[アフリカの角]]にかけてのアフリカ中部。 *ヤマン(Yaman) - [[イエメン]](「ヤマン」はイエメンのアラビア語での正式名称)。 == 脚注 == === 注 === <references group="注"/> === 注釈 === {{notelist}} === 出典 === {{脚注ヘルプ}} {{reflist|3}} {{対テロ戦争}} {{DEFAULTSORT:いすらあむこく}} [[Category:イラク戦争]] [[Category:対テロ戦争]] [[Category:サラフィー・ジハード主義組織]] [[Category:アメリカ合衆国によりテロリスト認定された組織]] [[Category:イギリス内務省によりテロリスト認定された組織]] [[Category:カナダによりテロリスト認定された組織]] [[Category:シリアの政治]] [[Category:シリアの宗教]] [[Category:イラクのテロリズム]] [[Category:シリアのテロリズム]] [[Category:トルコのテロリズム]] [[Category:レバノンのテロリズム]] [[Category:呼称問題]] {{Wikipedia/Ja}}