痴漢

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痴漢(ちかん)とは、相手の意に反してわいせつ行為を行う者もしくは行為そのものをいう。満員電車や人気のない暗い夜道など、加害者自身が認識されにくく、被害者が対応をとりにくい環境で行われることが多い。ただし現代では混雑した車内において男性の手や下半身が女性に偶然触れた場合でも女性が「痴漢」と訴えれば痴漢行為として逮捕される。日本では「痴漢」の具体的定義が刑法や軽犯罪法にはなく、軽犯罪法第1条第5号や刑法第176条強制わいせつ罪、猥褻物陳列罪、公然わいせつ罪、各地方公共団体迷惑防止条例、鉄道事業者への威力業務妨害などにより処罰される。

概要

具体的な手口としては、衣服越しに胸や尻、性器等に触れる、スカートやズボンの中に手を入れて下着・性器等に触れる、下着等を盗撮する、相手に自分の性器を触れさせるなどの行為がある。公衆の前でわいせつな行為をしたり、または露出する行為も痴漢に含まれる。極端な場合では、精液を女性の衣服や体にかけるといった例もある。痴漢検挙数の増加は、犯罪統計上の強制わいせつが増えている一因でもある。日本では痴漢冤罪という新たな問題が表面化し始めた2000年頃から、痴漢対策として都市部を中心に女性専用車両が導入された鉄道路線がある。

痴漢行為による逮捕者におこなった調査によると、羞恥心から被害を訴えづらい性犯罪被害者に共通する感情を利用し、おとなしそうな女性を狙う傾向が強い。また、容姿に劣等感を抱く女性の心理を逆手にとり、そのような女性は被害にあっても親告しにくいだろうとの目論見で標的にする者もいる。偶然手が当たったふりをするために、わざと手の甲を使ったり、座席に座ろうとする女性のお尻に向けて、臨席の男性が肘を張ってくる場合もある。相対的には極めて少ないが、男性を狙う痴漢も存在し、特に年少の男子が狙われることが多い。

個人で痴漢行為を行う者のほかに、組織的に痴漢行為に及ぶ痴漢集団の存在が確認されている。この手口として実行犯以外の他の仲間は、実行犯が痴漢行為を行っている間、周囲から見えないよう壁になったり、被害者に騒がれた場合に、第三者を装って実行犯の冤罪を主張する虚偽の発言で擁護したり、あるいは逆に私人逮捕の振りをして実行犯を連れ出して逃走させる、といった役割を果たす。

今日において、痴漢犯罪の被害者は女性とは限らないが犯罪者は例外なく男性であることが定義である。なぜなら痴漢とは字義通り「痴(おろ)かな漢(おとこ)」が原義だからである。

検挙・対策

  • 飲酒等により正常な判断が出来ない状況において痴漢行為を犯した場合でも、今日の司法では酒に酔っていたことが免責の理由と認められることはない。
  • 同一被害者が同一犯人に連続して狙われるような事案以外、痴漢は現行犯でなければ容疑者を特定しづらい。被疑者の現行犯逮捕には、周囲に居合わせた目撃者などの協力が必要となる場合もある。
  • 被害者の供述のみで有罪となったり、無実を指摘する目撃者がいても容疑者を数日間拘留するなどの事例もある。冤罪についての詳細は痴漢冤罪を参照。
  • これまでに恋人男性に教唆された女性による示談金目的の冤罪が1件ニュースとなったことがある。携帯電話使用を注意されたことによる逆恨みも1件、また、被害者の誤認などにもよって起こる痴漢冤罪が着目され、社会問題になっている。
  • 「迷惑防止条例」と「強制わいせつ」の違いは「服の上から触れば迷惑防止条例で、下着に手を入れたら強制わいせつ罪」である。
  • 男性が被害者になった痴漢被害の場合、社会的に痴漢は女性が遭うものという前提があり、本人も訴える事を躊躇する為、ほとんどの被害が公になっていないと考えられる。

痴漢行為で逮捕され懲戒免職された横浜市の高校教諭「痴漢ぐらいで処分するな」→市村陽典裁判長「その通り、処分重すぎだし軽い痴漢だから復帰していいよ。」

痴漢行為を理由に懲戒免職処分を受けたのは不当として、元高校教諭の男性が横浜市に処分の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が2013年4月11日東京高裁であった。市村陽典裁判長は「処分は重過ぎ、妥当性を欠く」として請求を認める判決を言い渡した。

判決によると、男性は平成18年1月、横浜市内の百貨店で女性2人の下半身を触ったとして神奈川県迷惑防止条例違反容疑で逮捕され、19年11月、罰金40万円の有罪判決が確定。

市教育委員会は確定後、男性を懲戒免職処分とした。1審横浜地裁は「復職させた場合に、生徒や保護者らに与える影響が少なくないのは明らか」として、処分を適法と判断していた。

一方、市村裁判長は男性に処分歴がなく、痴漢行為も比較的軽微な内容にとどまると指摘。「類似事例との均衡も検討されず、市教委は裁量権を乱用した」と結論付けた。

痴漢交流サイト“なりすまし”に騙され?堂々お触りの男逮捕

和歌山東署は2013年5月8日までに、電車で女性(23)に痴漢行為をしたとして強制わいせつで、大阪府岸和田市の元介護士、小川雅矢(26)を逮捕した。

痴漢のインターネットサイトを利用した同容疑者は、合意の上での「痴漢プレー」を主張しているが、女性はこれを全面否定。同署は、何者かがネット上で女性に成り済ましたとみて調べている。

ゴールデンウイークの谷間の4月30日午前7時過ぎ、JR和歌山線粉河和歌山行き普通列車内で、驚きの痴漢事件が発生した。

通勤のため、対面タイプの4人乗りボックス席の窓側に座っていた紀の川市に住む女性のスカート内に、隣に座る小川の手が伸びてきたのだ。遠慮などない。手は女性の太ももや腹をはい回ったという。

痴漢行為を働いていたのは小川だけではなかった。電車の出入り口付近に立っていた男が女性の背後から手を伸ばし、胸を触ってきたという。

女性が「やめてください」と言うと、立っていた男は途中の駅で下車した。ところが、小川はやめない。約20-30分、痴漢行為を続けた。そして、電車が終点の和歌山駅に停車すると、女性は小川の腕をつかんで駅員に引き渡し、逮捕に至った。

小川は「痴漢をしたい人と、されたい人が出会うインターネットのサイトを見てやった。サイトで女性から電車の時間と車両を指定された」と供述。しかし、女性は「サイトを利用したことはない」と全面否定している。

和歌山東署によると、小川が利用したとみられる痴漢プレー掲示板には「和歌山線で痴漢してくれる人いませんか」などの書き込みがあり、座っている車両も指定していた。途中駅で下車した男もこのサイトを利用したとみられる。

この掲示板の自称管理人は「逮捕者が出ました」などと書き込むなど、騒ぎが広がっている。

女性は通勤時、いつも同じ席に座っていたという。同署はこの習慣を知る人物が成り済ましたのではないかとみて、調べを進めている。

ポルノとカタルシス

痴漢行為そのものを人間の深層に存在する性的欲望の発露と解す立場から、ポルノ風俗産業の利用によって代償され犯罪を抑制するとする解釈と、逆にそれらの刺激によって欲望が逆に掻き立てられるのではとする立場が存在する。

脚注


関連項目

外部リンク

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