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2017年9月24日 (日) 17:00時点における最新版
動物や植物などの一連の存在のことを総称して生物(せいぶつ)または生き物(いきもの)と呼ぶ。
地球上の全ての生物の共通の祖先があり(始源細胞)、その子孫達が増殖し複製するにつれ遺伝子に様々な変異が生じることで進化がおきたとされている。結果、バクテリアからヒトにいたる生物多様性が生まれ、お互いの存在や地球環境に依存しながら、互いに複雑な関係で結ばれる生命圏を形成するにいたっている。そのことをガイアとも呼ぶものもある。
- 生物(なまもの)と読むと、加熱調理などをしていない食品のことを指す。
定義[編集]
生物を定義するのは難しい。普通の言葉では、生物とは生きているものであり、生きているとは生命があることであり、といった、言い換えしかできないからである。現在われわれが生き物と見なして知っているものが、生き物すべてである保証はない。SFでなくとも、宇宙の生物を想像することは可能である。
生物が無生物から区別される一般的な特徴として、生物は、自己増殖能力、エネルギー変換能力、恒常性(ホメオスタシス)維持能力という3つの能力をもっている。
生物の個体は何らかの形の自己複製によりその祖先(親)から誕生し、ほとんどは恒常性の破綻とともに死を迎える。その間の時間は、生物は外部から物質を取り入れ、体内で化学変化させ、生じるエネルギーで自らの体の状態を一定に維持し、あるいは発展させ、不用な物質を外に捨てる。この誕生と死の間のエネルギーを変換しながら活動している状態が生きているということである。
つまり地球上の生物で言えば、タンパク質からなる酵素を中心とする代謝の働きと、核酸からなる遺伝子による遺伝の働きが、生物が生物であることを維持するためのしくみであると言える。
現在の地球上の生物に限って言えば、最も明確に生物を定義する特徴は、細胞から成り立っているということである。細胞は先述の生物の定義に於いて、生物と見なせる最小の単位である。
生物と非生物の境界領域にウイルスやリケッチアがある。両者共に他種の生きた細胞の存在なしにはなにもできないが、適当な細胞の存在下では一定の活動を行い、自己複製を行って数を増やし、他の細胞へと侵入することができる。それは明らかに生物である細菌類の病原体の振る舞いと変わらなく見える。構造的に細胞からなるリケッチアは生物に入れられる例が多いが、リケッチアも単独では自己増殖能力がないため、境界領域においてはこの3つの能力を基準にした厳密な線引きは難しい。細胞の構造を持たず、自己増殖能力にかかわる構造を自らの中に持たないことから、ウイルスは生物ではないと見なす判断が慣習的には多い。ただし、その存在の起源に生物が関わった可能性は高く、いっさい生物に無関係とは考えられない。
生物の分類[編集]
生物の特徴の一つは、それぞれの個体が種と呼ばれるグループを形成していることである。詳細は種の項に。種の違いを認識し学名をつけるのが分類という作業である。現在分類されている種だけで200万といわれるが、実際にはこの数倍の種があるともいわれている。分類は何段階かの範疇に従い、最も大きな範疇を界と呼ぶ。歴史的に最も古くは生物は植物と動物からなるとした二界説(植物界、動物界)があり、その後の生物観の進展とともに、三界説、五界説、八界説などが登場した。現在の主流は五界説であり、生物全体をモネラ界(原核生物を含む)、原生生物界、植物界、菌界、動物界に分類している。詳細は生物の分類を見よ。
生物を成り立たせる生体物質[編集]
水、タンパク質、脂質、炭水化物、 核酸は生物の主要な構成成分である。
生きているという状態は、無数の化学反応の総和であるという見方もできる。これら化学反応がおこる場を提供しているのが水である。生物は水の特殊な物性に多くの事を依存しており、極めて大事で且つ主要な構成成分である。
生物の複雑さを象徴する物質がタンパク質かもしれない。タンパク質は20種類のアミノ酸が数十から数百個結合したものだが、その順列組み合わせによりその種類は何千万種類にものぼる。あるタンパク質は、化学反応を触媒する酵素として働き、あるものは生物の構造を支える骨格として働くというように、様々な働きをしている。
ロバート・フックが初めて細胞を発見したときそれを小部屋と名付けたように、細胞とはある区画化された空間であり、外界から隔離することは生物を成り立たせる重要な要件である。この区画をしているのが細胞膜であり、脂質がその主要な成分である。脂質はエネルギーを貯蔵するのによい物質でもある。
生物は区画された空間ではあるが、完全に外界から遮断されているわけではない。外部からエネルギーを取り入れ内部で消費し、外部にエントロピーを逃がす散逸構造と呼ばれる仕組みになっている。生物間でのエネルギーの流通に炭水化物は重要であり、主に植物が光合成によって生産している。
ドーキンスの「利己的な遺伝子」に即していえば、たまたま自己複製する分子が存在し、それを継続的に支える環境が生まれた結果、生物が誕生したともいえる。核酸は遺伝子の実体だが、核酸が相補鎖を形成するという性質が生物の大事な本質である。
生物の歴史[編集]
- 46億年前 - 地球誕生
- 40億年前 - 最初の生物出現
- 35億年前 - 最古の化石:35億年前、西部ノースポール
- 27億年前 - 光合成生物出現
- 21億年前 - 真核生物出現:直径約2cmのコイル状の化石
- 12億年前 - 多細胞生物出現
- 6億年前 - カンブリア爆発 (バージェス動物群)
- 5億年前 - 魚類出現、植物と節足動物の上陸
- 4億年前 - 両生類(イクチオステガ等)の上陸
- 3億年前 - 恐竜時代の始まり
- 2億年前 - 哺乳類、鳥類 出現
- 6500万年前 - 恐竜絶滅
- 30万年前 - ホモ・サピエンスの分化
より詳しくは、地質時代を参照。
地球外生命[編集]
地球以外に生命が発見された記録は明確なものは存在しない。地球が宇宙の中で唯一無二、極めて特殊なものであると見なさない限り、同様の生物がどこかに存在する可能性は考えてしかるべきである。太陽系においても、火星には同様の生命が存在する可能性があるとする説がある。そのような生命が未だ発見されていない以上、それについて論議するのは危険であるが、地球上と同じような生物の形態を想定する。少なくとも、有機物からその体が構成されたものを考えるわけである。太陽系外においては、2007年に発見されたグリーゼ581cに生物が存在しうる環境があるのではないかと期待されている。
有機物以外のものを構成要素とする生物も考えられるだろう。よく言われるのが、炭素にかわって珪素を中心とする生物(珪素生物)である。SFの世界では、ガスから成る生物や電磁波から成る生物などが出てくる。そのような存在が認められるとすれば、少なくとも代謝(あるいはそれに代わる何か)と自己増殖あるいは自己保存の機能が認められる場合であろう。
SFにおいて語られるものに、純粋知性、あるいは物質によらない意識といったものがあるが、現在の科学においては、物体的な実体に頼らない意識といったものは認められていない。地球の生物を見ても、意識や知性をあえて認めることができる生物はごく一部にすぎず、それらを生物の定義とするのは当たらない。
関連項目[編集]
ast:Ser vivu bg:Организъм ca:Organisme cs:Organismus da:Organisme de:Lebewesen el:Οργανισμός (βιολογία)eo:Organismo es:Ser vivo et:Organism fa:سازواره fi:Eliö fr:Organisme vivant gl:Organismo he:יצור hr:Organizam hu:Élőlény ia:Organismo id:Organisme is:Lífvera it:Organismo vivente kn:ಸಾವಯವ ko:생물 lb:Liewewiesen lt:Organizmas lv:Organisms mg:Zavamanan'aina mk:Организам nl:Organisme nn:Organisme no:Organisme pl:Organizm pt:Organismo qu:Kawsaq ro:Organism ru:Организм scn:Organismu simple:Organism sr:Организам su:Organisme sv:Organism ta:உயிரினம் th:สิ่งมีชีวิต uk:Організм vi:Sinh vật yi:ארגאניסם zh:生物 zh-min-nan:Seng-bu̍t zh-yue:生物