「半群」の版間の差分

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2010年8月19日 (木) 09:13時点における最新版

半群(はんぐん)とは、結合法則を満たす二項演算の定義された集合のことである。

詳しくいうと、集合 S について、写像 · : S×S → S が定義されていて、· が:(a · b) · c = a · (b · c) を満たすとき、S を半群という。ただし、ここで a · b は (a, b) の · による像 ·(a, b) を表す。演算の記号 · は普通省略され、a · bab と書かれる。

また、半群において複数の元に演算を施した結果は、結合法則により、元の並び順さえ変えなければどのような順で演算を施したかを考える必要が無い。そこで、

a · b · c = (a · b) · c = a · (b · c)

のように演算の処理順を示す括弧は省略する、という記法を採用することができる。

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  • 正の整数全体は加法に関して半群である。
  • モノイド、またはもちろん半群である。
  • 唯一つの元 e からなる集合 {e} は ee = e と置けば半群になる。これを自明な半群あるいは一元半群という。
  • 集合 S から一つの元 0 を選び、S の演算を、任意の元 x, y に対して xy = 0 と定めると、S は半群である。これを 零半群という。
  • ある文字の集合 Σ を決めたときに、その文字から生成される有限な文字列全体の集合は、列をつなげることを演算とみなすことで、半群になる。空文を付け加えれば、これはモノイドになる。この半群を文字 Σ から生成される自由半群という。
  • C0-半群発展方程式の時間発展を表す半群である。これは解析における半群の代表例である。

関連する概念[編集]

単位元付加 
上の最後の例のように、半群 S が与えられたとき、S のどの元とも異なる元 e を付け加えて ee = e、任意のS の元 a に対して ea = ae = ae についての演算を定義すれば、S ∪ {e} は e単位元とする半群になる。これを S に単位元 e を付加した半群と呼ぶ。Se を付加した半群はモノイドになる。
零付加 
半群 S が与えられたとき、S のどの元とも異なる元 0 を付け加えて、00 = 0、任意の S の元 x に対して x0 = 0x = 0 と定めると S ∪ {0} は 0 を零元として持つ半群になる。これを S に零元 0 を付加した半群という。
準同型
半群 A から半群 B への写像 fA の任意の元 a, b について f(ab) = f(a)f(b) を満たすとき、準同型という。さらに、f が全単射であれば、同型という。
部分半群・イデアル
半群 S の部分集合 A が、そのどの二つの元をかけてもまた A に含まれるとき A部分半群という。AA := {ab | aA, bA} という記号を使うと、これは AAA の部分集合であるというのと同じことである。
同じ記号で、SAA の部分集合であるとき、A左イデアルという。ASA の部分集合ならば、A右イデアルという。右イデアルでかつ左イデアルでもあるとき、両側イデアルまたは単にイデアルという。イデアルの共通部分はまたイデアルである。したがって、どんな半群も高々一つの極小イデアルしか持たない。
空でない有限な半群は全て極小イデアルを持つ。正の整数全体のなす半群は、極小イデアルを持たない例である。可換な半群の極小イデアルは、もしそれが存在すれば、群になる。
一つの半群について、その部分半群をいくつ取ってきても、その共通部分はまた部分半群になる。つまり、部分半群全体は完備束になる。

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