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== イギリス ==
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[[ヴィクトリア朝]]時代([[19世紀]]後半)において、使用人を雇うことはステータスシンボルの一つであった。大荘園ともなれば3桁もの使用人を抱えることもあった。
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[[1777年]]に[[アメリカ独立戦争]]の戦費を賄うために[[使用人税]]が施行された。納税者の雇用している男性使用人1名に1[[ギニー]]が課税されるというもので、女性使用人は対象外であった。そのため上流階級でも女性使用人が雇用されることになった。使用人税施行前の1769年の使用人は20万人であったが、施行後の1806年には下男11万人に対して女性使用人80万人に増加した。
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これには上流階級での女性使用人の大量雇用によって、彼らの生活様式を真似る事を望む中産階級において、一般的な男性使用人に比べて給与水準が半分から1/20の女性使用人を雇用しても「恥ずかしい」ことではなくなったことも大きく影響している。侍女や子守り、家庭教師([[ガヴァネス]])等に限られていた女性使用人の雇用は、加速度的に進むこととなった。1891年には女性使用人だけで233万人となっている。
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=== ヴィクトリア朝時代におけるメイドの種類 ===
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; [[ハウスキーパー]] (House Keeper)
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: ほとんどのメイドを取り仕切る[[家政婦]]。'''自身はメイドではない'''。メイドの仕事に必要な鍵の管理など、屋敷の管理の全責任を負う。メイドの人事権も持っており、雇用や解雇なども行っていた。相当な下積み期間を経て就く役職であり、ほかのメイドのように相部屋ではなく個室を割り当てられ、食事も個室でとることを許されていたのは上級使用人の特権であった。
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; レディースメイド (Lady's Maid)
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: レディの一切の身の回りの世話をする。[[侍女]]。ほかに、女主人 (Mistress) の[[宝飾品]]の管理なども行う。上級使用人の一種で特権があり、女主人の着古した服をもらえることもあった。また、[[ハウスキーパー]]の人事権が及ばない特別な地位であるが、若さが売り物の役職であったので、ある程度の年齢になると、解雇や職替えを言い渡されることもあった。
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; コック (Cook)
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: 上級使用人の一種で、厨房の責任者。料理人。[[厨房]]というのは独立した部署であり、ハウスキーパーの管理下にはない。
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; ウェイティングメイド (Waiting Maid)
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: レディの世話をする。職務内容はレディースメイドと大差ないが、成長したレディに仕えるハウスメイドがこう呼ばれることもあり、地位的には下位に位置する。
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; チェインバーメイド (Chamber Maid)
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: 主に寝室や客室など、部屋の整備を担当する、専門職メイド。ハウスキーパーの管理下にある。19世紀にはあまりみられなかった種類のメイドであるが、クラス的にはハウスメイドより上で、高給であった。現在の[[宿泊施設]]の客室係は、ホテルでも旅館の女中でも英語表記はチェインバーメイドである。
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; キッチンメイド(Kitchen Maid)
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: コックの指示のもと、台所のひととおりの仕事をこなす。コックの管理下にある。調理はコックが行うのであり、キッチンメイドは、下ごしらえや仕込み、[[火おこし]]など、雑務が中心である。
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; ハウスメイド(House Maid)
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: いわゆるメイド、といえばこれにあたる。家女中。ハウスキーパーの管理下にある。特にこれといった専門担当を持たず、文字通り、家中の仕事をひととおりこなす。最も一般的な種類のメイド。
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; パーラーメイド(Parlour Maid)
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: 給仕と来客の取次ぎ、接客を専門職とする。客間女中。ハウスキーパーの管理下にある。接客担当であったため、容姿の良い者が採用され、[[制服]]も専用のデザインであることが多かった。
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; スティルルームメイド(Stillroom Maid)
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: お茶やお菓子の貯蔵・管理を専門職とする。食品室女中。ハウスキーパーの管理下にある。アフタヌーンティの習慣が定着した頃に重宝されたメイド。自らお菓子を作り、[[パティシエ]]のような仕事もこなす。
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; ナース(Nurse)
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: [[乳母]]のこと。ハウスキーパーの管理下にある。ナースメイドと呼ばれる部下を従え、自らは子供の[[躾]]に専念し、あとの仕事は部下に任せる。なお後にwet-Nurseと呼ばれる。(Nurseが[[看護士|看護婦]]の意味になっていったため。)
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; デイリーメイド(Dairy maid)
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: バター作りや搾乳を専門職とするメイド。[[酪農]]女中。ハウスキーパーの管理下にある。主に地方にみられた。
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; ランドリーメイド(Laundry maid)
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: 洗濯担当の専門職。ハウスキーパーの管理下にある。使用人の洗濯を担当するものと、主人およびその家族の洗濯を担当するものとに分かれている。
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; スカラリーメイド(Scullery maid)
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: [[鍋]]や皿を洗ったり、厨房の掃除を行う専門職。コックの管理下にある。キッチンメイドよりも下級に位置し、駆け出しのメイドが厨房配属になるとここから始まる。メイドの中でも下級ということもあり、かなりの冷遇を受けることも多かったようである。
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; ナースメイド(Nurse maid)
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: 子守担当の専門職。ハウスキーパーおよびナースの管理下にある。基本的にはナースの指示を受け、補佐的な役割を受け持つ。そのなかでも子供を散歩に連れて行くことは、[[屋敷]]の敷地外での仕事ということもあり、中心的職務であった。また、ナースメイドはそのほとんどが未成年であり、外出仕事が多かったこともあり、ガールハントの格好の的であったらしい。
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; トゥイーニー(Tweeny)
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: ハウスメイドとキッチンメイドの両方を兼務するメイド。両方の仕事をこなすため、両職の「間 (between) 」に位置する、ということからこの呼び名がついた。下働きなためかなりの薄給であり、両職にまたがるため、かなりの激務を要した。
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; メイド・オブ・オール・ワーク(Maid of All Work)
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: 前述した上記すべての役割を1人でこなすメイド。あまり裕福でない家では複数のメイドを雇うのは難しく、ゆえに1人で家中のすべての仕事をこなす必要があった。当時のメイド人口の実に5分の3がこのタイプのメイドであったという説もある。
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; ステップガール(Step Girl)
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: メイドを雇う余裕のない家で、メイドが「いるかのように」振舞うため、週に1回雇われ、[[玄関]]を掃除するメイド。ヴィクトリア朝のイギリスの中産階級以上では、婦人に手袋をさせて「家事をさせていない」ことを誇示するのがステイタスになっていたことから、すこしでも余裕があればすぐにメイドを雇おうとした。しかしその[[経済]]力が無くとも外聞を気にしてこの種類のメイドを雇う家もあった。
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== 香港 ==
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[[香港]]では、[[フィリピン]]や[[インドネシア]]など[[東南アジア]]からの女性をメイドとして雇うことが一般化しており、家事全般から子供の学校への送迎などに携わっている。
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普段は住み込みで働いているが、日曜日など、家族が部屋に居る日には、朝から家を出て[[ヴィクトリアパーク (香港)|ビクトリアパーク]]などの公園に集まり、気の合う仲間と一緒になって夜遅くまで賑やかに楽しむ光景を見る事が出来る。
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== 中国 ==
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2000年代に入り、[[中国大陸]]でも都市部を中心に東南アジアから来たメイドが雇われる様になった。地方からの出稼ぎ農民や、大学生がバイトとして行うこともある。
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[[上海市|上海]]では、フィリピン人のメイドを雇うことが禁止されているが、フィリピン人のメイドは学歴が高く英語が流暢なことから子供の教育に役立つほか、方言の激しい中国人のメイドよりも意思の疎通がしやすいことから、非合法でフィリピン人のメイドを雇うケースが後を絶たず、問題化している。
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大衆文化としてのメイドも定着しつつある。同人イベントでは[[コスプレ]]の人気の題材の一つであり、2007年11月11日の上海のイベントでは、付帯イベントとして[[メイド喫茶]](女僕珈琲)が出現した。
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== 台湾 ==
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[[台湾]]においても、フィリピンやインドネシアなど東南アジアからの女性をメイドとして雇うことが可能であり、家事全般から家庭での年寄りの介護などに携わっている。[[サブカルチャー]]としてのメイドは日本から流入しつつあり、[[台北]]などでメイド喫茶が出現している。
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== シンガポール ==
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2005年のメイドの就業者数は15万人にも及び、世界でも有数のメイド雇用国であり、ほぼ10軒に1軒はメイドが居ると言われている。メイドのほとんどが外国人であり、メイドの為に特別に[[就労ビザ]]が発行されている。シンガポールには[[メイド税]]や外国人メイド税控除などの様々な制度があり、メイドに対して半年に一度の検査の義務なども存在する。<!--価格情報のためコメントアウト メイドの賃金は200~300[[シンガポールドル]]ほどであるが、毎月200~295[[シンガポールドル]]の[[メイド税]]を支払わなければならず、実質的には賃金の二倍以上の金額が必要である、それでも日本円で7万から8万円程度である。-->

2020年1月17日 (金) 10:39時点における版

メイド(maid, maid-servant)は、清掃洗濯炊事などの家庭内労働を行う女性の使用人(女中家政婦ハウスキーパー家庭内労働者)を指し、狭義には個人宅で主に住み込みで働く女性の使用人。男性の対義語はボーイ。

語源の「maiden」は乙女、未婚の女性という意味で、過去に若い女性が結婚前には奉公に出されていたことに由来し、そこから女性奉公人・使用人の意味となった。現在では未婚や既婚に関わらず、あくまでも職種を意味し、ホテルの客室担当従業員(ルームキーパー)なども含まれる。

概要

古代ローマにおいては、家庭内労働は「奴隷」の仕事であった。

中世においては、「使用人」である。

近代以降、主な雇用者である中産階級の成長とともに増加し、19世紀後半から20世紀初頭に全盛期を迎える。しかし、第一次世界大戦を契機として「女性労働力の再評価」が始まると、女性の社会進出とともに急激に減少した。イギリスおよびアメリカなどで多かったが、日本でも高度経済成長期までは奉公の一環として使用人が用いられていた。

現在の先進国では、住み込み・フルタイム労働のメイドは、ごく一部でしか見られなくなっている。

20世紀前半までの使用人参照

20世紀後半からの使用人参照

イギリス

詳細は 家事使用人 を参照

ヴィクトリア朝時代(19世紀後半)において、使用人を雇うことはステータスシンボルの一つであった。大荘園ともなれば3桁もの使用人を抱えることもあった。

1777年アメリカ独立戦争の戦費を賄うために使用人税が施行された。納税者の雇用している男性使用人1名に1ギニーが課税されるというもので、女性使用人は対象外であった。そのため上流階級でも女性使用人が雇用されることになった。使用人税施行前の1769年の使用人は20万人であったが、施行後の1806年には下男11万人に対して女性使用人80万人に増加した。

これには上流階級での女性使用人の大量雇用によって、彼らの生活様式を真似る事を望む中産階級において、一般的な男性使用人に比べて給与水準が半分から1/20の女性使用人を雇用しても「恥ずかしい」ことではなくなったことも大きく影響している。侍女や子守り、家庭教師(ガヴァネス)等に限られていた女性使用人の雇用は、加速度的に進むこととなった。1891年には女性使用人だけで233万人となっている。

ヴィクトリア朝時代におけるメイドの種類

ハウスキーパー (House Keeper)
ほとんどのメイドを取り仕切る家政婦自身はメイドではない。メイドの仕事に必要な鍵の管理など、屋敷の管理の全責任を負う。メイドの人事権も持っており、雇用や解雇なども行っていた。相当な下積み期間を経て就く役職であり、ほかのメイドのように相部屋ではなく個室を割り当てられ、食事も個室でとることを許されていたのは上級使用人の特権であった。
レディースメイド (Lady's Maid)
レディの一切の身の回りの世話をする。侍女。ほかに、女主人 (Mistress) の宝飾品の管理なども行う。上級使用人の一種で特権があり、女主人の着古した服をもらえることもあった。また、ハウスキーパーの人事権が及ばない特別な地位であるが、若さが売り物の役職であったので、ある程度の年齢になると、解雇や職替えを言い渡されることもあった。
コック (Cook)
上級使用人の一種で、厨房の責任者。料理人。厨房というのは独立した部署であり、ハウスキーパーの管理下にはない。
ウェイティングメイド (Waiting Maid)
レディの世話をする。職務内容はレディースメイドと大差ないが、成長したレディに仕えるハウスメイドがこう呼ばれることもあり、地位的には下位に位置する。
チェインバーメイド (Chamber Maid)
主に寝室や客室など、部屋の整備を担当する、専門職メイド。ハウスキーパーの管理下にある。19世紀にはあまりみられなかった種類のメイドであるが、クラス的にはハウスメイドより上で、高給であった。現在の宿泊施設の客室係は、ホテルでも旅館の女中でも英語表記はチェインバーメイドである。
キッチンメイド(Kitchen Maid)
コックの指示のもと、台所のひととおりの仕事をこなす。コックの管理下にある。調理はコックが行うのであり、キッチンメイドは、下ごしらえや仕込み、火おこしなど、雑務が中心である。
ハウスメイド(House Maid)
いわゆるメイド、といえばこれにあたる。家女中。ハウスキーパーの管理下にある。特にこれといった専門担当を持たず、文字通り、家中の仕事をひととおりこなす。最も一般的な種類のメイド。
パーラーメイド(Parlour Maid)
給仕と来客の取次ぎ、接客を専門職とする。客間女中。ハウスキーパーの管理下にある。接客担当であったため、容姿の良い者が採用され、制服も専用のデザインであることが多かった。
スティルルームメイド(Stillroom Maid)
お茶やお菓子の貯蔵・管理を専門職とする。食品室女中。ハウスキーパーの管理下にある。アフタヌーンティの習慣が定着した頃に重宝されたメイド。自らお菓子を作り、パティシエのような仕事もこなす。
ナース(Nurse)
乳母のこと。ハウスキーパーの管理下にある。ナースメイドと呼ばれる部下を従え、自らは子供のに専念し、あとの仕事は部下に任せる。なお後にwet-Nurseと呼ばれる。(Nurseが看護婦の意味になっていったため。)
デイリーメイド(Dairy maid)
バター作りや搾乳を専門職とするメイド。酪農女中。ハウスキーパーの管理下にある。主に地方にみられた。
ランドリーメイド(Laundry maid)
洗濯担当の専門職。ハウスキーパーの管理下にある。使用人の洗濯を担当するものと、主人およびその家族の洗濯を担当するものとに分かれている。
スカラリーメイド(Scullery maid)
や皿を洗ったり、厨房の掃除を行う専門職。コックの管理下にある。キッチンメイドよりも下級に位置し、駆け出しのメイドが厨房配属になるとここから始まる。メイドの中でも下級ということもあり、かなりの冷遇を受けることも多かったようである。
ナースメイド(Nurse maid)
子守担当の専門職。ハウスキーパーおよびナースの管理下にある。基本的にはナースの指示を受け、補佐的な役割を受け持つ。そのなかでも子供を散歩に連れて行くことは、屋敷の敷地外での仕事ということもあり、中心的職務であった。また、ナースメイドはそのほとんどが未成年であり、外出仕事が多かったこともあり、ガールハントの格好の的であったらしい。
トゥイーニー(Tweeny)
ハウスメイドとキッチンメイドの両方を兼務するメイド。両方の仕事をこなすため、両職の「間 (between) 」に位置する、ということからこの呼び名がついた。下働きなためかなりの薄給であり、両職にまたがるため、かなりの激務を要した。
メイド・オブ・オール・ワーク(Maid of All Work)
前述した上記すべての役割を1人でこなすメイド。あまり裕福でない家では複数のメイドを雇うのは難しく、ゆえに1人で家中のすべての仕事をこなす必要があった。当時のメイド人口の実に5分の3がこのタイプのメイドであったという説もある。
ステップガール(Step Girl)
メイドを雇う余裕のない家で、メイドが「いるかのように」振舞うため、週に1回雇われ、玄関を掃除するメイド。ヴィクトリア朝のイギリスの中産階級以上では、婦人に手袋をさせて「家事をさせていない」ことを誇示するのがステイタスになっていたことから、すこしでも余裕があればすぐにメイドを雇おうとした。しかしその経済力が無くとも外聞を気にしてこの種類のメイドを雇う家もあった。

香港

香港では、フィリピンインドネシアなど東南アジアからの女性をメイドとして雇うことが一般化しており、家事全般から子供の学校への送迎などに携わっている。

普段は住み込みで働いているが、日曜日など、家族が部屋に居る日には、朝から家を出てビクトリアパークなどの公園に集まり、気の合う仲間と一緒になって夜遅くまで賑やかに楽しむ光景を見る事が出来る。

中国

2000年代に入り、中国大陸でも都市部を中心に東南アジアから来たメイドが雇われる様になった。地方からの出稼ぎ農民や、大学生がバイトとして行うこともある。

上海では、フィリピン人のメイドを雇うことが禁止されているが、フィリピン人のメイドは学歴が高く英語が流暢なことから子供の教育に役立つほか、方言の激しい中国人のメイドよりも意思の疎通がしやすいことから、非合法でフィリピン人のメイドを雇うケースが後を絶たず、問題化している。

大衆文化としてのメイドも定着しつつある。同人イベントではコスプレの人気の題材の一つであり、2007年11月11日の上海のイベントでは、付帯イベントとしてメイド喫茶(女僕珈琲)が出現した。

台湾

台湾においても、フィリピンやインドネシアなど東南アジアからの女性をメイドとして雇うことが可能であり、家事全般から家庭での年寄りの介護などに携わっている。サブカルチャーとしてのメイドは日本から流入しつつあり、台北などでメイド喫茶が出現している。

シンガポール

2005年のメイドの就業者数は15万人にも及び、世界でも有数のメイド雇用国であり、ほぼ10軒に1軒はメイドが居ると言われている。メイドのほとんどが外国人であり、メイドの為に特別に就労ビザが発行されている。シンガポールにはメイド税や外国人メイド税控除などの様々な制度があり、メイドに対して半年に一度の検査の義務なども存在する。