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− | + | リアリティーあふれる画面は好評を博し、世界60か国以上で公開された名作である。公開時はキネマ旬報ベストテン6位であった。 | |
− | + | [[新藤兼人]]の名を世界的に有名にした映画である。[[新藤兼人]]はほとんどセリフのない映画を作りたかった<ref>新藤兼人(2012)『100歳の流儀』PHP出版,ISBN 978-4-569-80434-7</ref>。 | |
− | + | 全編セリフのない映画、撮影期間1ヶ月、キャスト4人、当初十三人のスタッフ(監督1名、カメラマン・助手計3名、助監督2名、製作2名、照明3名、スクリプター1名)、予算500万円で作られた。当時でも映画を撮るために必要な資金は一般的に5000万円程度が必要であった。スタッフたちは民家を借り、自炊生活をしながらの撮影であった。新藤兼人監督は2003年に、同島がある[[三原市]]の名誉市民になっている | |
+ | <ref>日刊スポーツ 2012年6月1日</ref>。 | ||
== あらすじ == | == あらすじ == | ||
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が生きるために必死で生活する無言で働く小作農夫婦を描いた。 | が生きるために必死で生活する無言で働く小作農夫婦を描いた。 | ||
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孤島の土地はやせていても、全島にわたり頂上に至るまで耕されている。 | 孤島の土地はやせていても、全島にわたり頂上に至るまで耕されている。 | ||
島にはまとまった水がないため、畑の水や飲む水を向かいの島から小船で運ぶ。 | 島にはまとまった水がないため、畑の水や飲む水を向かいの島から小船で運ぶ。 | ||
− | + | 桶に入れて櫓漕ぎ舟で運んだ水を、島の急斜面を天秤棒で担いで運び上げる。 | |
夫婦日常の大半は、この水を運ぶ労力に費いやされている。 | 夫婦日常の大半は、この水を運ぶ労力に費いやされている。 | ||
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暑い日の午後、突然太郎が発病した。孤島へ医者が駈けつけた時には、太郎はすでに死んでいた。 | 暑い日の午後、突然太郎が発病した。孤島へ医者が駈けつけた時には、太郎はすでに死んでいた。 | ||
葬式に僧侶と通学先の担任の先生と同級生が来て、遺体は島に埋葬された。 | 葬式に僧侶と通学先の担任の先生と同級生が来て、遺体は島に埋葬された。 | ||
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− | + | 突然、妻は畑に腹ばいになり顔を畑地に擦りつけて号泣する。 | |
夫は、妻の心痛を理解できるので、だまって見つめるだけであった。 | 夫は、妻の心痛を理解できるので、だまって見つめるだけであった。 | ||
明日もまた、夫婦は自然とたたかい続ける。 | 明日もまた、夫婦は自然とたたかい続ける。 | ||
== 作品データ == | == 作品データ == | ||
− | * | + | *公開日 1960年(昭和35年)11月23日 |
+ | *制作会社 [[近代映画協会]] | ||
*製作国 日本 | *製作国 日本 | ||
− | *上映時間 | + | *上映時間 96分 |
*モノクロ作品 | *モノクロ作品 | ||
+ | *アスペクト比 2.35 : 1 | ||
== 受賞 == | == 受賞 == | ||
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*第11回ブルーリボン賞 企画賞(新藤兼人) | *第11回ブルーリボン賞 企画賞(新藤兼人) | ||
*モスクワ国際映画祭 グランプリ、 | *モスクワ国際映画祭 グランプリ、 | ||
*モスクワ国際映画祭作曲賞(林光) | *モスクワ国際映画祭作曲賞(林光) | ||
*メルボルン国際映画祭グランプリ | *メルボルン国際映画祭グランプリ | ||
− | * | + | *第16回英国アカデミー賞総合作品賞ノミネート(1963年) 16th British Academy Film Awards |
*マンハイム映画祭グランプリ | *マンハイム映画祭グランプリ | ||
*リスボン映画祭銀賞 | *リスボン映画祭銀賞 | ||
*ベルリン国際映画祭セルズニック銀賞 | *ベルリン国際映画祭セルズニック銀賞 | ||
*エディンバラ国際映画祭銀賞 | *エディンバラ国際映画祭銀賞 | ||
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+ | == ランキング == | ||
+ | *キネマ旬報ベスト・テン 第6位 | ||
+ | *「オールタイムベスト・ベスト100」日本映画編 1995(キネマ旬報) 第29位 | ||
+ | *「オールタイムベスト・ベスト100」日本映画編 1999(キネマ旬報) 第67位 | ||
== キャスト == | == キャスト == | ||
− | *乙羽信子 | + | *[[乙羽信子]] |
− | *殿山泰司 | + | *[[殿山泰司]] |
*田中伸二 | *田中伸二 | ||
*堀本正紀 | *堀本正紀 | ||
== スタッフ == | == スタッフ == | ||
− | *監督 新藤兼人 | + | *監督 [[新藤兼人]] |
*脚本 新藤兼人 | *脚本 新藤兼人 | ||
− | *製作 | + | *製作 新藤兼人、[[松浦栄策]] |
− | *撮影 黒田清巳 | + | *撮影 [[黒田清巳]] |
*美術 新藤兼人 | *美術 新藤兼人 | ||
− | *音楽 林光 | + | *音楽 [[林光]] |
− | *録音 丸山国衛 | + | *録音 [[丸山国衛]] |
− | *照明 永井俊一 | + | *照明 [[永井俊一]] |
− | *編集 榎寿雄 | + | *編集 [[榎寿雄]] |
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+ | [[Category:日本のドラマ映画]] | ||
+ | [[Category:島を舞台とした映画作品]] | ||
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+ | [[Category:モスクワ国際映画祭最優秀作品賞受賞作]] |
2018年8月31日 (金) 23:30時点における最新版
『裸の島』(はだかのしま,英語The Naked Island)は、1960年(昭和35年)に公開され日本映画である。モスクワ国際映画祭グランプリを受賞した。 リアリティーあふれる画面は好評を博し、世界60か国以上で公開された名作である。公開時はキネマ旬報ベストテン6位であった。
新藤兼人の名を世界的に有名にした映画である。新藤兼人はほとんどセリフのない映画を作りたかった[1]。 全編セリフのない映画、撮影期間1ヶ月、キャスト4人、当初十三人のスタッフ(監督1名、カメラマン・助手計3名、助監督2名、製作2名、照明3名、スクリプター1名)、予算500万円で作られた。当時でも映画を撮るために必要な資金は一般的に5000万円程度が必要であった。スタッフたちは民家を借り、自炊生活をしながらの撮影であった。新藤兼人監督は2003年に、同島がある三原市の名誉市民になっている [2]。
あらすじ[編集]
太平洋戦争の敗戦から10年、昭和30年代前半の日本で財産は何もない極貧の家族4人 が生きるために必死で生活する無言で働く小作農夫婦を描いた。
瀬戸内海の孤島(宿禰島)を舞台にドキュメンタリー風に描いた。その島に中年の夫婦と男の子二人が生活している。 孤島の土地はやせていても、全島にわたり頂上に至るまで耕されている。 島にはまとまった水がないため、畑の水や飲む水を向かいの島から小船で運ぶ。 桶に入れて櫓漕ぎ舟で運んだ水を、島の急斜面を天秤棒で担いで運び上げる。 夫婦日常の大半は、この水を運ぶ労力に費いやされている。
下の子次郎は未就学で、上の太郎は小学校の二年生。 別の島の学校まで船で通っている。 暑い日の午後、突然太郎が発病した。孤島へ医者が駈けつけた時には、太郎はすでに死んでいた。 葬式に僧侶と通学先の担任の先生と同級生が来て、遺体は島に埋葬された。 葬式が終ると、再び夫婦は水を運ぶ。 突然、妻は畑に腹ばいになり顔を畑地に擦りつけて号泣する。 夫は、妻の心痛を理解できるので、だまって見つめるだけであった。 明日もまた、夫婦は自然とたたかい続ける。
作品データ[編集]
- 公開日 1960年(昭和35年)11月23日
- 制作会社 近代映画協会
- 製作国 日本
- 上映時間 96分
- モノクロ作品
- アスペクト比 2.35 : 1
受賞[編集]
- 第11回ブルーリボン賞 企画賞(新藤兼人)
- モスクワ国際映画祭 グランプリ、
- モスクワ国際映画祭作曲賞(林光)
- メルボルン国際映画祭グランプリ
- 第16回英国アカデミー賞総合作品賞ノミネート(1963年) 16th British Academy Film Awards
- マンハイム映画祭グランプリ
- リスボン映画祭銀賞
- ベルリン国際映画祭セルズニック銀賞
- エディンバラ国際映画祭銀賞
ランキング[編集]
- キネマ旬報ベスト・テン 第6位
- 「オールタイムベスト・ベスト100」日本映画編 1995(キネマ旬報) 第29位
- 「オールタイムベスト・ベスト100」日本映画編 1999(キネマ旬報) 第67位
キャスト[編集]
スタッフ[編集]
参考文献[編集]
- ↑ 新藤兼人(2012)『100歳の流儀』PHP出版,ISBN 978-4-569-80434-7
- ↑ 日刊スポーツ 2012年6月1日