「ホープフルステークス (中央競馬)」の版間の差分
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2017年1月30日 (月) 21:51時点における版
ホープフルステークスは、日本中央競馬会(JRA)が中山競馬場で施行する中央競馬の重賞レース(GI)である。
レース名の「ホープフル(Hopeful)」は、英語で「希望に満ちた」「望みを持つ」という意味。
目次
概要
1984年に創設された「ラジオたんぱ杯3歳牝馬ステークス(ラジオたんぱはいさんさいひんばステークス)」を前身としている。レース名はその後1991年より「ラジオたんぱ杯3歳ステークス(ラジオたんぱはいさんさいステークス)」、2001年より「ラジオたんぱ杯2歳ステークス(ラジオたんぱはいにさいステークス)」、2006年より「ラジオNIKKEI杯2歳ステークス(ラジオにっけいはいにさいステークス)」と変遷を経てきた(後述)。
近年の日本競馬においては2歳馬レースの開始時期の早期化に加えレース距離が多様化しており、特に中距離レースの充実ぶりが顕著になっていることから、2013年まで阪神競馬場の芝2000mで施行していたGIIIのラジオNIKKEI杯2歳ステークスを2014年より中山競馬場の芝2000mに変更のうえ、2歳中距離路線の頂点となるレースに位置づけてGIIに昇格した。
2017年1月27日、前年より日本グレード格付け管理委員会、並びにアジアパターン委員会へ行っていた格付昇格の申請が承認され、同年よりGIとして施行されることになった。
レース条件
以下の内容は、2017年現在のもの。
- 出走資格:サラ系2歳牡馬・牝馬
- JRA所属馬
- 地方競馬所属馬(3頭まで)
- 外国調教馬(9頭まで、優先出走)
- 負担重量:馬齢(牡55kg、牝54kg)
地方競馬所属馬の出走権
地方競馬所属馬は、同年に行われる下表のレースのいずれかで2着以内に入着すると、本レースの優先出走権が与えられる。
レース名 | 格 | 競馬場 | 距離 |
---|---|---|---|
東京スポーツ杯2歳ステークス | GIII | 東京競馬場 | 芝1800m |
京都2歳ステークス | GIII | 京都競馬場 | 芝2000m |
賞金
2017年の1着賞金は7000万円で、以下2着2800万円、3着1800万円、4着1100万円、5着700万円。
歴史
東西の「3歳牝馬ステークス」
1984年に、「ラジオたんぱ杯3歳牝馬ステークス」の名称で創設。桜花賞と同じく、阪神競馬場の芝1600mで行われていた。
当時は3歳(現2歳)馬の重賞で最高格のGIレースとして、関東に「朝日杯3歳ステークス(現:朝日杯フューチュリティステークス)」、関西に「阪神3歳ステークス(現:阪神ジュベナイルフィリーズ)」があり、3歳馬は概ねその所属に応じて関東・関西に分かれて頂点を争っていた。この両レースは牡馬・牝馬の区別なく出走できたが、牝馬がこれに勝つというのはそう多いことではなかった[注 1]。
1984年にグレード制が導入されるのにあわせて、3歳牝馬限定の重賞が関東と関西に整備された。関東に創設されたのが「テレビ東京賞3歳牝馬ステークス(現・フェアリーステークス)」、関西に創設されたのが「ラジオたんぱ杯3歳牝馬ステークス」である[注 2]。当時、両レースはしばしばスポンサー冠を省略して「3歳牝馬ステークス」と呼ばれていたが、どちらも同じ名称になるため、「3歳牝馬ステークス(東)」「3歳牝馬ステークス(西)」のように表記されていた[注 3]。
1991年の再編・牡馬戦化と距離延長
1991年に3歳重賞路線の大きな変更が行われ、従来の東西別のチャンピオン路線をやめ、牡馬と牝馬の路線の区別化が図られることになった。
これにより、朝日杯3歳ステークスは牡馬・騸馬のチャンピオン決定戦、阪神3歳ステークスは「阪神3歳牝馬ステークス」と改称し、牝馬のチャンピオン決定戦として位置づけられた。
本レースも従来の牝馬限定戦から大転換し、牡馬・騸馬限定戦に変更。距離も延長されて2000mになり、レース名は「ラジオたんぱ杯3歳ステークス」に改められた。
レース名の変遷
2001年から馬齢表記の国際基準への変更により従来の3歳馬は2歳馬となったため、レース名も「ラジオたんぱ杯2歳ステークス」と改められた。
寄贈賞を提供してきた日本短波放送が、2004年に愛称「ラジオたんぱ」を「ラジオNIKKEI」に変更したことを受け、レース名も2006年から「ラジオNIKKEI杯2歳ステークス」に変更した。
2014年の2歳戦改革
2014年から2歳戦の中距離路線の拡充が行われることになり、本重賞は中山競馬場に移転するとともに名称が「ホープフルステークス」に改められることになった。
この変更が発表された当初は、従来の「ラジオNIKKEI杯2歳ステークス」の格付を継承したGIIIとされていたが、のちにGII格付を得たことが発表された[1]。
なお、「ラジオNIKKEI」の寄贈杯は、新設された「ラジオNIKKEI杯京都2歳ステークス」が引き継ぐこととなった。
出走条件の変遷
上述のように、当初牝馬限定戦で行われていたが、1991年以降は牡馬・騸馬の限定戦となって出走条件が一変している。その後2000年からは牝馬も出走可能となり、「ホープフルステークス」に改称された2014年からは騸馬の出走ができなくなった。
そのほかの変更では、1993年からは混合レース(外国産馬の出走が可能)、1996年から特別指定交流レース(JRAに認定された地方競馬所属馬の出走が可能)、2010年からは国際レース(外国調教馬の出走が可能)となった。
GI昇格
2017年よりGIに昇格となった。
年表
- 1984年 - 3歳牝馬限定の重賞(GIII[注 4])「ラジオたんぱ杯3歳牝馬ステークス」の名称で創設、阪神競馬場の芝1600mで施行。
- 1991年
- レース条件を「3歳牡馬・騸馬」に変更。
- 名称を「ラジオたんぱ杯3歳ステークス」に変更。
- 施行距離を芝2000mに変更。
- 1993年 - 混合レースに指定。
- 1996年 - 中央競馬特別指定交流レースに指定され、地方競馬所属馬が出走可能となる。
- 2000年 - レース条件を「3歳」に変更。
- 2001年
- 馬齢表記を国際基準へ変更したことに伴い、レース条件を「2歳」に変更。
- 名称を「ラジオたんぱ杯2歳ステークス」に変更。
- 2002年 - 地方競馬所属馬の出走枠が3頭に拡大。
- 2006年 - 名称を「ラジオNIKKEI杯2歳ステークス」に変更。
- 2007年 - 日本のパートI国昇格に伴い、格付表記をJpnIIIに変更。
- 2010年
- 国際レースに指定され、外国調教馬が出走可能となる。
- 格付表記をGIII(国際格付)に変更。
- 2014年
- 名称を「ホープフルステークス」に変更。
- 施行場を中山競馬場に変更。
- GIIに昇格。
- レース条件を「2歳牡馬・牝馬」に変更。
- 2017年
- GIに昇格。
歴代優勝馬
優勝馬の馬齢は、2000年以前も現行表記に揃えている。
回数 | 施行日 | 優勝馬 | 性齢 | タイム | 優勝騎手 | 管理調教師 | 馬主 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
第1回 | 1984年12月9日 | ニホンピロビッキー | 牝2 | 1:35.9 | 河内洋 | 田中耕太郎 | 小林百太郎 |
第2回 | 1985年12月8日 | ダイナカンパリー | 牝2 | 1:37.1 | 樋口弘 | 浜田光正 | (有)社台レースホース |
第3回 | 1986年12月7日 | ドウカンジョー | 牝2 | 1:35.5 | 田島信行 | 池江泰郎 | 新井興業(株) |
第4回 | 1987年12月13日 | プリンセススキー | 牝2 | 1:36.6 | 田島良保 | 田中耕太郎 | 奥村清晴 |
第5回 | 1988年12月11日 | タニノターゲット | 牝2 | 1:36.1 | 小島貞博 | 戸山為夫 | 谷水雄三 |
第6回 | 1989年12月10日 | レガシーワイス | 牝2 | 1:35.8 | 武豊 | 坂口正大 | (株)ホースタジマ |
第7回 | 1990年12月22日 | イソノルーブル | 牝2 | 1:35.0 | 五十嵐忠男 | 清水久雄 | 磯野俊雄 |
第8回 | 1991年12月21日 | ノーザンコンダクト | 牡2 | 2:05.9 | 藤田伸二 | 伊藤修司 | (有)社台レースホース |
第9回 | 1992年12月26日 | ナリタタイシン | 牡2 | 2:05.8 | 清水英次 | 大久保正陽 | 山路秀則 |
第10回 | 1993年12月25日 | ナムラコクオー | 牡2 | 2:05.7 | 上村洋行 | 野村彰彦 | 奈村信重 |
第11回 | 1994年12月24日 | タヤスツヨシ | 牡2 | 2:03.4 | 小島貞博 | 鶴留明雄 | 横瀬寛一 |
第12回 | 1995年12月23日 | ロイヤルタッチ | 牡2 | 2:02.7 | O.ペリエ | 伊藤雄二 | 太田美實 |
第13回 | 1996年12月21日 | メジロブライト | 牡2 | 2:03.1 | 松永幹夫 | 浅見国一 | (有)メジロ牧場 |
第14回 | 1997年12月20日 | ロードアックス | 牡2 | 2:03.8 | 岡部幸雄 | 藤沢和雄 | (株)ロードホースクラブ |
第15回 | 1998年12月26日 | アドマイヤベガ | 牡2 | 2:04.1 | 武豊 | 橋田満 | 近藤利一 |
第16回 | 1999年12月25日 | ラガーレグルス | 牡2 | 2:03.7 | 佐藤哲三 | 大久保正陽 | 奥村啓二 |
第17回 | 2000年12月23日 | アグネスタキオン | 牡2 | 2:00.8 | 河内洋 | 長浜博之 | 渡辺孝男 |
第18回 | 2001年12月22日 | メガスターダム | 牡2 | 2:03.4 | 渡辺薫彦 | 山本正司 | (有)ノースヒルズマネジメント |
第19回 | 2002年12月21日 | ザッツザプレンティ | 牡2 | 2:04.5 | 河内洋 | 橋口弘次郎 | (有)社台レースホース |
第20回 | 2003年12月27日 | コスモバルク | 牡2 | 2:01.6 | 五十嵐冬樹 | 田部和則 | 岡田美佐子 |
第21回 | 2004年12月25日 | ヴァーミリアン | 牡2 | 2:03.5 | 武豊 | 石坂正 | (有)サンデーレーシング |
第22回 | 2005年12月24日 | サクラメガワンダー | 牡2 | 2:01.9 | 安藤勝己 | 友道康夫 | (株)さくらコマース |
第23回 | 2006年12月23日 | フサイチホウオー | 牡2 | 2:02.1 | 安藤勝己 | 松田国英 | 関口房朗 |
第24回 | 2007年12月22日 | サブジェクト | 牡2 | 2:07.0 | O.ペリエ | 池江泰郎 | (有)ノースヒルズマネジメント |
第25回 | 2008年12月27日 | ロジユニヴァース | 牡2 | 2:01.7 | 横山典弘 | 萩原清 | 久米田正明 |
第26回 | 2009年12月26日 | ヴィクトワールピサ | 牡2 | 2:01.3 | 武豊 | 角居勝彦 | 市川義美 |
第27回 | 2010年12月25日 | ダノンバラード | 牡2 | 2:02.2 | 武豊 | 池江泰郎 | (株)ダノックス |
第28回 | 2011年12月24日 | アダムスピーク | 牡2 | 2:02:4 | C.ルメール | 石坂正 | (有)キャロットファーム |
第29回 | 2012年12月22日 | エピファネイア | 牡2 | 2:05:4 | 福永祐一 | 角居勝彦 | (有)キャロットファーム |
第30回 | 2013年12月21日 | ワンアンドオンリー | 牡2 | 2:04:3 | C.ルメール | 橋口弘次郎 | (株)ノースヒルズ |
第31回 | 2014年12月28日 | シャイニングレイ | 牡2 | 2:01:9 | 川田将雅 | 高野友和 | (有)キャロットファーム |
第32回 | 2015年12月27日 | ハートレー | 牡2 | 2:01:8 | H.ボウマン | 手塚貴久 | (有)サンデーレーシング |
第33回 | 2016年12月25日 | レイデオロ | 牡2 | 2:01:3 | C.ルメール | 藤沢和雄 | (有)キャロットファーム |
脚注
注釈
- ↑ 両レースを通じて、1949年から1991年の全84回中、牝馬の優勝は14回。
- ↑ 「3歳牝馬ステークス」という名称のオープン特別レースは1962年からあり、12月に中山競馬場の芝1200m(1969〜1990年は1600m)で行われていた。1994年からはフェアリーステークスとして施行されている(2009年からは1月に(現)3歳戦として、1600mで施行)。1982年の勝ち馬ダイナカールの成績表などに残っている。
- ↑ 同様のケースとしては、「金杯(現:中山金杯・京都金杯)」や「4歳牝馬特別(現:フィリーズレビュー・フローラステークス)」などがある。
- ↑ 当時の格付表記は、JRAの独自グレード。
出典
- ↑ ホープフルSをG2へ!来年から朝日杯FSを阪神で開催(スポーツ報知 2013年10月17日付け 同10月13日閲覧)