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− | * | + | *無罪が確定した事件に対して「これは有罪だ」という方向に誘導する報道の場合、その無罪確定者に対する人権侵害となり、損害賠償沙汰になりかねない。逆に、有罪が確定した事件に対して「これは無罪だ」という方向に誘導する報道は、報道の中立性という点では悪質でも表現の自由・報道の自由がある以上、国からも文句を言われないから。 |
*弁護士の意見に沿って展開すればいいので、番組制作としても楽だから。 | *弁護士の意見に沿って展開すればいいので、番組制作としても楽だから。 | ||
2015年1月4日 (日) 17:55時点における版
飯塚事件(いいづかじけん)とは、1992年(平成4年)に、久間三千年が2人女児を性的暴行して殺害した事件。久間には死刑判決が下り執行された。判決文を読めば、どうみても彼以外に犯人はありえないのだが、一部マスコミは足利事件の冤罪発覚を契機にこの事件も冤罪ではないかと報道している。しかし、そこでは判決文ですでに検証されている事実をあたかも新事実が判明したかのように、さらには他の証拠には一切触れないなどの意図的な偏向報道をしており(特に日本テレビでなされた血液型に関する報道は捏造レベルである)、被害者遺族にいわれなき二次被害を与えている。メディアリテラシーを鍛えるにはうってつけの事件である。
この事件で冤罪説を唱える人は2つに大別でき、①マスコミの報道を簡単に信じてしまう人、②死刑反対論者であり本当は冤罪だとは思っていないくせにこの事件に難癖をつけて死刑廃止論を有利にしようとしている人のどちらかである。残念ながら、冤罪派の中に、③挙がった証拠や判決文を自分で検討した上で冤罪だと信じる人(まともな冤罪派)はほとんどいない。
事件の概要
1992年2月20日、福岡県飯塚市の小学1年生の2人の女児が登校中に行方不明になり、翌日に山中で共に性的暴行を受けたと見られる状態で殺害・遺棄されているのが発見された。
同地域では、1988年に同じ小学校の女児が行方不明になって未解決であった。福岡県警は、その女児が行方不明になる直前に訪れた家の住人であった久間三千年(54歳)を事情聴取。その後、久間が私服警官2人を切りつけたため緊急逮捕され[1]罰金10万円の略式命令を受けた。
女児殺害に関しては、犯人と久間のDNA型がほぼ一致するという鑑定結果が出たもののそれだけでは逮捕に至らず[2]、繊維片の一致が決め手となって[3]、死体遺棄容疑で久間を逮捕。同10月14日に殺人等で久間を再逮捕。
マスコミではやたら(足利事件ではそうだったように)この事件もDNAが最大の決め手になったように捏造報道しているが、この逮捕の経緯から見ても、DNAが最大の決め手になっているとはとても言えないのである。
裁判
第一審・福岡地裁判決
一審の福岡地方裁判所1999年9月29日判決[1]は、状況証拠として、
- 5名の目撃証言から、紺色の後輪ダブルタイヤのワゴンで窓に色付きフィルムが貼ってあるなどの特徴を持った車が犯人の車であることが極めて濃厚であるところ[4][5]、久間が同じ特徴の車を有していたこと[6]。
- 他に該当車の所有者は9名いたが、すべてアリバイが成立し、色付きフィルムも貼っていなかった[6]。
- 繊維片の特徴が合致したことから、被害児童の着衣から発見された繊維片が久間所有車の座席シー卜の繊維片である可能性が極めて濃厚であること[7]。
- 福岡県警察科学捜査研究所、警察庁科学警察研究所、東レ、ユニチカの鑑定結果より[7]。
- 被害者両名が出血・失禁した状態で発見された一方で、久間所有車の後部座席やマットから血痕・人尿痕が検出され誰かがかなりの量の尿をもらしたことが認められるところ、久間がその付着の原因について納得のいく合理的な説明をすることができないこと[8]。
- 被害者の膣内や膣周辺部から犯人の血痕が検出されたが下着等には血痕が付着していなかったため、犯人の手指ではなく陰茎が出血していた可能性が高いといえるところ、久間が亀頭包皮炎に罹患しており陰部から容易に出血する症状を有していたこと[10]。
- 久間が通院した泌尿器科の医師の証言より[10]。また、久間の警察官に対する発言及び久間が録音して記者に渡した会話内容とも合致した[10]。久間は、捜査段階で「シンボル(陰茎)の皮がやぶけてパンツ等にくっついて歩けないほど血がにじんでしまう」[10]「事件当時ごろも挿入できない状態で(中略)セックスに対する興味もなかった」[10]と性的暴行との関連を否定していたにも拘わらず、犯人の血痕が発見された公判段階では突如完治していたという供述に変更した[10]ため、捜査段階での病状に関する供述が信用できると判示された[10]。また久間と妻は、ある薬局で某皮膚薬を購入した事実は全くないと一貫して主張していたが、同店の経営者と元店員が久間を常連客として覚えていたため、久間と妻の供述は「明らかに虚偽であるといわざるを得ない」と判示された[10]。
- 久間のアリバイを直接に裏付ける証拠は全くなく、間接的に裏付ける証拠については久間と妻の供述が捜査段階と公判段階で変遷しており成立しないこと[11]。
- 当日のアリバイについて、久間は、捜査段階で、妻を職場に送って一度帰宅した後に実母宅に向かったと述べていた[11]が、捜査官の再現によって女児が行方不明になった時間に久間が現場を通過する結果になったところ[11]、公判段階で、妻を送った後まっすぐ実母方に向かったと供述を変更した[11]。また、事件当日の行動を思い出した時期ときっかけも、捜査段階では、3月20日に「刑事が帰った後で、あの日は何をしていたのかなあと思って思い出した。妻とは事件の話をしていないので、妻と話し合っているうちに思い出したということはない」と供述していた[11]が、公判段階では、2月25日頃に妻が事件当日のことではないかと挙げた話を聞いて思い出した、と供述を変更した[11]。そのため、「被告人のアリバイに関する供述は(中略)信用できない」と判示された[11]。また、久間の妻の供述も、久間が実母方に行った日について、捜査段階では「事件当日の前後頃だったと思う」と曖昧な記憶であった[11]のに、公判段階では事件当日であると特定するようになっており[11]、「たやすく信用できない」と判示された[11]。
を認定し、これらの総合判断として、被告人が犯人であることについては合理的な疑いを超えて認定することができる[12]として、久間に死刑判決を下した。
- ほか、弁護人から申請された久間の性格鑑定でも、「ストレス状況では、犯罪を犯す本来的な傾向を十分もっている」「情性欠如から性倒錯的行動をとる可能性が十分考えられる」と久間に不利な結果が示されたが、裁判所は「鑑定の結論は採用することができない」と判示し、証拠として採用しなかった[13]。また、DNAの鑑定人は、DNAのHLADQα型でも久間に不利な内容を推定したが、判決では、HLADQα型のキットでは混合血液で積極的に型判定ができない場合もあること等が指摘され、犯人のHLADQα型は特定できないと判示された[9]。
控訴審・福岡高裁判決
控訴審の福岡高等裁判所2001年10月10日判決[2]は、第一審で認められた状況証拠を同様に評価したほか、
- 久間所有車内の血痕が新たなDNA型鑑定法によって検出可能になったところ、そのTH01型・PM型が被害者の一人のものと合致したこと[14]。
を新たに認め、「その血痕がA子に由来するものであることを更に補強しているものと認めるのが相当である」とした[14]。
そして、「これらの情況事実は、いずれも犯人と犯行とを結びつける情況として重要かつ特異的であり、一つ一つの情況がそれぞれに相当大きな確率で犯人を絞り込むという性質を有するものであり、これらは相互に独立した要素であるから、その結果、犯人である確率は幾何級数的に高まっていることが明らかである」と述べ、死刑判決を維持した[14]。
上告審・最高裁判決
最高裁判所2006年9月8日第二小法廷判決[3]は、「被告人が犯人であることについては合理的疑いを超えた高度の蓋然性があるということができるから、これと同旨の原判決の事実認定は、正当として是認することができる」[15]と上告を棄却し死刑が確定した。
死刑執行
2008年10月28日、森英介法務大臣(当時)によって久間の死刑執行がなされた。享年70[16]。
なお、馬鹿なマスコミは、他の事件と比較してこの事件は死刑執行が早すぎるといって難癖をつけているが、以下を見るように、この頃は死刑確定後、2年少々で執行するのが普通だったのであり、死刑執行が早すぎるというのはマスコミの捏造である。
陸田真志 08.06.17執行 犯行後12年05月 確定後02年08月 鳩山邦夫
宮崎 勤 08.06.17執行 犯行後19年00月 確定後02年05月 鳩山邦夫
平野 勇 08.09.11執行 犯行後13年08月 確定後02年00月 保岡興治
山本峰照 08.09.11執行 犯行後03年07月 確定後02年05月 保岡興治
萬谷義幸 08.09.11執行 犯行後20年07月 確定後06年09月 保岡興治
高塩正裕 08.10.28執行 犯行後04年07月 確定後01年10月 森英介
久間三千年08.10.28執行 犯行後16年10月 確定後02年01月 森英介
西本正二郎09.01.29執行 犯行後04年04月 確定後02年00月 森英介
佐藤哲也 09.01.29執行 犯行後08年09月 確定後02年05月 森英介
川村幸也 09.01.29執行 犯行後08年09月 確定後02年05月 森英介
牧野 正 09.01.29執行 犯行後18年10月 確定後15年02月 森英介
陳徳 通 09.07.28執行 犯行後10年02月 確定後02年01月 森英介
山地悠紀夫09.07.28執行 犯行後03年08月 確定後02年01月 森英介
前上 博 09.07.28執行 犯行後04年05月 確定後02年00月 森英介
再審請求
2009年10月、上記のように証言の翻しや虚偽の証言をしていた久間の妻が福岡地方裁判所に再審請求した[17]が、2014年3月31日に再審請求棄却の決定がなされた。[18]
マスコミによる冤罪誘導
マスコミが目をつけ始めたきっかけ
2009年6月、足利事件で有罪判決を受けていたSさん(これは完全に冤罪)がMCT118型検査法による鑑定結果を最新のDNA型鑑定によって否定された。そこで、同じくMCT118型検査法を使っていた本事件もマスコミで採り上げられ、そこではおおむね、国家が無実の人に死刑を執行してしまったのではないかというスタンスで報道された。
しかし、足利事件は以下の特徴があった。
- DNA型がほぼ唯一の証拠でありその証拠力が最大の争点となった。
- 当時の123塩基マーカーで計測したMCT118型の鑑定結果を、新しいアレリックラダーマーカーで計測したところ、犯人と服役囚のDNA型が一致しなかった。
それに対して、本事件は以下の特徴があった。
- 第二審でアレリックラダーマーカーが検討されているほか、新たに開発されたTH01型とPM型の検査法によっても久間が犯人であることと矛盾しない結果が出た[14]。
- 複数の状況証拠が存在し、血液型とMCT118型の一致は「決定的な積極的間接事実とはなりえない」ことを前提に判決が下されている。
しかし、マスコミはこれらの点を無視している。
また、足利事件は、日本弁護士連合会が支援する再審事件であった[19]が、本事件は日弁連ですら支援していない事件であることからして察するべきである。
なぜマスコミは冤罪に誘導するのか
- 『無実の人を死刑にしたのか!?』というキャプションなら視聴者を引き付けやすいから。
- 無罪が確定した事件に対して「これは有罪だ」という方向に誘導する報道の場合、その無罪確定者に対する人権侵害となり、損害賠償沙汰になりかねない。逆に、有罪が確定した事件に対して「これは無罪だ」という方向に誘導する報道は、報道の中立性という点では悪質でも表現の自由・報道の自由がある以上、国からも文句を言われないから。
- 弁護士の意見に沿って展開すればいいので、番組制作としても楽だから。
弁護団の理屈
弁護団は、2012年10月に記者会見を開き、犯人のものとされるDNA型の写真のネガフィルムを鑑定したところ、ネガの周辺が切り取られておりその部分から第三者のDNA型も確認された旨、及び、そのような切り取りがあったので改竄捏造の可能性がある旨を主張した[20]。もちろん、弁護側なのでこういう主張をするのは当然だろうが、その主張をあたかも真実が担保されたかのように流すマスコミの姿勢にはうんざりである。
なお、弁護団は久間のDNAも映っていることは否定していない。
しかも、ネガの切り取りについては、「写真は書面のサイズの問題で一部を切り取っただけ」[21]にすぎず、弁護団が第三者のDNA型と主張する部分については、どうみてもノイズにしか見えない部分であり、実際に「鑑定の際に生じる染色ムラや現像ムラ」[22]いわゆる「エキストラバンド(余分な帯)」[23]と反論され、第一審の検察側論告でも言及されている[22]。また、法医学者の神田芳郎久留米大学教授も弁護団の主張に否定的である[22]。改竄捏造の可能性について、「ネガはこれまでも証拠開示されており弁護士側も見ているはず」[24]「ネガの全体を裁判所に提出して証拠採用されており、元死刑囚の有罪は揺るがない。改ざんはあり得ない」と反論されている[20]。
百歩譲って第三者のDNA型が現場にあったとしても、それは現場にあった虫とかのDNAかもしれない(そもそも、他の生き物のDNAがつく可能性を主張していたのは冤罪派の方である)。 そこからさらに百歩譲ってその第三者のDNA型が人間のものであったとしても、久間のDNA型も映っていたことは弁護団も否定していないのであり、結局、久間に共犯者がいたことを新たに裏付けるだけであり、久間が黒であることには変わりないのである。
判決文をろくに読んでいない(もしくは意図的に誘導した)ためにツッコミどころ満載のテレビ報道
テレビ朝日『ザ・スクープ』2009年8月9日放送による偏向報道
この番組では、MCT118型検査法に対する問題点以外に、目撃者Tの証言内容に関して以下のように疑問を呈した。
- 心理学者の厳島行雄日本大学教授の実験(何も知らない30人にTと同条件で運転させ2週間後に証言させる)でTのような詳細な証言[4]ができた者がいなかったことから、警察が目撃証言を誘導した可能性に触れた[25]。
ツッコミどころ→車両の目撃証言者は5人いたが、番組で扱われたのはTの証言だけであった[25]。また、Tの目撃の翌日には現場そばで女児の遺体が発見されて大々的に報道されている[26]が、実験ではその点は考慮されていなかった[25](普通、自分が通った場所に見慣れない不審者がいてしかもそのすぐそばで殺人事件の遺体が発見されたら、そのときの記憶をずっと維持しようとするはずで何ら不審な点はない)。また、判決は、「Tの公判供述は、捜査機関から被告人車を見せられたことによって変容した記憶に基づくものであるという可能性があるので、その信用性を検討する必要がある」と述べて以下誘導の可能性は検討済みである[4]が、番組では触れられなかった[25]。
- 事件直後、白い不審な車の目撃情報があったことに触れ、これが事件に関係している可能性を示した[25]。
ツッコミどころ→事件当日の午後4時半に被害者の一人に似た女児を乗せた白い車を目撃したという情報が報道された事実はある[27]ものの、その後の司法解剖および胃の内容物の鑑定に基づき、2女児の死亡推定時刻は略取誘拐された直後である午前8時半から9時頃までと推定されることが判決で示された[28]が、番組では触れられなかった[25]。また、ほかにも白い車の目撃情報が事件当時あったが、一般的に事件発覚時は情報が錯綜して全く無関係の人が不審人物として登場することは普通であり、だいたい裁判ではそもそも白い車の話は久間も主張していないのであるから、これをいつまでたっても採り上げる意味が分からない。
- 鳥越俊太郎は、"これでDNA鑑定と目撃証言という証拠が崩れて、残りの証拠は自動車座席の繊維片だがこれも改竄があるかもしれない"旨を述べ、本事件の判決を下した(第一審から最高裁までの)裁判官11人の実名をフリップで掲げて冤罪である説を唱えた[25]。
ツッコミどころ→同番組でも、第二審で証拠とされたTH01型・PM型のDNA型検査法は触れられなかった[25]。また、本事件では陰部出血症状の一致や久間車内の尿痕等の証拠があるにも拘わらず、番組では触れられることなく、鳥越は上記のように残りの証拠は繊維片だけである旨の発言をした[25]。
ジャーナリスト清水潔を中心とした日本テレビでの2013年偏向報道
日本テレビは、清水潔と境一敬の取材を基に、2013年に「NEWS ZERO」と「news every」と「NNNドキュメント」で特集を立て続けに放送した[29][30][31](NNNドキュメントのディレクターは境一敬、チーフディレクターは清水潔であり、その後出版された清水の著書に同内容の記述がある[32])。これらの番組と清水の著書では以下のような指摘がなされている。
- 目撃者Tの「車体にはラインが入ってなかった」という供述調書の記載に対し、心理学者の厳島行雄日本大学教授による"ラインが入っていないものをわざわざラインが入っていないとは言わない"という旨の主張を紹介した[29][30][31][32]。
ツッコミどころ→そもそも供述調書は、単に供述者が自発的に述べたことをそのまま書き取るものではなく取調べの結果を事後的に整理して編集要約して記載するものであり[33]、いつもは冤罪派はその点を供述調書の信憑のなさとして難癖をつけるというのに、何たる背理であろうか。当然、この点は番組では触れられなかった[29][30][31]。
- Tは1992年2月20日に車を目撃して3月9日に調書作成となったところ、調書作成前の3月7日に、調書を作成する警察官が久間車の特徴を確認していたことが捜査資料から明らかになったとし、その警察官の前提知識が調書作成に影響を与えた可能性を示した[29][30][31][32]。
ツッコミどころ→目撃の翌日には目撃現場そばで女児の遺体が発見されて大々的に報道され[26]、判決では、Tは調書作成前の「3月2日前後には警察官に対して目撃事実を供述しており、3月4日には警察官を現場に案内している」ことが認定されている[4]が、番組では触れられなかった[29][30][31]。
- 現場で見つかった血痕に関して久間の血液型はB型であるところ、弁護側が依頼し、足利事件の再審請求でもDNA鑑定をした本田克也筑波大学教授による“単独犯ならばAB型しか考えられない”との見解をテレビで流した[31](なお、足利事件の再審請求では、本田教授の鑑定と主張は受け入れられておらず、鈴木廣一大阪医科大学教授の鑑定が採用されて再審無罪となったものである[34])。
ツッコミどころ→判決では、AB型と鑑定された血痕が単独のものか否かがすでに検証されており、それによると、「血痕からは、4本のバンドが検出されているのであるから、右血痕が2人以上の人間の混合血であることは疑問の余地がない。(中略)AB型単独の血痕ではあり得ない」、とそもそも単独の血痕ではないことが認定されている(被害者のA型と犯人のB型が混合したと示されている)[9]。ここまではっきり判決文に書いてあるにもかかわらず、あたかも法医学者が科警研の鑑定結果と違う鑑定結果を導いたかのように報道するのは、マスコミによる捏造ではないのか。
ツッコミどころ満載の出版物
ツッコミどころ→福岡高裁は123塩基ラダーマーカーの16-26型がアレリックラダーマーカーの18-31型に対応しうるとしていた[14]ところ、前者の16-27型は後者の18-31型であるため[36]、より正確な方法でもDNA型は矛盾していない。
ツッコミどころ→第一審判決では帝京大学の鑑定結果が判決で触れられているため[9]、天笠らの指摘は真実ではない。
- 清水潔の著書によると、本件のDNA鑑定をした石山昱夫帝京大学教授が、科警研鑑定の結果を批判して「鑑定方法が杜撰で技術が低く、私の教室ならばやり直せと命じたいほどだ」と述べたという[32]。また、天笠啓祐らの著書によると、同教授が、久間が犯人でないとするのが常識であると述べたという[37]。
ツッコミどころ→「脱脂綿の表面全体が赤く染まっていたものが、科警研においてこれ以上鑑定できないという程度にまで資料を費消した結果、石山鑑定の段階では、ごく少量の綿をつまみ取ってよったようなものに、かすかに色がついているかどうかという状態」[9]になった事実を知った石山教授が公判で知って驚いた旨が第一審判決で指摘されている(「この違いは、法廷でそれを知った証人石山が驚くほどのものであった」[9])ところ、上記書籍の指摘は、石山教授がそのような事実を知った後の見解であるか否かを明らかにしていない。
1988年の女児行方不明事件
本事件以前の事件現場周辺では、1988年12月4日に本件被害者と同一小学校で小学校1年生の女児が、弟の友人(久間の息子)を訪ねて久間宅に遊びに行ったのを最後に行方不明になる事件が発生[38][39]。本件で逮捕後の久間をポリグラフにかけた際に反応の出た山林一帯を捜索した結果、女児のジャンパーとトレーナーが発見された[38]。久間は事件当日に女児と会っていた事は認めたが、行方については知らないとした。その後はさらなる発見がなく1995年2月18日に再捜索は打ち切られ、現在も未解決である。困ったことに、冤罪派は、そのときに見つかったジャンパーやトレーナーが妙に新しかったので、これは警察による証拠捏造であると主張している。しかし、仮に不自然にそれらの衣服が新しかったとしても、新たに2女児殺害事件が起こって家宅捜査が近いと思った犯人が慌てて所有していたこれらの衣服を捨てたと考えるのが普通であり、そこに何ら不審な点はない。仮に冤罪派の主張を採るとすれば、そもそも事件か事故かすら分かっていない行方不明の事案において、なぜ警察が密かに行方不明女児の衣服を隠し持っている必要があるのか説明できない。
参照元
- ↑ 1993年9月29日西部読売夕刊
- ↑ 日本経済新聞1994年9月24日
- ↑ 毎日新聞1994年9月24日
- ↑ 4.0 4.1 4.2 4.3 福岡地方裁判所判決 二 被害児童の遺留品発見現場付近で目撃された自動車及び人物について
- ↑ 福岡地方裁判所判決 三 被害児童が最後に目撃された時刻、場所と接着した時刻、場所で目撃された自動車について
- ↑ 6.0 6.1 福岡地方裁判所判決 四 被告人が本件犯人像と矛盾しないことについて
- ↑ 7.0 7.1 福岡地方裁判所判決 五 被害児童の着衣等に付着していた繊維片について
- ↑ 8.0 8.1 8.2 8.3 8.4 8.5 8.6 福岡地方裁判所判決 六 被告人車内から検出された血痕及び尿痕について
- ↑ 9.0 9.1 9.2 9.3 9.4 9.5 9.6 9.7 福岡地方裁判所判決 七 被害児童の身体等に付着していた血液の血液型及びDNA型について
- ↑ 10.0 10.1 10.2 10.3 10.4 10.5 10.6 10.7 福岡地方裁判所判決 八 本件前に被告人が亀頭包皮炎を発症していたことについて
- ↑ 11.0 11.1 11.2 11.3 11.4 11.5 11.6 11.7 11.8 11.9 福岡地方裁判所判決 九 被告人に犯行の機会があったこと(アリバイが成立しないこと)について
- ↑ 福岡地方裁判所判決 一一 結論
- ↑ 福岡地方裁判所判決 一〇 被告人の性格鑑定について
- ↑ 14.0 14.1 14.2 14.3 14.4 福岡高等裁判所判決
- ↑ 最高裁判所判決
- ↑ K死刑囚ら2人刑執行 ペース定着、年間最多更新 47NEWS 2008年10月28日
- ↑ http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/national/20140318-OYS1T00137.htm
- ↑ http://www.nikkei.com/article/DGXNASJC1802P_R30C14A3000000/
- ↑ http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/publication/books/data/hakusho_tokushu2013_1.pdf
- ↑ 20.0 20.1 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20121025-OYT1T01330.htm[リンク切れ]
- ↑ http://mainichi.jp/select/news/20121026k0000m040111000c.html 毎日新聞2012年10月25日[リンク切れ]
- ↑ 22.0 22.1 22.2 http://www.nikkei.com/article/DGXNASJC1602T_Z11C12A1ACY000/
- ↑ http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20140317-OYT1T00927.htm?from=ylist
- ↑ 久間元死刑囚と不一致か=「犯人DNA型」ネガ鑑定-弁護団が発表、飯塚事件・福岡時事ドットコム 2012年10月25日[リンク切れ]
- ↑ 25.0 25.1 25.2 25.3 25.4 25.5 25.6 25.7 25.8 テレビ朝日「ザ・スクープ」2009年8月9日放送。
- ↑ 26.0 26.1 1992年2月22日読売新聞、毎日新聞、朝日新聞各紙
- ↑ 読売新聞1992年2月27日31面
- ↑ 福岡地方裁判所判決 一 事案の概要
- ↑ 29.0 29.1 29.2 29.3 29.4 日本テレビ「NEWS ZERO」2013年4月11日放送
- ↑ 30.0 30.1 30.2 30.3 30.4 日本テレビ「news every」2013年4月13日放送
- ↑ 31.0 31.1 31.2 31.3 31.4 31.5 日本テレビ「NNNドキュメント」2013年7月28日放送
- ↑ 32.0 32.1 32.2 32.3 32.4 清水潔「殺人犯はそこにいる」10章
- ↑ 函館地裁平成9年3月21日判例時報1608号33頁以下。
- ↑ 東京高等裁判所決定平成21年6月23日/平成20年(く)第94号
- ↑ 別冊宝島「日本の『未解決事件』100」77ページ(宝島社)。
- ↑ 報道特集NEXTで映された対照表より。
- ↑ 37.0 37.1 天笠啓祐・三浦英明「DNA鑑定―科学の名による冤罪」150ページ(緑風出版)。
- ↑ 38.0 38.1 読売新聞西部1995年1月3日
- ↑ 朝日新聞1994年11月11日夕刊