「世界保健機関」の版間の差分

提供: Yourpedia
移動: 案内検索
(ページの作成:「'''世界保健機関'''(せかいほけんきかん、{{lang-en-short|World Health Organization, WHO}}、{{lang-fr-short|Organisation Mondiale de la Santé, OMS}})は...」)
 
(付属機関)
79行目: 79行目:
  
 
== 付属機関 ==
 
== 付属機関 ==
[[ファイル:WHO Kobe Centre For Health Development01s3200.jpg|right|200px|thumb|WHO神戸センター]]
 
 
* [[国際がん研究機関]](IARC)
 
* [[国際がん研究機関]](IARC)
 
* [[WHO健康開発総合研究センター]](WHO神戸センター、WKC)
 
* [[WHO健康開発総合研究センター]](WHO神戸センター、WKC)

2014年10月18日 (土) 09:05時点における版

世界保健機関(せかいほけんきかん、World Health Organization, WHOOrganisation Mondiale de la Santé, OMS)は、人間の健康基本的人権の一つと捉え、その達成を目的として設立された国際連合専門機関国際連合機関)である。略称は英語式(WHO)と仏語式(OMS)で異なる。日本をはじめ多くの国では英語略称のWHO(ダブリュー・エイチ・オー)が多用される。(以下「WHO」と表記する。読みについては後述

1948年設立。本部はスイスジュネーヴ。設立日である4月7日は、世界保健デーになっている。

WHOでは「健康」を「完全な身体的、精神的及び社会的 福祉の状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない」(WHO憲章前文)と定義しており、非常に広範な目標を掲げている。

そのために、病気の撲滅のための研究、適正な医療医薬品の普及だけでなく、ベーシック・ヒューマン・ニーズ(BHN)の達成や健康的なライフスタイルの推進にも力を入れている。また組織の肥大化と共に企業との癒着構造が問題として指摘されている。

WHOの活動内容

  • 世界保健機関憲章第1条「すべての人々が可能な最高の健康水準に到達すること」を目的とする
  • 情報の収集公開や国際基準の設定(国際疾病分類(ICD)の作成など)
  • 多国間協力の推進
  • 災害時緊急対策
  • 感染症対策(痘瘡根絶、拡大予防接種対策)
  • 都市に住む人の健康を守り、生活の質を向上させるため、WHO健康都市に対する取り組みの推進

WHOの組織

WHOの最高意思決定機関は総会である。総会には加盟国すべてが代表を送ることができる。総会においては3分の2の多数によって条約や協定を制定することができる。この条約は加盟国には強制力はないものの、加盟国はたとえ自国の代表が反対した条約でも18ヶ月以内に国内での採択に向けて何らかのアクションを起こさなければならない。また、総会においては34カ国の委員を3年任期で執行理事会理事に選出し、これによって構成される執行理事会が総会の執行機関となる。また、常設の事務局があり、総会の議決に基づき通常業務を行う。事務局長がWHOのトップとなる。事務局長は総会において選出される。[1]

加盟国

地域事務局の所在地と管轄地域 アフリカコンゴブラザヴィル)       アメリカアメリカ合衆国ワシントンD.C.)       地中海エジプトカイロ)       ヨーロッパデンマークコペンハーゲン)       東南アジアインドニューデリー)       西太平洋フィリピンマニラ)      

2006年5月現在、193の国と地域が加盟している[2]

右の図のように、世界に6つの地域事務局が置かれ、それぞれに管轄地域が与えられている。

歴代事務局長

事務局長 任期
1 ブロック・チゾム 1948年 - 1953年 カナダ
2 マルコリーノ・ゴメス・カンダウ 1953年 - 1973年 ブラジル
3 ハルフダン・マーラー 1973年 - 1988年 デンマーク
4 中嶋宏 1988年 - 1998年 日本
5 グロ・ハーレム・ブルントラント 1998年 - 2003年 ノルウェー
6 李鍾郁 2003年 - 2006年 大韓民国

アンデルス・ノルドストレム 2006年 - 2007年 スウェーデン
7 陳馮富珍(マーガレット・チャン) 2007年 - (現職) 中国香港

歴史

全世界的な公衆衛生や健康に関する最初の国際的機関は、1907年12月に発足した国際公衆衛生事務局である。本部をパリに置いたこの機関は、12カ国が「公衆衛生国際事務局設置に関する千九百七年のローマ協定」[3]に調印することによって発足し、当初はヨーロッパだけを対象としたものだったのが、第一次世界大戦の勃発する1914年までには60カ国が参加するまでになっていた。第一次世界大戦後、発足した国際連盟は国際公衆衛生の専門機関を発足させようとしたが、国際公衆衛生事務局は原調印国であるアメリカ合衆国が国際連盟に不参加を決めたため、連盟とは別組織のままで存続することとなった。第二次世界大戦後、新たな健康に関する国際機関の設立が提唱され、1946年7月22日に国連経済社会理事会が世界保健機関の憲章を採択。連盟の保健局や国際公衆衛生事務局を解散して、1948年4月7日に世界保健機関が設立された。[4]

天然痘の撲滅

WHOの功績の中でももっとも輝かしいものは、天然痘の撲滅に成功したことである。1959年には天然痘撲滅のための世界計画が開始され、1967年には特別予算が組まれるとともに、10年後の1977年までに天然痘を撲滅させることが明確に謳われた。このとき、世界には天然痘の患者が1000万から1500万人いると推定されていた。しかし、WHOや世界各国が種痘などの対策を行った結果患者数は激減し、1977年ソマリアで発見された患者を最後に天然痘は地球上から姿を消した。そして、患者が発生しなくなってから3年後の1980年、WHO総会は天然痘の撲滅を正式に宣言した。[5]

新型インフルエンザ、パンデミック誤警告と企業癒着問題

2009年から10年にかけての新型インフルエンザの世界的流行に際し、WHOのマーガレット・チャン事務局長は「今、すべての人類が脅威にさらされている」として、新型インフルエンザをすべての人類の脅威とする広報を行った。その後、新型インフルエンザが弱毒性である事が発覚するも、顕著な感染や死亡の被害が著しい事態を想定した警告であるフェーズレベル6/6と警告し、パンデミック(世界的大流行)を宣言した。 しかし「すべての人類の脅威」とまで宣言された新型インフルエンザは、他の季節性インフルエンザと大差ないレベルのインフルエンザで被害も小さなものであった[6]。一連のWHOの誤報を重く見た欧州議会は、パンデミック宣言に至った経緯の調査に踏み出す事態となった。

欧州議会のボーダルク前保健衛生委員長は、WHOの宣言は偽のパンデミックであったとして問題提起をしている。WHOの意思決定には製薬会社の意向が大きく影響した可能性が高いとしている。製薬会社は研究所などで働く科学者へ大きな影響力を持っており、この事と今回WHOが広く科学者の意見を求めた事がその影響力を強める原因になったと語っている。一方、新型インフルエンザワクチン製造なども行い、世界最大規模の製薬会社であるグラクソ・スミスクライン社(英国)は、製薬会社がWHOのパンデミック宣言に影響を与えているなどの認識は誤りであるとインタビューに応えている。[7]

2010年1月になるとワクチンが世界的に余剰状態となり、キャンセルや転売が相次ぐ事態となっている。

IAEAに従属

1959年に結んだIAEAとの規定では、「IAEA(原発推進を掲げている)の許可なしに、放射線の影響における科学論文を公表してはならない」となっている[8]。WHO議長はこの事について「WHOがIAEAに従属しているので、健康は原子力に従属する」と発言している[9]

付属機関

読みについて

英語式略称の WHO は「ダブリュー・エイチ・オー」とイニシャル読みするのが正しく、「フー」とアクロニム読みにはしない。しかし、辞書によっては「フー」という表記も見られる[10][11]

脚注

  1. 「世界地理大百科事典1 国際連合」p324-325 2000年2月1日初版第1刷 朝倉書店
  2. 世界保健機関 (WHO)”.外務省国際機関人事センター.2009年2月27日閲覧。
  3. 日本国外務省、公衆衛生国際事務局設置に関する千九百七年のローマ協定
  4. 「世界地理大百科事典1 国際連合」p322-323 2000年2月1日初版第1刷 朝倉書店
  5. 「世界地理大百科事典1 国際連合」p330 2000年2月1日初版第1刷 朝倉書店
  6. (UPDATE) WHO declares first 21st century flu pandemic / Reuters”. ABS-CBN News. (2009年6月11日). オリジナルの2009年6月12日時点によるアーカイブ。 2014年6月25日閲覧。
  7. Alex Newman (2010年1月5日). “Europe to Investigate WHO 'False Pandemic' Scandal”. The New American 2014年6月25日閲覧。
  8. IPPNW12p
  9. ECRR 2010年勧告49p
  10. Weblio辞書の三省堂・大辞林の世界保健機関に「WHO。フー。」と記載がある。
  11. 医師の転職支援「専門医局」サイトの用語集に「WHO(フー)」として、世界保健機関の記載がある。

関連項目

外部リンク