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==逮捕と人権== | ==逮捕と人権== |
2012年8月31日 (金) 11:31時点における版
この項目では、被疑者の逃走等防止のための逮捕について説明しています。犯罪行為である逮捕については「逮捕・監禁罪」をご覧ください。 |
逮捕(たいほ)とは捜査機関または私人が被疑者の逃亡及び罪証隠滅を防止するため強制的に身柄を拘束する行為をいう。
At last some rationality in our little dbetae.
目次
逮捕と人権
無罪推定の原則
逮捕された被疑者は、国際人権規約(「人権」を参照のこと)の一部を成す「市民的及び政治的権利に関する国際規約」第14条2項にもあるように、刑事上の事実認定や法上の取り扱いにおいて無罪を推定されている立場である。
逮捕と大衆意識
犯罪を犯した疑いの強い者について、裁判官を納得させられる程度の疎明資料を捜査機関が揃えれば逮捕状が発付されるため、被疑者=犯人ではない。しかし、日本人の大衆意識としては、逮捕は有罪判決と同然、すなわち「逮捕(すること)=有罪(にすること)」が一般的であるとされ、被疑者が身柄を確保されることはしばしば「犯人逮捕」と呼称され、「逮捕された時点で既に有罪が確定」したも同然として認識されているということができ、以下の理由から日本におけるこのイメージが根強く残っている。
- 相当程度確実な証拠が得られなければ逮捕しないことが多いこと、現実に逮捕・起訴された場合の有罪率('起訴有罪率)の高さ(「精密司法」を参照のこと)。検察官は、間違いなく公判維持・有罪にできると考える事件以外は、嫌疑不十分による不起訴(又は起訴猶予)の処分を行う。
- 裁判所又は裁判官が捜査機関から逮捕状その他の令状の請求を受けた場合、その請求を却下するのは1%未満である。
- 被疑者が心神喪失など精神面での障害がない成人であれば、ほぼ確実に実名報道される(精神科に通院中または通院歴がある者については、いじめや偏見の対象になりやすいため、実名を上げないことが多い)。後日冤罪などで無罪が確定したとしても、実名報道したメディアには謝罪する義務が一切課せられていない。
- 被疑者としての氏名が世間に知られた以上、大きな社会的制裁を受けたのに等しく、中堅以上の企業へ就職することがほぼ不可能になり、事実上職業選択の自由が剥奪されてしまう場合もある(ホワイトカラーへの就職はまず不可能であり、ブルーカラーへの就職すら困難になることもある)。
- マスメディアによる犯人視報道(メディアパニッシュメント)
- 犯罪を取り上げた映画・テレビドラマ・小説の影響(あらかじめ犯人が設定されていないと物語が成り立たない。また、特に刑事ドラマでは「犯人を逮捕した時点」で事件解決との筋立てとなっており、さらに「逮捕した瞬間で時効が停止」するという誤った認識で書かれることもあり、検察の送致、裁判を省略しているため、誤解を生じやすい)。
- 警察官と検察官と裁判官の役割分担が、大衆意識のレベルで未分化である[2]。
身体検査
拘置所や留置場では被疑者が違法な物品を施設内にもちこまないように身体検査がおこなわれるが、その際、全裸にされたり肛門を検査されたりすることが屈辱的だとしてしばしば人権問題になることがある[3]。
逮捕の基準
逮捕の手段として最も一般的である通常逮捕は、裁判官の発付する令状(逮捕状)によってのみ執行することができる。いずれの逮捕も拘束時間は原則として警察で48時間・検察で24時間の最大72時間(検察官による逮捕の場合は48時間)である。
その後、必要に応じて上記時間内に勾留請求がなされ、裁判所がこれを認めればさらに10日間(延長されれば最大20日間)の勾留がなされる(マスコミ用語では「拘置」と呼ばれる)。
逮捕は逃亡および罪証隠滅のおそれがある場合に行われるので、逆に言えばそれらのおそれがなければ被疑者を逮捕する必要はない。その場合は任意調べの後に、起訴相当と考えられれば関係書類をまとめて検察庁に送り、移管する。これをマスコミ用語で書類送検と呼ぶ(訴訟手続上、身柄の有無にかかわらず検察官送致という)。
殺人罪や傷害致死罪といった人命に関わる犯罪の場合や、強盗、覚せい剤取締法違反、また強姦・強制わいせつ罪のような性犯罪はほぼ逮捕され、自動車を運転して事故を起こした場合(危険運転致死傷罪・自動車運転過失致死傷・道路交通法違反など)も逮捕されることが多い。
逮捕の目的
法上の目的は、罪証隠滅の恐れ、もしくは逃亡のおそれがある場合における被疑者の身柄の確保にあるが、捜査員の主観においては被疑者の取調べが主な目的であり、また、マスメディアで取り上げられるような著名な事件では、見せしめを狙った逮捕や、権力に逆らう人物を弾圧目的で逮捕する例も見られるといわれる。
再逮捕
再逮捕の定義
再逮捕(さいたいほ)とは、既に逮捕されている者を釈放した後に、または釈放することなく引き続き勾留した状態で再度逮捕することである。具体的な手続は逮捕状を示し、再逮捕する旨の告知で終わる。再逮捕の被疑事実は、前の逮捕の被疑事実と異なる場合と同一の場合とがある。
異なる被疑事実での再逮捕
マスコミ報道などでよく耳目にするのは、異なる被疑事実での再逮捕である。見出しでは単に「再逮捕」となっていても、本文では例えば「死体遺棄容疑で身柄拘束中の被疑者を殺人容疑で再逮捕した」などと記されている。このような再逮捕は疑いなく合法であり、後述のようにマスコミによる法律用語の誤用とする指摘もある。
同一の被疑事実での再逮捕
同一の被疑事実での再逮捕は「一罪一逮捕一勾留の原則」との関係で問題があるため、法律学においてはもっぱらこちらのケースの「再逮捕」が論議の対象となっている。そのため、法律学において単に「再逮捕」と言った場合は、この同一の被疑事実による再逮捕のみを意味することが多い。
逮捕には身柄拘束期間の上限が規定されているが、もしも同一の被疑事実での再逮捕を許したのならば、捜査機関は逮捕を繰り返すことで好きなだけ身柄拘束期間を延ばすことが可能となってしまい、この上限規定を無意味なものにしてしまう。そこで、同一の犯罪事実については、逮捕は1回しか許されないというのが、刑事訴訟における原則となっている(一罪一逮捕の原則)。
ここで問題となるのは、同一の被疑事実か否かの判定方法である。また、釈放後に重大な新証拠の発見があった場合や逮捕後に被疑者が逃亡したような場合にも二度と逮捕できないとするのは不合理であるため、一罪一逮捕の原則の例外が認められる条件が講学上、問題となる。
マスコミ用語と法律用語
マスコミが法律用語を誤用したり、あらたに法律用語のような言葉を作り出すのはよくあることで、この様な例としては、「更改」「容疑者」「被告」などが挙げられている。「再逮捕」についてもこのような例として挙げられることがあるが、マスコミだけでなく法実務の現場においても両方のケースが「再逮捕」と呼ばれているという指摘もある。
脚注
関連項目
- 法律上の身柄拘束処分の一覧
- 逮捕罪 - 不法に人を逮捕した場合は逮捕罪となる。
- 特別公務員職権濫用罪 - 特定の公務員が職権を濫用して人を逮捕した場合は特別公務員職権濫用罪となる。
- 監禁
- 微罪逮捕
- 別件逮捕
- 誤認逮捕
- 不逮捕特権
- 転び公妨
- 逮捕術
- 自衛隊逮捕術
このページはウィキペディア日本語版のコンテンツ・逮捕を利用して作成されています。変更履歴はこちらです。 |