「鋼の錬金術師」の版間の差分

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{{Otheruseslist|荒川弘の漫画作品|2003年のアニメ|鋼の錬金術師 (アニメ)|2009年のアニメ|鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST}}
 
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|出版社=[[スクウェア・エニックス]]
 
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|開始=[[2001年]][[1月15日]]
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|開始号=[[2001年]]8月号
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{{漫画}}
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『'''鋼の錬金術師'''』(はがねのれんきんじゅつし)は、[[荒川弘]]による[[日本]]の[[漫画]]作品。また、それを原作とした派生作品。『[[月刊少年ガンガン]]』([[スクウェア・エニックス]])にて、2001年8月号より連載中。
  
『'''鋼の錬金術師'''』(はがねのれんきんじゅつし、''Fullmetal Alchemist''、略語:ハガレン、鋼、F.A、FMA)は『[[月刊少年ガンガン]]』で連載中の[[荒川弘]][[漫画]]作品。また、それを原作にした[[テレビアニメ]]。
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2004年、第49回[[小学館漫画賞]]受賞。2006年、第5回[[東京アニメアワード]]原作賞を受賞。2009年8月現在、単行本は24巻まで発売されており、累計発行部数は、スクエニ発行のコミックスの最高記録となる、4000万部を突破した<ref>[http://mainichi.jp/enta/mantan/news/20091209mog00m200011000c.html 毎日jp -まんたんウェブ - 鋼の錬金術師:コミックス24巻で4000万部突破 スクエニ初の大台]</ref>。2003年にアニメ化、2009年に再アニメ化され[[4月5日]]より放送中。
 
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2001年から『月刊少年ガンガン』([[スクウェア・エニックス]])にて連載。13巻で売り上げは2000万部を突破した。
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2004年、第49回[[小学館漫画賞]]受賞(スクウェア・エニックスでは[[いがらしみきお]]の『[[忍ペンまん丸]]』に続き事実上の2作目)。2007年12月現在、コミックは18巻まで発売されている。
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== 概要 ==
 
== 概要 ==
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錬金術<!-- 錬金術は非リンク -->が存在する架空の世界を舞台とした[[ファンタジー漫画|ハイ・ファンタジー漫画]]。物語の世界は、19世紀の産業革命期のヨーロッパをモチーフにしている。
  
キャラクター設定の深さ、緻密かつ壮大なスケールのストーリー構成と演出で圧倒的人気を誇り、本作が連載を開始してから、当時の主要作品を次々と失って低迷していた『[[月刊少年ガンガン]]』の売り上げ部数が飛躍的に伸びた。外国語版タイトルである「Fullmetal Alchemist」の頭文字を取って「'''F.A'''」と呼ばれることもある。現在単行本は、18巻まで刊行。
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初期から人間の命の重さといった重いテーマを扱いながらも、少年漫画としてコミカルなギャグシーンや躍動感溢れるアクションシーンもふんだんに取り入れており、独特の[[スチームパンク]]を意識した世界観や暗くなりすぎないストーリー展開に評価が高く、[[エニックスお家騒動]]により主要作品を次々と失って低迷していた『月刊少年ガンガン』の売り上げ部数増加に貢献する。
  
初期から人間の命の重さや[[軍事国家]]の陰謀といった重いテーマを扱いながらも、少年漫画としてコミカルなギャグシーンや躍動感溢れるアクションシーンもふんだんに取り入れており、独特の[[スチームパンク]]を意識した世界観や暗くなりすぎないストーリー展開に評価が高い。
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2010年3月現在、[[月刊少年ガンガン]]の作品の中では一番の長期連載作品でもある。
 
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===その他===
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:アニメ化の際に放映時間に恵まれた事もありヒットした。デジタルアニメの普及に伴うアニメの供給過剰の状態である現代では多少グロいシーンのある物は深夜に回される事が多い。
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:後にオリジナルストーリーの映画まで制作された。
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:デビルマンやゲッターロボ、ARMS、HELLSING、ベルセルクなどの多少グロイ漫画のパクリが見られる。
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:特に酷い物はアニメ化の際のHELLSINGの『兄メカ』のギャクネタを持ってきた際のメカの描写などがモロな所である。
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:アニメ版はストーリが進むについて物語がオリジナルになっていく。といってもありがちなストーリーであり、突拍子のある物でない。しかしながら練成エネルギーの源が現実世界である3次元から来ている点は、当時NHKで『3次元における重力エネルギーは別次元に流れている』という内容が放映されていたため、脚本家の教養の深さが見られる。
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:アダルトアニメ『[[Bible Black]]』との具体的な類似点が存在する。後期のヒロインのウィンリィの服装(金髪、白シャツ、黒スカート)、ダンテの術により肉体を奪う能力、ダンテの性格、性に関する趣向など。脚本家としてアンテナの広さが必要な事を伺わせる。
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公式でもよく用いられる略称の「ハガレン」は「'''はが'''ねの'''れん'''金術師」より。また、英語版タイトル及び2期アニメの副題である「Fullmetal Alchemist」の頭文字を取って「'''FA'''」、「'''FMA'''」と呼ばれることもある。
  
 
== ストーリー ==
 
== ストーリー ==
{{ネタバレ}}
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幼き日に最愛の母親、トリシャ・エルリックを亡くした兄・'''エドワード'''と弟・'''アルフォンス'''のエルリック兄弟は、母親を生き返らせようと、錬金術における最大の禁忌、'''人体錬成'''を行う。しかし錬成は失敗し、エドワードは左脚を、アルフォンスは自らの身体全てを失ってしまう。エドワードは自身の右腕を代価として、アルフォンスの魂を鎧に定着させることに辛うじて成功したが、自分達の愚かさに気づく。その後エドワードは自ら失った右腕と左脚に機械鎧(オートメイル)を装着し、一時的に手足を取り戻す。
幼き日に最愛の母親、トリシャ・エルリックを亡くした'''エドワード''''''アルフォンス'''の'''エルリック兄弟'''は、母親を生き返らせようと、錬金術において最大の禁忌、'''人体錬成'''を行ったが、失敗し、兄・エドワード(11歳)は左脚と唯一の家族である弟を、その弟・アルフォンス(10歳)は自らの身体全てを失ってしまう。エドワードは自身の右腕を代価として、アルフォンスの魂をかろうじて鎧に定着させたが、自分達の愚かさに気づく。その後エドワードは自ら失った右腕と左脚にオートメイル(機械鎧)を装着し、一時的に手足を取り戻す。
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12歳となったエドワードは、国家錬金術師となり二つ名・「鋼」を授けられ、アルフォンスと共に元の体に戻る為、絶大な力をもつ'''賢者の石'''を探す旅に出る。しかし、旅には数々の試練がエルリック兄弟を待っていた。人ならざる人・ホムンクルスや、傷の男・スカーなど、多くの強敵が現れる中、兄弟は絆を深めながら元の体に戻る方法を探す。
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12歳となったエドワードは、国家錬金術師となり二つ名「鋼」を授けられ、アルフォンスと共に元の体に戻る為、絶大な力を持つ'''賢者の石'''を探す旅に出る。しかし、旅先には数々の試練がエルリック兄弟を待っていた。エドワードを「人柱」と語る人造人間(ホムンクルス)や、国家錬金術師を狙う傷の男など、謎の敵が現れる。さらには目的を同じくする異国の者達まで現れ、兄弟の旅は波乱を究める。かつて起こった「イシュヴァール殲滅戦」を巡る陰謀が漂う中、兄弟は絆を深めながら元の体に戻る方法を探し続ける。
 
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== 登場人物 ==
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*[[エドワード・エルリック]] - [[主人公]]。通称エド。
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*[[アルフォンス・エルリック]] - 準主人公。通称アル。
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*[[鋼の錬金術師の主要な登場人物]] - ウィンリィ・ロックベルやロイ・マスタング、スカーなど主要人物とそれに関わる人物の解説。
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*[[鋼の錬金術師に登場するホムンクルス]] - 登場するホムンクルス、及び関係者の解説。
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*[[鋼の錬金術師の登場人物一覧]] - 上記以外の人物達の解説。
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== 用語 ==
 
== 用語 ==
 
 
<!--固有名詞以外の英語表記は不必要なので止めてください。-->
 
<!--固有名詞以外の英語表記は不必要なので止めてください。-->
;錬金術
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登場する暦は、特別な記載が無い限りアメストリス国で使われている大陸暦である。
: この世界において、機械技術と二分する繁栄をとげた学問。物質の構成や形を変えて、別の物に作り変える技術。現実の[[錬金術]]とは、一部の用語が共通する以外に関係がない。
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:筆者自身、コミックス1巻の袖(カバー折り返し部分)で「こんなの錬金術じゃない」とコメントしている通り、現実の錬金術とは遠くかけ離れた、錬金術という単語のみを使った魔法的演出として用いられている。
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=== 錬金術関連 ===
: その基本は「等価交換」。作中ではほとんど何でも作り出しているが、設定上は錬成にはかなり制約があることになっている。[[質量保存の法則]]から、原材料と錬成後の物質の質量は同じでなければならず、自然摂理の法則から、純水から鉄を作り出す等、全く性質の異なる物質を錬成することも不可能である。ただし、作中でボタ石から金(のようなもの)を作り出している場面があったので、質量保存の法則ほど絶対的に縛られている訳でも無いようである。錬成は、まず原料となる物質の構成元素やその特性等を「理解」し、再構築するために原料となる物質を「分解」。それを別の物へと「再構築」することで完了する。その仕組みは高度な理論に基づいており、学べば誰でも使えるというものではない。一般的には、術の発動には必ず錬成陣が必要となる。錬成陣の用意の仕方も人それぞれで、そのつど地面に描く者、あらかじめ錬成陣が描き込まれた装具を使う者など様々。
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; 錬金術
: 錬金術の存在は作品世界の技術体系にも影響し、[[スチームパンク]]的な世界観を生み出している(アニメ版ではそれが強調されている)。
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: 物語の世界において、発展した技術及び学問。物質の構成や形を変えて別の物に作り変える技術とそれに伴う理論体系を扱う学問である。科学的であるかのような用語も登場するが、作者自身、コミックス1巻の袖で「こんな錬金術があるかい」とコメントしている通り、現実における[[錬金術]]とは一部の用語が共通する以外は全く関係がなく、むしろ魔法に近い。
: なお後述の通り、人間を造るという人体錬成は、自然摂理の法則に反する所業ゆえ、錬金術師の間では暗黙の「禁忌」とされている。[[]]の錬成も、[[経済]]システムの崩壊を招く恐れがあるため違法であり禁止されているが、禁忌ではない(実際に作中でも主人公が行なった事がある)。
+
: まず基本的に錬金術を行使するには'''錬成陣'''と呼ばれる魔法陣のような物が必要である(詳しくは「錬成陣」の項を参照)。これにエネルギーを流すことによって術が発動する。このように魔法に近い面もあるが、いくつか制限があることも特徴である。その基本は'''等価交換'''であり、無から物質を作り出したり、性質の違う物を作り出すことは不可能(詳しくは「等価交換」の項を参照)。そのため、必ず原材料となる物が必要であり、その物質の構成元素や特性を'''理解'''し、物質を'''分解'''、そして'''再構築'''するという3つの段階を経て完了する。ただし、構築式に誤りがあったり、対価以上の物を錬成しようとすると失敗し、時に'''リバウンド'''と呼ばれる現象が起きる。リバウンドが起きると術者に多大なダメージを及ぼす。
: アメストリスの錬金術は地殻変動のエネルギーを力の源として使用していると理解されており(マルコーほどの錬金術師でも定説と認知していた)、その方程式はクセルクセスよりやってきた東の賢者なる者によって確立されたとされている。しかし、[[鋼の錬金術師の主要な登場人物#シン国人|メイ・チャン]]によればその力は地殻変動エネルギーではなく「たくさんの人が蠢いている感じ」と形容される物である。10巻前後から、主人公エドもしきりに「この国の錬金術はおかしい」と口にし始めていることから、この世界に於ける錬金術の発生構造そのものについて、物語の核心の一つとなっている可能性が高い。
+
: この仕組みは高度な理論に基づいており、学べば誰でも使えるという物ではない。さらに、仮に使えても術者の力量による面が大きく、高度な術式を使える者は多くない。また、金属分野や生命分野、炎や水といった自然現象的な物まで多岐多様な分野があり、登場する錬金術師たちは基本的に得意分野を持ち、それぞれ固有の錬金術を持っていることが多い。盗作や乱用を防ぐために自らの研究成果を秘匿するのもその一因である(例えばエドは一見すると旅行記に見える暗号で研究成果を記録している)。
: アニメに於いて錬金術は、扉の向こうの世界(現代世界)から来る魂のエネルギーを消費して発効すると説明されていたが、基本的には原作とアニメの設定は異なるので、とりあえずは全くの別物として考えるべきである。
+
: 錬金術におけるメカニズムは完全に解明されているとは言い難く、特に錬金術を行う際のエネルギーはどこから来るかという点が非常に曖昧である。地殻変動のエネルギーを利用しているという説が定説であり、「東の賢者」なる者によって理論が確立したとされている。しかしながら、エンヴィーやシン国人の発言、ひいては錬丹術の見地などから非常に疑わしい。
;錬成陣
+
: 技術研究に限界は無いが、禁忌と呼ばれる研究分野や国家錬金術師に課せられる3つの禁止行為などがある(詳しくは「国家錬金術師」の項を参照)。
: 錬金術の力を発動させる際に必ず必要となるサークル、[[魔術]]でいうと[[魔法陣]]のようなもの。円周上から中心点に向かう上昇力を集める「力の循環」と、錬成過程や作業に必要な「時間の循環」を示す円形を全体の基本とし、それに物質の構成と、錬成過程を表す構築式を組み合わせることで完成する。
+
; 錬丹術
: 原料を、発生したエネルギーを無駄なく効率的に使用できる中心に置き、錬成陣に術者の思念を送り込むことで錬成陣の力が発動し、錬成が始まる。ちなみに別の物質が錬成陣内にあっても構築式に含まれていない物質が直接影響を受けることはない。
+
: シン国で発展し、医療方面に特化した錬金術。研究自体は古来より存在していたが迷信に近く(現実世界における[[錬丹術]]に近い)、今日の発展は数百年前にシン国にやってきた、「西の賢者」が錬金術の技術を伝えることによってもたらされた。もともと同一の基礎理論からなりたっている為、等価交換の原則や錬成陣を必要とするなど、基本的に錬金術と同じである。ただし、その錬成の際に必要なエネルギー源は、大地や生物の内にある'''気の流れ'''(大地の場合には「龍脈」とも呼ばれる)を利用しているという点が大きく異なる。これを利用するとアメストリスの錬金術には無い、遠隔錬成も可能。ただし、気の流れが絶った場所は不可能であり、錬金術同様、失った腕などは復元することはできない。
: 錬成陣に絵や文字を使用したり、単純な陣を組み合わせたりと、術者の理解や構築式の組み立て方により無数の錬成陣が考えられるため、同じ錬成結果を得るためにも、術者によってそれぞれ独自の形状を成す。ちなみに優秀な術者ほど、単純な錬成陣で複雑な錬成を行うことができる。
+
; 等価交換
;[[等価交換]]
+
: 錬金術における最も根本的な原理。特に「無から有は作れない(何かを得るには同等の代価が必要)」という点は錬金術に関わらず思想信条として出てくる場合もあり、重要なテーマともなっている。大きく以下の2つに集約される。
: 錬金術では、「無から有」を作りだすことはできず、等価交換を基礎原則としている。つまり、「有から、別の有に変換する」のであり、何かを錬成しようと思えばその材料を用意しなければならない。また[[質量保存の法則]]、自然摂理の法則など、一定のルールに基づいて行われているとされる。元素を越えた錬成は中性子の数を操作するなどして可能になっていると思われる。
+
:; 質量保存の法則
;機械鎧(オートメイル)
+
:: 原材料と錬成の生成物の質量は同じでなければならない。故に無から有は作れない。
: 主に怪我などで四肢を失った者がつける[[義肢]][[神経]]系と接続することによって普通の手足と同じように動かすことができる[[筋電義手]]であり、機械鎧の手術はかなりの激痛を要しリハビリも長期間(ピナコいわく「まともに動けるようになるまで三年」)を必要とする。さらに、整備・修理のためにはずされた機械鎧を再接続する際にも若干の痛みを伴う。アニメ版では接続後、一定時間は稼動が不可能であり装着者にも休養の必要があった。ただし気絶中に外されても気づかないので取り外し時は無痛らしい。当然だが、痛感神経などは存在しないため、神経接続されているとは言っても、損傷しても痛みを感じたりする事は無い。
+
:; 自然摂理の法則
: 中には武器を内蔵していたり武器そのものというものもあり、ラッシュバレーなどでは「強くなる」ということを目的に義肢の本来の目的を逸脱した利用も行われている。全身甲冑であるアルが機械鎧技師の聖地ラッシュバレーで機械鎧のフル装備と間違えられること、アーチャーへの武器の装具が口腔内にも及んでいたことなどから、この世界では四肢に限らず脳を除く身体の部位を機械技術で補うことができれば機械鎧と定義されると思われる。ただし、神経信号の途絶えた部位への装着や全身全てを機械鎧とすること(いわゆるサイボーグ)は事実上不可能である。
+
:: 原材料と錬成の生成物は同質の物質でなければならない。例えば、水から石を作り出すことはできないなど。作中では、[[化学元素]]も登場しているが、[[四大元素]][[三原質]]なども理論体系として存在しているために、ボタ石を金に錬成してしまうなども可能で、現実の科学とは全く異なることに注意が必要である。
: 寒冷地では、駆動部が凍りつく等して動作が不安定になる他、機械鎧に使われている金属が冷える事によって生身部分の接続部が[[凍傷]]を起こすため、特別なチューンナップが必要。逆に熱帯地では動作が悪くなると言った事は無いが、内部熱が篭ったり金属が熱せられたりするため、場合によっては外部冷却の必要がある。熱せられた金属によって火傷を引き起こす可能性も少なからずあるはずだが、寒冷地仕様のような熱帯地仕様の機械鎧が存在するのかは不明。
+
:<!--リスト分断防止-->
: 東部の内乱の際に飛躍的に技術が進歩した。製造工程の一部に錬金術を用いたものも存在する。内部の詳細構造や動力源などは不明。
+
; 錬成陣  
;人体錬成
+
: 錬金術、錬丹術を行うために必要なサークルで、[[魔法陣]]に近い。円形が基本であり、これは'''力の循環'''と'''時間の循環'''を示す。これに'''構築式'''を組み立てることで初めて錬成陣として機能する。
: 人工的に人間またはその一部を造る錬成。未だ成功例がないと言われる未知の錬成であり、錬金術師の間では暗黙の禁忌とされている。また、それとは別に国家錬金術師の禁止事項としても明言されている。人命の蘇生は不可抗力なため、この術を発動すると後述する『真理の扉』が開かれる。
+
: 錬成陣は錬金術師たちのいわば研究成果であり、絵や文字が記述されていたり、あるいは複数の陣を組み合わせたものなど多種多様で、たとえ同じ効果を持つ陣であっても違いがある。特に高度な錬金術師ほど、簡潔な錬成陣で複雑な錬成が可能。また、錬成陣の用意も、使うたびに記述する者や、あらかじめ装具(手袋など)に描き込んでいる者、手や体に直接刻む者など様々である。
: 錬金術師において人間は「肉体」と「魂」と「精神」の三つから成ると言われており、つまりこれらを錬成できれば母胎に頼らず人間を生み出せるという理屈である。しかしこれらは未だ不可能と言われており、術師には激しいリバウンド(主に術者の体の一部)と言う代償もつき、失敗した術者には悲惨な結末が待ち構えている。ただ「肉体」「魂」「精神」のうち、どれか一つだけなら錬成に成功した例がある。
+
: 例外としてエルリック兄弟やイズミのように「真理」を見たことによって、錬成陣無しで錬金術を行える者もいる。この場合、両手を胸の前で合わせる独特のモーションを行うが、これは自らが構築式を兼ね、かつ手を合わせることで円形となり、錬成陣に見立てている。また、賢者の石を持つ場合も、石自体が莫大なエネルギーと構築式を内蔵していることにより、錬成陣が不要でありかつノーモーションである。
: 死んだ者や近親者の体組織を利用して錬成により身体の復活を行いその者の魂と精神を宿らせる“死者の人体錬成”は、錬金術の人間としての基礎「人間は魂・肉体・精神からなりたつ」という原理に反していることをエドワード・エルリックが自身の母の錬成を行った際に発見、つまり肉体を錬成できても魂・精神は実体がないのでどれだけ錬金術を突き詰めても錬成不可能な[[疑似科学|夢想技術]]であると突き止めた。なお、「魂・肉体・精神」が揃っている正常な人体の再練成なら可能なことはエドワード・エルリックがグラトニーの腹の中からの脱出の際に証明している。この場合は、扉を開き通るための"通行料"を払うだけで済む(脱出の際はエンヴィーの体内に所持する賢者の石の力を使用)。裏の世界においては、「父」が自らの賢者の石を核にすることにより、人造人間の錬成に成功している。
+
: 「パーフェクトガイドブック」での作者インタビューによると、作者がかつてアシスタントを務めていた漫画家・[[衛藤ヒロユキ]]の漫画作品『[[魔法陣グルグル]]』をベースにした部分が少なからず存在するという。
;生体錬成
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; 人体錬成
:人体の構造を理解し損傷箇所を錬成によって修復する「医療錬金術」と呼ばれる分野の一つ。
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: 人間またはその一部を錬成する錬金術。人造人間も含まれる。未だ成功例が無いと言われる未知の錬金術であり、錬成その物が'''禁忌'''として扱われている。国家錬金術師に課せられる制限「人を造るべからず」にも抵触するが、これは「人間と生物を代償にする錬成」も含まれ(いわゆる合成獣。詳しくは合成獣の項を参照)、厳密に言えば「人体錬成」その物は、人体を構成する元素や物質を元に錬成を行うことを指す。特に死者の復活を目的とした人体錬成を指すことが多い。
:前述の人体錬成と一部重複する部分もあるが、戦場における有用性などから軍部では公認されている。
+
: 錬金術において、人間は肉体・魂・精神の3つから成るとされており、これらを錬成できれば母胎に頼らず人間を生み出せるという理屈である。しかし、実際には構築式が複雑になるために研究自体が非常に高度であり、仮に一定の成果を得て人体錬成を行っても確実にリバウンドが起こる(理由は後述)。リバウンドが起こった場合には、真理の扉に飛ばされ、通行料として術者の身体の一部ないし全部を奪われる(詳しくは真理の扉の項を参照)。ただし、肉体・魂・精神のうち、どれか1つだけなら錬成に成功した例がある。
;[[賢者の石]]
+
: 存在しない物を錬成することは原理上不可能であり、そのため、既に存在しない死者や身体の一部を錬成することは始めから不可能である。そのために、どのような構築式を持ってしても錬金術の範囲をオーバーするためにリバウンドが発生する。逆に言えば、存在さえしていれば復活させられる可能性を持っており、賢者の石による身体の復活を諦めたエルリック兄弟は、その方面で研究を続けている。事実、肉体・魂・精神が揃っている正常な人体を代価として、一度分解し、同じ物を再構築する分には原理上は可能であり、作中でも成功している。
: 錬成陣さえ必要とせず、錬金術の基礎原則「等価交換の原則」を無視した、思い通りの錬金術を行使できる幻の術法増幅器(ただし錬金術の原理「無から有は生み出せない」という法則だけは無視できない)。人造人間の核にもなっている。
+
: 人造人間に関しては、「父」が錬成に成功している(詳しくはホムンクルスの項を参照)。
: その正体は、生きた人間から抽出・凝縮した魂の集合体を具現化した、高密度のエネルギー体・情報体で、形状は必ずしも「石」とは限らない。複数の生きた人間から、円と正五角形で描かれた錬成陣で錬成される。石自体が構築式を内蔵しているためモーションなしで練成ができる。また大きさは魂の数によって決まる(大きなものを練成しようとすれば莫大な数の魂が必要となる)。
+
; 人造人間(ホムンクルス)
: 伝説上の代物と言われていたが、「父」やマルコーらの手により、数個の錬成が成功している。しかし、そのどれもが数回使用すると壊れる不完全品。最も完成度が高いと思われる「父」の賢者の石でさえ、完全なものではない。錬成の過程からして石の内部に存在するエネルギーは有限であり、それを使い果たせばどれだけ完成度の高い石であっても壊れてしまうと思われる。
+
: 錬金術によって生み出された人造人間。現実の錬金術における[[ホムンクルス]]の設定も登場するが、作中に登場する7つの大罪に関した名を持つホムンクルス達はこの作品オリジナルの設定であり、ここではそれについて説明する。
;賢者の触媒
+
: 全部で7人おり、[[七つの大罪]]から'''色欲'''(ラスト)、'''暴食'''(グラトニー)、'''嫉妬'''(エンヴィー)、'''強欲'''(グリード)、'''怠惰'''(スロウス)、'''傲慢'''(プライド)、'''憤怒'''(ラース)と言う名をそれぞれ与えられている。欠員が出た場合には可能なら新たに補充される。外見的特徴としては、肉体の一部に[[ウロボロス]]の印を持ち、そして黒ずくめの服に背中から基盤のような模様が伸びているのが共通(一部例外あり)。そして、各々がそれぞれ固有の特殊能力を備えている。
: 原作未登場。練成の効率を上げ、理論値以上の再構築を可能とする幻の物質。賢者の石と同等の力を持つと言われている。ヴィルヘルム・エイゼルシュタインの手により試作品は完成している。ヴィルヘルムの娘であるアルモニの体に宿り、命の源となっていた。輝く美しい羽の形をしている。
+
: 「父」から生み出される賢者の石を核とする存在で、石はそれぞれに七つの大罪を冠した「父」の魂という面を持ち、生み出されたホムンクルスは、その与えられた名(業)に関係する性格、行動原理を持つ。賢者の石内の魂の数だけ命があり、大小問わず外傷を受けても瞬時に復元され、致命傷を受け死亡したとしても魂のストックの分だけ再生する。(魂が1つしかないラースのみ再生しない)。賢者の石を直接破壊された場合には、エンヴィーの場合は真の姿に戻った。さらに、(人間ベースでない場合に)その黒服も身体の一部であり、傷つくと再生する。1つの容れ物に多数の魂を内包するといった特質から、独特の気配を放つ事が特徴であり、この気配は普通の人間には関知できないものの、動物やそれらと合成されている一部の完成度の高い<!--ビドーがグリードの気配を感知できていない-->合成獣、「気」の流れを感知する術を体得したシンの王族や護衛といった、気配を読む事に長けた存在にはそれを察知され、身を隠しても居場所を気取られてしまう。
;[[人造人間]]([[ホムンクルス]]
+
: 生まれてから既に完成した人格、豊富な知識を備え、創造主への愛情として基本的に「父」のために行動する。ただし、グリードのように、与えられた業に忠実であるがために離反する者もいる。また、ホムンクルスを優れた存在と見なし、人間に対して優越感を持っていることも特徴。
{{Main|鋼の錬金術師に登場するホムンクルス}}
+
: ホムンクルスの製造方法は作中で示された物に関しては大きく2つに分かれ、基本的には「父」が自らの体内で造り出すパターンと、賢者の石を生身の人間に注入して造り出すパターンがある。後者のような人間ベースのホムンクルスは、優れた身体能力や固有能力を問題なく有しているが、人間同様に成長・老化していき、特にラースに関しては老化による身体能力の衰えがみられる。また、ホムンクルスの特徴の一つである基盤模様がない。ただ、多くの人間は賢者の石が注入されるとその高エネルギーに耐えられずに死んでしまうため、稀な存在である。
: 賢者の石を核として作られる人造人間。原作とアニメでは、造り方が異なる。超人的再生能力と個々の特殊能力を持ち合わせており、かならずウロボロスのマークが体のどこかに記されていることが特徴。原作では「父」によって造られたもの(プライド、エンヴィー、ラスト、グラトニー、スロウス、先代グリード)と、賢者の石を生きた人間の体内に注入することによって生まれるもの(ラース、現グリード)が存在し人体に注入される製作方法の際には、被験者の体内で石の中の魂と被験者の魂との体の奪い合いが起こり肉体は石による破壊と再生を繰り返す。肉体が石の力に耐えられた場合は人造人間の誕生となるが、耐えられなかった場合は被験者は死亡する事となる。
+
:; 不死の軍団
;[[軍部]](アメストリス[[国軍]])
+
:: セントラルの地下施設で大量生産された量産型ホムンクルスの総称。他のホムンクルス同様高い身体能力と再生能力を有すが、知能は低い。成人男性の様な体つきをしているが、体と顔に基盤の様な模様があり眼球も額の部分に1つしかない。マスタング達がセントラルシティで決起したのを受け、軍幹部の1人が独断で魂を定着させ目覚める。が直後に幹部を食い殺し暴走、大群で敵味方の区別なく襲いかかる。
: [[大総統]]を頂点とするアメストリスの国防を司る軍組織にして、司法・立法・行政をも掌握する事実上の統治組織。軍政国家であるアメストリスにおいて、軍のトップである大総統はすなわち国家の権力を一手に保有する完全な[[独裁者]]である。アニメ放映時にはそれほど原作との差異が見られなかったが、原作が進むにつれ、アニメと原作との間にかなりの相違が出てきたと言える。
+
; 生体錬成
: 組織形態としては頂点に大総統府、その下に中央(セントラル)、東方、西方、南方、北方、それから憲兵の6つに分かれ、中央を除く5つには各[[司令部]]が置かれており、各組織とも大総統の元で、ある程度独立的・分権的なようである。なお、中央軍に関しては形式上の司令部が置かれているかは描かれていないが、どちらにしても大総統府が手足として直接指揮するのが通常のようである。なお、国家錬金術師は形式的には大総統府に直接所属する。アニメではそれは明言されていたが、原作ではエドの直接上司が当時東方司令部に所属していたマスタングだといった記述もあり、やや正確なことが不明である。また、アニメにおいても賢者の石の探索任務等の責任をマスタングが負っていたり、精密なことは良く分かっていない。
+
: 人体の構造を理解し、損傷箇所を錬成によって治癒する錬金術。「医療錬金術」とも呼ばれる高度な分野。人体錬成や合成獣と重複する部分もあるが、こちらは禁止行為にはなっていない。
: 各組織の総司令官は大体[[将官]]クラス(アニメの場合は[[佐官]]クラス)の階級が担う。マスタングの東方勤務時代のグラマン(中将)のように、各部署にある程度裁量権を与える形で組織運営を行っていくこともあれば、ブリッグズ要塞のオリヴィエ(少将)のように司令官を頂点とする徹底したトップダウン的組織形態を成すものもあり、その組織の形状について各支部の司令官にかなり任されているようである。アニメの場合は少々異なり、各支部はどちらかというと軍の部隊の[[駐屯地]]的な位置づけで、そこに中央から[[中隊]][[大隊]]の部隊を派遣するという描写があり、原作のものより遥かに中央集権的な体制だったようである。。
+
; 合成獣([[キメラ]]
: 軍装は青色(憲兵は黒)を基調とし、近代[[英国海軍]][[セーラー服|制服]]の様なデザインが施されている。なお、アメストリス国土は海に面していないため、海軍は存在しないものと思われる。
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: 2種類以上の生物を対価に錬成し、合成された生物。錬金術の分野では合成獣理論などと呼ばれることがある。生体錬成と同じく禁忌でも「人を造るべからず」に違反するわけでもないが、原理上、人間を対価にすることも可能であり、その場合には「人を造るべからず」に抵触する。
: アニメの場合、特に初期~中期に強調されてきた軍に対する民衆側の猛烈な敵意と軽蔑、軍の強圧的な態度、軍側と民衆側の徹底的な分裂状態、いわゆる[[ヒエラルキー]]闘争としての社会[[モデル]]を中心とした(不当な)権力の象徴として描かれている。このため原作で使われている「軍の狗」という表現をさらに拡大し、国家錬金術師という称号は専ら侮蔑的に(権威を認めながらもそのようなニュアンスを含む形で)使用されることが多い。また、この構図による[[ステレオタイプ]]的な人物像が至る所で見られ、マスタング一派を除く軍属者、国粋主義的な人物として登場したヨキ子飼い時代のライラ、民衆側もユースウェル炭鉱の労働者達、イシュヴァール人、リオールの住民など、強圧的で残虐な軍側と、搾取、迫害、さらには虐殺される民衆側との対比を徹底的なまでに強調している。なお、黒幕であるダンテとホムンクルス達と直接ぶつかり始める終盤に向かうと、この傾向は弱くなっていく。
+
: 一方でアメストリス国軍で密かに研究され、一定の成果を得ている。人と動物との合成獣に関しては、完成度の高い合成獣になるほど、外見に人よりも獣の特徴が強く出た例から、人の姿を保った外見となっていき、最終的には人間態からに獣人態へと自由に変身する、人間の外見と獣の攻撃力とを両立したものが完成例として確立、中央軍においてはこれらのか変身する合成獣によって、極秘で部隊が構成されている。
: 原作では、アニメ放送当時には物語的にそれほど展開されていなかったこともあり、「軍の狗」、国家錬金術師になったことを不満に思うエド達の師匠、軍に不満を持ち、国家錬金術師資格を取ったエドに皮肉を言うマスタング等、権力に対する反骨心が時折出てきていたが、物語が進むにつれ、軍に所属する側の各人物の描写も進み、アニメの様な完全な二項対立的な描写はほぼ見られない。その一方で『イシュヴァール殲滅戦』の様相などについては、描写そのものはアニメに劣らず過酷で凄烈なものである。総括すれば、原作における『軍』への抵抗感というのは狭義的には有事に殺人をしなくてはならない組織という意味で一貫しており、アニメのような権力批判という意図は放棄しているが、一方で大局的には戦争の悲惨さ、[[反戦]][[平和]]という主張は原作・アニメ共に共通しており、その中で主張の仕方、描写する観点が違っているといえる。。加えて軍部そのものが黒幕の『父』の傀儡化された組織であるかのような状況が描かれ始め、これにより[[イデオロギー]]的な揶揄を含んだ描写からかなり離れ始めていると言える。広義においては前述通り[[反戦]]の“イデオロギー”は放棄していない。が、焦点を軍部全体ではなく作品内の悪、つまり『父』陣営のみに絞ることで、とりあえずは少なくともアニメでは真正面から取り扱っていた国家論の論争からは完全に距離を置いたといえる。軍上層部は全員ホムンクルス側の人間で、グラマンがホムンクルス陣営に入りそうにないと分かると即刻遠方に飛ばしてしまう様な、国家というよりはホムンクルスや『父』に対してその思想に賛同し、忠誠を誓う、『父』の私的機関となっている可能性が出てきており、さらには軍部、アメストリス国の建国そのものに『父』が関わっていた可能性も高くなってきている。
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; 賢者の石
{{節stub}}
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: 「等価交換」の原則などを無視して錬成が可能になる幻の術法増幅器。使用する場合には錬成陣すら不要となる。また、その形状も石(固体)とは限らず、「大エリクシル」「第五実体」など、様々な別称が存在する(赤色なのは共通)。基本的な設定は一般的な[[賢者の石]]の設定に準じている。
;国家錬金術師
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: その正体は複数の生きた人間を対価に錬成される、魂が凝縮された高密度のエネルギー体。本物は壊れることの無い完全な物質とされる。10人程度でも作製できるが、その場合などは不完全であり、一定以上に使えば簡単に壊れてしまう。作中、不完全・未完成・類似品など多くが登場するが、本物と呼べる物は存在しない(「父」とホーエンハイムが持つ物も、使用すれば消耗する不完全な代物である)。ホムンクルスの核として使われている石も不完全なものである。
: 軍事国家アメストリスから、数々の特権と三大制限(「人を作るべからず」「金を作るべからず」「軍に忠誠を誓うべし」)を伴う国家資格を得た錬金術師。
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: 錬成には、円と五角形を組み合わせた錬成陣を用い、五角形の頂点に対価=人間が配置され、魂のみが分離され賢者の石として錬成される。より大きな錬成陣を用いる際には、五角形の頂点により強大な対価=エネルギーが必要になるため、陣内部で対価となる人間の他に、大多数の人間の強い憎悪と悲しみのエネルギーが定着した『血の紋』が、五角形の頂点に刻まれる。
: 軍においては、正式な軍人でなくとも国家錬金術師である事自体が[[少佐]]の地位に相当する。もちろん、正式に軍人である者については中佐以上の地位に就く事もある(マスタング(大佐)、グラン(准将)など)。正式な軍人ではないので所属する司令部を持たない場合がほとんどだが、軍属には変わりないため軍には忠誠を誓う必要がある。
+
 
: 軍に忠誠を誓わなければならないと言う性質上、「錬金術師よ大衆のためにあれ」と言う錬金術師のモットーに反しているため、数々の特権と引き換えに軍事国家に魂を売った「軍の狗」だと蔑まれることもある。
+
=== アメストリス国 ===
: 国家錬金術師になるためには筆記・精神・実技の3つの試験を合格する必要があり、合格率は非常に低い。現在までの資格取得者は200人程だといわれているが、東部内乱後は、その重責に耐えられず資格を返上した者も数多くおり、残った者も査定に落ちたり傷の男に殺害されたりしているため、その数はだんだんと減りつつある。
+
; 国家錬金術師
: 大総統府直轄の機関で管理されており、全ての国家錬金術師には、潤沢な研究費、特殊文献の閲覧、各種国家施設の優先的利用、少佐相当官の地位などの特権、大総統紋章に六芒星をあしらった銀時計、そして大総統から二つ名が与えられる。この資格は更新制であり、年に一度レポートと実技により研究成果を軍へ報告することで、資格査定を受ける必要がある。成績が悪ければ資格を剥奪される。ただしこれは軍人でないものに義務付けられているもので、軍人の国家錬金術師は普段の行動が査定対象となっているため、この査定は不要。
+
: アメストリスの国家資格、及びその資格を持つ錬金術師。国より多大な支援を受けることが可能となるが、様々な義務も負う。現在までの資格収得者の総計は200人程だが、後述する理由により現在も資格を保有している者はずっと少ないと思われる。
;合成獣([[キメラ]])
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: 大総統府直属の機関によって管理され、その地位は軍部の少佐にも相当する。国家錬金術師になれば、その証である'''二つ名'''と'''銀時計'''(大総統紋章に六芒星をあしらったもの。身分証明になり、各種特権を享受する際にも必要)が与えられ、以下のような様々な特権を国家より与えられる。
: 2種類以上の動物を錬成して合成獣となったもの。動物同士を掛け合わせる事は合法だが、人間を含む錬成は違法(ただし、タッカーは自分の娘のニーナと飼い犬のアレキサンダーを練成し、合成獣を作りだした)。
+
:* 年間数千万センズの研究費の支給
:しかしそれはあくまでも表向きの話で、実際は軍の下で人間を使ったキメラの錬成実験は行われおり、その上かなりの発展を遂げている。
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:* 各種、特殊文献の閲覧許可
;[[錬丹術]]
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:* 鉄道や国が経営するホテルなどの国家施設を優先的に利用が可能
: 金属変成や兵器利用のような工業方面よりも、医療方面に特化した東方シンでの錬金術。昔のそれは妄想と想像の産物で、錬金術と呼べるものではなかったが、『西の賢者』が錬金術を伝えたことで飛躍的に進歩。シン古来の技術と混交して現在の錬丹術が完成した。
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:* 軍部少佐相当官の地位<br />(国家錬金術師である事とは別に軍に所属しており、中佐以上の地位を得ていれば、この限りではない)
: 錬丹術の根幹は、世界や大地、人間等全ての物質が持つ『流れ』を理解し正す事である。あらゆる物質に存在する『流れ』を利用し、力を送り込むことで術の効果は発現する。先述の通り医療特化の術ではあるが、人体だけでなく、破壊された物質の修正も同義であり、いわば不具合が生じたものを復元する術と言える。ゆえに錬金術の最終行程が「再構築」であるのに対し、錬丹術は「再生」に近いものと定義できる。
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: ただし、国家錬金術師資格試験という厳しい試験(筆記・精神鑑定・実技)を合格しなければ得られない超難関の資格であり、さらに合格しても1年毎の査定(研究成果のレポートと実技。軍に所属するものは日々の軍務・戦功などを評価)に合格しなければ資格を剥奪されるという厳しい内容である。さらに以下のような'''三大制限'''が課せられる。
: 錬丹術はこの世の『流れ』を感じることで使う事ができるため、『流れ』のあるものであれば、人体でも人工物でも錬丹術を施すことができる。しかし『流れ』が止まってしまっているものには術が発現しないので、消失してしまった身体の一部を再生させたりする事は不可能である。(『流れ』とは、『龍脈』とも呼ばれている。)
+
:; 人を造るべからず
: アメストリスの錬金術とは根本理論の部分から異なっているので、仮にアメストリスの錬金術師が錬丹術を使おうとする(逆の場合も同様)ならば、今までの知識を全て捨てた上で一から学びなおす必要がある。ただ根本理論が違うとは言え結果に至る過程には錬金術と共通している部分も多くあり、「理解」「分解」の過程までは共通しているらしい(傷の男が使うのは錬丹術であるが、使う場面を見たエドワードが「理解・分解の過程で錬成を止めている」と技の仕組みを見破っている)。
+
:: 一般に禁忌に準じた項目と認識されているが、実情は戦闘に優れた人間を造り出すことで私設軍隊を持ち、国を脅かさないようにするため。軍部で密かに研究され、特に人と獣の合成獣において一定の成果を得ている。
;真理の扉
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:; 金を造るべからず
: 人体錬成の錬金術を発動した際に開く扉。発動後、真っ白な空間に[[生命の樹]]らしきものが掘られた簡素な扉が1つという空間に転送される。扉の中には、術を行使した錬金術師を1とした上での世(全)のありとあらゆる「真実」が収められているが「通行」料金として閲覧者は代価を払わされる(ただし、通行料は社会的価値のものではなく自然的価値のあるものを支払わされるので、必然的に肉体の一部となるが、1つだけ持っていかれるとはかぎらない)。扉の前には代価の受取人として、術を行使した錬金術師の中の真理の具体化と思われる者がいる。
+
:: 貨幣価値の暴落によるインフレなど、経済混乱を引き起こさないようにするため。金だけではなく、貴金属も含まれる。
: 理屈としては人体錬成と同等以上に「真理に近い」錬成を行えば扉が開くものと思われるが、今のところ人体錬成以外で扉が開いた事が無いため、「人体錬成は真理の扉を呼び出す召喚術ではないか」という見方もあり、真相は不明である。なお、人体錬成と言っても「死者を復活させる」錬成を行うと必ず扉が開くが、生きている人間に関する錬成では開く場合と開かない場合があるため不可解な部分が多い。人体錬成に関してエドワードが「死者の錬成は無から有を作り出すに等しい行為であり、物理的に不可能だ」と言う結論に至っているが、逆に言えば「生きている人間を使う錬成は有から有への法則に従った錬成であり可能である」と言う事であり、実際ショウ・タッカーが人間を使ったキメラを錬成した際には扉が開く事は無かった。しかし、エドワードが「偽真理の扉」の中から脱出する際に「自分を自分に錬成」した時、有から有への錬成であるにも関わらず扉が開いている。
+
:; 軍に忠誠を誓うべし
: なお、真理の扉に彫られている[[生命の樹]]らしきものは、個人個人に応じて異なった模様となっている。(この事は、エドが偽真理の扉から抜け出る際、エドの真理の扉とアルの真理の扉を対比することで確認できる。)
+
:: 正式な軍人になる訳ではないが、実質的な軍属となるため。非常事態には軍に召集され、人間兵器として戦場に立つという義務も含まれる。イシュヴァール内戦に参加して資格を返上した者もいる。
*:{{節stub}}
+
: また、必然的にその研究は軍のために使われるので、錬金術師の指針である「錬金術師よ大衆のためにあれ」に反し、一般人には「'''軍の狗'''」と蔑まれることもある。
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: 国、ひいては軍部にとって有益な錬金術師を確保するため、ブラッドレイによって創設される。ただし、実際には、ホムンクルス達の目的のために、優秀な錬金術師を把握しておくという意味を持ち、その最終選定はプライドとブラッドレイの相談によって決まる。
 +
; 軍部(アメストリス国軍)
 +
: 大総統を頂点とするアメストリスの軍隊。アメストリスは軍部が議会・裁判所を掌握し[[軍事政権]]を敷いているため、トップの'''大総統府'''は事実上の政府である。それ故に、その長である大総統の地位は国家元首に等しい。
 +
: 組織形態として、中央(セントラル)に本部を持ち、東西南北にそれぞれ司令部を置いて国の防衛に当たっている。また、警察権も憲兵として軍部が持ち、憲兵司令部が各地方司令部と同列に扱われている(ただし、一般の憲兵は軍の下位組織の扱いである)。また、重要拠点においてはブリッグズ要塞のように、地方司令部より独立していると思われるような形態を持つ。そして、それらを全て束ねる軍の最高機関として大総統府が存在する。士官学校や国の各錬金術師機関も大総統府直属の扱いとなっている。
 +
: 軍の階級は順に、大総統/[[将官]]([[大将|大]][[中将|中]][[少将|少]][[准将|准]])/[[佐官]][[大佐|大]][[中佐|中]][[少佐|少]])/[[尉官]][[大尉|大]][[中尉|中]][[少尉|少]])/[[准士官]][[准尉|]])/[[下士官]]([[曹長]]・[[軍曹]][[伍長]])となっている。各組織の総司令官は将官クラスの階級が担う。東方司令部のグラマン中将のように、各部署にある程度の裁量権を認めているところもあれば、ブリッグズ要塞のオリヴィエ少将のように司令官を頂点とする徹底したトップダウン的な形態を成すものもあり、組織の形状については各支部の司令官に任されているようである。また、イシュヴァール戦でキンブリーが「自らの意思で軍服を着た」と言っていることから、兵士の徴募制度は[[志願制]]のようである。
 +
: 物語の舞台は産業革命期をモデルとしているが、軍が使う武器には主に第二次世界大戦後期の[[ドイツ国防軍]]の制式兵器の[[MP40]][[対戦車砲]]等やベトナム戦争初期のアメリカ軍をモデルにしたと思われる物が登場し、[[歩兵]]と[[砲兵]]が主力兵力である。また、主力といえる程ではないが[[IV号戦車]]をモデルにした戦車なども登場し、それに対して航空兵力は飛行機が発明されていないために存在せず、気球での写真偵察が細々と行われているのみである。
 +
: 軍装は青色を基調とする。一般憲兵は黒色であるが、憲兵司令部に務める士官クラスの軍人は青色([[腕章]]を着用)である。また、地域によって微妙な差異が見られる。
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: アメストリス国そのものがホムンクルス達の目的に沿って建国され、現在の国家体制もホムンクルス(ラース)であるブラッドレイによって、軍事国家化、より中央集権的な体制へと編成したものである。また同時に軍事力の強化と対外侵略を繰り返して領土を拡大した経緯がある。現在は隣国と小競り合いが絶えないとはいえ、対外的には比較的安定しており、軍部の主な役割は国内の治安維持となっている。
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: 軍上層部はホムンクルス達の策略に咬んでいるとはいえ、ほとんどの軍人は国の為に働いている。軍部の横暴・不正とそれに対する国民の不満が時折描写されるものの、総じて国民はその国政を受け入れている。
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; イシュヴァールの内乱 / イシュヴァール殲滅戦
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: 物語が始まる13年前(1901年)にイシュヴァール地方で起こったイシュヴァール人による内乱。ある軍将校が、イシュヴァール人の少女を撃ち殺した事件が発端とされる。
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: 当初、軍部は通常の内乱鎮圧と同じ扱いで対処していたが、1人でアメストリス兵10人に匹敵すると言われる精強なイシュヴァラ教の武僧や、アメストリスの弱小化を狙う隣国アエルゴによる秘密裏の支援等で非常に長引き、その結果、1908年に国家錬金術師を投入しての殲滅戦へと移る。最終的にイシュヴァール全土は完全に軍の管理下に置かれる。
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: その目的においてイシュヴァール人の全滅が目的であるものの、一部は逃げ出すことに成功しており、アメストリス各地でスラムを形成したり、遺跡や山間部に隠れ住んでいる。また、内乱中は軍服用の羊毛の産地ということで、リゼンブールがテロの被害を受けており、イシュヴァール地方外にも広がりがあった。
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: ホムンクルスたちの計画である『血の紋』を刻むための一環であり、少女を撃ち殺した軍将校とはエンヴィーが化けたものだった。
 +
: ウィンリィの両親の死亡や「傷の男」の復讐、殲滅戦にまつわる軍部や国家錬金術師の話、またホムンクルスの目的など、時系列的には過去の話だが、物語に対する影響力が大きい出来事である。
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; 国土錬成陣
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: アメストリス国の円形の国土を利用して、一定の地域で大多数の人々の死を引き起こすことで、発生した強大な憎悪と悲しみのエネルギーが根を下ろし刻まれる『'''血の紋'''』と、各地に刻まれた複数の血の紋をつなぐ地下深くに掘られたトンネルとによって構成された、巨大な賢者の石の錬成陣。
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: ホムンクルス達が建国と同時に作り始めた物で、むしろ国土錬成陣を作るためにアメストリスを建国したと言っても過言ではない。トンネル自体はプライドとスロウスが管轄し、他のホムンクルス達が戦争や内乱を起こして、血の紋に必要な大量の人の死を巧みに用意していた。
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: ブリッグズ編にて、スロウスがついにトンネルを完成させ、最後の交点での血の紋もプライドの命令を受けたキンブリーによって用意され、錬成陣は完成してしまう。発動させる条件として天体の動きが関係しており、発動条件を満たす日を「約束の日」と呼ぶ。
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; 逆転の錬成陣
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: ホムンクルスの計画している国土錬成陣の発動に伴い作用する、カウンター効果をもたらす錬成陣。錬金術に錬丹術を組み込むことにより完成する錬成陣であり、それら2つを同時に習得しているホーエンハイムと「傷の男」の兄が、それぞれ研究によって導き出したもの。
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: 錬成陣の基本的な原理・構造は賢者の石の陣と同じく、円と五角形を組み合わせた陣と円周上の5つの頂点に配置される人の命を利用したものだが、こちらの陣は頂点のポイントから伸びるエネルギーが中央の一点を封じ込めるような五角形を形成した構造となっている事が特徴。「約束の日」による国土錬成陣発動に向けて、ホーエンハイムによるアメストリス国土全体を利用したこの陣の形成が進められており、円周上の=アメストリス国境付近に刻まれるべきポイントのエネルギーに関しては、ホーエンハイムが研究から導き出した該当する地点に自身の賢者の石を埋め込むことにより用意されている。
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; センズ
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: アメストリスの通貨。1センズあたり現実世界における1円とほぼ同じ価値。
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; 大陸暦
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: アメストリスで(ひいては物語で)使われている紀年法。物語開始時点で1914年。この作品が産業革命期をモチーフにしているという点で見ると、おおよそ西暦に対応している。
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=== その他用語 ===
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; 機械鎧(オートメイル)
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: この世界特有の[[義肢]]。神経系と直接接続することによって普通の手足と同じように動かすことができ、[[筋電義手]]に近い。銃器などを内蔵した戦闘用の物も存在する。
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: この世界ではポピュラーな物であるが、普通の義肢も存在する。機械鎧着用の際にはかなりの激痛を伴う接続箇所の手術をする必要があり、リハビリには長期間を必要とする(ピナコは「まともに動けるようになるまで3年」と言っている)。また、接続の際にも若干の痛みを伴う。手術や機械鎧本体が高価であることなどから、例え便利であっても従来の義肢を使う者も多い。しかし、隣国との国境戦争や内乱などにより需要は高く、特にイシュヴァール内乱が起こった際多くの負傷者が出た為機械鎧の需要が拡大した。ラッシュバレーはこの時に義肢技術を発達させ急速に大きくなった為「にわか景気の街」と呼ばれている。
 +
: 技師の個性や義肢としての役割以外の目的を求める物、また使用場所に合わせて改造した物や武器を内蔵した物など、作中では多種多様な機械鎧が登場する。全身甲冑のアルが機械鎧のフル装備だと思われたことがある。実際には人工臓器などの機能は不可能であり、また、中枢神経につなぐこともできない。
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; 真理 / 真理の扉
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: 認知外領域に浮かんでいる扉、もしくはこの空間その物を指す。人体錬成を行うとこの前に飛ばされる。
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: 真っ白な空間にある扉で、表面に[[生命の樹#セフィロトの樹|セフィロトの樹]]と思わしき彫刻がなされている(これは入る人により異なるらしい)。扉の中には未だ人が到達していない高度な知識も含めたあらゆる知識が存在しており、通行料を払うことでそれに見合った量の知識を得られる。
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: 扉の前に透明人間のようなモノがおり、人体錬成を行いやってきた者はまずこれと対面することになる。会話の後、真理の扉が開き、中から確固たる形状を持たないいくつもの腕や目を持ったモノが現れ、術者を扉の中に引き込んでしまう。その後、術者は真理を垣間見ることができるが、見た分に見合った通行料として身体の一部もしくは全てを、その透明な存在に持っていかれてしまう([[鋼の錬金術師の主要な登場人物#その他|鋼の錬金術師の主要な登場人物の「真理」]]も参照のこと)。
 +
: 「父」が作成を試みて失敗している(擬似・真理の扉。詳しくは[[鋼の錬金術師の主要な登場人物#ホムンクルス]]のグラトニーも参照)。擬似・真理の扉は現実と真理の狭間に繋がっており、本来の真理の空間とは違い扉は無くひたすら暗い空間と血の海が広がっている。
 +
; 東の賢者・西の賢者
 +
: それぞれアメストリス国とシン国に伝わる伝承の人物。それぞれはあくまで個別の伝説に過ぎないが、共通点が多く、両方共に滅んだクセルクセスからやってきた金髪・金目の人物とされている。東の賢者はアメストリスに錬金術の技術を伝え、現在の錬金術の基礎理論を作る。西の賢者もシンに錬金術を伝えるが、古来の錬丹術と合わせることで医療に特化した現在の錬丹術の基礎を作る。アメストリス建国の話やホーエンハイムの台詞より、東の賢者とはホムンクルス達の「父」であり、西の賢者とはホーエンハイムであると推測できる。
 +
; 約束の日
 +
: ホムンクルスらが国土錬成陣を発動可能な日であり、彼らの計画の最終段階。逆にこれを阻止しようと行動するエドらの合言葉ともなっている。
  
 
== 舞台設定  ==
 
== 舞台設定  ==
 
=== アメストリス (Amestris) ===
 
=== アメストリス (Amestris) ===
アメストリスは、この物語の舞台になる国。ほぼ円形に近い形をしており、中央と東西南北の5つのエリアが存在する。かつては小国だったが周辺の小国を併呑して現在の形になった。
+
この物語の舞台となる国。1558年頃に建国される。現在はほぼ円形に近い形をしており、中央と東西南北の5つのエリアが存在する。
 
+
大陸の内陸部に位置している。周辺諸国には、東にシン、西にクレタ、北にドラクマ、南にアエルゴがある。シンとの間には大きな[[砂漠]]が広がっており、その途中にはクセルクセス遺跡がある。また、この国全体に[[賢者の石]]の錬成陣がある。
+
  
「アメストリス」と言う国名の由来は実在した人物で、[[紀元前]][[ペルシア]]の王[[クセルクセス]]の后アメストリスから取られている。また、作中に出てくる「クセルクセス遺跡」はこの王の名前が由来である。
+
大陸の内陸部に位置し、東西南北それぞれにシン、クレタ、アエルゴ、ドラクマという国と隣接する。ただ、シンとの間には東の大砂漠があるため、厳密に隣接しているとは言い難い。
  
==== 中央 ====
+
「アメストリス」と言う国名の由来は実在した人物で、[[紀元前]][[ペルシア]]の王[[クセルクセス]]の后アメストリスから取られている。また、作中に出てくる「クセルクセス」はこの王の名前が由来である。
  
;セントラルシティ (Central City)
+
主要な機関はセントラルに一極集中している。また、交通通信網として、電話回線と鉄道網が整備されている。
 +
マスメディアとして、ラジオ放送と新聞がある。
 +
==== 中央(セントラル) ====
 +
; セントラルシティ (Central City)
 
: アメストリスの中枢都市。大総統府、錬金術研究所、軍法会議所、憲兵司令部など、国家の中枢機関が集中している。
 
: アメストリスの中枢都市。大総統府、錬金術研究所、軍法会議所、憲兵司令部など、国家の中枢機関が集中している。
:;国立中央図書館 (State Library)
+
:; 大総統府
:: 中央の図書館。国内最大の蔵書量を誇り、いくつもの分館がある。第一分館がラストに放火され全焼。かつてシェスカが働いていた場所。
+
:: アメストリス国軍の最高機関で、事実上の[[世界の官邸|官邸]]。
:;第二研究所 (2nd Laboratory)
+
:: その地下は「父」が居る地下施設中枢となっている(つまり、ホムンクルス達の拠点でもある)。
:: 中央にある錬金術研究所の一つ。大総統府が徒歩圏内である。
+
:; 国立中央図書館
:;第三研究所 (3rd Laboratory)
+
:: 国内最大の蔵書量を誇る図書館で、いくつもの分館がある。第一分館はラストに放火され全焼。
:: 中央にある錬金術研究所の一つ。マルコーが所属していた。マスタングが踏み込み、ラストと戦闘した。地下道があり、大総統府が徒歩圏内である。ラースもここで生まれた。
+
:; 第三研究所
:;第五研究所 (5th Laboratory)
+
:: 軍の錬金術研究機関の一つ。地下道があり、大総統府地下に通じると推測される。ラースが誕生した場所でもある。
:: 中央にある錬金術研究所の一つ。閉鎖されていた研究所。管理責任者はグラン准将。かつて死刑囚やイシュヴァール人を使って賢者の石の錬成実験が行われた。中央刑務所の横にある為、遺体が家族の下に返らない死刑囚を利用していた。アニメ版ではグリードやドルチェットやロア、マーテル達が監禁されていた。
+
:; 第五研究所
:;中央刑務所
+
:: 軍の錬金術研究機関の一つ。表向きは閉鎖されている。管理責任者はグラン准将。
:: 中央の刑務所。キンブリーが収監されていた。第五研究所の側に位置している。
+
:: 中央刑務所に隣接し、そこから運ばれた死刑囚やイシュヴァール人を使って賢者の石の錬成などの実験を行っていた。なお、この研究所は守護していた「スライサー」、「バリー・ザ・チョッパー」とエドとアルが戦った後、ラストとエンヴィーによって爆破された。
:;錬兵場
+
:; 中央刑務所
:: 軍の訓練施設。エドとマスタングによる模擬戦闘が行われ、マスタングが勝利した。
+
:: 第五研究所の隣に位置する刑務所。キンブリーが収監されていた。
:;軍法会議所
+
:; 地下施設
:: ヒューズ、シェスカ、フォッカーの勤務場所。
+
:: 正式名称不明。ホムンクルスの創造主である「父」の住処。
:;大総統府
+
:: セントラル地下に存在し、その中枢は大総統府の地下付近にあたる。入り口はセントラル各所にあるものと推測される。市内の入り口は大量の合成獣で守られている。
:: アメストリス国軍、すなわち国の中枢。地下には「父」の住処が広がっている。
+
:; カナマ
:;地下施設
+
:: セントラルシティ近郊にあるスラム。近くに森があり一時ヴァン・ホーエンハイムが隠れ住んでいた。
:: 正式名称不明。ホムンクルスの創造主である「父」の住処。大総統府の地下に広がっており、入り口の一つがセントラル市内の一角に、おそらく大総統府や諸研究機関にも存在する。市内の入り口は大量の合成獣で守られていた。
+
:;憲兵司令部
+
:: ダグラス、ネムダ、ガンツの勤務場所。
+
:;西区留置所
+
:: 中央にある施設。憲兵司令部が担当している。リンやロス少尉が勾留されていた。
+
:;退役軍人局
+
::軍人が退役する場合に利用する場所。
+
:;人事局
+
:: ヤコブレフの勤務場所。
+
:;倉庫街
+
:: 軍の施設として12個の倉庫がある。軍内部で13個目が存在するなどの怪談話が広がっていた。
+
:;旧市街
+
:: 原作未登場。巨大都市遺跡。広大な実験場や大聖堂がある。
+
:;地下都市
+
:: 原作未登場。ダンテの本拠地。中央旧市街地にある古い大聖堂から通じる400年前に地下に閉じ込められた都市。
+
  
 
==== 東部 ====
 
==== 東部 ====
 
+
; イーストシティ (East City)
;リオール (Reole)
+
: 東部の中心都市。東方司令部所在地。
: 東部にある町。教主コーネロが賢者の石もどきを使った「奇跡の業」で信者を集め、レト教という新興宗教を起した。エドによりイカサマがばれて、その後住民により「リオールの暴動」が起きる。
+
; リオール (Reole)
;ユースウェル (Youswell)
+
: 教主コーネロが不完全な賢者の石を使った「奇跡の業」で信者を集め、レト教という新興宗教を起していた。エドによりイカサマがばれて、その後「リオールの暴動」が起き町は壊滅状態となる。暴動鎮圧後は住民によって町の復興が行われている。
: 東部にある炭鉱町で通称「東の終わりの町」。「ユースウェル炭鉱」がある。ヨキ中尉(当時)の圧政に苦しんでいた。
+
; ユースウェル (Youswell)
:;ユースウェル炭鉱
+
: 炭鉱町で、東の大砂漠とも隣接する通称「東の終わりの町」。「ユースウェル炭鉱」がある。ヨキ中尉(当時)の圧政に苦しんでおり町には活気がなかったが、エドの活躍により炭鉱の運営権が工夫達に渡りヨキは更迭。その後町には活気が戻り人通りも多くなっていた。
:: ヨキ中尉(当時)に牛耳られていたが、エドにより運営権が町民に渡る。
+
; ニューオプティン
;ニューオプティン
+
: ハクロ少将が勤めていた軍の支部がある。
: 東部にある町。ハクロ少将が勤めていた軍の支部がある。
+
; ハイドウ村
;イーストシティ (East City)
+
: 軍から逃亡したマルコーが身を潜めていた村。
: 東部にある町。東部の中心都市。東方司令部がある。
+
; リゼンブール (Resembool)
;ハイドウ村
+
: エドとアルの生まれ故郷で、牧羊が盛んな小さな村。イシュヴァール内乱時は、軍服用羊毛の産地としてテロに遭い、駅前が焼き払われた。春には駅周辺で春の羊祭りが開催される。
: 東部にある村。軍から逃亡したマルコーが身を潜めていた。
+
; イシュヴァール (Ishval)
;リゼンブール (Resembool)
+
: 正確にはイシュヴァール地方。元々イシュヴァール人の住む土地で、彼らの信仰するイシュヴァラ教を認める条件でアメストリスに併合される。後に、イシュヴァールの内乱が起こり殲滅戦によって多くのイシュヴァール人が殺され、町や村は破壊しつくされた。現在は軍の監視下で外部とは遮断された閉鎖状態に置かれている。
: 東部にある町。エドとアルの生まれ故郷。牧羊が盛んで、内乱がなかったらまだ活気があふれていたと思われる(主産業の羊毛布が軍用とみなされ、駅周辺がテロで全焼、現在もその焼け跡が残る)。ピナコの営む機械鎧の店がある。
+
:;レイン川
+
:: エドとアルが小さい頃に良く遊んだ川。(ドイツのライン川がモデルになっている)
+
;ゼノタイム (Xenotime)
+
: 東部にある町。金鉱の街。金細工の技術に長けた町。「ゼノタイムの金細工」は高額で取引される。以前は農業が盛んな町だった。アニメ「第11、12話 砂礫の大地」、小説「砂礫の大地」で登場。
+
;イシュヴァール (Ishval)
+
: アメストリスの東部の地方。またそこに暮らす種族(スカーも同族)。軍の命令により殲滅戦が行われ、少数を残して滅ぼされた。イシュヴァール人はユダヤ人をモデルにしていると思われる(殲滅したアメストリスが民族的にドイツをモデルにしている為)。
+
:;カンダ地区
+
:: キンブリー少佐(当時)が殲滅を担当した地区。ロックベル夫婦がイシュヴァール人を治療をしていた。
+
:;グンジャ地区
+
:: モスキトー大佐が殲滅を担当した地区。全地区の中で一番最初に殲滅が完了した。
+
:;第18区
+
:: フェスラー准将が殲滅を担当した地区。
+
:;ダリハ地区
+
:: マスタング少佐(当時)が殲滅を担当した地区。全地区の中で一番最後に殲滅が完了した。
+
 
+
==== 西部 ====
+
  
 
==== 南部 ====
 
==== 南部 ====
 
+
; サウスシティ (South City)
;ラッシュバレー (Rush Valley)
+
: 南部の中心都市。南方司令部所在地。
: 南部にある町。機械鎧技師の聖地。『にわか景気の街』という名の通り、東部の内乱があったときに義肢技術を発達させて急速に大きくなった。ドミニクやガーフィールの営む機械鎧の店がある。
+
; ラッシュバレー (Rush Valley)
:;アトリエ・ガーフィール
+
: 機械鎧技師の聖地。東部の内乱時に義肢技術を発達させて大きくなり「にわか景気の街」とも呼ばれる。
:: ガーフィールの義肢装具店。ウィンリィが弟子入りして働いている。
+
; サウスフッド (South hood)
;サウスフッド
+
: ラッシュバレーと隣接している町。
: 南部にある町。ラッシュバレーと隣接している。
+
; ダブリス (Dublith)
;ダブリス
+
: 南部の避暑地で、カウロイ湖という観光名所がある。イズミとシグが営む肉屋、グリードのデビルズネスト(当時)がある。
: 南部にある町。エドとアルの師匠であるイズミが住んでいる。ヨック島という観光名所がある。「デビルズネスト」やシグの営む肉屋がある。
+
; カウロイ湖
:;カウロイ湖
+
: ダブリスの近くにある大きな湖。湖の真ん中にはかつてエルリック兄弟が修行したヨック島、という船でしか行けない島がある。
:: 観光名所。中央にヨック島という無人島がある。
+
:;ヨック島
+
:: エドとアルが修行を行った無人島。アニメ版ではイズミはここで人体錬成を行った。
+
:;デビルズネスト (Devil's Nest)
+
:: ダブリスの裏路地にある酒場。表に出られない犯罪者や「存在するはずのない者」達がはびこる。
+
;サウスシティ
+
: 南部にある町。南方司令部はここにある。
+
  
 
==== 北部 ====
 
==== 北部 ====
 
+
; ノースシティ (North City)
;ブリッグズ
+
: 北部の中心都市。北方司令部所在地。
: アメストリスの最北部に位置する山脈。北の国境線を守るための軍隊が駐留している。「弱肉強食」が掟。
+
; ブリッグズ / ブリッグズ山
:;ブリッグズ山
+
: アメストリスの最北部に位置する山脈。ドラクマとの国境線にあたり、「天険」とも呼ばれる。軍の主要拠点として「ブリッグズ要塞」がある。
:: 大国ドラクマとの国境線。要塞が築かれ、屈強な軍人によって守られている。イズミが一月修行した雪山でもある。
+
; バズクール
;ノースシティ
+
: かつて炭鉱で栄えた町。炭鉱の閉山に伴い現在は人は住んでおらず、ゴーストタウンと化している。
:北部にある町。北方司令部がある。
+
;ヴァルドラ
+
: 北方の主要都市。ブリッグス山の麓に位置する。北方司令部下の特異な人間が配備されているヴァルドラ方面軍が滞在する。商業や工業が盛んで景気が良い。「魔女の伝承」が伝えられている。ゲーム「鋼の錬金術師3 神を継ぐ少女」で登場。
+
 
+
==== 不明 ====
+
 
+
;ノイエ・ヒースガルド (New Heissgart)
+
: 錬金術師の自治する街。ゲーム「鋼の錬金術師 翔べない天使」で登場。
+
: リゼンブールから中央の間に位置する。
+
: ヴィルヘルム・エイゼルシュタインによって作られた街。
+
;ヒースガルド (Heissgart)
+
: ゲーム「鋼の錬金術師 翔べない天使」で登場。
+
:;レミニス渓谷
+
::
+
;レグロタリア
+
: ゲーム「鋼の錬金術師 思い出の奏鳴曲」で登場。
+
;ウィスタリア
+
: 南部と東部の国境近くにある大きな穴の町。小説「鋼の錬金術師 白い花の舞う谷」で登場。
+
  
 
=== その他の国 ===
 
=== その他の国 ===
 +
; シン (Xing)
 +
: アメストリスの東に位置する国。50以上の少数民族を皇帝が治めている。モデルは中国の[[清朝]]。
 +
: 「錬丹術」という独自の医療方面に特化した錬金術が発達している。
 +
: なお、日本版でシン国の者と分類される登場人物は、片言で語尾などが片仮名表記になるのが特徴。一方で彼らのみでの会話の際に吹き出しの文字が横向きになるが、このときの言語がシン語と思われる。シン語の文字には[[漢字]]が用いられている。
 +
; クレタ (Creta)
 +
: アメストリスの西に位置する国。アメストリスと小競り合いが絶えず、国境付近で度々戦闘を行い多数の死者が出ている。
 +
; アエルゴ (Aerugo)
 +
: アメストリスの南に位置する国。アメストリスと小競り合いが絶えず、たびたび戦闘を行っている。イシュヴァール内乱の際にはイシュヴァール人に武器援助していた。ケイン・フュリーの赴任地での国境紛争の相手国。
 +
; ドラクマ (Drachma)
 +
: アメストリスの北に位置する国。モデルは不明だが、軍服は旧ソ連の物と形状が似ている。
 +
: 「大国ドラクマ」とも呼ばれ、アメストリスとは不可侵条約を結んでいるが、一触即発の状態。国境線上にあるブリッグズ山脈と、ブリッグズ要塞の為に侵攻できないだけで、機があればアメストリスへ侵攻しようと虎視眈々と狙っている。
 +
: キンブリーに唆されて、オリヴィエがブリッグズを離れた隙を狙い侵攻するも無残な結果と終わる。
 +
; クセルクセス/クセルクセス遺跡 (Xerxes)
 +
: アメストリス-シン間、東の大砂漠の中にかつて栄えていた王国。「一夜で滅んだ」という伝説がある。
 +
: 現在は遺跡となっているが、市街地がオアシスの代わりとなっており、また、内乱から逃れたイシュヴァール人も住み着いていた。
  
==== シン (Xing) ====
+
{{ネタバレ終了|鋼の錬金術師}}
  
アメストリスの東の国。50以上の少数民族を一人の[[皇帝]]が治めている独裁君主制の国。アメストリスから見て、東の大砂漠の向こうにあるとされる。[[中国]]がモデルになっているようである。『[[錬丹術]]』という独自の医療方面に特化した錬金術が発達し、国の発展を助けている。余談だが、『錬丹術』も中国の錬金術の『錬丹術』からきていると思われる。
+
== 書誌情報 ==
 +
[[月刊少年ガンガン|ガンガンコミックス]][[スクウェア・エニックス]])より発刊(一部除く)
  
==== ドラクマ (Drachma) ====
+
=== コミックス ===
 +
{| class="wikitable" style="font-size:small"
 +
! コミックス
 +
! 発売
 +
! 初版発行
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! ISBNコード
 +
|-
 +
! 鋼の錬金術師 1
 +
| 2002年1月
 +
| 2002年2月22日付
 +
| ISBN 4-7575-0620-1 / ISBN 978-4-7575-0620-6
 +
|-
 +
! 鋼の錬金術師 2
 +
| 2002年5月
 +
| 2002年6月22日付
 +
| ISBN 4-7575-0699-6 / ISBN 978-4-7575-0699-2
 +
|-
 +
! 鋼の錬金術師 3
 +
| 2002年9月
 +
| 2002年10月22日付
 +
| ISBN 4-7575-0791-7 / ISBN 978-4-7575-0791-3
 +
|-
 +
! 鋼の錬金術師 4
 +
| 2003年1月
 +
| 2003年2月22日付
 +
| ISBN 4-7575-0855-7 / ISBN 978-4-7575-0855-2
 +
|-
 +
! 鋼の錬金術師 5
 +
| 2003年6月
 +
| 2003年7月22日付
 +
| ISBN 4-7575-0966-9 / ISBN 978-4-7575-0966-5
 +
|-
 +
!rowspan=2| 鋼の錬金術師 6
 +
|rowspan=2| 2003年10月
 +
|rowspan=2| 2003年11月22日付
 +
| ISBN 4-7575-1047-0 / ISBN 978-4-7575-1047-0
 +
|-
 +
| 初回限定特装版(SEコミックスプレミアム)<br/> ''ISBN 4-7575-1048-9'' / ''ISBN 978-4-7575-1048-7''
 +
|-
 +
!rowspan=2| 鋼の錬金術師 7
 +
|rowspan=2| 2004年3月
 +
|rowspan=2| 2004年4月22日付
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| ISBN 4-7575-1165-5 / ISBN 978-4-7575-1165-1
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|-
 +
| 初回限定特装版(SEコミックスプレミアム)<br/> ''ISBN 4-7575-1148-5'' / ''ISBN 978-4-7575-1148-4''
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|-
 +
! 鋼の錬金術師 8
 +
| 2004年7月
 +
| 2004年8月22日付
 +
| ISBN 4-7575-1230-9 / ISBN 978-4-7575-1230-6
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|-
 +
! 鋼の錬金術師 9
 +
| 2004年11月
 +
| 2004年12月22日付
 +
| ISBN 4-7575-1318-6 / ISBN 978-4-7575-1318-1
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|-
 +
! 鋼の錬金術師 10
 +
| 2005年3月
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| 2005年4月11日付
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| ISBN 4-7575-1386-0 / ISBN 978-4-7575-1386-0
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 +
! 鋼の錬金術師 11
 +
| 2005年7月
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| 2005年8月22日付
 +
| ISBN 4-7575-1496-4 / ISBN 978-4-7575-1496-6
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|-
 +
!rowspan=2| 鋼の錬金術師 12
 +
|rowspan=2| 2005年11月
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|rowspan=2| 2005年12月22日付
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| ISBN 4-7575-1573-1 / ISBN 978-4-7575-1573-4
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| 初回限定特装版(SEコミックスプレミアム)<br/> ''ISBN 4-7575-1549-9'' / ''ISBN 978-4-7575-1549-9''
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|-
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!rowspan=2| 鋼の錬金術師 13
 +
|rowspan=2| 2006年3月
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|rowspan=2| 2006年4月22日付
 +
| ISBN 4-7575-1638-X / ISBN 978-4-7575-1638-0
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|-
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| 初回限定特装版(SEコミックスプレミアム)<br/> ''ISBN 4-7575-1619-3'' / ''ISBN 978-4-7575-1619-9''
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 +
!rowspan=2| 鋼の錬金術師 14
 +
|rowspan=2| 2006年7月
 +
|rowspan=2| 2006年8月22日付
 +
| ISBN 4-7575-1719-X / ISBN 978-4-7575-1695-9
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|-
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| 初回限定特装版(SEコミックスプレミアム)<br/> ''ISBN 4-7575-1695-9'' / ''ISBN 978-4-7575-1695-3''
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|-
 +
! 鋼の錬金術師 15
 +
| 2006年11月
 +
| 2006年12月22日付
 +
| ISBN 4-7575-1812-9 / ISBN 978-4-7575-1812-4
 +
|-
 +
! 鋼の錬金術師 16
 +
| 2007年3月
 +
| 2007年4月22日付
 +
| ISBN 4-7575-1965-6 / ISBN 978-4-7575-1965-7
 +
|-
 +
! 鋼の錬金術師 17
 +
| 2007年8月
 +
| 2007年9月11日付
 +
| ISBN 4-7575-2064-6 / ISBN 978-4-7575-2064-6
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|-
 +
!rowspan=2| 鋼の錬金術師 18
 +
|rowspan=2| 2007年12月
 +
|rowspan=2| 2008年1月22日付
 +
| ISBN 4-7575-2175-8 / ISBN 978-4-7575-2175-9
 +
|-
 +
| 初回限定特装版(SEコミックスプレミアム)<br/> ''ISBN 4-7575-2127-8'' / ''ISBN 978-4-7575-2127-8''
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|-
 +
! 鋼の錬金術師 19
 +
| 2008年3月
 +
| 2008年4月22日付
 +
| ISBN 4-7575-2237-1 / ISBN 978-4-7575-2237-4
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|-
 +
! 鋼の錬金術師 20
 +
| 2008年8月
 +
| 2008年9月22日付
 +
| ISBN 4-7575-2353-X / ISBN 978-4-7575-2353-1
 +
|-
 +
! 鋼の錬金術師 21
 +
| 2009年1月
 +
| 2009年2月22日付
 +
| ISBN 4-7575-2439-0 / ISBN 978-4-7575-2439-2
 +
|-
 +
! 鋼の錬金術師 22
 +
| 2009年4月
 +
| 2009年5月22日付
 +
| ISBN 4-7575-2538-9 / ISBN 978-4-7575-2538-2
 +
|-
 +
! 鋼の錬金術師 23
 +
| 2009年8月
 +
| 2009年8月12日付
 +
| ISBN 4-7575-2602-4 / ISBN 978-4-7575-2602-0
 +
|-
 +
! 鋼の錬金術師 24
 +
| 2009年12月
 +
| 2009年12月22日付
 +
| ISBN 4-7575-2742-X / ISBN 978-4-7575-2742-3
 +
|}
  
アメストリスの北の国。[[不可侵条約]]は結んでいるが、一触即発の状態。しかし国と国の間に存在するブリッグズ山が天険の要塞の役割をはたし、『ブリッグズの北壁』と渾名されるアームストロング少佐の実姉、オリヴィエ少将が睨みを利かせているため、どちらも攻撃を仕掛ける事はできない。ロシアがモデルの様である。近隣諸国のうち、唯一アニメ版にも名前が登場する。
+
=== ガイドブック ===
 +
{| class="wikitable" style="font-size:small"
 +
! ガイドブックなど
 +
! 発売
 +
! 初版発行
 +
! ISBNコード
 +
|-
 +
! 鋼の錬金術師 パーフェクトガイドブック
 +
| 2003年11月29日
 +
| 2003年12月19日付
 +
| ISBN 4-7575-1092-6 / ISBN 978-4-7575-1092-0
 +
|-
 +
! 鋼の錬金術師 パーフェクトガイドブック2
 +
| 2005年4月29日
 +
| 2005年5月19日付
 +
| ISBN 4-7575-1426-3 / ISBN 978-4-7575-1426-3
 +
|-
 +
! 鋼の錬金術師 パーフェクトガイドブック3
 +
| 2009年10月10日
 +
| 2009年10月10日付
 +
| ISBN 978-4-7575-2713-3
 +
|-
 +
! 鋼の錬金術師 ハガレン研究所DX
 +
| 2004年9月30日
 +
| 2004年10月21日付
 +
| ISBN 4-7575-1270-8 / ISBN 978-4-7575-1270-2
 +
|-
 +
! 鋼の錬金術師 キャラクターガイド
 +
| 2009年5月29日
 +
| 2009年6月19日付
 +
| ISBN 978-4-7575-2574-0
 +
|-
 +
! TV鋼の錬金術師FULLMETALALCHEMIST ポストカードブック
 +
|
 +
| 2009年12月22日付
 +
| ISBN 978-4-7575-2741-6
 +
|}
  
==== アエルゴ (Aerugo) ====
+
== アニメ ==
 +
; 鋼の錬金術師
 +
: {{Main|鋼の錬金術師 (アニメ)|劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者}}
 +
; 鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST
 +
: {{Main|鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST}}
  
アメストリスの南の国。アメストリスとの国境付近では小競り合いが絶えない。イシュヴァール人に対して自国の武器を輸出していたが、イシュヴァール人の亡命を無視した(アメストリスに攻撃を仕掛けるための布石にイシュヴァールを利用。しかし大総統令三〇六六号“イシュヴァール殲滅戦”によって失敗)。
+
== ゲーム ==
 +
時期によって設定が異なるため、分けて説明する。
  
==== クレタ (Creta) ====
+
=== 2003年から2005年 ===
 +
傾向としては原作よりもアニメ(2003年)のストーリー展開や設定に沿っている(「赤きエリクシルの悪魔」や、もう1つの劇場版と宣伝された「神を継ぐ少女」など)。しかしながら、当初'''アニメ版の'''ハイドウ村(マウロのいた村)からセントラルシティへ向かう途中の話とされた初作「翔べない天使」が、後に「鋼の錬金術師3 神を継ぐ少女」予約特典ブックレット「PS2鋼の錬金術師大全」で'''原作の'''第9話と第10話の間(同じハイドウ村からセントラルシティへ向かう途中である)と説明されたように、時期によって説明が異なる場合もある。
  
アメストリスの西の国。アメストリスとの国境付近では小競り合いが絶えない。
+
ゲームオリジナルキャラクターに関しては、上記のように傾向として2003年のアニメ版に沿うため「[[鋼の錬金術師の登場人物一覧 (アニメ)]]」を参照のこと。
  
==== クセルクセス遺跡 (Xerxes) ====
+
* 鋼の錬金術師 翔べない天使([[2003年]]、[[プレイステーション2|PS2]]、[[スクウェア・エニックス]])
 +
* 鋼の錬金術師2 赤きエリクシルの悪魔([[2004年]]、PS2、スクウェア・エニックス)
 +
* 鋼の錬金術師3 神を継ぐ少女([[2005年]]、PS2、スクウェア・エニックス)
 +
* 鋼の錬金術師 ドリームカーニバル(2004年、PS2、[[バンダイ]])
 +
* 鋼の錬金術師 迷走の輪舞曲(ロンド)(2004年、[[ゲームボーイアドバンス|GBA]]、バンダイ)
 +
* 鋼の錬金術師 想い出の奏鳴曲(ソナタ)(2004年、GBA、バンダイ)
 +
* 鋼の錬金術師 デュアルシンパシー 二人の絆(2005年、[[ニンテンドーDS|DS]]、バンダイ)
  
[[クセルクセス]]遺跡はアメストリスとシンの間の大砂漠にある遺跡。かつて栄えた王国の市街地。「大昔に一夜で滅んだ」という伝説がある。人体練成のための錬成陣の残骸が残されていた。現在は隊商のオアシス代わりになっており、ロス少尉がフーに匿われていた。生き残ったイシュヴァール人も住み着いていた。
+
全年齢対象が多いが『鋼の錬金術師3 神を継ぐ少女』のみ[[コンピュータエンターテインメントレーティング機構|CERO]]12(12歳以上対象)指定となっている。
  
== メディア ==
+
=== 2009年以降 ===
 +
「暁の王子」「黄昏の少女」は前・後編。エルリック兄弟が北部へ向かう(原作16巻)直前のストーリー。
  
=== 単行本 ===
+
* 鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST -暁の王子-([[2009年]]8月13日発売、[[Wii]]、スクウェア・エニックス)
{|
+
* 鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST -黄昏の少女-([[2009年]]12月10日発売、[[Wii]]、スクウェア・エニックス)
|-
+
* 鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST 背中を託せし者([[2009年]]10月15日発売、[[PSP]]、バンダイ)
|style="vertical-align:top;"|
+
* 鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST 約束の日へ([[2010年]]5月20日発売、[[PSP]]、バンダイ) 
*第1巻 ISBN 4757506201
+
*第2巻 ISBN 4757506996
+
*第3巻 ISBN 4757507917
+
*第4巻 ISBN 4757508557
+
*第5巻 ISBN 4757509669
+
*第6巻 ISBN 4757510470
+
*第7巻 ISBN 4757511655
+
*第8巻 ISBN 4757512309
+
*第9巻 ISBN 4757513186
+
*第10巻 ISBN 4757513860
+
|style="vertical-align:top;"|
+
*第11巻 ISBN 4757514964
+
*第12巻 ISBN 4757515731
+
*第13巻 ISBN 475751638X
+
*第14巻 ISBN 475751719X
+
*第15巻 ISBN 4757518129
+
*第16巻 ISBN 4757519656
+
*第17巻 ISBN 4757520646
+
*第18巻 ISBN 4757521759
+
|}
+
  
=== アニメ ===
+
全年齢対象の多かった前作に比べて、CERO:B以上のものが多くなった。また、5月発売予定の「約束の日へ」はCERO:C(15歳以上対象)区分。
*テレビアニメについては、[[鋼の錬金術師 (アニメ)]]を参照。
+
*劇場版アニメについては、[[劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者]]を参照。
+
 
+
=== ゲーム ===
+
基本的に全年齢対象の作品ばかりだが、グロテスクな食人描写が含まれる「鋼の錬金術師3 神を継ぐ少女」だけは唯一、CERO12(12才以上対象)指定となっている。
+
* 鋼の錬金術師 ―翔べない天使― ([[プレイステーション2|PS2]]、[[スクウェア・エニックス]])
+
** ヒロイン - アルモニ・エイゼルシュタイン:[[水樹奈々]]
+
* 鋼の錬金術師2〜赤きエリクシルの悪魔〜 (PS2、スクウェア・エニックス)
+
** ヒロイン - エルマ:[[岡村明美]]
+
* 鋼の錬金術師3 神を継ぐ少女 (PS2、スクウェア・エニックス)
+
** ヒロイン - ソフィ・ベルクマン:[[坂本真綾]]
+
* 鋼の錬金術師 ドリームカーニバル (PS2、[[バンダイ]])
+
* 鋼の錬金術師 迷走の輪舞曲(ロンド) ([[ゲームボーイアドバンス|GBA]]、バンダイ)
+
** ヒロイン - コーニッシュ・ロイス
+
* 鋼の錬金術師 想い出の奏鳴曲(ソナタ) (GBA、バンダイ)
+
** ヒロイン - ウィンリィ・ロックベル、ヴィオラ・アモーレ
+
* 鋼の錬金術師 Dual Sympathy〜2人の絆〜([[ニンテンドーDS|NDS]]、バンダイ)
+
 
+
=== 小説 ===
+
  
 +
== 小説 ==
 +
=== ノベライズ ===
 
* 鋼の錬金術師1 砂礫の大地(著者:井上真)
 
* 鋼の錬金術師1 砂礫の大地(著者:井上真)
 
* 鋼の錬金術師2 囚われの錬金術師(著者:井上真)
 
* 鋼の錬金術師2 囚われの錬金術師(著者:井上真)
318行目: 455行目:
 
* 鋼の錬金術師5 それぞれの絆(著者:井上真)
 
* 鋼の錬金術師5 それぞれの絆(著者:井上真)
 
* 鋼の錬金術師6 新たなはじまり(著者:井上真)
 
* 鋼の錬金術師6 新たなはじまり(著者:井上真)
;ゲームノベルズ
 
:* 鋼の錬金術師 翔べない天使(著者:井上真)
 
:* 鋼の錬金術師2 紅きエリクシルの悪魔(著者:映島巡)
 
:* 鋼の錬金術師3 神を継ぐ少女(著者:映島巡)
 
  
=== ドラマCD ===
+
=== ゲームノベルズ ===
 +
* 鋼の錬金術師 翔べない天使(著者:井上真)
 +
* 鋼の錬金術師2 赤きエリクシルの悪魔(著者:映島巡)
 +
* 鋼の錬金術師3 神を継ぐ少女(著者:映島巡)
  
====コミックCDコレクション====
+
 
*鋼の錬金術師 Vol.1 砂礫の大地
+
== ドラマCD ==
**本作のみ声優はアニメ版と異なり、エドワード役を[[皆川純子]]、アルフォンス役を[[日下ちひろ]]が担当している。ラッセル・トリンガム([[岡野浩介]])、フレッチャー・トリンガム([[荒川美奈子]])はアニメ版も同じキャストである。
+
=== コミックCDコレクション ===
 +
*鋼の錬金術師 Vol.1 砂礫の大地 - 本作の声優はエドワード役を[[皆川純子]]、アルフォンス役を[[日下ちひろ]]が担当している。
 
*鋼の錬金術師 Vol.2 偽りの光 真実の影
 
*鋼の錬金術師 Vol.2 偽りの光 真実の影
 
*鋼の錬金術師 Vol.3 咎人たちの傷跡
 
*鋼の錬金術師 Vol.3 咎人たちの傷跡
====スペシャルドラマCD====
 
*鋼の錬金術師 霧のオグターレ 前編([[月刊少年ガンガン]][[2004年]][[4月]]号付録)
 
*鋼の錬金術師 霧のオグターレ 後編(月刊少年ガンガン2004年[[5月]]号付録)
 
*鋼の錬金術師 天上の宝冠 前編(月刊少年ガンガン2004年[[11月]]号付録)
 
*鋼の錬金術師 天上の宝冠 後編(月刊少年ガンガン2004年[[12月]]号付録)
 
  
====その他====
+
=== スペシャルドラマCD ===
;[[超こち亀]]
+
* 鋼の錬金術師 霧のオグターレ 前編([[月刊少年ガンガン]][[2004年]][[4月]]号付録)
*[[こちら葛飾区亀有公園前派出所]]の連載30周年を記念して発行された本。この中で荒川弘が1Pの作品を寄稿している。エドとアルの兄弟が登場していて、『錬金術とは何か?』を昏々と説明するエドと、錬金術で[[]]を出して欲しい[[両津勘吉]]の会話が描かれている。
+
* 鋼の錬金術師 霧のオグターレ 後編(月刊少年ガンガン2004年[[5月]]号付録)
 +
* 鋼の錬金術師 天上の宝冠 前編(月刊少年ガンガン2004年[[11月]]号付録)
 +
* 鋼の錬金術師 天上の宝冠 後編(月刊少年ガンガン2004年[[12月]]号付録)
  
== 関連事項 ==
+
== ラジオ ==
* 平成19年度(第11回)文化庁メディア芸術祭 漫画部門審査委員会推薦作品(マンガ部門/ストーリーマンガ)
+
{{main|鋼の錬金術師 (ラジオ)}}
  
== 関連項目 ==
+
== その他のメディアミックス ==
*[[新世紀エヴァンゲリオン]]-アニメの方を先に最終回にした作品仲間。
+
; [[超こち亀]]
 +
: [[こちら葛飾区亀有公園前派出所]]の連載30周年を記念して発行された本。この中で荒川弘が1Pの作品を寄稿している。
 +
: エルリック兄弟が登場し、「錬金術とは何か?」を懇々と説明するエドと、錬金術で金を出して欲しいとせがむ[[両津勘吉]]との会話が描かれている。
 +
実写映画
 +
2017年に公開された。前年5月24日に明らかになった。潮田渚が出演した
  
== 外部リンク ==
+
== 作品の評価など ==
 +
* 2004年 平成16年度(第8回)文化庁メディア芸術祭 漫画部門審査委員会推薦作品(マンガ部門 / ストーリーマンガ)
 +
* 2006年 文化庁メディア芸術祭10周年記念アンケート企画 日本のメディア芸術100選 マンガ部門2000年代1位、総合4位
 +
* 2007年 平成19年度(第11回)文化庁メディア芸術祭 漫画部門審査委員会推薦作品(マンガ部門 / ストーリーマンガ)
  
*[http://gangan.square-enix.co.jp/hagaren/ ハガレンweb研究所]
+
== 脚注 ==
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{{脚注ヘルプ}}
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<div class="references-small"><references /></div>
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== 外部リンク ==
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*[http://gangan.square-enix.co.jp/hagaren/ 鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST]
 +
*[http://www.square-enix.com/jp/magazine/ganganonline/comic/hagane/index.html 鋼の錬金術師 - 漫画 - ガンガンONLINE -SQUARE ENIX-]
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*[http://www.square-enix.com/jp/magazine/ganganonline/novel/hagane/index.html 鋼の錬金術師 - 小説 - ガンガンONLINE -SQUARE ENIX-]
  
 
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2016年5月24日 (火) 08:07時点における最新版

Disambiguation

この項目では荒川弘の漫画作品について説明しています。

  • 2003年のアニメについては鋼の錬金術師 (アニメ)をご覧ください。
  • 2009年のアニメについては鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMISTをご覧ください。
  • {{{6}}}については[[{{{7}}}]]をご覧ください。
  • {{{8}}}については[[{{{9}}}]]をご覧ください。
  • {{{10}}}については[[{{{11}}}]]をご覧ください。
  • {{{12}}}については[[{{{13}}}]]をご覧ください。
継続中の作品
この「鋼の錬金術師」はまだ完結していない作品や番組に関する記事又は節です。ある程度ストーリー・番組内容がまとまってから編集するようにしてください。
鋼の錬金術師
[[Image:|0|]]
ジャンル アクションファンタジー
漫画:
作者 荒川弘
作画
出版社 スクウェア・エニックス
その他の出版社
掲載誌 月刊少年ガンガン
レーベル ガンガンコミックス
発売日
発表期間 - 連載中
巻数 24巻
話数
その他
テンプレート使用方法 ノート
Logo serie manga.png
ポータル
日本の漫画作品
日本の漫画家
漫画原作者
漫画雑誌
カテゴリ
漫画作品
漫画 - 漫画家
プロジェクト
漫画作品 - 漫画家

鋼の錬金術師』(はがねのれんきんじゅつし)は、荒川弘による日本漫画作品。また、それを原作とした派生作品。『月刊少年ガンガン』(スクウェア・エニックス)にて、2001年8月号より連載中。

2004年、第49回小学館漫画賞受賞。2006年、第5回東京アニメアワード原作賞を受賞。2009年8月現在、単行本は24巻まで発売されており、累計発行部数は、スクエニ発行のコミックスの最高記録となる、4000万部を突破した[1]。2003年にアニメ化、2009年に再アニメ化され4月5日より放送中。

概要[編集]

錬金術が存在する架空の世界を舞台としたハイ・ファンタジー漫画。物語の世界は、19世紀の産業革命期のヨーロッパをモチーフにしている。

初期から人間の命の重さといった重いテーマを扱いながらも、少年漫画としてコミカルなギャグシーンや躍動感溢れるアクションシーンもふんだんに取り入れており、独特のスチームパンクを意識した世界観や暗くなりすぎないストーリー展開に評価が高く、エニックスお家騒動により主要作品を次々と失って低迷していた『月刊少年ガンガン』の売り上げ部数増加に貢献する。

2010年3月現在、月刊少年ガンガンの作品の中では一番の長期連載作品でもある。

公式でもよく用いられる略称の「ハガレン」は「はがねのれん金術師」より。また、英語版タイトル及び2期アニメの副題である「Fullmetal Alchemist」の頭文字を取って「FA」、「FMA」と呼ばれることもある。

ストーリー[編集]

幼き日に最愛の母親、トリシャ・エルリックを亡くした兄・エドワードと弟・アルフォンスのエルリック兄弟は、母親を生き返らせようと、錬金術における最大の禁忌、人体錬成を行う。しかし錬成は失敗し、エドワードは左脚を、アルフォンスは自らの身体全てを失ってしまう。エドワードは自身の右腕を代価として、アルフォンスの魂を鎧に定着させることに辛うじて成功したが、自分達の愚かさに気づく。その後エドワードは自ら失った右腕と左脚に機械鎧(オートメイル)を装着し、一時的に手足を取り戻す。

12歳となったエドワードは、国家錬金術師となり二つ名「鋼」を授けられ、アルフォンスと共に元の体に戻る為、絶大な力を持つ賢者の石を探す旅に出る。しかし、旅先には数々の試練がエルリック兄弟を待っていた。エドワードを「人柱」と語る人造人間(ホムンクルス)や、国家錬金術師を狙う傷の男など、謎の敵が現れる。さらには目的を同じくする異国の者達まで現れ、兄弟の旅は波乱を究める。かつて起こった「イシュヴァール殲滅戦」を巡る陰謀が漂う中、兄弟は絆を深めながら元の体に戻る方法を探し続ける。

用語[編集]

登場する暦は、特別な記載が無い限りアメストリス国で使われている大陸暦である。

錬金術関連[編集]

錬金術
物語の世界において、発展した技術及び学問。物質の構成や形を変えて別の物に作り変える技術とそれに伴う理論体系を扱う学問である。科学的であるかのような用語も登場するが、作者自身、コミックス1巻の袖で「こんな錬金術があるかい」とコメントしている通り、現実における錬金術とは一部の用語が共通する以外は全く関係がなく、むしろ魔法に近い。
まず基本的に錬金術を行使するには錬成陣と呼ばれる魔法陣のような物が必要である(詳しくは「錬成陣」の項を参照)。これにエネルギーを流すことによって術が発動する。このように魔法に近い面もあるが、いくつか制限があることも特徴である。その基本は等価交換であり、無から物質を作り出したり、性質の違う物を作り出すことは不可能(詳しくは「等価交換」の項を参照)。そのため、必ず原材料となる物が必要であり、その物質の構成元素や特性を理解し、物質を分解、そして再構築するという3つの段階を経て完了する。ただし、構築式に誤りがあったり、対価以上の物を錬成しようとすると失敗し、時にリバウンドと呼ばれる現象が起きる。リバウンドが起きると術者に多大なダメージを及ぼす。
この仕組みは高度な理論に基づいており、学べば誰でも使えるという物ではない。さらに、仮に使えても術者の力量による面が大きく、高度な術式を使える者は多くない。また、金属分野や生命分野、炎や水といった自然現象的な物まで多岐多様な分野があり、登場する錬金術師たちは基本的に得意分野を持ち、それぞれ固有の錬金術を持っていることが多い。盗作や乱用を防ぐために自らの研究成果を秘匿するのもその一因である(例えばエドは一見すると旅行記に見える暗号で研究成果を記録している)。
錬金術におけるメカニズムは完全に解明されているとは言い難く、特に錬金術を行う際のエネルギーはどこから来るかという点が非常に曖昧である。地殻変動のエネルギーを利用しているという説が定説であり、「東の賢者」なる者によって理論が確立したとされている。しかしながら、エンヴィーやシン国人の発言、ひいては錬丹術の見地などから非常に疑わしい。
技術研究に限界は無いが、禁忌と呼ばれる研究分野や国家錬金術師に課せられる3つの禁止行為などがある(詳しくは「国家錬金術師」の項を参照)。
錬丹術
シン国で発展し、医療方面に特化した錬金術。研究自体は古来より存在していたが迷信に近く(現実世界における錬丹術に近い)、今日の発展は数百年前にシン国にやってきた、「西の賢者」が錬金術の技術を伝えることによってもたらされた。もともと同一の基礎理論からなりたっている為、等価交換の原則や錬成陣を必要とするなど、基本的に錬金術と同じである。ただし、その錬成の際に必要なエネルギー源は、大地や生物の内にある気の流れ(大地の場合には「龍脈」とも呼ばれる)を利用しているという点が大きく異なる。これを利用するとアメストリスの錬金術には無い、遠隔錬成も可能。ただし、気の流れが絶った場所は不可能であり、錬金術同様、失った腕などは復元することはできない。
等価交換
錬金術における最も根本的な原理。特に「無から有は作れない(何かを得るには同等の代価が必要)」という点は錬金術に関わらず思想信条として出てくる場合もあり、重要なテーマともなっている。大きく以下の2つに集約される。
質量保存の法則
原材料と錬成の生成物の質量は同じでなければならない。故に無から有は作れない。
自然摂理の法則
原材料と錬成の生成物は同質の物質でなければならない。例えば、水から石を作り出すことはできないなど。作中では、化学元素も登場しているが、四大元素三原質なども理論体系として存在しているために、ボタ石を金に錬成してしまうなども可能で、現実の科学とは全く異なることに注意が必要である。
錬成陣
錬金術、錬丹術を行うために必要なサークルで、魔法陣に近い。円形が基本であり、これは力の循環時間の循環を示す。これに構築式を組み立てることで初めて錬成陣として機能する。
錬成陣は錬金術師たちのいわば研究成果であり、絵や文字が記述されていたり、あるいは複数の陣を組み合わせたものなど多種多様で、たとえ同じ効果を持つ陣であっても違いがある。特に高度な錬金術師ほど、簡潔な錬成陣で複雑な錬成が可能。また、錬成陣の用意も、使うたびに記述する者や、あらかじめ装具(手袋など)に描き込んでいる者、手や体に直接刻む者など様々である。
例外としてエルリック兄弟やイズミのように「真理」を見たことによって、錬成陣無しで錬金術を行える者もいる。この場合、両手を胸の前で合わせる独特のモーションを行うが、これは自らが構築式を兼ね、かつ手を合わせることで円形となり、錬成陣に見立てている。また、賢者の石を持つ場合も、石自体が莫大なエネルギーと構築式を内蔵していることにより、錬成陣が不要でありかつノーモーションである。
「パーフェクトガイドブック」での作者インタビューによると、作者がかつてアシスタントを務めていた漫画家・衛藤ヒロユキの漫画作品『魔法陣グルグル』をベースにした部分が少なからず存在するという。
人体錬成
人間またはその一部を錬成する錬金術。人造人間も含まれる。未だ成功例が無いと言われる未知の錬金術であり、錬成その物が禁忌として扱われている。国家錬金術師に課せられる制限「人を造るべからず」にも抵触するが、これは「人間と生物を代償にする錬成」も含まれ(いわゆる合成獣。詳しくは合成獣の項を参照)、厳密に言えば「人体錬成」その物は、人体を構成する元素や物質を元に錬成を行うことを指す。特に死者の復活を目的とした人体錬成を指すことが多い。
錬金術において、人間は肉体・魂・精神の3つから成るとされており、これらを錬成できれば母胎に頼らず人間を生み出せるという理屈である。しかし、実際には構築式が複雑になるために研究自体が非常に高度であり、仮に一定の成果を得て人体錬成を行っても確実にリバウンドが起こる(理由は後述)。リバウンドが起こった場合には、真理の扉に飛ばされ、通行料として術者の身体の一部ないし全部を奪われる(詳しくは真理の扉の項を参照)。ただし、肉体・魂・精神のうち、どれか1つだけなら錬成に成功した例がある。
存在しない物を錬成することは原理上不可能であり、そのため、既に存在しない死者や身体の一部を錬成することは始めから不可能である。そのために、どのような構築式を持ってしても錬金術の範囲をオーバーするためにリバウンドが発生する。逆に言えば、存在さえしていれば復活させられる可能性を持っており、賢者の石による身体の復活を諦めたエルリック兄弟は、その方面で研究を続けている。事実、肉体・魂・精神が揃っている正常な人体を代価として、一度分解し、同じ物を再構築する分には原理上は可能であり、作中でも成功している。
人造人間に関しては、「父」が錬成に成功している(詳しくはホムンクルスの項を参照)。
人造人間(ホムンクルス)
錬金術によって生み出された人造人間。現実の錬金術におけるホムンクルスの設定も登場するが、作中に登場する7つの大罪に関した名を持つホムンクルス達はこの作品オリジナルの設定であり、ここではそれについて説明する。
全部で7人おり、七つの大罪から色欲(ラスト)、暴食(グラトニー)、嫉妬(エンヴィー)、強欲(グリード)、怠惰(スロウス)、傲慢(プライド)、憤怒(ラース)と言う名をそれぞれ与えられている。欠員が出た場合には可能なら新たに補充される。外見的特徴としては、肉体の一部にウロボロスの印を持ち、そして黒ずくめの服に背中から基盤のような模様が伸びているのが共通(一部例外あり)。そして、各々がそれぞれ固有の特殊能力を備えている。
「父」から生み出される賢者の石を核とする存在で、石はそれぞれに七つの大罪を冠した「父」の魂という面を持ち、生み出されたホムンクルスは、その与えられた名(業)に関係する性格、行動原理を持つ。賢者の石内の魂の数だけ命があり、大小問わず外傷を受けても瞬時に復元され、致命傷を受け死亡したとしても魂のストックの分だけ再生する。(魂が1つしかないラースのみ再生しない)。賢者の石を直接破壊された場合には、エンヴィーの場合は真の姿に戻った。さらに、(人間ベースでない場合に)その黒服も身体の一部であり、傷つくと再生する。1つの容れ物に多数の魂を内包するといった特質から、独特の気配を放つ事が特徴であり、この気配は普通の人間には関知できないものの、動物やそれらと合成されている一部の完成度の高い合成獣、「気」の流れを感知する術を体得したシンの王族や護衛といった、気配を読む事に長けた存在にはそれを察知され、身を隠しても居場所を気取られてしまう。
生まれてから既に完成した人格、豊富な知識を備え、創造主への愛情として基本的に「父」のために行動する。ただし、グリードのように、与えられた業に忠実であるがために離反する者もいる。また、ホムンクルスを優れた存在と見なし、人間に対して優越感を持っていることも特徴。
ホムンクルスの製造方法は作中で示された物に関しては大きく2つに分かれ、基本的には「父」が自らの体内で造り出すパターンと、賢者の石を生身の人間に注入して造り出すパターンがある。後者のような人間ベースのホムンクルスは、優れた身体能力や固有能力を問題なく有しているが、人間同様に成長・老化していき、特にラースに関しては老化による身体能力の衰えがみられる。また、ホムンクルスの特徴の一つである基盤模様がない。ただ、多くの人間は賢者の石が注入されるとその高エネルギーに耐えられずに死んでしまうため、稀な存在である。
不死の軍団
セントラルの地下施設で大量生産された量産型ホムンクルスの総称。他のホムンクルス同様高い身体能力と再生能力を有すが、知能は低い。成人男性の様な体つきをしているが、体と顔に基盤の様な模様があり眼球も額の部分に1つしかない。マスタング達がセントラルシティで決起したのを受け、軍幹部の1人が独断で魂を定着させ目覚める。が直後に幹部を食い殺し暴走、大群で敵味方の区別なく襲いかかる。
生体錬成
人体の構造を理解し、損傷箇所を錬成によって治癒する錬金術。「医療錬金術」とも呼ばれる高度な分野。人体錬成や合成獣と重複する部分もあるが、こちらは禁止行為にはなっていない。
合成獣(キメラ
2種類以上の生物を対価に錬成し、合成された生物。錬金術の分野では合成獣理論などと呼ばれることがある。生体錬成と同じく禁忌でも「人を造るべからず」に違反するわけでもないが、原理上、人間を対価にすることも可能であり、その場合には「人を造るべからず」に抵触する。
一方でアメストリス国軍で密かに研究され、一定の成果を得ている。人と動物との合成獣に関しては、完成度の高い合成獣になるほど、外見に人よりも獣の特徴が強く出た例から、人の姿を保った外見となっていき、最終的には人間態からに獣人態へと自由に変身する、人間の外見と獣の攻撃力とを両立したものが完成例として確立、中央軍においてはこれらのか変身する合成獣によって、極秘で部隊が構成されている。
賢者の石
「等価交換」の原則などを無視して錬成が可能になる幻の術法増幅器。使用する場合には錬成陣すら不要となる。また、その形状も石(固体)とは限らず、「大エリクシル」「第五実体」など、様々な別称が存在する(赤色なのは共通)。基本的な設定は一般的な賢者の石の設定に準じている。
その正体は複数の生きた人間を対価に錬成される、魂が凝縮された高密度のエネルギー体。本物は壊れることの無い完全な物質とされる。10人程度でも作製できるが、その場合などは不完全であり、一定以上に使えば簡単に壊れてしまう。作中、不完全・未完成・類似品など多くが登場するが、本物と呼べる物は存在しない(「父」とホーエンハイムが持つ物も、使用すれば消耗する不完全な代物である)。ホムンクルスの核として使われている石も不完全なものである。
錬成には、円と五角形を組み合わせた錬成陣を用い、五角形の頂点に対価=人間が配置され、魂のみが分離され賢者の石として錬成される。より大きな錬成陣を用いる際には、五角形の頂点により強大な対価=エネルギーが必要になるため、陣内部で対価となる人間の他に、大多数の人間の強い憎悪と悲しみのエネルギーが定着した『血の紋』が、五角形の頂点に刻まれる。

アメストリス国[編集]

国家錬金術師
アメストリスの国家資格、及びその資格を持つ錬金術師。国より多大な支援を受けることが可能となるが、様々な義務も負う。現在までの資格収得者の総計は200人程だが、後述する理由により現在も資格を保有している者はずっと少ないと思われる。
大総統府直属の機関によって管理され、その地位は軍部の少佐にも相当する。国家錬金術師になれば、その証である二つ名銀時計(大総統紋章に六芒星をあしらったもの。身分証明になり、各種特権を享受する際にも必要)が与えられ、以下のような様々な特権を国家より与えられる。
  • 年間数千万センズの研究費の支給
  • 各種、特殊文献の閲覧許可
  • 鉄道や国が経営するホテルなどの国家施設を優先的に利用が可能
  • 軍部少佐相当官の地位
    (国家錬金術師である事とは別に軍に所属しており、中佐以上の地位を得ていれば、この限りではない)
ただし、国家錬金術師資格試験という厳しい試験(筆記・精神鑑定・実技)を合格しなければ得られない超難関の資格であり、さらに合格しても1年毎の査定(研究成果のレポートと実技。軍に所属するものは日々の軍務・戦功などを評価)に合格しなければ資格を剥奪されるという厳しい内容である。さらに以下のような三大制限が課せられる。
人を造るべからず
一般に禁忌に準じた項目と認識されているが、実情は戦闘に優れた人間を造り出すことで私設軍隊を持ち、国を脅かさないようにするため。軍部で密かに研究され、特に人と獣の合成獣において一定の成果を得ている。
金を造るべからず
貨幣価値の暴落によるインフレなど、経済混乱を引き起こさないようにするため。金だけではなく、貴金属も含まれる。
軍に忠誠を誓うべし
正式な軍人になる訳ではないが、実質的な軍属となるため。非常事態には軍に召集され、人間兵器として戦場に立つという義務も含まれる。イシュヴァール内戦に参加して資格を返上した者もいる。
また、必然的にその研究は軍のために使われるので、錬金術師の指針である「錬金術師よ大衆のためにあれ」に反し、一般人には「軍の狗」と蔑まれることもある。
国、ひいては軍部にとって有益な錬金術師を確保するため、ブラッドレイによって創設される。ただし、実際には、ホムンクルス達の目的のために、優秀な錬金術師を把握しておくという意味を持ち、その最終選定はプライドとブラッドレイの相談によって決まる。
軍部(アメストリス国軍)
大総統を頂点とするアメストリスの軍隊。アメストリスは軍部が議会・裁判所を掌握し軍事政権を敷いているため、トップの大総統府は事実上の政府である。それ故に、その長である大総統の地位は国家元首に等しい。
組織形態として、中央(セントラル)に本部を持ち、東西南北にそれぞれ司令部を置いて国の防衛に当たっている。また、警察権も憲兵として軍部が持ち、憲兵司令部が各地方司令部と同列に扱われている(ただし、一般の憲兵は軍の下位組織の扱いである)。また、重要拠点においてはブリッグズ要塞のように、地方司令部より独立していると思われるような形態を持つ。そして、それらを全て束ねる軍の最高機関として大総統府が存在する。士官学校や国の各錬金術師機関も大総統府直属の扱いとなっている。
軍の階級は順に、大総統/将官)/佐官)/尉官)/准士官)/下士官曹長軍曹伍長)となっている。各組織の総司令官は将官クラスの階級が担う。東方司令部のグラマン中将のように、各部署にある程度の裁量権を認めているところもあれば、ブリッグズ要塞のオリヴィエ少将のように司令官を頂点とする徹底したトップダウン的な形態を成すものもあり、組織の形状については各支部の司令官に任されているようである。また、イシュヴァール戦でキンブリーが「自らの意思で軍服を着た」と言っていることから、兵士の徴募制度は志願制のようである。
物語の舞台は産業革命期をモデルとしているが、軍が使う武器には主に第二次世界大戦後期のドイツ国防軍の制式兵器のMP40対戦車砲等やベトナム戦争初期のアメリカ軍をモデルにしたと思われる物が登場し、歩兵砲兵が主力兵力である。また、主力といえる程ではないがIV号戦車をモデルにした戦車なども登場し、それに対して航空兵力は飛行機が発明されていないために存在せず、気球での写真偵察が細々と行われているのみである。
軍装は青色を基調とする。一般憲兵は黒色であるが、憲兵司令部に務める士官クラスの軍人は青色(腕章を着用)である。また、地域によって微妙な差異が見られる。
アメストリス国そのものがホムンクルス達の目的に沿って建国され、現在の国家体制もホムンクルス(ラース)であるブラッドレイによって、軍事国家化、より中央集権的な体制へと編成したものである。また同時に軍事力の強化と対外侵略を繰り返して領土を拡大した経緯がある。現在は隣国と小競り合いが絶えないとはいえ、対外的には比較的安定しており、軍部の主な役割は国内の治安維持となっている。
軍上層部はホムンクルス達の策略に咬んでいるとはいえ、ほとんどの軍人は国の為に働いている。軍部の横暴・不正とそれに対する国民の不満が時折描写されるものの、総じて国民はその国政を受け入れている。
イシュヴァールの内乱 / イシュヴァール殲滅戦
物語が始まる13年前(1901年)にイシュヴァール地方で起こったイシュヴァール人による内乱。ある軍将校が、イシュヴァール人の少女を撃ち殺した事件が発端とされる。
当初、軍部は通常の内乱鎮圧と同じ扱いで対処していたが、1人でアメストリス兵10人に匹敵すると言われる精強なイシュヴァラ教の武僧や、アメストリスの弱小化を狙う隣国アエルゴによる秘密裏の支援等で非常に長引き、その結果、1908年に国家錬金術師を投入しての殲滅戦へと移る。最終的にイシュヴァール全土は完全に軍の管理下に置かれる。
その目的においてイシュヴァール人の全滅が目的であるものの、一部は逃げ出すことに成功しており、アメストリス各地でスラムを形成したり、遺跡や山間部に隠れ住んでいる。また、内乱中は軍服用の羊毛の産地ということで、リゼンブールがテロの被害を受けており、イシュヴァール地方外にも広がりがあった。
ホムンクルスたちの計画である『血の紋』を刻むための一環であり、少女を撃ち殺した軍将校とはエンヴィーが化けたものだった。
ウィンリィの両親の死亡や「傷の男」の復讐、殲滅戦にまつわる軍部や国家錬金術師の話、またホムンクルスの目的など、時系列的には過去の話だが、物語に対する影響力が大きい出来事である。
国土錬成陣
アメストリス国の円形の国土を利用して、一定の地域で大多数の人々の死を引き起こすことで、発生した強大な憎悪と悲しみのエネルギーが根を下ろし刻まれる『血の紋』と、各地に刻まれた複数の血の紋をつなぐ地下深くに掘られたトンネルとによって構成された、巨大な賢者の石の錬成陣。
ホムンクルス達が建国と同時に作り始めた物で、むしろ国土錬成陣を作るためにアメストリスを建国したと言っても過言ではない。トンネル自体はプライドとスロウスが管轄し、他のホムンクルス達が戦争や内乱を起こして、血の紋に必要な大量の人の死を巧みに用意していた。
ブリッグズ編にて、スロウスがついにトンネルを完成させ、最後の交点での血の紋もプライドの命令を受けたキンブリーによって用意され、錬成陣は完成してしまう。発動させる条件として天体の動きが関係しており、発動条件を満たす日を「約束の日」と呼ぶ。
逆転の錬成陣
ホムンクルスの計画している国土錬成陣の発動に伴い作用する、カウンター効果をもたらす錬成陣。錬金術に錬丹術を組み込むことにより完成する錬成陣であり、それら2つを同時に習得しているホーエンハイムと「傷の男」の兄が、それぞれ研究によって導き出したもの。
錬成陣の基本的な原理・構造は賢者の石の陣と同じく、円と五角形を組み合わせた陣と円周上の5つの頂点に配置される人の命を利用したものだが、こちらの陣は頂点のポイントから伸びるエネルギーが中央の一点を封じ込めるような五角形を形成した構造となっている事が特徴。「約束の日」による国土錬成陣発動に向けて、ホーエンハイムによるアメストリス国土全体を利用したこの陣の形成が進められており、円周上の=アメストリス国境付近に刻まれるべきポイントのエネルギーに関しては、ホーエンハイムが研究から導き出した該当する地点に自身の賢者の石を埋め込むことにより用意されている。
センズ
アメストリスの通貨。1センズあたり現実世界における1円とほぼ同じ価値。
大陸暦
アメストリスで(ひいては物語で)使われている紀年法。物語開始時点で1914年。この作品が産業革命期をモチーフにしているという点で見ると、おおよそ西暦に対応している。

その他用語[編集]

機械鎧(オートメイル)
この世界特有の義肢。神経系と直接接続することによって普通の手足と同じように動かすことができ、筋電義手に近い。銃器などを内蔵した戦闘用の物も存在する。
この世界ではポピュラーな物であるが、普通の義肢も存在する。機械鎧着用の際にはかなりの激痛を伴う接続箇所の手術をする必要があり、リハビリには長期間を必要とする(ピナコは「まともに動けるようになるまで3年」と言っている)。また、接続の際にも若干の痛みを伴う。手術や機械鎧本体が高価であることなどから、例え便利であっても従来の義肢を使う者も多い。しかし、隣国との国境戦争や内乱などにより需要は高く、特にイシュヴァール内乱が起こった際多くの負傷者が出た為機械鎧の需要が拡大した。ラッシュバレーはこの時に義肢技術を発達させ急速に大きくなった為「にわか景気の街」と呼ばれている。
技師の個性や義肢としての役割以外の目的を求める物、また使用場所に合わせて改造した物や武器を内蔵した物など、作中では多種多様な機械鎧が登場する。全身甲冑のアルが機械鎧のフル装備だと思われたことがある。実際には人工臓器などの機能は不可能であり、また、中枢神経につなぐこともできない。
真理 / 真理の扉
認知外領域に浮かんでいる扉、もしくはこの空間その物を指す。人体錬成を行うとこの前に飛ばされる。
真っ白な空間にある扉で、表面にセフィロトの樹と思わしき彫刻がなされている(これは入る人により異なるらしい)。扉の中には未だ人が到達していない高度な知識も含めたあらゆる知識が存在しており、通行料を払うことでそれに見合った量の知識を得られる。
扉の前に透明人間のようなモノがおり、人体錬成を行いやってきた者はまずこれと対面することになる。会話の後、真理の扉が開き、中から確固たる形状を持たないいくつもの腕や目を持ったモノが現れ、術者を扉の中に引き込んでしまう。その後、術者は真理を垣間見ることができるが、見た分に見合った通行料として身体の一部もしくは全てを、その透明な存在に持っていかれてしまう(鋼の錬金術師の主要な登場人物の「真理」も参照のこと)。
「父」が作成を試みて失敗している(擬似・真理の扉。詳しくは鋼の錬金術師の主要な登場人物#ホムンクルスのグラトニーも参照)。擬似・真理の扉は現実と真理の狭間に繋がっており、本来の真理の空間とは違い扉は無くひたすら暗い空間と血の海が広がっている。
東の賢者・西の賢者
それぞれアメストリス国とシン国に伝わる伝承の人物。それぞれはあくまで個別の伝説に過ぎないが、共通点が多く、両方共に滅んだクセルクセスからやってきた金髪・金目の人物とされている。東の賢者はアメストリスに錬金術の技術を伝え、現在の錬金術の基礎理論を作る。西の賢者もシンに錬金術を伝えるが、古来の錬丹術と合わせることで医療に特化した現在の錬丹術の基礎を作る。アメストリス建国の話やホーエンハイムの台詞より、東の賢者とはホムンクルス達の「父」であり、西の賢者とはホーエンハイムであると推測できる。
約束の日
ホムンクルスらが国土錬成陣を発動可能な日であり、彼らの計画の最終段階。逆にこれを阻止しようと行動するエドらの合言葉ともなっている。

舞台設定[編集]

アメストリス (Amestris)[編集]

この物語の舞台となる国。1558年頃に建国される。現在はほぼ円形に近い形をしており、中央と東西南北の5つのエリアが存在する。

大陸の内陸部に位置し、東西南北それぞれにシン、クレタ、アエルゴ、ドラクマという国と隣接する。ただ、シンとの間には東の大砂漠があるため、厳密に隣接しているとは言い難い。

「アメストリス」と言う国名の由来は実在した人物で、紀元前ペルシアの王クセルクセスの后アメストリスから取られている。また、作中に出てくる「クセルクセス」はこの王の名前が由来である。

主要な機関はセントラルに一極集中している。また、交通通信網として、電話回線と鉄道網が整備されている。 マスメディアとして、ラジオ放送と新聞がある。

中央(セントラル)[編集]

セントラルシティ (Central City)
アメストリスの中枢都市。大総統府、錬金術研究所、軍法会議所、憲兵司令部など、国家の中枢機関が集中している。
大総統府
アメストリス国軍の最高機関で、事実上の官邸
その地下は「父」が居る地下施設中枢となっている(つまり、ホムンクルス達の拠点でもある)。
国立中央図書館
国内最大の蔵書量を誇る図書館で、いくつもの分館がある。第一分館はラストに放火され全焼。
第三研究所
軍の錬金術研究機関の一つ。地下道があり、大総統府地下に通じると推測される。ラースが誕生した場所でもある。
第五研究所
軍の錬金術研究機関の一つ。表向きは閉鎖されている。管理責任者はグラン准将。
中央刑務所に隣接し、そこから運ばれた死刑囚やイシュヴァール人を使って賢者の石の錬成などの実験を行っていた。なお、この研究所は守護していた「スライサー」、「バリー・ザ・チョッパー」とエドとアルが戦った後、ラストとエンヴィーによって爆破された。
中央刑務所
第五研究所の隣に位置する刑務所。キンブリーが収監されていた。
地下施設
正式名称不明。ホムンクルスの創造主である「父」の住処。
セントラル地下に存在し、その中枢は大総統府の地下付近にあたる。入り口はセントラル各所にあるものと推測される。市内の入り口は大量の合成獣で守られている。
カナマ
セントラルシティ近郊にあるスラム。近くに森があり一時ヴァン・ホーエンハイムが隠れ住んでいた。

東部[編集]

イーストシティ (East City)
東部の中心都市。東方司令部所在地。
リオール (Reole)
教主コーネロが不完全な賢者の石を使った「奇跡の業」で信者を集め、レト教という新興宗教を起していた。エドによりイカサマがばれて、その後「リオールの暴動」が起き町は壊滅状態となる。暴動鎮圧後は住民によって町の復興が行われている。
ユースウェル (Youswell)
炭鉱町で、東の大砂漠とも隣接する通称「東の終わりの町」。「ユースウェル炭鉱」がある。ヨキ中尉(当時)の圧政に苦しんでおり町には活気がなかったが、エドの活躍により炭鉱の運営権が工夫達に渡りヨキは更迭。その後町には活気が戻り人通りも多くなっていた。
ニューオプティン
ハクロ少将が勤めていた軍の支部がある。
ハイドウ村
軍から逃亡したマルコーが身を潜めていた村。
リゼンブール (Resembool)
エドとアルの生まれ故郷で、牧羊が盛んな小さな村。イシュヴァール内乱時は、軍服用羊毛の産地としてテロに遭い、駅前が焼き払われた。春には駅周辺で春の羊祭りが開催される。
イシュヴァール (Ishval)
正確にはイシュヴァール地方。元々イシュヴァール人の住む土地で、彼らの信仰するイシュヴァラ教を認める条件でアメストリスに併合される。後に、イシュヴァールの内乱が起こり殲滅戦によって多くのイシュヴァール人が殺され、町や村は破壊しつくされた。現在は軍の監視下で外部とは遮断された閉鎖状態に置かれている。

南部[編集]

サウスシティ (South City)
南部の中心都市。南方司令部所在地。
ラッシュバレー (Rush Valley)
機械鎧技師の聖地。東部の内乱時に義肢技術を発達させて大きくなり「にわか景気の街」とも呼ばれる。
サウスフッド (South hood)
ラッシュバレーと隣接している町。
ダブリス (Dublith)
南部の避暑地で、カウロイ湖という観光名所がある。イズミとシグが営む肉屋、グリードのデビルズネスト(当時)がある。
カウロイ湖
ダブリスの近くにある大きな湖。湖の真ん中にはかつてエルリック兄弟が修行したヨック島、という船でしか行けない島がある。

北部[編集]

ノースシティ (North City)
北部の中心都市。北方司令部所在地。
ブリッグズ / ブリッグズ山
アメストリスの最北部に位置する山脈。ドラクマとの国境線にあたり、「天険」とも呼ばれる。軍の主要拠点として「ブリッグズ要塞」がある。
バズクール
かつて炭鉱で栄えた町。炭鉱の閉山に伴い現在は人は住んでおらず、ゴーストタウンと化している。

その他の国[編集]

シン (Xing)
アメストリスの東に位置する国。50以上の少数民族を皇帝が治めている。モデルは中国の清朝
「錬丹術」という独自の医療方面に特化した錬金術が発達している。
なお、日本版でシン国の者と分類される登場人物は、片言で語尾などが片仮名表記になるのが特徴。一方で彼らのみでの会話の際に吹き出しの文字が横向きになるが、このときの言語がシン語と思われる。シン語の文字には漢字が用いられている。
クレタ (Creta)
アメストリスの西に位置する国。アメストリスと小競り合いが絶えず、国境付近で度々戦闘を行い多数の死者が出ている。
アエルゴ (Aerugo)
アメストリスの南に位置する国。アメストリスと小競り合いが絶えず、たびたび戦闘を行っている。イシュヴァール内乱の際にはイシュヴァール人に武器援助していた。ケイン・フュリーの赴任地での国境紛争の相手国。
ドラクマ (Drachma)
アメストリスの北に位置する国。モデルは不明だが、軍服は旧ソ連の物と形状が似ている。
「大国ドラクマ」とも呼ばれ、アメストリスとは不可侵条約を結んでいるが、一触即発の状態。国境線上にあるブリッグズ山脈と、ブリッグズ要塞の為に侵攻できないだけで、機があればアメストリスへ侵攻しようと虎視眈々と狙っている。
キンブリーに唆されて、オリヴィエがブリッグズを離れた隙を狙い侵攻するも無残な結果と終わる。
クセルクセス/クセルクセス遺跡 (Xerxes)
アメストリス-シン間、東の大砂漠の中にかつて栄えていた王国。「一夜で滅んだ」という伝説がある。
現在は遺跡となっているが、市街地がオアシスの代わりとなっており、また、内乱から逃れたイシュヴァール人も住み着いていた。

以上で作品の核心的な内容についての記述は終わりです。

書誌情報[編集]

ガンガンコミックススクウェア・エニックス)より発刊(一部除く)

コミックス[編集]

コミックス 発売 初版発行 ISBNコード
鋼の錬金術師 1 2002年1月 2002年2月22日付 ISBN 4-7575-0620-1 / ISBN 978-4-7575-0620-6
鋼の錬金術師 2 2002年5月 2002年6月22日付 ISBN 4-7575-0699-6 / ISBN 978-4-7575-0699-2
鋼の錬金術師 3 2002年9月 2002年10月22日付 ISBN 4-7575-0791-7 / ISBN 978-4-7575-0791-3
鋼の錬金術師 4 2003年1月 2003年2月22日付 ISBN 4-7575-0855-7 / ISBN 978-4-7575-0855-2
鋼の錬金術師 5 2003年6月 2003年7月22日付 ISBN 4-7575-0966-9 / ISBN 978-4-7575-0966-5
鋼の錬金術師 6 2003年10月 2003年11月22日付 ISBN 4-7575-1047-0 / ISBN 978-4-7575-1047-0
初回限定特装版(SEコミックスプレミアム)
ISBN 4-7575-1048-9 / ISBN 978-4-7575-1048-7
鋼の錬金術師 7 2004年3月 2004年4月22日付 ISBN 4-7575-1165-5 / ISBN 978-4-7575-1165-1
初回限定特装版(SEコミックスプレミアム)
ISBN 4-7575-1148-5 / ISBN 978-4-7575-1148-4
鋼の錬金術師 8 2004年7月 2004年8月22日付 ISBN 4-7575-1230-9 / ISBN 978-4-7575-1230-6
鋼の錬金術師 9 2004年11月 2004年12月22日付 ISBN 4-7575-1318-6 / ISBN 978-4-7575-1318-1
鋼の錬金術師 10 2005年3月 2005年4月11日付 ISBN 4-7575-1386-0 / ISBN 978-4-7575-1386-0
鋼の錬金術師 11 2005年7月 2005年8月22日付 ISBN 4-7575-1496-4 / ISBN 978-4-7575-1496-6
鋼の錬金術師 12 2005年11月 2005年12月22日付 ISBN 4-7575-1573-1 / ISBN 978-4-7575-1573-4
初回限定特装版(SEコミックスプレミアム)
ISBN 4-7575-1549-9 / ISBN 978-4-7575-1549-9
鋼の錬金術師 13 2006年3月 2006年4月22日付 ISBN 4-7575-1638-X / ISBN 978-4-7575-1638-0
初回限定特装版(SEコミックスプレミアム)
ISBN 4-7575-1619-3 / ISBN 978-4-7575-1619-9
鋼の錬金術師 14 2006年7月 2006年8月22日付 ISBN 4-7575-1719-X / ISBN 978-4-7575-1695-9
初回限定特装版(SEコミックスプレミアム)
ISBN 4-7575-1695-9 / ISBN 978-4-7575-1695-3
鋼の錬金術師 15 2006年11月 2006年12月22日付 ISBN 4-7575-1812-9 / ISBN 978-4-7575-1812-4
鋼の錬金術師 16 2007年3月 2007年4月22日付 ISBN 4-7575-1965-6 / ISBN 978-4-7575-1965-7
鋼の錬金術師 17 2007年8月 2007年9月11日付 ISBN 4-7575-2064-6 / ISBN 978-4-7575-2064-6
鋼の錬金術師 18 2007年12月 2008年1月22日付 ISBN 4-7575-2175-8 / ISBN 978-4-7575-2175-9
初回限定特装版(SEコミックスプレミアム)
ISBN 4-7575-2127-8 / ISBN 978-4-7575-2127-8
鋼の錬金術師 19 2008年3月 2008年4月22日付 ISBN 4-7575-2237-1 / ISBN 978-4-7575-2237-4
鋼の錬金術師 20 2008年8月 2008年9月22日付 ISBN 4-7575-2353-X / ISBN 978-4-7575-2353-1
鋼の錬金術師 21 2009年1月 2009年2月22日付 ISBN 4-7575-2439-0 / ISBN 978-4-7575-2439-2
鋼の錬金術師 22 2009年4月 2009年5月22日付 ISBN 4-7575-2538-9 / ISBN 978-4-7575-2538-2
鋼の錬金術師 23 2009年8月 2009年8月12日付 ISBN 4-7575-2602-4 / ISBN 978-4-7575-2602-0
鋼の錬金術師 24 2009年12月 2009年12月22日付 ISBN 4-7575-2742-X / ISBN 978-4-7575-2742-3

ガイドブック[編集]

ガイドブックなど 発売 初版発行 ISBNコード
鋼の錬金術師 パーフェクトガイドブック 2003年11月29日 2003年12月19日付 ISBN 4-7575-1092-6 / ISBN 978-4-7575-1092-0
鋼の錬金術師 パーフェクトガイドブック2 2005年4月29日 2005年5月19日付 ISBN 4-7575-1426-3 / ISBN 978-4-7575-1426-3
鋼の錬金術師 パーフェクトガイドブック3 2009年10月10日 2009年10月10日付 ISBN 978-4-7575-2713-3
鋼の錬金術師 ハガレン研究所DX 2004年9月30日 2004年10月21日付 ISBN 4-7575-1270-8 / ISBN 978-4-7575-1270-2
鋼の錬金術師 キャラクターガイド 2009年5月29日 2009年6月19日付 ISBN 978-4-7575-2574-0
TV鋼の錬金術師FULLMETALALCHEMIST ポストカードブック 2009年12月22日付 ISBN 978-4-7575-2741-6

アニメ[編集]

鋼の錬金術師
詳細は 鋼の錬金術師 (アニメ) を参照
鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST

ゲーム[編集]

時期によって設定が異なるため、分けて説明する。

2003年から2005年[編集]

傾向としては原作よりもアニメ(2003年)のストーリー展開や設定に沿っている(「赤きエリクシルの悪魔」や、もう1つの劇場版と宣伝された「神を継ぐ少女」など)。しかしながら、当初アニメ版のハイドウ村(マウロのいた村)からセントラルシティへ向かう途中の話とされた初作「翔べない天使」が、後に「鋼の錬金術師3 神を継ぐ少女」予約特典ブックレット「PS2鋼の錬金術師大全」で原作の第9話と第10話の間(同じハイドウ村からセントラルシティへ向かう途中である)と説明されたように、時期によって説明が異なる場合もある。

ゲームオリジナルキャラクターに関しては、上記のように傾向として2003年のアニメ版に沿うため「鋼の錬金術師の登場人物一覧 (アニメ)」を参照のこと。

  • 鋼の錬金術師 翔べない天使(2003年PS2スクウェア・エニックス
  • 鋼の錬金術師2 赤きエリクシルの悪魔(2004年、PS2、スクウェア・エニックス)
  • 鋼の錬金術師3 神を継ぐ少女(2005年、PS2、スクウェア・エニックス)
  • 鋼の錬金術師 ドリームカーニバル(2004年、PS2、バンダイ
  • 鋼の錬金術師 迷走の輪舞曲(ロンド)(2004年、GBA、バンダイ)
  • 鋼の錬金術師 想い出の奏鳴曲(ソナタ)(2004年、GBA、バンダイ)
  • 鋼の錬金術師 デュアルシンパシー 二人の絆(2005年、DS、バンダイ)

全年齢対象が多いが『鋼の錬金術師3 神を継ぐ少女』のみCERO12(12歳以上対象)指定となっている。

2009年以降[編集]

「暁の王子」「黄昏の少女」は前・後編。エルリック兄弟が北部へ向かう(原作16巻)直前のストーリー。

  • 鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST -暁の王子-(2009年8月13日発売、Wii、スクウェア・エニックス)
  • 鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST -黄昏の少女-(2009年12月10日発売、Wii、スクウェア・エニックス)
  • 鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST 背中を託せし者(2009年10月15日発売、PSP、バンダイ)
  • 鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST 約束の日へ(2010年5月20日発売、PSP、バンダイ) 

全年齢対象の多かった前作に比べて、CERO:B以上のものが多くなった。また、5月発売予定の「約束の日へ」はCERO:C(15歳以上対象)区分。

小説[編集]

ノベライズ[編集]

  • 鋼の錬金術師1 砂礫の大地(著者:井上真)
  • 鋼の錬金術師2 囚われの錬金術師(著者:井上真)
  • 鋼の錬金術師3 白い花の舞う谷(著者:井上真)
  • 鋼の錬金術師4 遠い空の下で(著者:井上真)
  • 鋼の錬金術師5 それぞれの絆(著者:井上真)
  • 鋼の錬金術師6 新たなはじまり(著者:井上真)

ゲームノベルズ[編集]

  • 鋼の錬金術師 翔べない天使(著者:井上真)
  • 鋼の錬金術師2 赤きエリクシルの悪魔(著者:映島巡)
  • 鋼の錬金術師3 神を継ぐ少女(著者:映島巡)


ドラマCD[編集]

コミックCDコレクション[編集]

  • 鋼の錬金術師 Vol.1 砂礫の大地 - 本作の声優はエドワード役を皆川純子、アルフォンス役を日下ちひろが担当している。
  • 鋼の錬金術師 Vol.2 偽りの光 真実の影
  • 鋼の錬金術師 Vol.3 咎人たちの傷跡

スペシャルドラマCD[編集]

  • 鋼の錬金術師 霧のオグターレ 前編(月刊少年ガンガン2004年4月号付録)
  • 鋼の錬金術師 霧のオグターレ 後編(月刊少年ガンガン2004年5月号付録)
  • 鋼の錬金術師 天上の宝冠 前編(月刊少年ガンガン2004年11月号付録)
  • 鋼の錬金術師 天上の宝冠 後編(月刊少年ガンガン2004年12月号付録)

ラジオ[編集]

詳細は 鋼の錬金術師 (ラジオ) を参照

その他のメディアミックス[編集]

超こち亀
こちら葛飾区亀有公園前派出所の連載30周年を記念して発行された本。この中で荒川弘が1Pの作品を寄稿している。
エルリック兄弟が登場し、「錬金術とは何か?」を懇々と説明するエドと、錬金術で金を出して欲しいとせがむ両津勘吉との会話が描かれている。

実写映画 2017年に公開された。前年5月24日に明らかになった。潮田渚が出演した

作品の評価など[編集]

  • 2004年 平成16年度(第8回)文化庁メディア芸術祭 漫画部門審査委員会推薦作品(マンガ部門 / ストーリーマンガ)
  • 2006年 文化庁メディア芸術祭10周年記念アンケート企画 日本のメディア芸術100選 マンガ部門2000年代1位、総合4位
  • 2007年 平成19年度(第11回)文化庁メディア芸術祭 漫画部門審査委員会推薦作品(マンガ部門 / ストーリーマンガ)

脚注[編集]

外部リンク[編集]

テンプレート:鋼の錬金術師 テンプレート:月刊少年ガンガン連載中

小学館漫画賞少年向け部門
第48回 平成14年度
金色のガッシュ!!
雷句誠
第49回 平成15年度
鋼の錬金術師
荒川弘
焼きたて!!ジャぱん
橋口たかし
第50回 平成16年度
BLEACH
久保帯人
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