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赤血球膜の抗原による分類法。1940年ごろから明らかにされた。現在は40種以上の抗原が発見されている。そのうち主要なものはC対c・D対d・E対eの3対6種類の因子<ref group="脚注">古い本では「C、D、E、c、d、e」をアメリカ式の「rh´、Rh<sub>0</sub>、rh´´、hr´、Hr<sub>0</sub>、hr´´」で表記しているものもある。</ref><ref>古畑種基『血液型の話』岩波新書、1962年、74P</ref>で、その中でも特に強い反応をするD抗原の有無についての情報を陽性・陰性として表示することが最も多い。すなわち、'''Rh+'''(D抗原陽性)と'''Rh−'''(D抗原陰性)である。なお、抗原Dは「抗原Dがあれば大文字D、なければ小文字dの表現型。」になるため、Dとd双方の遺伝子を持つ場合は普通にD抗原が作られるので完全に優性遺伝をする(遺伝子がDDでもDdでもD型、ddのみd型)が、CやEの場合は「C (E) という種類の抗原がある」と大文字、「c (e) という抗原がある」と小文字の表現型になるので両方の遺伝子を持つと不完全優性遺伝をして、遺伝子型がCCとCcとcc、EEとEeとeeでそれぞれ表現型が異なるためCcやEeという表現型になる、このため基本6因子だけでも18通りの血液型がある<ref>松尾友香、『最新 血液型の基本と仕組み』株式会社秀和システム、2009年、128-129P、ISBN 978-4-7980-2422-6</ref>。 | 赤血球膜の抗原による分類法。1940年ごろから明らかにされた。現在は40種以上の抗原が発見されている。そのうち主要なものはC対c・D対d・E対eの3対6種類の因子<ref group="脚注">古い本では「C、D、E、c、d、e」をアメリカ式の「rh´、Rh<sub>0</sub>、rh´´、hr´、Hr<sub>0</sub>、hr´´」で表記しているものもある。</ref><ref>古畑種基『血液型の話』岩波新書、1962年、74P</ref>で、その中でも特に強い反応をするD抗原の有無についての情報を陽性・陰性として表示することが最も多い。すなわち、'''Rh+'''(D抗原陽性)と'''Rh−'''(D抗原陰性)である。なお、抗原Dは「抗原Dがあれば大文字D、なければ小文字dの表現型。」になるため、Dとd双方の遺伝子を持つ場合は普通にD抗原が作られるので完全に優性遺伝をする(遺伝子がDDでもDdでもD型、ddのみd型)が、CやEの場合は「C (E) という種類の抗原がある」と大文字、「c (e) という抗原がある」と小文字の表現型になるので両方の遺伝子を持つと不完全優性遺伝をして、遺伝子型がCCとCcとcc、EEとEeとeeでそれぞれ表現型が異なるためCcやEeという表現型になる、このため基本6因子だけでも18通りの血液型がある<ref>松尾友香、『最新 血液型の基本と仕組み』株式会社秀和システム、2009年、128-129P、ISBN 978-4-7980-2422-6</ref>。 | ||
− | Rh−型の人にRh+型の血液を輸血すると、血液の凝集、溶血などのショックを起こす可能性がある。Rh−型の女性がRh+型の胎児を妊娠することが2回以上になると病気・流産の原因となることがある。日本人の99.5%はRh+である{{ | + | Rh−型の人にRh+型の血液を輸血すると、血液の凝集、溶血などのショックを起こす可能性がある。Rh−型の女性がRh+型の胎児を妊娠することが2回以上になると病気・流産の原因となることがある。日本人の99.5%はRh+である<ref name="jrc">{{Cite web|和書 |
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+ | 後に本来は別々の血液型だが遺伝子の位置が染色体上で近く、見かけ上一緒に遺伝することがわかったため、現在は一緒に扱うようになっている<ref name="血液型と輸血">北村聖、編集「血液型と輸血」『看護のための最新医学講座9 血液・造血器疾患』株式会社中山書店、2006年第2版、348-349P、ISBN 4-521-62511-8</ref>。 | ||
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+ | ABO式と異なりMN式の抗体は体温で反応しにくいため輸血時に問題を起こしにくいが、まれに抗M抗体が不適合妊娠・輸血時に問題を起こす場合があることと、一緒に持っているSs式抗体は元々新生児溶血性疾患の子供を持つ女性や頻繁に輸血を受けて副作用を起こした患者の血清中に発見されたことからもわかるように、自然抗体ではないが問題を起こす{{r|血液型と輸血}}。 | ||
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+ | ==== P式血液型 ==== | ||
+ | (便宜上関係のあるGloboside式血液型についてもここで触れる、また古い資料によっては「Q式血液型」の名前で詳しく乗っているものもあるのでそれも説明する。) | ||
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+ | 1927年にランドシュタイナーらによってウマの血清より抗体が発見された型で、表現型はP<sub>1</sub>、P<sub>2</sub>、P<sub>1</sub><sup>K</sup>、P<sub>2</sub><sup>K</sup>、pとあり、P<sub>1</sub>型=P<sub>1</sub>抗原とP抗原、P<sub>2</sub>型=P抗原、P<sub>1</sub><sup>K</sup>型=P<sub>1</sub>抗原とP<sup>K</sup>抗原、P<sub>2</sub><sup>K</sup>型=P<sup>K</sup>抗原、p型=抗原なしという組み合わせだが、P<sub>1</sub><sup>K</sup>とP<sub>2</sub><sup>K</sup>(いずれも稀血)は本来はGloboside式血液型による型で、こちらの遺伝子を持っていないとP抗原が完成されずに不完全なP<sup>K</sup>抗原ができてしまうため、P抗原を異物として自然抗体を持つようになる<ref name="赤血球膜状の血液型一覧">松尾友香、『最新 血液型の基本と仕組み』株式会社秀和システム、2009年、195-208P、ISBN 978-4-7980-2422-6</ref>。このため本来のP式は大半の人にあてはまる抗P<sub>1</sub>抗体に反応する(P<sub>1</sub>型、日本人の35%)かしない(P<sub>2</sub>型、同65%)であり、このため表現型をP(+) (= P<sub>1</sub>)、P(−) (= P<sub>2</sub>) と書く場合もある。 | ||
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+ | Q式はUM型とも呼ばれ<ref name="機能から見た変異">保志宏「機能から見た変異」『原色現代科学大事典6-人間』小川鼎三代表、株式会社学習研究社、昭和43年、327P表1「おもな血液型とその頻度」。</ref>1935年に日本の今村昌一がブタの血清から抗体を発見し、ブタ血清の抗体に反応するこの抗原を「Q」と名付け、Q抗原を有する血球を大文字のQ型、持たぬ血球を小文字のq型とした<ref>古畑種基『血液型の話』岩波新書、1962年、P41-52。</ref>。 | ||
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+ | 今村や古畑自身も文献を調べた際にこのQ式がランドシュタイナーらのP式に似ていることには気が付いており、念のためランドシュタイナーからP式の凝集素(Pn)をもらって比較した所、被験者38名中両方の凝集素が凝集する(もしくは両方凝集しない)人が6割強ほどであったものの、片方だけ反応する例外が合計して3割弱(11人)あった<ref group="脚注">古畑らの『Q式血液型とその遺伝』第一表によると被験者38人中、「Pのみ反応=7人(18.4%)」「Qのみ反応=4人(10.5%)」「両方反応=16人(42.1%)」「両方無反応=11人(29.0%)」だった。</ref>ため、お互い別物と考えたという。その後ドイツのダールも1940年にP式とQ式は似ているが別の血液型という意見を支持していた<ref name="Q式血液型とその遺伝">{{Cite journal|和書|author=古畑種基, 今村昌一 |title=Q式血液型とその遺伝 (昭和二十四年二月十二日報告) |journal=日本學士院紀要 |issn=0388-0036 |publisher=日本学士院 |year=1949 |volume=7 |issue=2 |pages=87-94 |naid=130004950702 |doi=10.2183/tja1948.7.87 |url=https://doi.org/10.2183/tja1948.7.87}}</ref>が、その後PとQの抗体抗原は同じものであるという考えが主流となり<ref group="脚注">例として学研の『原色現在科学大事典6 人間』(1968) のP327の表1には双方のデータを乗せたうえで「両者(P型とQ型)は同じものであるという説がある」と但し書きがされている。</ref>、現在は先に発見されたP式にまとめられている(P<sub>1</sub>=Q、P<sub>2</sub>=qになる)。 | ||
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+ | 遺伝的にはP<sub>1</sub> (Q) が優性遺伝する(P<sub>1</sub>P<sub>2</sub>遺伝子の表記型はP(+)になる=Qq遺伝子型はQ型になる)ため、P<sub>1</sub> (Q) 型が片方でも親にいる場合は両方の型が生まれる可能性があるが、P<sub>2</sub> (q) 型同士の子供は基本的にP<sub>2</sub> (q) 型になる<ref>古畑種基『血液型の話』岩波新書、1962年、46-47P</ref>。 | ||
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+ | P<sub>2</sub>型の抗P<sub>1</sub>抗体は体温では反応しにくい(摂氏30度以上では反応が減じ、37度ではほとんど作用しない<ref name="Q式血液型とその遺伝"/>。)ため通常は輸血時に問題は生じないが、遅延型輸血副作用を招いた例があるほか、他の型 (p, P<sub>1</sub><sup>K</sup>, P<sub>2</sub><sup>K</sup>) は多数派のP<sub>1</sub>型やP<sub>2</sub>型の輸血で不適合問題を起こす{{r|血液型と輸血}}。 | ||
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− | == | + | == 参考文献 == |
− | + | * {{Cite book|和書| author = 近江俊徳| year = 2018| title = 人とどうぶつの血液型| publisher = 緑書房| isbn=978-4-89531-347-6| ref =近江2018}} | |
+ | * {{Cite book|和書| author = 梶井英治| year = 1998| title = 最新血液型学| publisher = 南山堂| ISBN=978-4-525-19051-4| ref =梶井1998}} | ||
+ | * {{Cite book|和書| author = 北村聖| authorlink = 北村聖| year = 2006| edition = 第2版| title = 看護のための最新医学講座9 血液・造血器疾患 | ||
+ | | publisher = 株式会社中山書店| ISBN=978-4-521-62131-9| ref =北村2006}} | ||
+ | * {{Cite book|和書| author = 古畑種基| authorlink = 古畑種基| year =1962| title = 血液型の話| publisher = 岩波新書| ncid=BN00567484 |DOI=10.11501/1379556 | isbn=| ref =古畑1962}} | ||
+ | * {{Cite book|和書| author = 保志宏|author2 = 今尾恵介(監修)| title =機能から見た変異「血液成分の個人差」|journal =原色現代科学大事典6-人間| publisher = 株式会社学習研究社| date = 1968年| pages =323-327| ref =保志1968}} | ||
+ | * {{Cite book|和書| author = 松尾友香| year = 2009| title = 図解入門よくわかる最新血液型の基本としくみ : 血液型のメカニズムを図解で学ぶ!| publisher = 株式会社秀和システム| isbn=978-4-7980-2422-6 |id={{全国書誌番号|21681761}} | ncid=BB00516456 | ref =松尾2009}} | ||
+ | * {{Cite book|和書| author = 山本文一郎| year = 2015| title = ABO血液型が分かる科学| publisher = 株式会社岩波書店| isbn = 978-4-00-500811-7| ref = 山本2015}} | ||
+ | * [https://www.asahi.com/articles/ASM9H54MYM9HUBQU001.html ABOでもRhでもない 日本発37番目の新血液型承認](朝日新聞デジタル記事 2019年10月24日) | ||
+ | * [https://www.amed.go.jp/news/release_20190805.html 新たなヒト血液型「KANNO」の国際認定―国立国際医療研究センターなど、日本の研究グループとして初めての登録―](日本医療研究開発機構、2019年8月5日) | ||
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== 関連項目 == | == 関連項目 == |
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血液型(けつえきがた)は、血球の表面または内部にある血液型物質(抗原)の有無によってつける個人の区別であり、「ヒトの血清学的体質」、「血液の個人性」、「個人を血清学的に識別する方法」ともいえる。 広義の血液型とは、血液にみられる遺伝形質の個体差によって、さまざまに区別される遺伝的多型、あるいはその分類様式をいう[1]。当初、血液型は赤血球を対象として研究されたが、近年、それ以外の各種血液成分についても多型性のあることが確認されるようになった[1]。(2019年時点で)ヒトの血液型として国際輸血学会が認定している型は37種類ある[2]。
近年、血液型ごとに疾病の罹患率が異なることが明らかになってきている。
なお血液型と性格との関連性には科学的根拠がない[3]。
目次
主な分類方法[編集]
抗原は数百種類が知られており、その組み合せによって決まる血液型は膨大な数(数兆通り以上という説もあり)になる。世界を捜しても、一卵性双生児でもない限り自分と完全に同じ血液型をしている人はいないとすら言われる。この性質を利用して畜産、特にサラブレッド生産の分野において血液型が親子関係の証明に使われていた(現在は直接DNAを鑑定する手法が用いられる)。
輸血をする場合、ABO式血液型など一部の分類は自然抗体が形成され、型違いの血液を混ぜると凝集や溶血が起きるため、型合わせする必要がある。また、血液型によって、凝集や溶血反応はそれぞれである。
また、70万人に1人程度といわれている低確率[4]で一人の人間が複数の血液型を持っている場合は、「血液型キメラ」と呼ばれる(例:A型99% AB型0.1%等)。詳しくはキメラの項を参照。
赤血球の抗原を元に発見された型[編集]
ABO式血液型[編集]
本項ではボンベイ型に関わるため便宜上Hh式血液型にも触れる。
赤血球による血液型の分類法の一種。1900年から1910年ごろにかけて発見された分類法で、最初の血液型分類である。
- A型は赤血球表面にA抗原を発現する遺伝子(=A型転移酵素をコードする遺伝子)を持っており、血漿中にB抗原に対する抗体が形成される。
- B型は赤血球表面にB抗原を発現する遺伝子(=B型転移酵素をコードする遺伝子)を持っており、血漿中にA抗原に対する抗体が形成される。
- O型はどちらの遺伝子も持っておらず、赤血球表面にA/B抗原はない。血漿中にA抗原、B抗原それぞれに対する抗体が形成される。
- AB型は赤血球表面に両方の抗原(A抗原およびB抗原)を発現する遺伝子を持っており、血漿中の抗体形成はない[5]。
Hh式血液型は1932年に発見され、ABO式血液型の元になるH物質(=フコース)が抗原。これがない場合(h型)はボンベイ型になり、A型やB型の遺伝子を持っていてもA抗原やB抗原が赤血球に結合できなくなる。
Rh式血液型[編集]
赤血球膜の抗原による分類法。1940年ごろから明らかにされた。現在は40種以上の抗原が発見されている。そのうち主要なものはC対c・D対d・E対eの3対6種類の因子[脚注 1][6]で、その中でも特に強い反応をするD抗原の有無についての情報を陽性・陰性として表示することが最も多い。すなわち、Rh+(D抗原陽性)とRh−(D抗原陰性)である。なお、抗原Dは「抗原Dがあれば大文字D、なければ小文字dの表現型。」になるため、Dとd双方の遺伝子を持つ場合は普通にD抗原が作られるので完全に優性遺伝をする(遺伝子がDDでもDdでもD型、ddのみd型)が、CやEの場合は「C (E) という種類の抗原がある」と大文字、「c (e) という抗原がある」と小文字の表現型になるので両方の遺伝子を持つと不完全優性遺伝をして、遺伝子型がCCとCcとcc、EEとEeとeeでそれぞれ表現型が異なるためCcやEeという表現型になる、このため基本6因子だけでも18通りの血液型がある[7]。
Rh−型の人にRh+型の血液を輸血すると、血液の凝集、溶血などのショックを起こす可能性がある。Rh−型の女性がRh+型の胎児を妊娠することが2回以上になると病気・流産の原因となることがある。日本人の99.5%はRh+である[8]。
MNSs式血液型[編集]
MN式は1927年ランドシュタイナーとレヴィンによってウサギを免疫して得られた血清より抗体が発見され、抗M、抗Nとの反応で表現型はM・MN・Nの3通りに分けられ[脚注 2][9]、この血液型は遺伝するが、ABOの遺伝子と異なりM遺伝子とN遺伝子に優劣はなく、両方ある場合はMN型となる。一方Ss型は1947年にワルシュとモントゴメリーらによって大文字S抗体、1951年にレヴィンにより小文字s抗体が新生児溶血性疾患の子供を持つ女性や頻繁に輸血を受けて副作用を起こした患者の血清中に発見された、表現型はS・Ss・sの3通りに分けられる[脚注 3]。白人190人で調べたところS因子はM因子に明確な相関性があり、S陽性の比率がM型は73.4%なのに対し、MN型は54.1%、N型は32.3%となる[10]。
後に本来は別々の血液型だが遺伝子の位置が染色体上で近く、見かけ上一緒に遺伝することがわかったため、現在は一緒に扱うようになっている[11]。
ABO式と異なりMN式の抗体は体温で反応しにくいため輸血時に問題を起こしにくいが、まれに抗M抗体が不適合妊娠・輸血時に問題を起こす場合があることと、一緒に持っているSs式抗体は元々新生児溶血性疾患の子供を持つ女性や頻繁に輸血を受けて副作用を起こした患者の血清中に発見されたことからもわかるように、自然抗体ではないが問題を起こす[11] [12] [13] [14] [15] [16] [17] [18] [19] [20] Template:R: 列挙できる出典は10個までです。
P式血液型[編集]
(便宜上関係のあるGloboside式血液型についてもここで触れる、また古い資料によっては「Q式血液型」の名前で詳しく乗っているものもあるのでそれも説明する。)
1927年にランドシュタイナーらによってウマの血清より抗体が発見された型で、表現型はP1、P2、P1K、P2K、pとあり、P1型=P1抗原とP抗原、P2型=P抗原、P1K型=P1抗原とPK抗原、P2K型=PK抗原、p型=抗原なしという組み合わせだが、P1KとP2K(いずれも稀血)は本来はGloboside式血液型による型で、こちらの遺伝子を持っていないとP抗原が完成されずに不完全なPK抗原ができてしまうため、P抗原を異物として自然抗体を持つようになる[21]。このため本来のP式は大半の人にあてはまる抗P1抗体に反応する(P1型、日本人の35%)かしない(P2型、同65%)であり、このため表現型をP(+) (= P1)、P(−) (= P2) と書く場合もある。
Q式はUM型とも呼ばれ[22]1935年に日本の今村昌一がブタの血清から抗体を発見し、ブタ血清の抗体に反応するこの抗原を「Q」と名付け、Q抗原を有する血球を大文字のQ型、持たぬ血球を小文字のq型とした[23]。
今村や古畑自身も文献を調べた際にこのQ式がランドシュタイナーらのP式に似ていることには気が付いており、念のためランドシュタイナーからP式の凝集素(Pn)をもらって比較した所、被験者38名中両方の凝集素が凝集する(もしくは両方凝集しない)人が6割強ほどであったものの、片方だけ反応する例外が合計して3割弱(11人)あった[脚注 4]ため、お互い別物と考えたという。その後ドイツのダールも1940年にP式とQ式は似ているが別の血液型という意見を支持していた[24]が、その後PとQの抗体抗原は同じものであるという考えが主流となり[脚注 5]、現在は先に発見されたP式にまとめられている(P1=Q、P2=qになる)。
遺伝的にはP1 (Q) が優性遺伝する(P1P2遺伝子の表記型はP(+)になる=Qq遺伝子型はQ型になる)ため、P1 (Q) 型が片方でも親にいる場合は両方の型が生まれる可能性があるが、P2 (q) 型同士の子供は基本的にP2 (q) 型になる[25]。
P2型の抗P1抗体は体温では反応しにくい(摂氏30度以上では反応が減じ、37度ではほとんど作用しない[24]。)ため通常は輸血時に問題は生じないが、遅延型輸血副作用を招いた例があるほか、他の型 (p, P1K, P2K) は多数派のP1型やP2型の輸血で不適合問題を起こす[11] [12] [13] [14] [15] [16] [17] [18] [19] [20] Template:R: 列挙できる出典は10個までです。
HLA型[編集]
白血球の抗原の分類によるもの。現在では血液に限らず、組織の適合性に関わる情報として用いられるようになっているものである。ヒトの遺伝子上で白血球の抗原に関わる部位は、主要なものだけでもA,B,C,DP,DQ,DRの6箇所があり、それらの部位のタイプの組み合わせは数万通り以上あると言われており、結果として、特に血縁関係でもない限り人間同士でHLA型が完全に一致することは極めて稀である(主要組織適合遺伝子複合体も参照のこと)。
その他の分類方法[編集]
MN式、P式など約300種類が発見されている。分類法としてはそれほど一般的ではない。遺伝関係の確認や警察の鑑識においてなど、可能な限り詳細な情報が必要な時に用いられる。
まれな血液型[編集]
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条件[編集]
人口に対する割合が約1%以下の型。または、輸血をする場合、危機が生じる可能性が極めて高いものである。
まれとされている型[編集]
- Oh(bombay)型
- -D-型
- Ko型
- p型
- Jr(a-)型
- fy(a-)型
- Dy(b-)型
などがある。
適合性[編集]
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赤血球[編集]
受血者の血液型 | ドナーの赤血球は以下の型のいずれかでなければならない: | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
O− | O− | |||||||
O+ | O− | O+ | ||||||
A− | O− | A− | ||||||
A+ | O− | O+ | A− | A+ | ||||
B− | O− | B− | ||||||
B+ | O− | O+ | B− | B+ | ||||
AB− | O− | A− | B− | AB− | ||||
AB+ | O− | O+ | A− | A+ | B− | B+ | AB− | AB+ |
血漿[編集]
血漿の適合性に関しては、赤血球の適合性チャートとは反対向きの関係があり、AB型からA,B,O型に与えることができ、A型B型からO型に与えることができる。
受け手の血液型 | ドナーの血漿は以下の型でなければならない: | |||
---|---|---|---|---|
AB | AB | |||
A | A or AB | |||
B | B or AB | |||
O | O, A, B or AB |
血液型の発見と歴史[編集]
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1900年、オーストリアの医学者カール・ラントシュタイナー(Karl Landsteiner, 1868-1943)によって初めて血液型が発見され、翌年の1901年に論文発表された[28]。型名は「A型,B型,C型」とされていた。
1902年、アルフレッド・フォン・デカステロとアドリアノ・シュテュルリによって第4の型が追加発表された[29]。
1910年、エミール・フライヘル・フォン・デュンゲルンとルードビッヒ・ヒルシュフェルドにより、第4の型にAB型という名称が与えられ、「C型」とされていた型の名称はO型に変更された[30]。
1937年、カール・ラントシュタイナーおよびアレクサンダー・ヴィナーが、アカゲザルを用いた実験によってD抗原を発見、それを1940年に論文発表した[31] 。アカゲザルは英語での通称がRhesus Monkeyであるため「Rh因子」と呼ばれるようになった。
血液型と免疫[編集]
1980年代は血液型(抗原)によって発病(感染)しやすい病気としにくい病気があるとの仮説を、能見正比古の血液型性格診断の型にはめて拘り続け称えていた者が一部ではいたが、ヒトゲノム計画が終りつつあった2000年に科学雑誌『Nature』の総説として掲載された情報によると「血液型と胃腸管に関するいくつかの形質に弱い相関が確認できるが、血液型と疾患の相関について再現性よく示されたものは無い」とのことであった。
血液型と性格[編集]
参考文献[編集]
- 近江俊徳 (2018) 近江俊徳 [ 人とどうぶつの血液型 ] 緑書房 2018 978-4-89531-347-6
- 梶井英治 (1998) 梶井英治 [ 最新血液型学 ] 南山堂 1998
- 北村聖 (2006) 北村聖 [ 看護のための最新医学講座9 血液・造血器疾患 ] 第2版 株式会社中山書店 2006
- 古畑種基 (1962) 古畑種基 [ 血液型の話 ] 岩波新書 1962
- 保志宏 今尾恵介(監修) (1968年) 保志宏 今尾恵介(監修) [ 機能から見た変異「血液成分の個人差」 ] 原色現代科学大事典6-人間 株式会社学習研究社 1968年 323-327
- 松尾友香 (2009) 松尾友香 [ 図解入門よくわかる最新血液型の基本としくみ : 血液型のメカニズムを図解で学ぶ! ] 株式会社秀和システム 2009 全国書誌番号:21681761
- 山本文一郎 (2015) 山本文一郎 [ ABO血液型が分かる科学 ] 株式会社岩波書店 2015 978-4-00-500811-7
- ABOでもRhでもない 日本発37番目の新血液型承認(朝日新聞デジタル記事 2019年10月24日)
- 新たなヒト血液型「KANNO」の国際認定―国立国際医療研究センターなど、日本の研究グループとして初めての登録―(日本医療研究開発機構、2019年8月5日)
出典 脚注[編集]
- ↑ 1.0 1.1 コトバンク[1]
- ↑ 新たなヒト血液型「KANNO」を発見 日経メディカル 記事:2019/10/15
- ↑ 縄田健悟 (2014)、「【原著論文】血液型と性格の無関連性 -日本と米国の大規模社会調査を用いた実証的論拠-」『心理学研究』 2014年 85巻 2号 p.148-156, DOI 10.4992/jjpsy.85.13016, 日本心理学会。
- ↑ 2009年4月29日放送 世界仰天ニュース
- ↑ 小川聡 総編集 『内科学書』第7版-vol6、中山書店、2009年、p49
- ↑ 古畑種基『血液型の話』岩波新書、1962年、74P
- ↑ 松尾友香、『最新 血液型の基本と仕組み』株式会社秀和システム、2009年、128-129P、ISBN 978-4-7980-2422-6
- ↑ () 血液型 日本赤十字社 arch. 2012-08-04 2009-10-04
- ↑ 古畑種基『血液型の話』岩波新書、1962年、36-39P
- ↑ 古畑種基『血液型の話』岩波新書、1962年、P40。
- ↑ 11.0 11.1 11.2 北村聖、編集「血液型と輸血」『看護のための最新医学講座9 血液・造血器疾患』株式会社中山書店、2006年第2版、348-349P、ISBN 4-521-62511-8
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タグです。 「.7B.7B.7B10.7D.7D.7D
」という名前の引用句に対するテキストが指定されていません - ↑ 松尾友香、『最新 血液型の基本と仕組み』株式会社秀和システム、2009年、195-208P、ISBN 978-4-7980-2422-6
- ↑ 保志宏「機能から見た変異」『原色現代科学大事典6-人間』小川鼎三代表、株式会社学習研究社、昭和43年、327P表1「おもな血液型とその頻度」。
- ↑ 古畑種基『血液型の話』岩波新書、1962年、P41-52。
- ↑ 24.0 24.1 古畑種基, 今村昌一 (1949) 古畑種基, 今村昌一 Q式血液型とその遺伝 (昭和二十四年二月十二日報告) 日本學士院紀要 7 2 日本学士院 1949 0388-0036 87-94 10.2183/tja1948.7.87 130004950702
- ↑ 古畑種基『血液型の話』岩波新書、1962年、46-47P
- ↑ (2006) RBC compatibility table American National Red Cross 2006 December [ arch. ] 2006-12-24
- ↑ BLOOD TYPES and COMPATIBILITY BLOODBOOK.COM
- ↑ Dr. Karl Landsteiner, Ueber Agglutinationserscheinungen normalen menschlichen Blutes, Wiener klinische Wochenschrift, 14 Jg., Nr.46 (14. November 1901), S.1132-1134.
- ↑ Dr. Alfred v. Decastello und Dr. Adriano Sturli, Ueber die Isoagglutinine im Serum gesunder und kranker Menschen, Münchener medicinische Wochenschrift, 49 Jg., No.26 (1. Juli 1902), S.1090-1095.
- ↑ Prof. E. v. Dungern und Dr. L. Hirschfeld, Ueber Vererbung gruppenspezifischer Strukturen des Blutes, II, Zeitschrift für Immunitätsforschung und experimentelle Therapie, Bd.6, H.1 (22. Juni 1910), S.284-292.
- ↑ Landsteiner K, Wiener AS, An agglutinable factor in human blood recognized by immune sera for rhesus blood., Proc Soc Exp Biol Med 1940;43:223-224.
- ↑ 古い本では「C、D、E、c、d、e」をアメリカ式の「rh´、Rh0、rh´´、hr´、Hr0、hr´´」で表記しているものもある。
- ↑ 厳密に言うとABO式のようにMN式も凝集力の違いなどからM1型とM2型、N1型とN2があり、MもNも1型が優性遺伝するなどの亜型が存在する、MN型質の年齢変化もM1やN型(両方とも)は胎児期にだんだん強まるのに対し、M2型は逆に弱まっていくという変化を示す。
- ↑ なお、分泌型・非分泌型のSとsはこれとは全く関係ないので混同しないように注意。
- ↑ 古畑らの『Q式血液型とその遺伝』第一表によると被験者38人中、「Pのみ反応=7人(18.4%)」「Qのみ反応=4人(10.5%)」「両方反応=16人(42.1%)」「両方無反応=11人(29.0%)」だった。
- ↑ 例として学研の『原色現在科学大事典6 人間』(1968) のP327の表1には双方のデータを乗せたうえで「両者(P型とQ型)は同じものであるという説がある」と但し書きがされている。
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
- 血液型と気質の関連性の否定を実証した論文(数多に存在する否定論の一つ)
- 究極の血液型心理検査(じつは判断結果はランダム表示されるだけのものだが、常時9割前後の人々が「当たっている」と回答している。バーナム効果実証サイト)
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