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文系と理系とは、学問(学習・教育・研究などを含む)に対しての大まかな分類方法の1つのことである。
目次
定義[編集]
文系とは、主に人間の活動を研究の対象とする学問の系統とされており、理系とは、主に自然界を研究の対象とする学問の系統とされている。有意な成果や果実を得るためには総合的な知見や能力が重要であり、社会における重要度に違いはないが、実際には社会でしばしば「文系」「理系」の区別は利用され、性向や思想信条の差、男女の差、年収の差に有意な違いがあるなどと論じられることがある。
大学教育の準備教育としての文系と理系[編集]
日本においては、第2次・高等学校令(大正7年勅令第389号)の第8条に「高等学校高等科を分ちて文科及理科とす」(原文は平仮名部分がカタカナ)という規定があった。明治中期から第二次世界大戦降伏前は、旧制高等学校は、旧制大学で教育を受けるための準備教育を行う場としての位置づけが大きかった。高等学校の高等科においては、学修する外国語(英語およびドイツ語が大半)によって、「文科甲類」「文科乙類」「理科甲類」「理科乙類」などに分け、「文科」「理科」のどちらで学んだのか、学んだ外国語は何であったかによって、旧制大学で学ぶ専攻分野を大きく左右した。
近代の日本において、大学教育に対する準備教育の課程を「文科」と「理科」に区分したことは、現代における文系と理系の区分に事実上引き継がれている。旧制高等学校の区分けを受けて、現代における文系を文科系(ぶんかけい)と、理系を理科系(りかけい)と呼ぶこともある。「系」の語が付与されているのは、「文科」「理科」という学科組織に基づく分類によっていないからである(なお、現代においても「高等学校」および「中等教育学校の後期課程」に「理数科」という学科があり、この場合、「理数科」を卒業した場合は、「理数科卒業」となる。ただし、文系の学部・学科・課程への入学制限は、一切ない)。
現代においても研究の最初の入り口である大学において、文系的と考えられている学問を専攻する学部・学科・課程と、または理系的と考えられている学問を専攻する学部・学科・課程とで、区分を異にした募集を行い、入学試験において異なった科目を課すことが多い。例えば、東京大学(旧制・第一高等学校および旧制・東京帝国大学の後身)においては、(新)入学者の募集区分が「文科一類」「文科二類」「文科三類」「理科一類」「理科二類」「理科三類」となっていて、すべてに「文科」と「理科」の語がついている。このように「文科」「理科」を冠して(新)入学者を募集する例は少なくなっているものの、21世紀を迎えても、日本国内の大学には、「文系の(新)入学者選抜」「理系の(新)入学者選抜」が少なからず存在している(なお、一部の大学の学部・学科・課程においては、文系・理系の枠を外した総合的な入学者選抜を行い始めている)。
このような事情もあって、「高等学校」および「中等教育学校の後期課程」などにおいて、大学進学を希望する生徒が科目を履修する際には、大学の入学者選抜に対応するために、生徒の希望学部・学科・課程に応じて、生徒の履修科目が文系的・理系的になるように、教員や保護者が指導することが慣習化し、学習塾もこれを受けた事業を展開している。
「理系」分野へ進学を希望する場合、入学試験の一つに数学が用いられることが多い反面、「文系」では少ないか難度の低い問題に限られる。数学を苦手とする中高生が多いことから「数学が出来ないから理系をやめて文系を目指そう」と考える者が少なくない。
3教科入試を採用することが多い私立大学では文系なら英語、国語、社会科(多くの場合地理、日本史、世界史、政治・経済から選択)、理系なら数学、理科(多くの場合物理、生物、化学から選択)を入試科目に設定するので、私立専願の学生は早いうちから文系と理系どちらかの勉強に絞り込むことができる。地理学や情報学など文理両方にまたがる学部は文系向けと理系向けの入試を両方用意する場合が多い。
大学以降での位置づけ[編集]
「高等学校」や「中等教育学校の後期課程」などにおける指導の延長から、便宜的に文系(ぶんけい)と理系(りけい)のどちらかに大学教育の内容を分ける習慣がある。二つを合わせて文理(ぶんり)と呼ばれることもある。文系とは主に、人間の行動や思考が何らかの形で関わった現象についての学問とされ、理系とは人間そのものと人間を取り巻く自然全般を、当為的かつ実証的に研究する学問とされる。
しかしながら西欧圏では、学問分野は基本的に自然科学・人文科学・社会科学の3つに大別される。文系と理系は、日本の歴史的な事情によって形成された便宜的な分類である。実際に事物を深く学修・研究しようとすると、文系と理系という二者択一の区分法に、限界が見て取られることは多い。
日本では、文系・理系という見方が高等学校の段階で厳密に区別されてしまうことが多いため、学部ごとにある特定分野の知識について社会化された学生が集まってしまい、大学受験以降にて広く学問や社会を見渡すようなリベラルアーツ的視点を促す教育・研究活動につなげにくいといった批判がある。
現在、文系の方が理系よりも学生の数が多い。内訳としては、社会科学が140万人と一番多く、続いて工学が44万人、人文科学が40万人である。理・工系合わせた学生は52万人で、全体の約5分の1である。
また技術系の最高資格である技術士一次試験での共通科目においての受験免除の条件の一つとして理科系の学部学科卒が挙げられていたり、過去には太平洋戦争末期に行われた学徒出陣において、理科系学生が技術要員として徴兵猶予が継続された(ただし、農学部の一部学科(農業経済学科や農学科)は「文系」とみなされて徴兵対象となった。一方、文科系学生は士官候補生として動員されるなどの事例がある。
文系と理系を区分する規準[編集]
学問間のつながり[編集]
一般に、理系の学問は数学との親和性が高いため、「理数系」と呼ばれる場合もある。しかし理系に分類される学問の中にも数学的知識を必要としない分野も存在するし、また文系に属する学問の中にも数学的考察を重視している分野(経済学など)は、数学的知識を得ていなければならない。また、考古学も放射性炭素年代測定など理化学的検査の必要が年々増加しているため、やはり数学や理科が重要視される傾向にある。また心理学では脳機能科学や神経科学との関連が密であり、福祉では医療系の知識も必要となる。
更に、理系に属する精神医学は文系に属する心理学と深く関わっており、理系に属するはずの農学には農業経済学や産業経営学など、文系とされる学問で扱われる内容が重視される学科が存在する。因みに農学部の中でも農業経済学科の学生は太平洋戦争中、「文系」と判断されて学徒出陣の際、文科系の諸学問を専攻する学生らと同様に徴兵猶予を停止され、徴兵されてい。また、造園学はランドスケープデザイン学・環境デザイン学として、また建築学/建築学科は、それらを学ぶことができる学科自体が文理双方で多岐にわたって設置されている。
むろん海外の研究成果にアクセスし自ら発信するためには、外国語への習熟は現実的に非常に重要であり、これらの例だけでも、単に数学や理科との親和性だけが文理を隔てるものではないことが容易に分かる。
「科学」の捉え方[編集]
しばしば文理論を唱える意見の中には、「理系分野は科学で、文系分野は非科学」であると主張し、同時にそれが文理を分ける区分であるとする物も散見される。
だがこの議論は一般に想像される以上に複雑な議論であり、そもそも『科学』とは何を持って『科学』と呼べるのかという言葉の定義の問題にまで遡らなければ根本的な解決は難しい。『科学』の定義を巡っては、科学哲学の分野に置いて長年に亘っての議論が交わされており(詳しい経緯は科学や科学的手法を参照)、定義の内容によっては人文・社会科学のみならず自然科学のほとんどが厳密な意味での『科学』の定義から外れてしまう、科学を定義する上において非常に重要である「科学的手法」として現状挙げられている方法論への是非など、多くの問題が山積しており未だに統一した見解が出されたとは言い難い状態である。故に実際に行われている諸学問の研究活動では不毛な議論と化している感のある「線引き問題」を嫌って、こうした問題を棚上げしている場合も少なくない。
学際主義[編集]
万学の基礎たる哲学では、数学・物理学・化学・生物学などが古くより主要な研究対象とされており、それらの学問から哲学に転じた人間も少なくない。こうしたひとつの学問領域に限定されない考え方は、リベラル・アーツ的な視点として古来より存在している。現在ではそれを(文系と理系の双方の考え方を同時に扱おうとする態度を明確にしている場合は特に)文理融合と呼ぶ。また、そのような態度が要求される分野を文系・理系に対する概念として学際系と呼称することも多い。
文理の区別は、学問が中心的に扱う対象や、具体的な研究方法によって決まるという考え方もある。
また理系学問の内、医学、歯学、薬学などの医療系分野を除いて理工系(りこうけい)と称する学者もおり、彼らは工学的知識と文系諸学問の思想の双方が扱われる金融工学、経営工学、社会工学などの分野を文工融合(ぶんこうゆうごう)と呼ぶ事がある。
研究上の学位(修士・博士の学位)[編集]
日本では理系のほうが文系に比べて修士・博士課程に進学する割合が高く、博士号取得者の8割が理系である。これは卒業後の就職・採用事情と大きく関係しており、理科系は研究室の教員の紹介が中心となるのに対して文科系には研究職の募集が極端に少なく、経理や営業現場でのOJTを重視する傾向にあるためと見られる。文系とされる博士号取得者は欧米には多数存在する一方で、日本では付与条件や取得状況が極端に厳しく、これが海外留学生の受け入れにおいてしばしば問題とされる。
学問の区分と文系・理系[編集]
同一学問系の細分化[編集]
近代以後、学問各分野における専門知識の増大により、自然科学・社会科学・人文科学などの異なる分類の学問間のみならず、同じ分類にされている学問内においても研究の相互理解が困難になりつつある。このような現状は、最近のことではなく20世紀当初からあったとC. P. スノーは “The two cultures and a second look” の中で述べている。
また前述のように学問分野の隣接・融合(学際化)も起こっており、言うなれば「○○系寄りの□□系」、「□□系寄りの○○系」といった分野も存在するため、これが更なる同一学問系内における乖離を生み出している。
さらに次項で説明するように、同一学問系内でも論理を基底に据えるか経験を基底に据えるかによって立場が大きく異なる場合もある。
形式科学と経験科学[編集]
数学と物理学はそれぞれ同じ理系に分類されるのが一般的認識だが、前者は公準と論理によって構築される形式科学 (formal science) に属するのに対し、後者は自然現象の観察という経験を通して構築される経験科学 (empirical science) に属する。数学は算術や天文学に端を発する経験科学という印象を持たれがちだが、自然界に存在し得ないものも表現しうる高度に形而上(形而上学)的な体系となっている。一方、物理学は数学と密接な関係にはあるものの、あくまでも自然界に存在するもの、経験に重きが置かれ、事象が説明できれば数学的に厳密な証明を要さない場合も少なくない。つまり両者は密接な関係にありながら、立場や観点、方法論は大きく異なる。
同様に、哲学・論理学と社会科学・言語学においても、一方が論理と証明を基底とし、他方が経験と実証を基底とする点においては数学と物理学に似た関係性が見られる。
文系と理系をめぐる観念的な印象[編集]
生徒や学生の気質について「理系は理詰めで厳密さを求めるが社会性には乏しく、文系はその逆」というイメージを持つ者が散見される。同様の類型化に「理学や哲学等の基礎学系は理論や手続き重視で理屈っぽく、工学や医学や社会科学等の応用学系は結果重視で必ずしも厳密さを求めない」であるとか、「経済学専攻の人間は社会性があってつきあいやすいが、理工系は堅苦しい人間の集まり」というようなものがある。
しかし、この手のステレオタイプなイメージのほとんどがそうであるように、上記の論も統計にもとづいた科学的根拠が提示された事例がなく、また「理詰め」「理屈っぽい」「社交的」などという曖昧で連続性の誤謬をもつ表現による非論理的な物が多く、実相を表しているとは到底言い難い。結局の所、気質や性格は個人的差異による大きな幅があり、画一的な見方が当て嵌まることは少ない。
一方で諸学問の内、実験を重視する学問はそうでない学問に比べて必然的に拘束時間が長く、結果プライベートな目的に用いることができる時間が少ないという事実も確かに存在し、それが本人の対人関係に影響を与えることがある側面も無視はできない。しかし数物系など計算や数式の解析が重視されるなど全ての理系学問が実験を主体としている訳ではないし、逆に文系でもフィールドワークや社会調査など必ずしも拘束時間が短いとは言い切れないことを留意する必要がある。
なお、理系の生涯賃金の平均が文系より5000万円近く低いとする1998年の調査もあり、これが理系離れの原因だと主張する言説が往々にして見受けられる。一方で2009年のデータを元に2011年3月に公表された調査報告では、46歳男性では理系出身者の平均所得が600.99万円で文系559.02万円を上回るとされた。
小学校高学年から思春期にかけて、男の子は算数(数学)・理科が、女の子は英語・国語が得意、あるいは好きだとするイメージがある。この傾向から大学進学時に女生徒で理系進学を志望すると「珍しい」と評されることがある。
文理別・学部別収入に関する調査[編集]
日本[編集]
収入に関する統計には、文理別・学部別・偏差値別・男女別の様々な統計が出されている。
- 天野郁夫著『旧制専門学校』(大正6年)には、高学歴社員の処遇として、日本郵船の初任給が掲載されている(日本郵船は当時の就職したい企業1位であった)。それによると、東京帝国大学工学部の初任給が45円。東京帝国大学法学部が40円。東京高等商業学校が35~40円。慶応義塾・早稲田が30円。という具合である。当時は大学や学部によって賃金が変わることが一般的であった。
- 前田一著『サラリマン物語』(昭和3年)には、出版前年の昭和2年の実績と見られる有名企業の初任給一覧が出ている。たとえば、三菱合資では、帝大工90円、帝大法80円、商大80円、商大専門部と早慶、神戸高商75円、地方高等商業と中央、法政、明治65~70円、私大専門部、50~60円、中学程度35円である。この時代は、大卒就職率約30%という不況の時代でもあり、『大学は出たけれど』などの映画が作られたほどの就職難であった。また、当時(昭和5年)の東京帝国大学の就職率は、医学部94.7%、工学部82.3%、農学部79.4%、理学部70.2%、経済学部39.2%、文学部37.3%、法学部32.1%である。
- 松繁寿和らは1998年に、ある国立大の理系学部と文系学部を一つずつ選んで、調査用紙を郵送し、その時点での年収などをたずねた。この統計調査をもとに毎日新聞の記者が計算したところによると、生涯賃金の差がおよそ5000万ほど文系学部の卒業生が高くなった。
- 2009年のキャリコネの調査によると、理系の大学の出身者は、平均年収が638.9万円。これに対して文系は、551万円だった。学部別の年収だと、工学部661.1万円、理学部616.1万円、法学部615.3万円、経済学部608.3万円、商学部・経営学部604.3万円、薬学部551.4万円、農学部526.3万円、社会学部464.9万円、文学部409.5万円である。また、東京大学出身者の学部別平均年収は、理学部1381.3万円、法学部1158.7、工学部1057.6万円、経済学部923.8万円、農学部700.5万円であった。
- 2010年の慶応大学の調査では、男性の平均年収は文系が559万円だったのに対し、理系は601万円で、42万円高かった。 女性も文系203万円に対し、理系は260万円で57万円高かった。 年代別比較では、理系男子は、国立大出身なら35歳で文系男子よりも100万円弱ほど高く、60歳では150万円以上高かった。国立大以外の理系は35歳までは文系より低いが、40歳ではほぼ同じ、45歳では追い抜いていた。 また、役職員に就いている正社員の割合も文系は20.3%に対し、理系は35.0%。会社の経営者の割合も文系1.3%に対して、理系2.1%とわずかに高かった。
- 2010年の京都大学と同志社大学の調査では、文系の平均年収約583万円に対し、理系は約682万円だった。格差は年齢と共に広がり、25歳では理系が文系より約60万円多く、60歳では約168万円に拡大していた。このほか、サンプルをもとに40歳時のモデル年収を推計したところ、理系男性が約717万円、文系男性が約680万円だった一方、理系女性が約498万円、文系女性が約402万円と男性の方が約220~280万円も高く、男女間の賃金格差が浮き彫りとなった。また、出身学部をベネッセコーポレーションによる大学難易度別にA(偏差値60以上)、B(50~59)、C(50未満)に分けたところ、同じ難易度ではいずれも理系が高く、最も高いのはAの理系。Bの理系はAの文系の平均を下回ったものの、Aの文系でも受験で数学を選択しなかった人の平均よりは高かった。
- 2011年の浦坂純子と西村和雄の調査では、慶応義塾大学パネル調査共同研究拠点の「日本家計パネル調査(JHPS)」のデータを分析して、文理別に国立・非国立大卒の年収を調べている。それによると、所得の順位は、国立理系男子、非国立理系男子、国立文系男子、非国立文系男子の順となっている。また、偏差値別の分析では、高偏差値理系男子、高偏差値文系男子、中偏差値理系男子、中偏差値文系男子の順となっている。しかし、50歳以降になると高偏差値文系男子は、中偏差値理系男子に所得で追い越されてしまう。これは、文系の賃金カーブのピークが50歳であり、以降は賃金が下がっていくのに比べ、理系の賃金カーブは50歳以降も上昇するためと考えられる。
- 2011年の経済産業研究所の調査では、理系学部出身者の平均所得は文系学部出身者より約130万円高く、そのうち高校時代に物理が得意だった人が最も高所得である。平均所得は全体が552万円だったのに対し、理系学部出身者は637万円、文系学部出身者は510万円であった。理系学部出身者の平均所得は、高校時代に得意だった理科科目別では物理681万円、地学647万円、化学620万円、生物549万円の順だった。また、同調査では、同志社大経済学部の八木匡らによって、得意科目別と年収の調査についても調べられている。それによると、文系、理系を合わせた大卒就業者約1万人(平均年齢43歳)の得意科目と平均所得(年収)の関係を調べると、数学が得意な人の所得が約620万円と最も高く、2番目は理科が得意な人の約608万円だった。数学が得意な人と国語が得意な人とでは、約183万円の差があった。
- 2011年に「週刊東洋経済」が「DODA」の協力を得て転職サービス登録者の調査を基に推計したところ、生涯年収は理系で2.25億円に対し、文系は2.10億円足らず。1500万円以上の差がついた。その理由として、DODA編集長の美濃啓貴氏は「モノ作りのできる技術者は営業職に就けるが、文系出身の営業マンは専門的な知識や経験がないので技術者にはなれない」と、職業選択の幅の違いを指摘している。
- 2011年に株式会社アイ・キューが行った調査によると、営業職の学歴・文理別平均年収は、国公立大院卒/理系 682.00万円、国公立大学/理系 676.30万円、私立大学/理系 617.91万円、私立大院卒/理系 617.39万円、国公立大学/文系 584.53万円、海外大学院 583.33万円、私立大学/文系 543.61万円、専門・短大・高専・各種学校 503.86万円、国公立大院卒/文系 502.83万円、私立大院卒/文系 490.00万円、高校 486.71万円、海外大学 482.76万円の順であった。
海外[編集]
- アメリカ合衆国における専攻別平均年収では、もっとも高いグループが、石油工学、航空工学、化学工学を初めとした工学分野、続いて高いのが数学を多用する応用数学、物理学、経済学などであり、逆に低いのは、教育分野、芸術分野、そして神学などの趣味的分野となっている。統計としては、Payscale社が調査した、学部卒でフルタイムで勤務している人の2年後の給料、15年後の給料の中央値を出身学科別にまとめたものがある。それによると、上位5つの年収は、Petroleum Engineering $157,000、Aerospace Engineering $108,000、Chemical Engineering $108,000、Electrical Engineering $104,000、Nuclear Engineering $104,000 である。下位5つの年収は、Culinary Arts $50,600、Athletic Training $45,700、Social Work $44,900、Elementary Education $44,400、Child and Family Studies $38,400となっている。
政治における文系と理系[編集]
日本[編集]
日本の政党では自民党と公明党に「文系」出身者が多く、民主党と共産党と社民党に比較的「理系」出身者が多い。
共産党委員長経験者では不破哲三、志位和夫が理系出身であり、民主党代表経験者では、鳩山由紀夫、菅直人が理系出身である。しかし、戦後の日本では自民党が政権を担っていた時期が長かったこともあって、結果的に戦後首相のほとんどが「文系(特に、法学部・経済学部)」から輩出されているなど文系優位が常識化していた。
2009年の政権交代に伴い民主党代表の鳩山由紀夫(東京大学工学部卒)が首相になった。これにより戦後初の「大学教育における理系」(工学部)出身の首相が誕生した事になる。この事についてはマスコミでも取り上げられ、話題を集めた。その後に組閣された鳩山由紀夫内閣でも理工系出身者が多く(首相、副首相、内閣官房長官、文部科学大臣)、川端達夫文部科学大臣自身が経団連との会談で「お理工(お利口)内閣」という冗談を述べるなど、政界でもある程度の認識として存在している様である。
鳩山内閣が総辞職し、その後を引き継いで菅直人が民主党代表、及び首相となった。これにより、日本初の東京工業大学卒の首相が誕生した。
海外[編集]
中国共産党の執行部は「理系」出身者で占められており、同じ社会主義国のソ連でも多くの指導者が工学や理学の習得を経て、ソ連共産党政治局のメンバーは89%がエンジニアだった。これは社会主義の唯物論、科学的社会主義に基づいた発想であるが、そうした社会主義の創始者達(マルクス、レーニン、毛沢東)は哲学や経済学などを専門としていた。
マーガレット・サッチャーは、オックスフォード大学で化学を学んでいた。
2005年からドイツの首相に就いたアンゲラ・メルケル氏は、1973年にカールマルクス・ライプツィヒ大学(現ライプツィヒ大学)で物理学を専攻し、東ベルリンの科学アカデミーで理論物理学の研究を行っていた。
マフムード・アフマディーネジャードは、土木技術者だった。
文系的と捉えられることが多い学問[編集]
ただし、経営学、経済学・社会学・言語学・心理学・デザイン学には高度な数学的・統計学的解析を伴うものも多く、たとえば東京理科大学には文理融合型の経営学をうたった経営学部が1993年に設置されている。一方、地理学は地球科学と密接な関係を持ち、特に自然地理学や地図学は理系の学問と位置づけられることも多い。心理学は、人間の行動や認知を扱う基礎心理学は、認知科学などの分野と親和性があり、臨床心理学は精神医学と関連する部分も多い。また、家政学・生活環境科学は対応する中学校の教科の家庭科が工学に対応する教科の技術科とともに技術・家庭という教科になっているため、理系に含めることもある。
なお、ここでは法学は文系に含まれているものの、法学は文系・理系から独立した分野(法律系、法系)とする考え方も存在する。
理系的と捉えられることが多い学問[編集]
農学、工学には経営学、金融工学、経済学、拓殖学や地域研究、デザイン学、生物学・医学には哲学・倫理学、情報学には社会学など、人文科学的・社会科学的な考えを要する分野もある。またそれぞれの分野の歴史学をも扱う(「○○学史」「○○史」と呼ばれる)。また、日本では地質学・地球科学を文系的と捉えている者も多い要出典。
建築学は概ね理系の範疇に入るが、建築デザインなど一部の分野は美術の範疇に入る部分もある。