「渋谷暴動事件」の版間の差分
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2018年1月14日 (日) 12:50時点における版
渋谷暴動事件(しぶやぼうどうじけん)とは、1971年(昭和46年)11月14日に日本の東京都渋谷区において発生した暴動事件である。
概要
- 1971年11月10日に沖縄県で打たれた沖縄返還協定批准阻止のゼネラル・ストライキ(「11.10ゼネスト」または「沖縄ゼネスト」)に呼応して、渋谷・四谷などで行なわれた「沖縄返還協定批准阻止闘争」で、革命的共産主義者同盟全国委員会(中核派)の学生ら約400人が1971年11月14日、渋谷で警戒中の機動隊や渋谷駅前派出所を火炎瓶等で襲撃。中核派の学生らが、規制しようとした関東管区機動隊新潟中央小隊(新潟中央警察署)に所属する21歳の巡査Aを鉄パイプで殴打して失神状態になったところにガソリンを掛けた上で、火炎瓶を投擲された。巡査Aは全身火傷を負って、翌15日21時25分に死亡した。他3人が重傷を負った。
- 暴動前に知人に参加を呼びかけ火炎瓶の準備などにも関わっていた、暴動の実質的リーダーである大坂正明が、巡査Aを取り囲み「殺せ、殺せ」と叫びながら、鉄パイプで殴ったり火炎瓶を投げたりする様子が目撃されていた。
- 警察はこの事件に絡んでデモ隊を指揮した中核派委員長を逮捕(破壊活動防止法違反により懲役8年)。警察官殺害事件については大坂と星野文昭・荒川碩哉・奥深山幸男ら中核派の学生7人を犯人と特定し、その内大坂以外の星野・荒川・奥深山ら6人が1972年から1975年8月までに逮捕・起訴された。1987年7月に星野に無期懲役、荒川に懲役13年が確定した(荒川は2000年7月に満期出所)。
- 大坂のみがその後も逃亡を続け、殺人・放火・傷害・凶器準備集合・公務執行妨害容疑で指名手配された。
- 1971年の事件の国内逃亡犯に対して公訴時効(殺人罪は当時15年)が15年以上の長期間が経過しても成立せずに指名手配されていたのは、共犯の奥深山が1972年に起訴されて一審懲役15年で控訴中の1981年に精神疾患のために公判停止になっており、共犯者の公判中を理由に刑事訴訟法254条2項の規定で公訴時効が停止していたほか、2010年に殺人罪の公訴時効が撤廃されたためである。
- 奥深山の支援者などの弁護側は公判停止の長期化は迅速な裁判を侵害しているとして免訴を求めていたが、検察側は病状安定後の公判再開を目指していた。なお奥深山は2010年1月に「病状安定」の鑑定結果が出ており、今後における公判再開の見込みが報じられていた。他に星野が冤罪を主張し再審請求を行なっている。
事件後の動き
- 大坂正明の足取りは、1973年11月を最後に途絶えていたが、2012年3月に警視庁公安部が、東京都立川市の中核派秘密アジトへ家宅捜索で押収した暗号文書を解読した結果、逃亡中の大坂正明は、中核派革命軍のメンバーであり、2012年2月まで別の秘密アジトに潜伏していたことや、群馬県内の病院で治療を受けていたことが報道された。
- 2016年1月には、大坂が2007年から2008年夏頃まで、東京都北区の賃貸マンションにある中核派の非公然アジトに潜伏していた可能性があることが分かった。
- 2016年11月1日から、捜査特別報奨金対象事件となり、大坂の逮捕に繋がる情報に300万円の懸賞金がかけられた。
- 2017年2月7日、公判停止中の奥深山が、入院先の群馬県内の病院で病死した。
- 2017年5月18日に大阪府警察が、広島県広島市安佐南区の中核派アジトを捜索した際、白髪で眼鏡をかけ、長袖シャツにズボン姿の男が、捜査員に体当たりして逃げようとしたことから、公務執行妨害容疑で現行犯逮捕された。
- 厚い下唇などの特徴が大坂正明と似ていたことから、警察当局が大坂の母親や姉、父方の親族の男性とDNA型を照合したところ、血縁関係があるとしても矛盾がない結果が出たことから、6月7日、大阪府警察と警視庁は、男を大坂正明本人と特定し、殺人罪等5つの容疑で再逮捕。28日、東京地方検察庁は大坂正明を殺人罪や現住建造物等放火罪等で起訴した。大坂は一貫して黙秘を続けており、19日に東京地方裁判所で勾留理由開示手続きが行われた時も、直立したまま無言を貫いていた。
- 弁護士は「容疑者は100%無実」として釈放を求めたが、警視庁公安部が逮捕後に共犯者や目撃者ら全国の100人以上の関係者に対して改めて行った聴取では、大坂の逮捕容疑を否定する供述はなかったという。
関連項目
- 日本の新左翼
- 革命的共産主義者同盟全国委員会(中核派)
- 日大紛争
- 東峰十字路事件
- 沖縄ゼネスト警察官殺害事件
- 福島菊次郎 - 写真家。当時の騒動の様子を撮影。作品の一部が『DAYS JAPAN』2010年3月号に「首都騒乱」の題で掲載されている。