「パチンコの釘調整」の版間の差分

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== 釘調整の目的 ==
 
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日本全国に存在する[[パチンコ]]店は営業の終了後から開店までの間に遊技客と店舗の利益の調和を目的に[[ホールコンピュータ]]から得られる情報を基にパチンコ台の遊技盤面に植設された障害釘の間隔を拡大又は縮小したり曲げたり、風車の向きを変えたりする調整を行う。障害釘は一般的に遊技釘又は単に釘と呼ばれる。
 
日本全国に存在する[[パチンコ]]店は営業の終了後から開店までの間に遊技客と店舗の利益の調和を目的に[[ホールコンピュータ]]から得られる情報を基にパチンコ台の遊技盤面に植設された障害釘の間隔を拡大又は縮小したり曲げたり、風車の向きを変えたりする調整を行う。障害釘は一般的に遊技釘又は単に釘と呼ばれる。

2008年7月13日 (日) 00:22時点における版

パチンコ機の遊技盤面

釘調整の目的

日本全国に存在するパチンコ店は営業の終了後から開店までの間に遊技客と店舗の利益の調和を目的にホールコンピュータから得られる情報を基にパチンコ台の遊技盤面に植設された障害釘の間隔を拡大又は縮小したり曲げたり、風車の向きを変えたりする調整を行う。障害釘は一般的に遊技釘又は単に釘と呼ばれる。

遊技球と障害釘と遊技盤

パチンコは遊技客が発射ハンドルを操作して遊技球を盤面上にはじき出し、はじき出された球は流下する途中で障害釘や風車その他の装飾類に衝突や接触を繰り返し、その衝突や接触の反動で賞球口や始動口に入賞することを可能としている。

遊技球

遊技球はパチンコ遊技に使われる球、鉄製で直径が11mm、重さ5.4グラム以上5.7グラム以下に規定されており、規定に沿った球が使われている。

障害釘

ベニア合板製遊技盤に使われる釘は真鍮製、全長は35mmで頭部は釘笠部と呼ばれ1mm本体胴部23mm螺旋胴部8mm釘尖端部3mmからなる(遊技機メーカーによって全長以外は多少の違いあり)

釘胴径1.85mmから2mm(遊技機メーカーで違いあり)釘尖端部と本体胴部の間にねじり状態の螺旋部があり、この螺旋部によって遊技球が釘に激突しても衝撃で簡単に緩んだり抜けたりすることは無い。

風車に使われている釘も真鍮製だがこちらは障害釘とは異なり全長が33mm、釘本体胴に螺旋部が無く、尖端は通常の鉄釘と同じ形容をしている。

遊技盤

遊技盤の縦横のサイズは50cm以内と規定されている。 厚さ20mm、ベニア合板製の遊技盤の昨今は縦巾において50cmの規定ギリギリの大きさまで使用するように成っている。この事は2000年代初期の遊技盤と比較しても5cmから10cmも大きくなっていることを示している。

遊技盤には障害釘や風車が植設され、中央には役物と呼ばれ、遊技中にある種の条件を満たすことで作動する大入賞装置が備えられていたり、図柄表示装置備えられていたりする又、中央役物、図柄表示装置の周辺には入賞口や大入賞口、ひかり物や機種のキャラクターなどの装飾類が配設されていて遊技客の興趣を増大させる工夫がなされている。

遊技盤の呼び方はメーカーや地域によって様々だが、通称「セル」「ベニア」「板」「面」などと呼ばれ遊技盤などと正式名称で呼ぶことは少ない。

釘はこの遊技盤面に遊技釘の先端から17mm打ち込んであり、釘笠部1mmを加えて18mmが盤面上に突出している。

障害釘は機種によって様々だが、おおよそ150本から350本が1枚の遊技盤面に植設されている(一般的に無駄な釘は1本も無いと言われているが実際には無駄な釘も存在している)

配列釘の呼称

遊技盤面に植設された障害釘はその目的によっていくつものグループに分けられており、そのグループ名によって場所が特定される。

天釘(てんくぎ)

遊技盤面の最上段に植設された釘で3本から7本くらいまで横一列に並んでいる(2000年頃までは天4本と呼ばれ4本釘が常だった)一般的に遊技盤面にはじき出された遊技球が最初に激突する釘である。

連釘(れんくぎ)

釘が連なって植設されている状態を指し、遊技球を目的の場所へと導くための誘導釘であったり、役物を遊技球の激突による破損から守るための壁釘であったり、次のような種類がある。

ヨロイ釘、ハカマ釘、逆ハカマ釘、誘導釘、篭釘等あるが地域や店舗によって呼び方が異なることもある。

バラ釘

1本1本の釘の間を遊技球が抜けていくだけの間隔が設けられた独立した釘で、よく見ると横一列にきれいに並んでいたり正6角形に近い状態に配列されていたりする。

命釘(いのちくぎ)

入賞口や始動口、ワープ入り口や通過チャッカー近傍に植設された2本乃至3本の釘で、遊技球の通過を制御しなくてはならない場所に植設されている。

添え釘(そえくぎ)

命釘近傍に必ず植設されている1本の釘で、この釘の上げ下げ左右の振り加減調整で入賞が大きく左右される事がある(ジャンプ釘と呼称される場所もある)

釘曲げ用具

釘調整には様々な用具や支援装置がある。こうした用具や支援装置の先端を知る釘調整者の技術は0.01mm間隔の正確な調整能力がある

ハンマー

釘曲げ、釘間隔の拡大縮小に最も多用される用具のひとつで微妙な調整ができる。鉄製、真鍮製、ステンレス製のハンマーがある。

釘調整者の中にははハンマーにこだわる人が多い。釘を叩いた時の「音」の良し悪しであったり、釘をたたいた時に釘笠に「傷」が付きにくいハンマーを選んだり、ハンマーの「重さ」であったり、柄の「持ち具合」など様々である。特に音で遊技釘が緩んでないか、確実に曲がったかなどの判断も行うためこうしたこだわりは大切なことであるとされる。釘を叩く時の音で釘調整者の技量まで見抜いてしまうような不確実な習慣も存在する。

鉄製ハンマーは釘をたたいた時の音は良いが釘笠に傷を付けやすい。真鍮ハンマーは釘に優しいがハンマーに凹凸ができやすいために手入れに時間を要する。ステンレスハンマーは音では鉄ハンマーに負けるが凹凸は真鍮ほどできないので手入れも簡単。

調整棒

一見ドライバー風に見えるためドライバーと呼ぶ人もいるが棒の先端が二股に割れており使い方は二股の間に釘を入れて曲げるために用いる。

釘ばさみ

釘を挟んで曲げる用具で、まるでペリカンの口ばしの様に平たく長い。遊技盤に植設された釘を正面から挟んでも釘笠を傷めることが無いように釘笠が当たる位置には溝が切ってある。

釘計測用具

1980年(昭和55年)に遊技機メーカー三共のフィーバー機が登場してからも1985年頃まではゲージ棒1本にハンマーか調整棒1本を持って釘調整がなされていた。しかしコンピュータの発展と共に遊技機から多用な情報が得られるようになり、伴なって釘調整も多様化してゲージ棒1本で調整するなどということは無くなった。

ゲージ棒

ゲージ棒

遊技機の登場と共に存在した釘間計測用具で、長さ12cm-13cm、直径3mm程度の金属棒の両端に釘間を計測する金属球が取付けてある。金属球はパチンコ球と同じ直径11mmを基準に0.01mm単位で大きさの違う金属球が付いている。

金属球を計測する釘間に入れて遊技盤面に接面させながら上下に動かすことで簡便に計測できるが弱点は定点計測ができないことで、球の大きさに合わせて計測する釘の位置がずれてしまう。

板ゲージ

板ゲージ

フィーバー機の登場でパチンコ遊技のほとんどが大当りを求める確率のゲームに移行したため、1分間にあるいは千円の貸玉料金で何回、図柄表示装置を始動させるかなど細かい配慮が必要になり、時として始動口の釘間を大きく開けることが要求されるようになった。金属球の付いたゲージ棒で対応した大きさが販売されることも無く、障害釘の釘笠の裏に接面させて使う板ゲージが出現した。

板ゲージは11mmから17mm程度まで巾の違う板が数十枚有って狙いの始動回数に合う板を選択して使うが弱点は金属球よりも極めて大雑把な調整しかできないことである。

使い方は釘笠の裏に板ゲージを差込み上下させて、その時に発生する微妙な動作抵抗の変化を感じ取って調整するため、人によっては動作抵抗変化の感じ取りかたが様々といった難しさが有る。

デジタルゲージ

1989年(平成元年)にデジタルゲージが考案されて、より正確な釘間計測が可能になった。デジタルゲージは数社から販売されているが必要性を認識しない人が多く普及は進んでいない。デジタルゲージは釘の定点計測を可能としたため、0.03mm-0.04mmの釘巾の違いが始動回数0.1回の違いに相当することが明らかになった(機種によって違いあり)

数社から発売されている様々なデジタルゲージを使ってみるとそれぞれに長所短所が見え隠れする。あるメーカーのデジタルゲージは正確だが重すぎるのと高価すぎる。あるものは手ごろの価格だが機種によっては遊技盤面の装飾類が邪魔して使用不可なときがある。又あるものは持ち易いが柄の部分がパチンコ機の上皿に当たっているのに気が付かずにいたら不正確な数字を取得するなどである。

角度ゲージ

遅すぎるくらいだが2000年(平成12年)頃からにわかに盤面に植設された釘の角度が重要視されるようになり様々なメーカーから角度の測定用具が販売されるようになった。ステンレス製であったりプラスチック製であったりいろいろだが厚さが1mm程度、巾が15mm程度の平板に0度から10度くらいまで計測できるように加工を施してある。

使い方は用具の先端を遊技盤面に接面させ、n角に加工された用具の一面を釘の本体胴部に接面させて計測する。

遊技盤面の釘配列及び装飾類の配設は、釘調整用具の使いやすさまでは配慮されてない盤面が多く、そのため角度ゲージが使えない箇所など多い。

風車ゲージ

近年は遊技盤面に取付けられる数が減っているものの、遊技盤面に必ず取付けてある装飾類の1つに風車がある。

風車は遊技球の流下速度に変化をもたらしたり、遊技球の方向を変えるなど重要な役目を担っている。近年の遊技盤面は中央の図柄表示装置が大型化しているために逆ばかま釘下の風車から始動口までの距離が遠くなり勢いよく回る風車でないと遊技球が始動口に到達する前に死に球となる確率が高くなるなど回転状態も以前に増して重要になっている。

当然風車の取付き角度は始動口側へn%の球を送りアウト側へn%の球を送るなどを目論んで調整される。風車本体が角度測定の邪魔になって用具の開発が遅れていたが、風車釘の根元にゲージの一方を差込み残りの一方が風車釘の頭にあって風車釘の頂点のズレから計測する方法のゲージが開発された。

他方、風車を軽く押さえて物差し状の測定用具で風車の円板部と遊技盤面との距離を計測して取付き状態を確認したり、ノギスのデプスバーを使って計測する用具が考案されている。

渡り釘ゲージ

統一ゲージの遊技盤作りを指導する段階で大阪の釘調整者が使っていたのをヒントに考案されたゲージで、使い方は数本から数十本ある誘導釘を一端狙いの角度より叩き上げた後に両端の釘2本を正確な角度に調整してこの2本の釘にゲージ板を宛がい、残りの不揃いの釘をゲージ板まで叩き落してしまう揃え方で簡便で統一ゲージ盤作りの作業は早くなるが、強く叩き落すと釘笠をゲージ板との衝突によって傷めてしまう危険がある。又、釘笠を調整の基準とするため釘本体の並びには少なからず凹凸が発生する。

釘本体の凹凸を減らす方法も考案されている。

遊技盤の問題点と統一ゲージ

近年の遊技盤には先に紹介したベニア合板の他に厚さ10mmのポリカーボネートの透明な合成樹脂を使った遊技盤が使われるようになった。

1996年(平成8年)に透明な板に釘を打ちつけて画面上に装着する方法が考案され特許出願されたが審査の申請がなされなかったためにみなし取り下げとなって誰でも開発できるように成ったことから遊技機メーカーによってポリカーボネートによる透明な板に釘を植設した遊技盤が使われるようになり全面液晶画面などが登場して遊技客の興趣を増大させることに成功している。

ベニア合板製遊技盤

遊技盤はコンピュータ制御された釘打ち機によって釘が植設されるがベニア合板に釘を打ちつけた場合、釘の先端は板の柔らかい方向へと逃げて打込まれるため同一機種でも2台と同じ台を製作できない現状がある。厳密に見たとき全ての台の釘はバラバラの状態といえる。そこで人の手によって基本ゲージに近く成るように修正されて店舗に納入されるが、店舗によっては更に独自の基準を設けて釘の角度、渡りの巾など盤面の全ての釘を触って統一した状態で店舗に設置して開店を迎える。

こうした釘調整の済んだ台が統一ゲージと呼ばれる。これにより遊技客に同一の遊技機を提供することができるとの建前だが、遊技盤の製造段階で位置ズレした釘が打ち込まれているために「モアベター」な調整に止まっているといえる。

ポリカーボネート製遊技盤

ベニア合板製の遊技盤と比較してポリカーボネート製の遊技盤は基本ゲージにほぼ忠実に仕上がるため人の手を殆ど加えることが無く統一ゲージの製品が製造される。今後は数年でベニア合板に変わるものとして注目されるが、難点は釘を叩いた時の音の悪さで叩いたことによって釘が曲がったのか曲がって無いのか計測ゲージを当てるまで分かりづらいところである。

釘角度と流下方向と確率

釘調整は釘の並びや形などの美しさも求められるが最終的に遊技客が楽しめる釘にすることが基本だ。そして店舗や遊技客の利益の調和をはかる。

そのために大切なことが釘調整によって球の流下方向や流下量を変えること、つまり遊技盤の狙いの場所へn%の球を行かせて残りのn%をどこへ向かわせるか、いわば球の方向や量の比率を操作するのが釘調整だ。

比率の調整であって「絶対」は存在しない又、釘調整は「逆も真」風車ゲージの項目で述べてあるように風車が勢いよく回ると遊技球は始動口まで届くが回転の勢いを殺すことで始動回数を減らすこともできる。このように調整の全てに逆の作用が「真」として存在する。

遊技台の傾斜

遊技台を店舗の島(台を1列に設置してある場所を島という)に設置する時「ネカセ」といわれる傾斜を付けることが0度から1度の範囲で認められている。一般的に4分とか4分5厘の傾斜を付けると表現するが遊技台の下部を12-13mm手前に引き出した状態で島に取付けるか遊技台の上部を12-13mm奥へ入れた状態で取付けることで遊技台に傾斜が付く。

遊技盤面とガラスまでの隙間は19mmから20mmの距離があって遊技球の大きさを差し引くと約13-13.5mmの自在空間が存在することになる。この空間を流下する遊技球が極力、遊技盤面側を這うように流下させるための「ネカセ」である。

最大1度までの「ネカセ」であるために効果は薄い。そのため遊技球は釘と衝突する時の速度や衝突した釘の角度によって流下方向が様々に変化して遊技に好不調(スランプ)の波を提供している。