窒素のソースを表示

<nowiki>{{Otheruses|元素|日本の化学工業の株式会社で、かつて水俣病を引き起こした企業|チッソ}}
{| class="wikitable" style="width: 20em; float: right; margin-left: 0.5em; background: white; font-size: 95%"
|- style="background-color: white"
| colspan="2" style="text-align: center" |
{| 
| || style="border-style: none; text-align: center" | [[炭素]] - '''窒素''' - [[酸素]]
|-
| style="border-style: none; text-align: center; vertical-align: middle"| '''N'''<br />[[リン|P]]
| style="border-style: none" | [[画像:N-TableImage.png|250px]]<div style="text-align: right"><small>[[周期表]]</small></div>
|}
|-
! colspan="2" style="background: #a0ffa0" | 一般特性
|-
| style="width: 43%" | [[元素の名前順一覧|名称]], [[元素の記号順一覧|記号]], [[元素の番号順一覧|番号]] || 窒素, N, 7
|-
| [[元素の分類|分類]] || [[非金属]]
|-
| [[元素の族|族]], [[元素の周期|周期]], [[元素のブロック|ブロック]] || [[第15族元素|15 (VB)]], [[第2周期元素|2]] , [[pブロック元素|p]]
|-
| [[密度]], [[モース硬度|硬度]] || 1.2506 kg·m<small><sup>−3</sup></small>, no data
|-
| 単体の[[色]] || style="text-align: center" | 無色<br/>[[画像:N,7.jpg|120px|窒素]]<br />&nbsp;<br/>[[Image:Liquid nitrogen dsc04496.jpg|120px|液体窒素]]
|-
! colspan="2" style="background: #a0ffa0" | 原子特性
|-
| [[質量]] || 23.253 x 10<sup>-24</sup> g
|-
| [[原子量]] || 14.0067 [[原子質量単位|u]]
|-
| [[原子半径]] (計測値) || 65 (56) [[ピコメートル|pm]]
|-
| [[共有結合半径]] || 75 pm
|-
| [[ファンデルワールス半径|VDW半径]] || 155 pm
|-
| [[電子配置]] || <nowiki>[</nowiki>[[ヘリウム|He]]<nowiki>]</nowiki>2[[s軌道|s]]<sup>2</sup> 2[[p軌道|p]]<sup>3</sup>
|-
| [[電子殻]] || 2, 5
|-
| [[酸化数]]（[[酸化物]]） || ±'''3''', 5, 4, 2（[[酸化物|両性酸化物]]）
|-
| [[結晶構造]] || [[六方最密構造]]
|-
! colspan="2" style="background-color: #a0ffa0" | 物理特性
|-
| [[相]] || [[気体]]
|-
| [[融点]] || 63.15 [[ケルビン|K]] <br/>(-209.86 [[摂氏|°C]], -346.00 [[華氏|°F]])
|-
| [[沸点]] || 77.36 K <br/>(-195.79 °C, -320.42 °F)
|-
| [[モル体積]] || 13.54 &times; 10<small><sup>−3</sup></small> m<small><sup>3</sup></small>·mol<small><sup>−1</sup></small>
|-
| [[気化熱]] || 2.7928 kJ·mol<small><sup>−1</sup>
|-
| [[融解熱]] || 0.3604 kJ·mol<small><sup>-1</sup>
|-
| [[蒸気圧]] || no data
|-
| [[音速|音の伝わる速さ]] || 334 [[メートル毎秒|m·s<small><sup>−1</sup></small>]] (293.15 K)
|-
! colspan="2" style="background: #a0ffa0" | その他
|-
| [[クラーク数]] || 0.03[[パーセント|%]]
|-
| [[電気陰性度]] || 3.04 （[[ライナス・ポーリング|ポーリング]]）
|-
| [[比熱容量]] || 1040 J·kg<small><sup>−1</sup></small>·K<small><sup>−1</sup></small>
|-
| [[導電率]] || no data
|-
| [[熱伝導率]] || 0.02598 W·m<small><sup>−1</sup></small>·K<small><sup>−1</sup></small>
|-
| rowspan="7" | [[イオン化エネルギー]] || 第1: 1402.3 kJ·mol<small><sup>−1</sup>
|-
| 第2: 2856 kJ·mol<small><sup>−1</sup>
|-
| 第3: 4578.1 kJ·mol<small><sup>−1</sup>
|-
| 第4: 7475 kJ·mol<small><sup>-1</sup>
|-
| 第5: 9444.9 kJ·mol<small><sup>-1</sup>
|-
| 第6: 53266.6 kJ·mol<small><sup>-1</sup>
|-
| 第7: 64360 kJ·mol<small><sup>-1</sup>
|-
! colspan="2" style="background: #a0ffa0" |（比較的）安定同位体
|-
| colspan="2" |
{| class="wikitable" style="width: 98%; margin: 0; background: white" 
|- style="font-size: 85%; text-align: center; font-weight: bold"
| [[同位体]] || [[天然存在比|NA]] || [[半減期]] || [[崩壊モード|DM]] || [[崩壊エネルギー|DE]]/[[メガ|M]][[電子ボルト|eV]] || [[崩壊生成物|DP]]
|-
| <sup>13</sup>N || [[放射性同位体|{syn.}]] || 9.965 [[分]] ||[[電子捕獲|&epsilon;]] || 2.220 ||[[炭素|<sup>13</sup>C]]
|-
| <sup>14</sup>N || '''99.634%''' || colspan="4" | 中性子7個で[[安定]]
|-
| <sup>15</sup>N || 0.366% || colspan="4" | 中性子8個で安定
|}
|-
! colspan="2" style="background: #a0ffa0; font-size: 85%" | 注記がない限り[[国際単位系]]使用及び[[標準状態]]下。
|}

'''窒素'''（ちっそ, Nitrogen）は[[原子番号]]7の[[元素]]。[[元素記号]]は'''N'''。空気中に78%も含まれ、[[アミノ酸]]をはじめ、多くの生体物質中に含まれており、すべての[[生物]]にとって必須の元素である。

一般に「窒素」という場合は、窒素の[[単体]]である'''窒素分子'''（窒素ガス、'''N<sub>2</sub>'''）を指すことも多い。窒素分子は[[常温]]では無色無臭の非常に安定な[[気体]]。液化した窒素分子（'''[[液体窒素]]'''）は冷却剤としてよく使用される。液体窒素温度（-195.8 °C、77K）から液化する。

== 歴史 ==
窒素は、かつて物が燃える元と考えられていた[[燃素]]の研究の過程で発見されたもので、最初に単体分離を行った者の特定は困難である。[[1772年]]、[[ダニエル・ラザフォード]]が窒素を単体分離し、その中に生物を入れると[[窒息]]して死んでしまうことからnoxious air（有毒空気）と命名した（日本語の「窒素」はこのことに因むものである）。ほぼ同じ時期に[[カール・ヴィルヘルム・シェーレ]]と[[ヘンリー・キャベンディッシュ]]も単体分離したと言われており、シェーレは[[酸素]]を「火の空気」、窒素を「駄目な空気」と命名した。

窒素が元素であることを発見したのはフランスの[[アントワーヌ・ラヴォアジエ]]で、フランス語で「生きられないもの」という意味の"azote"と命名した。窒素の英語名Nitrogenは、ギリシア語の''Nitron''（[[硝石]]の意）と''genen''（あるいは''genes''、「作る」の意）に由来している。

近年の需要に対応して、[[2005年]]に[[日本工業規格]]（JIS K 1107）に規定の[[純度]]が高められた。

== 性質 ==
'''窒素原子'''は[[窒素族元素]]の1つ。生物にとっては非常に重要で[[アミノ酸]]や[[蛋白質]]、[[核酸塩基]]など、あらゆるところに含まれる。分解すると生体に有害な[[アンモニア]]となるが、動物（特にほ乳類）は窒素を無害で水溶性の[[尿素]]に代謝している。しかし、貯蔵はできないためそのほとんどは[[尿]]として排泄している。そのため、アミノ酸合成に必要な窒素は再利用ができず、持続的に摂取する必要がある。

ただし、ほとんどの生物は大気中の窒素分子を利用することができず、[[微生物]]などが[[窒素固定]]によって作り出す窒素化合物を摂取することで体内に窒素原子を取り込んでいる。

== 窒素分子 ==
'''窒素分子'''(dinitrogen)は[[化学式]]'''N<sub>2</sub>'''で表され、常温常圧で無色無臭の[[気体]]として存在する。[[融点]]-210°C、[[沸点]]-195.8°C、[[比重]]0.808(-195.8°C)。[[大気]]中に最も多く含まれる[[気体]]で、大気中の濃度は、地上でおよそ78%。

なお、[[2004年]]になって窒素を1700度、110万気圧で圧縮することにより、窒素原子が3本の腕で蜂の巣状のネットワーク｢ポリ窒素(Polynitrogen)｣を作ることが判明した[http://pubs.acs.org/cen/news/8231/8231notw6.html]。このポリ窒素は、核兵器を除いた最強の爆薬に比べても5倍以上のエネルギーを有すると考えられている([[窒素爆弾]]を参照)。

=== 用途 ===
*[[ハーバー・ボッシュ法]]によるアンモニア生産の原料
*冷却剤（'''[[液体窒素]]'''、Liquid nitrogen）- 液体窒素温度（-195.8 °C）まで冷却でき、安価で比較的安全なため、低温における化学および物理学の実験、[[CPU]]の冷却、工業用プラント、[[受精卵]]の凍結保存、[[爆発物処理]]などの冷却に用いられる。
*食品の酸化防止のための封入ガス
*[[テクニカルダイビング]]用呼吸ガス（ナイトロックスやトライミックスなど[[混合ガス]]）
*[[消火器]]の加圧粉末式・蓄圧粉末式の圧力源

窒素ガスの2004年度日本国内生産量は9,058,978km&sup3;、工業消費量は3,594,480km&sup3;、液化窒素の2004年度日本国内生産量は2,222,270km&sup3;、工業消費量は361,051km&sup3;である。

== 窒素化合物 ==
窒素化合物には、[[アンモニア]]や[[硝酸]]のような[[無機化合物]]から、各種[[ニトロ化合物]]や[[複素環式化合物]]などの[[有機化合物]]まで、非常に多くの種類がある。ここでは主に無機化合物について概説する。

=== 窒素酸化物 ===
窒素と酸素からできる化合物を[[窒素酸化物]]という。略称'''NOx'''(のっくす）。[[大気汚染]]の原因物質の1つとされるが、窒素と酸素を混合して高温に加熱すると自然と生成するため、排出の抑制は難しい。

*[[亜酸化窒素]]（笑気ガス）N<sub>2</sub>O
*[[一酸化窒素]]NO
*[[三酸化二窒素]]N<sub>2</sub>O<sub>3</sub>
*[[二酸化窒素]]NO<sub>2</sub>
*[[四酸化二窒素]]N<sub>2</sub>O<sub>4</sub>
*[[五酸化二窒素]]N<sub>2</sub>O<sub>5</sub>

=== 窒素のオキソ酸 ===
窒素のオキソ酸は慣用名をもつ。次にそれらを挙げる。
{| class="wikitable"
|-
!! style="white-space:nowrap" |オキソ酸の名称 !! style="white-space:nowrap" | 化学式<br />(酸化数) !! style="white-space:nowrap" | オキソ酸塩の名称 !! 備考
|-
|style="white-space:nowrap"| [[次亜硝酸]]<br />(hyponitrous acid) || '''H<sub>2</sub>N<sub>2</sub>O<sub>2</sub>'''<br />(+I) || 次亜硝酸塩<br />( -  hyponitrite) || 次亜硝酸は2価の酸で、無色結晶として単離される。 
|-
| [[亜硝酸]]<br />(nitrous acid) || '''HNO<sub>2</sub>'''<br />(+III) || 亜硝酸塩<br />( -  nitrite) || 亜硝酸は弱酸(pKa3.35)、不安定なため単離できず水溶液中でも徐々に分解する。亜硝酸塩は安定で種々の塩が知られている。
|-
| [[硝酸]]<br />(nitric acid) || '''HNO<sub>3</sub>'''<br />(+V) || 硝酸塩<br />( -  nitrate) || 硝酸およびその塩は[[硝酸]]の項に詳しい。
|}
''※オキソ酸塩名称の'-'にはカチオン種の名称が入る''
* [[亜硝酸エステル|亜硝酸アミル]]

=== 窒化物 ===
'''窒化物'''（ちっかぶつ、[[w:en:nitride|nitride]]）とは、窒素と窒素よりも陽性の（[[電気陰性度]]が小さい）[[元素]]から構成される[[化合物]]である。場合によっては[[アジ化物]]も含める場合もある。

*[[窒化ホウ素]](BN)
*[[窒化炭素]](C<sub>3</sub>N<sub>4</sub>)
*[[窒化ケイ素]](Si<sub>3</sub>N<sub>4</sub>)
*[[窒化ガリウム]](GaN)
*[[窒化インジウム]](InN)
*[[窒化アルミニウム]](AlN)
*[[アンモニア]](NH<SUB>3</SUB>)
*[[窒化ヨウ素]](I<SUB>3</SUB>N)

=== その他の窒素化合物 ===
* [[塩化窒素]] (NCl<SUB>3</SUB>)
* [[クロラミン]]
* [[ヒドロキシルアミン]]

== 外部リンク ==
* [http://www.meti.go.jp/statistics/data/h2d4k00j.html 日本国 経済産業省・化学工業統計月報]

{{元素周期表}}
{{DEFAULTSORT:ちつそ}}
[[Category:窒素の化合物|*]]
[[Category:元素]]
[[Category:窒素|*]]
[[Category:化学物質]]

[[en:Nitrogen]]