興南海運

興南海運（こうなんかいうん）は、日本占領下の西ボルネオで活動していた日本の海運会社。バンジャルマシンに南方総本部を置き、西ボルネオ・ポンチアナク市では近海貨物輸送に従事していた。1944年頃から会社所有船が空襲で沈められるようになり、乗組員も集まらなくなって業務に支障をきたした。戦争後期には自社で小型船を建造するなどした。

ポンチアナク支所

1943年1月5日にバンジャルマシンに「南方総本部」を設置、同年2月にポンチアナク市に「西ボルネオ・ポンチアナク支所」を開設した。

ポンチアナク支所の従業員は支店長以下職員5人、日本人の船員15人、現地人約15人。木造船5隻を保有して、近海航路の貨物輸送に従事した。

1944年頃から空襲によって会社の所有船が次々に沈められた。同年4月にコプラを満載した所有船3隻がサイゴンに向けて出航したところ、カプアス河の河口から200kmほどの所でアメリカの潜水艦の砲撃によって沈没する事件が起きた。

• 沈没の際に現地人の乗組員数人が死亡したが、日本人の船員は伝馬船に乗って無人島に漂着し、現地人の帆船に発見されてポンチアナクに帰還した。
• 事件後、同社は、乗組員の希望者が集まらず、人員の募集に苦慮した。

沈没事件の頃から船の数が極端に減って物資の輸送に大きな支障が出るようになったため、自社で社員と現地人の大工を使役して古いエンジンを取付けた小型船6隻を建造し、食糧の集荷や運搬を続けた。

戦後、小型船の建造に関連して社員が戦犯容疑で抑留された。

• 船を建造したときに現地人を騙し、代金を支払っていないとの訴えが出て、「そんな覚えはない、代金は全額支払ってある」と主張したがなかなか認めてもらえず、当時の会社の華人の事務員に証言してもらい、当時の書類も保管してあったため、容疑を晴らすことができた、という。

付録

参考文献

• 赤道会 (1975) ポンチアナク赤道会『赤道標』JPNO 73012073