自動ドア

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自動ドア(じどうドア、Automatic door)は、の開閉を人力でなく電気などの動力によって行う設備のこと。その中でもとくに、や物の接近を自動的に検出して扉を開き、通過を確認して扉を閉じる機構を持つ設備を指すこともある。また日本のタクシーのように動力が運転手による人力であってもドアに直接触れずに開閉操作できるものを自動ドアと称する場合もある。

歴史[編集]

古くはギリシャ時代ヘロン神殿蒸気の力で開閉させたという記録がある。

日本では、昭和初期に、航空母艦加賀赤城など)の一部の格納庫の防火防弾用として用いられた。また1926年山手線電車には、空圧式の自動ドアが使用されたとの記録がある。建物では、日劇前の東芝営業所玄関に、光線スイッチ起動による自動ドアが設置された。

国内の建物に対しては、1957年油圧式、空圧式の自動ドアが開発され、新築ビルの玄関などに使用されるようになった。

スライドする引戸形式のものが多いが、回転式、蝶番(ヒンジ)を用いた折戸や観音開きを含むスイング式、グライドスライドのものもある。

1960年代には、「マジックドア」という表現も見られた。

機構[編集]

自動ドアは、オペレータ部、センサー部、ドア・サッシ部の3つから構成される。

  • オペレータ部は、駆動装置と制御装置からなる開閉装置。
  • センサー部は、人や物の出入りを自動的に検出する検出装置。
  • ドア・サッシ部は、ドア、枠、ガイドレールなどの部位。

開閉方式としては、引き戸、開き戸、折り戸、回転ドアなどがある。

駆動方式としては、電気式、空圧式、負圧式、油圧式などがある。

検出方式としては、マットスイッチ、超音波スイッチ、赤外線スイッチなどがある。

エレベータのように挟み込み防止のための安全装置がついている場合もある。

半自動[編集]

現在の日本の鉄道バスタクシーなどの公共交通機関においては、安全上、原則として車掌運転士がドアの開閉を集中管理するため、乗客が自らドアを開閉することは無い。ただし、鉄道車両の中には、冷暖房効果保持の目的で、乗り降りの無い場合や長時間の停車時にドアの無駄な開閉や開放を減らすため、停車時にドアを開錠するのみとし、ドアの開閉操作自体は乗客自身が行うものがある。ただし、発車時は車掌の閉扉操作によりドアは自動で閉まるため、これを半自動ドアと呼ぶ。

経緯[編集]

日本の鉄道車両における半自動ドア導入の経緯を以下に記す。

手動式半自動[編集]

エンジンによる駆動式ドア(自動ドア)が導入される以前は、当然ながら鉄道車両のドアも手動であった。

その後、自動ドアが導入されると、駅到着・発車に際してのドア開閉はすべて車掌ないし運転士が集中して管理・操作することとなった。このような列車の場合、ドアはドアエンジンによって開状態ないし閉状態で固定されるため、ドアを手動で開閉することは出来ない。よって、自動ドア車のドアを手動で開閉出来るようにするためには、まず車掌が車掌スイッチを開操作し、各扉を開錠しなければならない。そうするとステップ灯(装備車のみ)と車側表示灯が点灯し、ドアエンジン(エアシリンダー)が開放となり、乗客が自由に開閉できるようになる。閉める場合は車掌スイッチの閉操作で一斉戸締め、鎖錠となる。扉には大きめの取手が備わり、「手で開けて下さい」などの表記もある。この方式は、国鉄の一般形、準急形、一部の急行形気動車や、寒地向けの近郊形電車に広く採用され、また、転属のため寒地向けに改造された旧型国電などでも一般的なものであったが、現在では107系115系117系等に残るのみとなっている。

車両側に特別な装備を必要としない、さらに簡便な方法としては、通常どおり全扉での客扱いを行った後、一旦全ての扉を閉め、乗務員が非常コックを扱い、乗務員室至近の扉を手動開閉する例もある。JRではホームライナーの乗車駅で乗車口を限定した場合に用いられるほか、特急白鳥・スーパー白鳥が竜飛海底駅に停車した際に見学客を乗降させる場合に用いられている。私鉄においては普通列車の待避時間が長い名古屋鉄道で冬季に行われている。またかつては箱根登山鉄道風祭駅で駅の有効長が約49m(1993年以前は約30m)のみであったため、小田急電鉄の車両は箱根湯本寄りの2両(小田急電鉄の車両は最低でも4両編成)で客扱いを行っていた際にこの方法を用いていた。この場合、他のドアも手で開けられる状態となっているため、乗務員は乗客の安全確保のため、客室側でドア開閉の介助や監視を行う。

ボタン式半自動[編集]

1972年から川越線八高線用の国鉄通勤形気動車に、その後相模線の同系車両にも、車両内外の扉脇に押しボタン式のスイッチを設置する改造が施され、車掌スイッチが半自動位置となると扉のスイッチ部分が点灯し、乗客がこの点灯中のスイッチを操作することで手軽に扉の開閉を行えるようになった。この装置は半自動スイッチと呼ばれることもあるが、実際には自動扉を個別に操作するものであり、ドアエンジンも開放されていないため、手動での開閉は考慮されていない。当初は線区の事情に合わせた改造であったが、民営化に向けた新造車両(211系電車など)から、寒地向け装備として正式に採用され、現在に至っている。

内外のスイッチ配置は、両開き扉では点対称(共に右側)に、片開き扉では線対称(共に戸当り側)となっており、室内側には開閉2つのスイッチが並んでいるが、外側を開のみとしたものが多い。これは、ドアが開いている時は車外から車内の閉ボタンを操作できるため、車外には閉ボタンを設置しない方がコストを減らせるためである。停車中の各扉の状態に関わらず、発車の際には全扉の施錠が必要となるが、一旦全てのドアを開ける場合と車掌スイッチの戸閉め操作のみで発車する場合がある。前者は、乗降客が比較的多い駅で採用されている。これは、半自動ドアに不慣れな乗客が開いているドアに集中し、発車が遅れることを防ぐためである。またボタンにより開扉した後、しばらく操作がなかった場合に自動的に閉扉する機能をもつものもある。

なお、最近では、主に暖地を走る車両(JR東海313系2500番台JR東日本E231系E233系や、JR西日本製造の近郊・通勤型など)でも、始発駅での出発待ちや優等列車等の待避・待ち合わせ時、さらに単線区間での列車交換待ちなどの際に車内温度維持による省エネ効果があるとされ、乗客等がドア脇で点灯中のボタンを操作することによって駆動式ドアを開閉させることが出来る装置を装備する例もある。

ドアエンジン[編集]

ドアエンジンは自動ドアの開閉動作に際して直接作動する動力装置。現在、建物等の自動ドアに広く使われているのは電気モーターを動力とする方式である。

鉄道車両用には導入当初は空気圧作動式が多く用いられてきたが、近年は電気スクリューやリニアモーターといった電動式も導入され始めており、空気配管の減少に伴うメンテナンスの簡素化に寄与している。

エアコンプレッサーを装備するバスでは空気圧作動式が用いられている。

例外的なものとして、日本のタクシーではてこリンケージを用いた人力によるものがある。運転席横のレバー操作により後部客席ドアを開閉する。一方ではインテークマニホールド負圧でドアを開閉するものも増えており、通常はステアリングコラムの右インパネ部にボタンが設置されている。

関連事項[編集]