日本の絵具

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日本の絵具(にほんのえのぐ)は、伝統的な日本画に使われる顔料をまとめた一覧。

日本画は、薄いや品質のいい和紙に描かれることがほとんどであるが、これらは発色のよさにかけては当時一流の画材であった。その特長を生かすため日本の絵の具にはさまざまな原料が使われている。

水彩絵具のような描き心地で、泥状の色素の塊を水で溶きながら不純物を取り除き乾燥させた「水干(すいひ)絵具」や、鉱物を磨り潰して粉末にした「岩絵具」(現在は顔料にガラス粉末を添加した製品が広く用いられている)などがあり、絵具の固着剤としてニカワを使う。

鉱物性の物[編集]

最も多いのが、天然の鉱物に由来する原料。非常に高価で、大口の注文でもなければ一流の絵師でも品質のよくないものを使っていた。

  • 群青:藍銅鉱を粉末にしたもので、紫がかった青色。粒子の粗い順に紺青群青白群と呼ぶ。
  • 辰砂とも、硫化水銀の粉末で、古代から魔よけに使われていた。黄色がかった赤色。
  • 緑青:酸化銅の粉末で、緑色。粒子のもっとも細かいものは白緑と言う。
  • 孔雀緑:孔雀石を粉末にしたもの。孔雀石は宝石として使われていたため非常に高価だった。
  • 黄土:中国黄土地帯の粒子の細かい土で、黄色がかった茶色。
  • 岩黄:雄黄とも言う。明るい黄色。赤みがかった部分は雌黄ともいい、藤黄と混同されるが岩黄は有毒。

植物性の物[編集]

鉱物性の絵の具に比べて人体への害は少なく、青黛や艶紅など、化粧品として使われたものも多い。

  • 艶紅紅花の色素を沈殿させたもの。紫系の赤。陶器に塗りつけておいて保存した。古くは口紅としても使われていた。
  • 青黛:の色素を沈殿させたもの。濃い青色。
  • 蘇芳花:蘇芳の色素を沈殿させたもので、赤紫。艶紅と色や使い方が似ているため混同されることもある。
  • 藤黄:オトギリソウ科植物の樹脂からとったもので、赤みを帯びた黄色。山吹色に近い。
  • 墨:植物油の煤にゼラチンを添加したもので、黒。国産のものを赤墨、中国産のものを青墨と呼んで微妙な色の違いを使い分けた。

動物性の物[編集]

  • 珊瑚:アカサンゴの粉末で、薄い桃色。サンゴは宝石扱いで非常に高価。
  • 胡粉:もとはの化合物を使ったが、現在はハマグリの貝殻を削ったもので、白色。
  • 生臙脂:臙脂虫と言われる昆虫の分泌物で、濃い赤。同じ動物性の繊維である絹との相性は抜群に良い。

関連項目[編集]