強姦

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強姦(ごうかん、レイプ)とは、相手の意志に逆らい、強要するかたちで性行為を行うこと。「強かん」「性的暴行」とも。

概説[編集]

強姦とは、相手の意志に逆らい強要して性行為を行うことである。相手が性行為をすることを嫌がっている状態なのに、相手の意志を汲まず強引に性行為を行うことである。

強姦された場合の対処

強姦の被害者は医療機関ですみやかに受診し、外傷や性感染症およびその他の感染症のチェックを受ける必要がある。告訴するなら医師の証言は重要となる。妊娠の心配がある場合はモーニングアフターピルの服用についても相談する。|date=2015-1}}不幸にも妊娠してしまった場合には母体保護法14条1項第2号により妊娠中絶が認められている。{{要出典範囲|被害者が心的外傷後ストレス障害(PTSD)を経験する場合も多く、産婦人科での内診も被害に遭ったことが原因でフラッシュバックを起こして、内診が出来ない人もいる。

被害者が女性の場合、警察の性犯罪相談窓口や救援団体などに相談すれば、女性の職員による具体的なアドバイスを得ることができる(#外部リンク参照)。だが、被害者が男性の場合、警察職員は(男性警察官であれ女性警察官であれ)、非常に横柄な態度をとったり、偏見でしかものごとを見ず、被害者の立場を全然理解しないことのほうが多く、被害者は より苦境に立たされてしまう場合も多い。

統計[編集]

基本的には、女性が被害者である割合が多い。ただし、男性が被害者になった場合、男性被害者は(非常にマイノリティ的な状態になってしまうので)躊躇して(警察などの)公的機関に届け出を行わない場合がほとんどで、うまく統計的に把握できていないことには注意する必要がある。

たとえば、学校など(中学校、高校など)では、女性教師が その立場を利用(悪用)して、男子生徒を誘い出し、生徒が嫌がっているにもかかわらず、服を脱がしたり性行為を行うような事件は、実は、ある程度の頻度で起きている。

韓国

2007年の調査では未成年者による強姦事件は、韓国での人口10万人あたりの10代の強姦犯は米国の2倍・日本の10倍となっており、50.7%が輪姦事件となっている。また、3人に1人が再犯を犯している。平和な社会でも起訴率が27.3%と低いことが事件を引き起こすと指摘されている。

日本

日本における平成21年(2009年)の強姦事件の認知件数は1,402件である。この認知件数は、昭和39年(1964年)に6,857件と戦後最多を記録した後、長期減少傾向を経て横ばい傾向にあった。近年では、平成9年(1997年)から15年(2003年)にかけて増加傾向にあったが、16年(2004年)から再び減少傾向に転じている。日本の人口10万人あたりの強姦の発生件数は1.2で、アメリカ合衆国37.0で日本の30倍である。ただし強姦罪の定義は国によって大きく異なる点もあるため、一概に件数を比較できるわけでは無い。

表記[編集]

「いたずら」された福田真梨子さん
「乱暴」された岡部三千代さん

メディアでは婉曲のため、「乱暴」などとぼかした言い方がよくなされ、被害者が児童・小児の場合は「いたずら」とも言われる。「暴行」の語も使用されるが、この語は性的側面を伴わない暴力行為に使われることも多いので注意を要する。

また週刊誌小説などでは凌辱陵辱)や英語のレイプrape)という表現が用いられることもある。

「強姦」という語が本来もつ意味は「双方の合意なしに行われる姦通」であるが、現在は広く相手の合意なしに行われる性行為一般を指す場合がほとんどである(夫婦間であっても強姦罪は成立する)。

人類の歴史における強姦[編集]

性的暴力は、少数民族奴隷先住民難民貧困層また大規模災害などによって生まれた社会的弱者に対して行われたり、刑務所収容所内、そして戦時下においてしばしば行われてきた。内乱や戦時下では大規模な集団レイプもしばしば発生する(戦時性暴力)。現在では戦時性性暴力といわれる事例は減ったが、第二次世界大戦後も韓国軍がベトナム戦争中に行った大規模な集団強姦事件(ライダイハン問題)や旧ユーゴスラビアにおける事例が存在する。また、非戦時下においても、権力者による性の専横、例として西欧領主初夜権などがある。

古来、征服された民族の女性の運命は過酷であった。最も有名なのはモンゴル帝国の創始者チンギス・ハーンとその係累・後裔であろう。モンゴル帝国による降伏勧告を受け入れず抵抗の後征服された都市はことごとく破壊・略奪・殺戮され、女性も戦利品として王侯・軍隊などの権力者以下にあてがわれた。また、これに先立つ遊牧騎馬民族王朝のは、北宋を滅ぼした際(靖康の変)、北宋の皇族女性全てと、多くの貴族女性を捕え、これを金皇族・貴族のまたは彼らを客とする官設妓楼(洗衣院)の娼婦にした。世界各地の男性のY染色体を調べた結果、かつてのモンゴル帝国の版図に高率で共通の染色体が検出されたという話さえある(ブライアン・サイクス著『アダムの呪い』参照)

近代現代も、戦時下において各国軍隊による敵国女性へのレイプが少なからず発生した。第一次世界大戦以降ではアメリカ、ソ連、ドイツ、中国による大規模な強姦があったとされる。終戦直後は、被占領地域において、戦勝国、特にソ連軍や朝鮮人による日本人女性やドイツ人女性へのレイプが多発したという。ドイツにおいては、国土にソ連軍が侵入し、都市においては4分の1の女性がこの被害に遭ったとされる。

朝鮮半島においては、朝鮮人ソ連中国人による日本人女性引揚者)へのレイプ被害が多発した。このような引揚者への堕胎手術性病の治療を行った二日市保養所が有名である、第二次世界大戦後の事例では、ベトナム戦争中に韓国軍によって行われた南ベトナム各地での虐殺を伴う組織的強姦事件が挙げられ、現在でもベトナム国内においてライダイハン問題として知られており、韓国政府との外交交渉でベトナム政府側が言及する事もあるが、加害者側である韓国政府は一切の賠償を拒否している。

また日本においては、戦後一貫して在日米軍に所属する将兵による強姦事件が問題となり続けている。沖縄県では1972年本土復帰以降、明るみに出ているだけで120件以上の強姦事件が発生し、特に1995年沖縄米兵少女暴行事件は大きく取り上げられた。ベトナム戦争中、韓国軍兵士によるベトナム人女性の強姦が多発し、混血児も多数存在している→ライ大韓

1990年イラク軍によるクウェート侵攻後にクウェート国際空港に到着した航空機の乗員に対して強姦が行われたことや(ブリティッシュエアウェイズ149便乗員拉致事件)、1991年から2001年まで及んだ一連のユーゴスラビア紛争では、異民族や、同じ民族でも政治的に敵対する立場にあった女性への強姦が横行したこと、1994年ルワンダではフツ族の武装勢力によるツチ族女性や虐殺への加担を拒んだ女性への強姦など、戦時下レイプの例は歴史上現在に至るまで枚挙に暇がない。

米国はアブグレイブ刑務所に多数のアラブ人を強制的に収容し暴行を重ねていることが明らかになっているが、そこで米国の女性兵士がアラブ男性をレイプする事件、さまざまな侮辱を加えたうえで 裸にし 性交を強要するという事件も2003年に起こしていたことが、『タイム』誌の報道などで明らかになった。また、同刑務所では、この事件だけでなく、男性兵士・女性兵士などが、アラブ人男性を裸にし、性器にいたずらをするような行為が、かなり頻繁に行われていたことが明らかになっている。(アブグレイブ刑務所における捕虜虐待

2009年現在の南アフリカ共和国では男性の27.6%が女性をレイプした経験があるとする調査結果を南アフリカ共和国の医学研究評議会(MRC)によって明らかにされている。調査は全国9州のうちクワズールー・ナタール、東ケープの2州で行われたものである。

社会学的見方と生物学的見方[編集]

社会学的見方[編集]

アメリカでは強姦する側の半数以上が若い年齢層であるという統計もあるし、強姦する側が貧民層であるというのは、ある種の差別的な幻想である。社会的地位の低さによって満足な性生活が送れない、あるいは失う物が少ないなどの理由で犯行に及ぶ場合もないわけではない。これは性犯罪に限らず多くの逸脱行為に共通する統計的な傾向であり、特に貧困と強姦を結びつける根拠としては説得力に欠ける。しかし、富裕層の強姦事件も決して少なくなく、社会的地位と強姦についての因果関係に結論は出ていない。

強姦は一般に見知らぬ他人が加害者であるイメージがあるが、犯罪白書によれば70%が見知らぬ人による犯罪で、知人による犯行は20%程度である。これをもとに判断すれば他人が加害者であるというイメージは、ある程度の妥当性を持っていることとなる。一方、香港における女性への性的暴行においては約8割のケースで親族や知り合いが加害者になっているとの報告もある。相手が旧知の間柄である場合、「強姦」として報告されない事例があるためにこのような差が生まれるとも考えられる。

ラディカル・フェミニズムでは、男性による女性に対する性的な支配が、男性社会を維持する仕組みとして使われてきた側面があるとする社会学的見方が主張されている。

  • スーザン・ブラウンミラーは、強姦は、社会的に抑圧された男性が、その弱さを糊塗するため、女性を支配することによって力を誇示して満足感を得ようとする「権力作用」であり、男女間の力関係を支配・征服により確認する行為であるとしている。

レイプが男性の性欲に強く依存することに基づいて、抗アンドロゲン剤を投薬、あるいは注射により、性犯罪者の更生を図る試みも、アメリカなど一部の国で行われている。しかし、これはまた別の人権論争を巻き起こしている。

一般には「強姦を行う者は単に性的欲求が強すぎる人間である」とする解釈が行われるが、心理学的には実際に強姦を行う者の目的は性的欲求の解放ではなく、強姦時に相手の女性を支配する満足感を得ることにあるとされている。

強姦を犯す人は、強姦を繰り返したり刑務所で服役後も再度同じ罪を犯す者が多い。このことから、強姦での服役者については、刑期終了後もなんらかの監視を続けるべきとの議論が起こる場合がある。ただし、再犯者が多いこと自体は他の犯罪についても言えることである。強姦が他種の犯罪に比べ有意に再犯比率が高いのかどうか、あるいは、差異がみられるととしてもそのような特例的措置をとることを正当化できるほどの違いなのかどうか、については議論がある。

20世紀以降、北欧などの民主主義的国々において性犯罪者に対し、強制断種が合法的に実施された。1907年から1963年の間に米国において優生学を根拠とする優生法のもと6万4千人が強制的に断種手術を受けさせられた(特に、1920年代から40年代にかけて大いに優生学が喧伝された)。1933年、ドイツにおいて、遺伝的かつ矯正不能のアルコール依存症患者、性犯罪者、精神障害者、そして子孫に遺伝する治療不能の疾病に苦しむ患者に対する強制断種を可能とする法律が立法化され、ナチスドイツは、精神的または肉体的に「不適格」と判断された数十万の人々に対して強制断種を行い、また、強制的安楽死計画によって施設に収容されていた数万の人々を殺害した(T4作戦)。同様に、優生学にもとづき、カナダ・オーストラリア・ノルウェー・フィンランド・デンマーク・エストニア・スイス・アイスランドで政府が知的障害者であると認定した人々に対して強制断種が行われ、スウェーデン政府は40年の間に優生計画の一環として6万2千人の「不適格者」に対する強制断種を実行している。デンマークの「全国女性会議」は1920年代に男性の性犯罪者から女性を守るために性犯罪者に対する去勢手術を合法化する必要があると運動を展開し、フェミニスト達の解釈による政治的運動が法的に反映された。

各国の現状[編集]

順位 国名 人口10万人あたりの強姦発生件数
1 南アフリカ 132.4件数
2 ボツワナ 92.9件数
3 レソト 82.7件数
4 スワジランド 77.5件数
5 バミューダ 67.3件数
6 スウェーデン 63.5件数
7 スリナム 45.2件数
8 コスタリカの旗 コスタリカ 36.7件数
9 ニカラグア 31.6件数
10 グレナダ 30.6件数
11 オーストラリアの旗 オーストラリア 28.6件数
11 セントクリストファー・ネイビス 28.6件数
13 ベルギー 27.9件数
14 アメリカ合衆国の旗 アメリカ 27.3件数
15 ボリビア 26.1件数
16 ニュージーランドの旗 ニュージーランド 25.8件数
17 ジンバブエ 25.6件数
17 セントビンセント・グレナディーン 25.6件数
19 バルバドス 24.9件数
20 アイスランド 24.7件数

日本[編集]

法律[編集]

法律上の扱いの詳細は 強姦罪 を参照のこと。

現在の日本の国内法においては、暴行または脅迫を用いて行われる、直接的な性交(陰茎の膣挿入)を伴う性的暴力に限られる(射精の有無は不問)。被害者が女性の場合にのみ成立し、被害者が男性の場合は強制わいせつ罪などが適用される。

性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律により戸籍上の性別を変更をした者においては、民法その他の法令の適用について、他の性別に変わったものとみなされる。強姦罪の適用については、性別の取扱いの変更をし、女子と見なされた者は、強姦罪の客体たり得る。また、男子と見なされた者は強姦罪の主体たり得る。

強姦罪で服役の男性釈放。被害は虚偽、「無罪の可能性」―再審請求受け・大阪地検[編集]

大阪地検2014年11月18日、強姦罪と強制わいせつ罪で懲役12年が確定し、服役していた男性について、無罪の可能性が高いとして釈放したと発表した。

男性からの再審請求を受けて再捜査したところ、被害者らの証言が虚偽だったと判明した。受刑者が再審開始決定前に釈放されるのは極めて異例で、「足利事件」の2009年6月以来とみられる。

同地検によると、男性は04年11月から08年7月にかけ、同じ女性に対して乱暴したとする3件の強姦、強制わいせつ事件で逮捕された。捜査段階から一貫して無罪を主張したが、11年に懲役12年が確定した。

男性は2014年9月に再審請求し大阪地検が改めて捜査した結果、被害女性と目撃者が虚偽の証言をしていたことを認めた。新たな証言を裏付ける客観証拠も判明、地検は被害自体がなかったと判断した。

韓国[編集]

韓国では未成年者の起訴率が27%と低い。密陽女子中学生集団性暴行事件のような集団輪姦強盗事件でさえ、起訴にいたっても加害者が未成年という理由で有罪とならず、または微罪ですまされることが多く、さらに加害者および家族による逆恨みで被害者の個人情報をバラ撒き、転居先にまでつきまとう事件まで起きている。このことから、韓国では強姦が深刻な社会問題となっている。

アメリカ合衆国[編集]

強姦の定義は国などによって異なる。アメリカでは、互いの合意のない性行為の強要は恋人間(デートレイプ)や夫婦間(マリタル・レイプ)でも強姦と見なされ、刑事罰の対象となるという判例が定着している。さらに米法務省は2012年1月7日にFBIの「強姦」の定義を拡大することを明らかにした。

アメリカの司法省によれば、2010年に発生した強姦件数は18万8380人となっているが、これは氷山の一角との指摘もある。疾病予防管理センターによれば、全米で無作為抽出した約1万人の女性に電話アンケートを行ったところ、18.3%が「強姦されたことがある」または「強姦されそうになったことがある」と回答し、また加害者との間柄については、被害を受けたと回答した女性の過半数を占める51.1%が、「親密なパートナー(現在・過去の恋人や配偶者)」と回答した。次いで多かったのが「知人」(40.8%)だった。

2014年、アメリカ保健福祉省に属する疾病管理予防センターによれば、アメリカに住む女性のほぼ5人に1人がレイプ被害者であり、その数は2300万人超だという。。

米産婦人科学会誌の1996年の研究によれば、こうしてレイプされた女性が妊娠してしまう確率は5%に上り、毎年、推定3万2101件のレイプによる妊娠があるという。また、キリスト教の影響が強いアメリカでは、人工妊娠中絶が選挙の争点の一つになるなど、多大な関心がある。レイプ被害者の人工妊娠中絶も絶対禁止とする中絶反対派がアメリカには数多く、問題が複雑化している。

関連項目[編集]