幻想ポロネーズ
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幻想ポロネーズ(読み:げんそうぽろねーず)はショパンの生前に出版された最後のポロネーズ作品。変イ長調。英雄ポロネーズと同じく、作曲者の得意とした調性と形式にはまらない自由さとが調和した傑作。
作品[編集]
「この痛ましい幻影は芸術の域を超えている」というフランツ・リストの感傷的な評を始めとして、長らく正当な評価を受けなかったが、アルトゥール・ルービンシュタインやヴラジーミル・ホロヴィッツの演奏もあり20世紀半ばになって人気が出た。現在は同時期に書かれた舟歌(作品60)、チェロソナタ(作品65)とともに最晩年の傑作とされる。
印象[編集]
この曲は実に苦痛の中で作曲され、ジョルジュ・サンドとの決裂と肺病の悪化がこの曲の背景と言われている。確かにこの曲想は彼独特の美しさが飛び交うのだが、その先は非常に自虐的で襲い掛かる苦痛の中から無気力的に避けようとする動機が所々現れる為、実に悲しく聞こえる。
作曲者が自らの生涯を回顧した際に抱いたであろう様々な情痕を曲に顕わしたようでもあり、幻想的に何か燃え尽きる魂が倒れる寸前の最後の光と言える凄まじい己の戦いの様なものがある。しかしそれが他の作曲者と違い、後半の戻ってくる全奏での主題のメロディーは、どこか転げまわる様な狂気と耐えられない現実に幻の中で狂喜しているかのようにも聞こえ、調性は未だに研究家たちの課題と言われるほど芸術的である。
最後の最後で打ち切られるかのように音程は下降し、まさに今そこで力尽き、全てを紛失してしまうかのような情景をこれでもかと譜面上に表しているかのようでもある。作曲者の辞世の句ならぬ「辞世の詩」のようですらある。(松尾芭蕉の云処辞世の句も参照)
高名な演奏[編集]
- マウリツィオ・ポリーニによる。(1975年、ウィーン)