佐賀県鳥栖西いじめ事件

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佐賀県鳥栖西いじめ事件とは、2012年佐賀県鳥栖西中学校で発生した、集団暴行・恐喝事件である。

暴行、恐喝の内容[編集]

いじめが始まったのは2012年4月。エアガンで女子生徒を撃っていた男子生徒を、被害生徒が注意したことが切っ掛け。同年10月23日、同級生の1人が担任教師に報告したことで学校側が知ることとなった。

被害生徒はいじめが発覚したこの日も「親に連絡しないように先生に頼め、後でどうなるか分からんぞ」と脅され、暴行を受けている。

  • 校内や通学途中で、日常的に殴る蹴るの暴行
  • 夜遅くまで連れ回される
  • プロレス技をかけられる
  • 殺虫剤を顔に吹きかける
  • 包丁を投げつける
  • 「ウサギ狩り」と称して、逃げる被害生徒を自転車で追い回しエアガンで撃つ
  • カッターナイフを手首に突きつけ「逃げられると思うなよ」と脅す。
  • 家族への危害をほのめかし脅す
  • 「ほかの生徒からお前を守ってやる代わりにお金をよこせ」という“平和条約”と呼ばれる取り決めを強引に結び金銭を要求
  • 加害生徒は入れ代わり立ち代わり被害生徒の家を訪れて、「例のブツは」と言って現金を脅し取った
  • 現金の要求は授業中にも及んだ。脅し取った金の総額は100万円
  • 1回につき2000円~7万円を受け取り、加害者生徒間で分配
  • 最も多い生徒の総額は約20万円
  • 奪われたお金について、被害生徒はこう語った。「死のうと思った。死んだ金(保険金)で、お母さんや妹からとった金を返そうと思った」

学校の対応[編集]

加害生徒を被害生徒宅に連れて行き謝罪させる。与えた罰は、反省文、2週間の部活動停止、約2カ月間の清掃活動。校長は「教育の中で指導すべき」として、今後も出席停止にはしない考えを示している。

その後の動き[編集]

  • 4月3日 - 鳥栖市教育委員会が臨時校長会を招集。市立の4中学校と8小学校の校長が出席し、問題の再確認と今後のいじめ対策の進め方が協議された。
  • 4月5日 - 鳥栖市教育委員会は、悪質ないじめをしたにも関わらず反省の意識が乏しい生徒数人を3日間の別室登校、関与した全員に一学期の間、個別の更生プログラムを実施することを決定。校長、学年主任、担任を3日付で厳重注意とした。

『週刊女性』が事件を取り上げる[編集]

4月9日発売の週刊女性4月23日号が、3ページに渡って本事件を取り上げた。記事の内容は母親の証言をメインにし、事件の概要をまとめたもの。以下は週刊女性の記事要約。

  • 金をせびりに来る加害生徒の様子
加害生徒達は、入れ替わり立ち代り被害生徒(以下A君)の自宅に行き、「A君はどこに行ったんですか?いつ戻ってきますか?」としつこく聞いた。
一日に50回以上チャイムを鳴らされ、インターホンが壊れた。
「押し売り」の様に玄関のドアに足をはさみ入れてくる子、夏場の炎天下にも関わらず3時間以上、家の前で待ち伏せをする子がいた。
  • ショッピングセンターで遊ぶための『お財布係』
休みになると、朝早くから加害生徒達に連れ出された。帰宅はいつも遅い。行き先は近所の大型ショッピングセンター。ゲームセンター、ファストフード店での支払いは全てA君。
加害生徒が食事をしている間、A君はテーブルの横に立たされて食べることを許されなかった。
食事のこと心配した母親が気にかけると、A君は「大丈夫、どうせ食べられないから」と答えた。
  • 殺虫剤
A君に殺虫剤とヘアスプレーを見せ、二者択一を迫る。ヘアスプレーを選んでも、「残念でした~」と言いながら至近距離から顔面に向かって殺虫剤を噴射。
  • 夏でも長袖
体についた青や黒の小さな斑点やミミズ腫れを隠すために、夏でも長袖を着るようになった。生ゴミのような臭いがするのに、風呂に入るのを頑なに拒んだことがあった。
  • A君への脅しの言葉
A君を家に連れ込んで文化包丁を首に当て『お前の命は俺が握っているんだからな』
A君がいじめを告発しないように『お前の家族がどうなってもいいのか』
いじめが発覚した時は、『病気がちのお母さんに心配かけたくないから、親には言わないでって先生に言え!そしたら俺らの親にもバレない』

事件発覚後の加害生徒とその親の態度[編集]

主犯格の一人であり、15万円も恐喝したBの親。

『A君が息子にお金をもらってくれ、もらってくれと頼んだんです!もらってくれないと絶交すると言われたみたいですよ。』『うちの子は嘘をつきません!』

毎週A君の家に行き、謝罪を続けている親。

『まじめに考えていますよ。私だってどうしていいのか分からなくて夜も眠れないんです。』

加害生徒の態度[編集]

謝罪の為にA君の家を訪れて話した内容は、A君の証言と食い違ったものだった。そして、自分の行為は言わず、他の生徒の行為ばかりを言った。『俺達は13歳だから、あと4ヶ月は何しても許される』と話していた。(在校生の証言)

いじめ発見遅れを市教委が陳謝(2013年3月)[編集]

佐賀県鳥栖西中学校で、1年生の男子生徒が半年間にわたり刃物を突きつけられるなどのいじめを受けていた問題で、21日夜、市の教育委員会が記者会見を開き、「いじめを通り越して犯罪に等しいと思っている。早期に発見できず申し訳ない」と陳謝した。

この問題は、佐賀県鳥栖市の中学校に通う1年生の男子生徒が、去年4月から半年間にわたり10人以上の生徒から深刻ないじめを受けていたもので、男子生徒は刃物を突きつけられたり、殺虫剤を顔にかけられるなどしたほか、現金およそ70万円を脅し取られた。

中1いじめ70万円恐喝、市教委が保護者会で説明(2013年3月)[編集]

佐賀県鳥栖市教委などは21日、記者会見を開き、同市立中学校の1年の男子生徒(13)が2012年4~10月の約半年間にわたって、同学年の男子生徒少なくとも13人から暴行されたり、総額約70万円を脅し取られたりするいじめを受けていたことを認めた。

この問題では、被害を受けた生徒の両親も同日、記者会見を開き、いじめがあったことを明らかにしている。市教委と学校は同日、保護者会も開き、調査結果を説明した。市教委によると、約130人の保護者が出席。

「いじめた生徒が普通の学校生活を送るのはおかしい」「いじめた生徒への指導はどうしているのか」「なぜもっと早く把握できなかったのか」といった意見や質問が出た。

佐賀の中学生PTSDに。鳥栖市などを19日提訴(2015年2月)[編集]

佐賀県鳥栖市の市立中学で同級生から暴行を受けたり、現金を脅し取られたりするいじめを受けて心的外傷後ストレス障害(PTSD)になったとして、男子生徒(15)と家族が19日、加害生徒8人と保護者、市を相手に慰謝料など計約1億2700万円の損害賠償を求める訴訟を佐賀地裁に起こす。

訴状などによると、生徒は入学直後の2012年4月から約7カ月の間に、同級生の男子8人からエアガンで撃たれたり、校内外で窒息寸前まで首を絞められるなど暴行を受けたりしたほか現金計約100万円を脅し取られたとしている。

原告側は、2012年10月に加害生徒の1人が学校にいじめを通報するまで、担任教諭らが暴行を目撃しながらいじめと判断せず放置し、男子生徒の自宅に同級生が押しかけて何度も呼び鈴を押したりしたことを母親が学校に相談したのに、学校は適切に対処しなかったと主張。その後の市教委の検証や両親への事実報告も不十分だったとしている。男子生徒は2012年10月以降、不登校になった。

市教委によると、学校は2013年4月、加害生徒にトイレ掃除など個別の更生プログラムを課した。男子生徒には教諭が自宅を訪ねて学習指導した。

天野昌明教育長は「これまでできることを精いっぱいしたが、私たちの思いが被害に遭われた本人と保護者に届かなかったことはとても残念」とのコメントを出した。

関連項目[編集]