ファッションビル
ファッションビル(Fashion Building: 和製英語)とは、衣類や雑貨などファッション関連を取り扱う専門店(ブティックやセレクトショップなど)を主なテナントとする[1]ショッピングセンターの一種[2]である。
概要[編集]
百貨店やスーパーマーケットの様に業界団体もなく、百貨店などの様に業態自体が学術研究の対象となることもほとんどなく、大辞泉が掲載している[3]ものの他の辞書・辞典では記載自体されないことが多く、学術的に見れば定義されていないのが現状である。
しかし、日本経済新聞[4]、朝日新聞[5]、読売新聞[6]、毎日新聞[7]、産経新聞[8]などの主要なマスコミはこうした店舗を「ファッションビル」として報道するのが一般的であり、主たる顧客である若い女性の間[9]や百貨店[10]・アパレル業界[11]、ショッピングセンター業界関係者[12]の間でも定着し、中小企業庁も代表的な大型店の一つとしてファッションビルを取り上げており[13]、一般的な用語となりつつある。
大都市などでは若手デザイナーの店舗を入れて育成する場合もあり、新たな流行の発信地としての機能を果たしているケースもある[14]ほか、流行や話題性を重視している[15]為、ファッション感度の高い[16]とされる若い顧客を中心ターゲット[17][18]とする場合が多く、実際若者に支持されることも多い[19]。
商品価格が1万円を切るテナントが多いルミネ[20]に代表されるように百貨店に比べて低価格である[21]ことを武器に成長し、近年はかつての百貨店系卸売業者も「ファッションビル」用のブランドを立ち上げて出店する[22][23]ほどになっている。
立地は基本的に中心市街地であり[24]、近年はJR各社が駅ビルを「ファッションビル」化するケースも多い[25]他、テナント構成やターゲット顧客を大都市の都心部とは変えながら郊外や地方都市にも展開している[26][27]。
主なファッションビル[編集]
- パルコ
- マルイ[28]
- ラフォーレ原宿
- メルサ
- ルミネ
- OPA
- ビブレ
- フォーラス
- ベルビー赤坂
- アルタ
- ミロード
- コレド日本橋
- 丸ビル、新丸ビル
- 六本木ヒルズ、表参道ヒルズ
- 東急プラザ
- 109
- サンモール(広島)
- ウィズワンダーランド(広島・かつて存在した。)
- 相鉄ジョイナス(横浜)
- ランドマークプラザ(横浜)
- クイーンズスクエア横浜(横浜)
- 岡田屋モアーズ
- 四丁目プラザ(札幌)
- 札幌ステラプレイス
- ピヴォ(札幌)
- 丸ヨ池内(札幌)
- again (アゲイン) (長野)
- 万代ビルボードプレイス
- セントラルパークアネックス
- T-FACE
- ラシック
- ミッドランドスクエア
- HEP FIVE
- ハービスOSAKA
- ハービスENT
- ルクア
- E-MA
- ビッグステップ
- あべのand
- あべのHoop
- NU茶屋町
- NU茶屋町プラス
- 天神コア
- イムズ
- ソラリアプラザ
- ソラリアステージ
- アミュプラザ
- 四日市スターアイランド[29]
- チーノはちのへ
- ヴィアノヴァ
脚注[編集]
- ↑ 「人気ブランドのブティックやセレクトショップなど衣料・雑貨関係のテナントが集まった商業施設。…」と定義している「ファッションビルとは」 読売新聞2009年5月28日大阪夕刊
- ↑ 「主な形態としては…ファッションビルや駅ビル、地下街、アウトレットモール、パワーセンターなど…」として「ショッピングセンター」の一つとしている。「ショッピングセンターとは?」 社団法人日本ショッピングセンター協会
- ↑ 大辞泉では「《(和)fashion+buildingから》流行に 合ったブティック、レストランなど…」との記述で掲載している
- ↑ 「百貨店との取引を主とするアパレル各社が新たに、ファッションビルの販路を強化する。」「アパレル大手、百貨店以外も開拓 価格抑え新ブランド」 日本経済新聞2012年2月3日
- ↑ 「ファッションビル大手パルコ…」「パルコ渋谷店「イメージ変えたい」 新ビル対抗、建て替えも」 朝日新聞2011年6月21日
- ↑ 「ファッションビルとは」 読売新聞2009年5月28日大阪夕刊
- ↑ 「…有楽町マリオンにファッションビル「ルミネ有楽町店」が完成…」「<ルミネ有楽町店>5000人が列 銀座の玄関口にオープン」 毎日新聞2011年10月28日
- ↑ 「…百貨店圧倒のファッションビル…」「【変わる大阪駅】(4)脱・駅ビル」 産経新聞2010年11月16日
- ↑ 「「ラフォーレが存続しない場合、跡地に新しいファッションビルを希望するか」 との設問には、「強く希望する」「希望する」が、男子高生が48%だったのに対し女子高生が79%と、 特に女性でファッションビルを求める傾向が強かったという。 」「ラフォーレ 「存続を」女子高生86% 東雲短大生調査」 読売新聞2008年3月7日愛媛県版
- ↑ 「この地区は百貨店やファッションビル、地下街などさまざまな商業施設が集積し…」「三越伊勢丹グループ採用情報」 三越伊勢丹ホールディングス
- ↑ 「婦人のヤング向け新ブランド「スマッキーグラム」新販路となるファッションビルに来春デビュー」 株式会社三陽商会Press Release2004年11月4日
- ↑ 「主な形態としては…ファッションビルや駅ビル、地下街、アウトレットモール、パワーセンターなど…」として「ショッピングセンター」の一つとしている。「ショッピングセンターとは?」 社団法人日本ショッピングセンター協会
- ↑ 「代表的な大型店 百貨店/ファッションビル/駅ビル GMS(総合量販店)スーパーマーケット」「平成15年度 実践行動マニュアル -なぜ人が街から消えていくのか-消費者にとって魅力あるまちづくり」 中小企業庁
- ↑ 「ラフォーレ原宿30周年 若手育て独自文化を発信」 朝日新聞2008年9月2日
- ↑ 「日本初、エリア初、新業態など、常に話題の中心になります」とルミネの出店要請に記述されている。「ニュースの理由」 日本経済新聞2010年11月11日夕刊
- ↑ 「ファッションビルは集客力が高く、一般に都市部にあり、ファッション感度が高い。」「対日投資のための業種別産業調査(小売流通)調査報告書」 日本貿易振興機構(ジェトロ)対日投資部2005年3月
- ↑ 「…顧客層が百貨店より若い」「アパレル大手、百貨店以外も開拓 価格抑え新ブランド」 日本経済新聞2012年2月3日
- ↑ 花崎淑夫ルミネ会長がインタビューで「20代女性が等身大の自分を楽しめる場所にしたい」と語っている 日経流通新聞MJ2010年11月1日
- ↑ 「ラフォーレの存続について…存続を希望した人は女子大生で76%、女子高生で86%」「ラフォーレ 「存続を」女子高生86% 東雲短大生調査」 読売新聞2008年3月7日愛媛県版
- ↑ 「…多くのテナントの商品が1万円を切る」 「ニュースの理由」 日本経済新聞2010年11月11日
- ↑ 「百貨店に比べると手頃な価格の商品が充実」 「ファッションビルとは」 読売新聞2009年5月28日大阪夕刊
- ↑ 「ファッションビルの販路を強化する。…顧客層が百貨店より若いことから、…価格を抑えた新ブランドを投入」「アパレル大手、百貨店以外も開拓 価格抑え新ブランド」 日本経済新聞2012年2月3日
- ↑ 百貨店系アパレル卸売業者大手の三陽商会が「婦人のヤング向け新ブランド「スマッキーグラム」新販路となるファッションビルに来春デビュー」 株式会社三陽商会Press Release2004年11月4日
- ↑ 「…中心部への立地が多い」「ファッションビルとは」 読売新聞2009年5月28日大阪夕刊
- ↑ 「駅ビルは商業施設としての館の統一感が取れておらず「ダサイ場所」に近かった…」が「…商品が1万円を切る品揃えの中で顧客吸引力と販売力を蓄積…」してファッションビル化した。「ニュースの理由」 日本経済新聞2010年11月11日夕刊
- ↑ 「都心型と郊外型に分け、郊外型では得意の高感度ファッションに頼らない売り方にカジを切る。・・・浦和店(さいたま市)に・・・家電量販店のノジマ・・・アウトドア用品「好日山荘」や手芸用品「ユザワヤ」を導入・・・パルコの中心顧客層ではない40代以上が増えた」「仙台店(仙台市)は高感度ファッションをそろえすぎ・・・苦戦が続いた・・・生活雑貨系のテナントを入れて雰囲気を変えたところ、今年7月は売り上げが前年同月の1.2倍に増えた。」「パルコ、異業種連携、郊外、高感度ファッション頼らず」 日経流通新聞MJ2011年8月24日
- ↑ 東急モールズデベロップメントも「地方版109の「新しいMD集積スタイル」確立による「地域密着型ファッションビル」を目指しています」として地方で東京と異なるファッションビルを展開するとしている。 静岡109(東急モールズデベロップメント)SHIZUOKA109 - TMD Corporation
- ↑ yahooでファッションビルに分類されているため http://dir.yahoo.co.jp/Business_and_Economy/Shopping_and_Services/Retailers/Shopping_Centers/Fashion_Buildings/Marui_Co_/
- ↑ 「近鉄、四日市駅前に再開発ビル」日経産業新聞1987年8月8日付、3ページ
関連文献[編集]
- 川島蓉子『TOKYOファッションビル』日本経済新聞社出版社 2007年
- ファッションビルについて纏められた珍しい専門書である。著者は伊藤忠商事系の伊藤忠ファッションシステムに勤めるファッションの研究者である。