薔薇刑

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薔薇刑(ばらけい)とは、写真家細江英公撮影による、三島由紀夫の裸体写真集。多くのマゾヒスティックな構図の写真で、前代未聞の奇書として国内外に大きな反響を呼んだ。「日本写真批評家協会」作家賞を受賞している。

撮影は1961年(昭和36年)9月から1962年(昭和37年)春まで、約半年間にわたり10回近くおこなわれた。撮影場所は東京都目黒区の舞踏家土方巽の稽古場や、江東区亀戸の廃工場跡、港区青山教会跡地の建築工事現場、そして大田区南馬込の三島邸など、協力モデルは土方と女優の江波杏子。自邸での撮影に際し、三島は「家族の教育上よくない」との理由により、瑤子夫人と長女の紀子(当時2歳)を、文京区目白台にある夫人の実家に里帰りさせていた。

1962年(昭和37年)1月5日、銀座松屋で開催された若い写真家のグループ展「NON」展に、「薔薇刑」というタイトルで細江英公撮影による三島由紀夫の写真20点が出品された。

1963年(昭和38年)3月25日に、集英社より杉浦康平装幀で写真集『薔薇刑』が刊行された。当時の定価は3,500円だったが、その後、稀覯書として国際的に評価が上がり、2003年(平成15年)の段階で古書値は数十万円の高値となっている。完全復刻版が2008年(平成20年)11月に細江の署名入りで日本版と海外版で各500部出されたが、日本では定価52,500円(税込特別価格)にも関わらず約1日半で完売した。

三島事件の翌年1971年(昭和46年)に、三島の新たな序文を入れ、集英社より横尾忠則の装幀による『薔薇刑 新輯版』が刊行されたが、これも古書で約十数万円台する。1984年(昭和59年)にも集英社より粟津潔装幀による『薔薇刑・新版』(ISBN 408532019X)が刊行されたが、これも古書で約2 - 3万円台する。21世紀初頭に出された、同じ装丁の『英語版 薔薇刑』の方が、ネットなどでは購入しやすい。

刊行本[編集]

撮影:細江英公。被写体:三島由紀夫。協力モデル:江波杏子土方巽元藤燁子、ほか
装幀・写真構成:杉浦康平。B3変型判。104頁。クロス装、ビニールカバー、段ボール蓋付機械函。
序説:三島由紀夫「細江英公序説」。序文は3色刷。
限定1,500部(記番・署名入)。本扉の前に挿入されている短冊形薄紙に「薔薇刑特装限定版 1,500部」とあり記番、三島、細江両者の署名が入っている。
撮影:細江英公。被写体:三島由紀夫。協力モデル:江波杏子土方巽元藤燁子、ほか
装幀・装画・レイアウト:横尾忠則。題簽:三島由紀夫。A3変型判。104頁。天鵞絨装、布帙、段ボール外函。
序説:三島由紀夫「細江英公序説」。付記:三島由紀夫「新輯版 薔薇刑について」。
三島の2つの文章は、横組みでそれぞれの英訳と交互に掲載。また、章見出し・目次・収録文章のタイトルに三島自筆文字を使用。
口絵写真1葉(ステンレス板貼付)
※ 1963年(昭和38年)3月刊『薔薇刑』とは、写真内容に変更あり。
撮影:細江英公。被写体:三島由紀夫。協力モデル:江波杏子土方巽元藤燁子、ほか
装幀・写真構成:栗津潔。B4判。100頁。布装、帯。
序説:三島由紀夫「細江英公序説」。付記:細江英公「『薔薇刑』撮影ノート」。
撮影:細江英公。被写体:三島由紀夫。協力モデル:江波杏子土方巽元藤燁子、ほか
装幀・写真構成:杉浦康平。B3変型判。104頁。クロス装、ビニールカバー、段ボール蓋付機械函。
序説:三島由紀夫「細江英公序説」。
制作指揮:大沢類。監修:細江英公、杉浦康平。
限定500部。海外版(米国アパーチャー財団) 500部。原著サイン(細江英公、三島由紀夫)、カバー、段ボール外箱にいたるまでの完全復刻。
復刻版奥付に細江英公のサイン、落款印、手書き番号入り。
  • 英語版『Ba Ra Kei: Ordeal by Roses』(Aperture、2002年10月11日)
撮影:細江英公。被写体:三島由紀夫。協力モデル:江波杏子土方巽元藤燁子、ほか
100頁。ハードカバー、1984年版と同じ装幀。
寄稿:Mark Holborn

参考資料[編集]

  • 『決定版 三島由紀夫全集第42巻・年譜・書誌』(新潮社、2005年)
三島由紀夫
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影響を受けた人物 森鴎外 | 谷崎潤一郎 | 川端康成 | 泉鏡花 | 堀辰雄 | 山口二矢 | 江藤小三郎 | レイモン・ラディゲ | スタンダール | フリードリヒ・ニーチェ | トーマス・マン | プロスペル・メリメ | オスカー・ワイルド | ガブリエーレ・ダンヌンツィオ | ジョルジュ・バタイユ
影響を与えた人物 小池真理子 | 島田雅彦 | 宝野アリカ | 平野啓一郎 | 浅田次郎 | 戸塚宏 | 小村基 | 本村洋 | 松葉裕子 | ジャン=ジャック・バーネル
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