食べログ
食べログ(たべログ)とは、カカクコムグループが運営するグルメサイトである。コンセプトは「ランキングと口コミで探せるグルメサイト」。レストランのユーザーによる5段階の評価が掲載されている。2005年3月にサービスを開始。
利用者側にとっては参考になる情報を得られる利点がある一方で、飲食店の店主側から記事の削除を求めて裁判を起こされる例も少数ながら発生している。
現行の特徴・システム
食べログは主に4つの機能に分類されている。
- 食べログ(レストラン)
- 日本全国の飲食店を中心に基本的に無料で記載している。
- ユーザーはアカウント作成すると、レストランの口コミ情報や画像の投稿ができる。口コミは後から修正することもできる。口コミの採点は「料理・味」「サービス」「雰囲気」「CP(コストパフォーマンス)」「酒・ドリンク」の5つの項目で評価され、各店の細やかな傾向をわかりやすく伝えることを目指している。
- 店舗への口コミ採点は5点満点中3点を基準点としており、ユーザーの口コミ採点により上下変動する(採点に関する厳密な計算式は食べログより公開されていないが、単純平均ではなく加重平均であることを明らかにしている)。ユーザー登録してから一定回数以上の投稿を行った後でないと、店舗への採点に反映されず、また極端に低い評価をつけることもできない。
- 2012年3月1日、「レビューのやらせ問題(後述)」への対策として、点数算出アルゴリズムの大幅な見直しが行われた。
- 食べログお取り寄せ
- 食べログ(レストラン)と同様にお取り寄せグルメの口コミを投稿することができる。
- 食べログレビュアー
- 食べログでは口コミを投稿するユーザーをレビュアーと呼んでおり、レビュアー同士がレストランやお取り寄せ、コミュニティなどでコメントを投稿し、交流できることが特徴となっている。
- 食べログコミュニティ
- 掲示板を利用してグルメに関するさまざまな情報を交換できるサービスになっている。
トラブル
レビューのやらせ問題
2012年1月4日、ユーザーが自由に投稿できることを悪用した業者によるクチコミを装ったやらせ評価(業者に対して金銭を払えばその対価として5点満点を大量に付けるなど)が行われていたことが発覚した。カカクコムは悪質な業者に対しては法的措置などで排除に力を入れるとしているが、やらせを完全に排除するのは困難であるとも述べている。
1月5日、この問題を受けて消費者庁は景品表示法(不当表示)に基づき調査を行ったが、やらせに関わった業者に対して行政処分を科すのは非常に難しいとの見解を示した。
3月1日、カカクコムはやらせ評価への対応策として「食べログ」へのレビューに際して、レビュアーの実在性の確認としてレビュアー任意での携帯電話番号での認証を行うこと、点数算出アルゴリズムの大幅な変更を行ったことを発表した。
風評被害問題
2013年5月8日、ユーザー投稿型の飲食店情報サイト「食べログ」に書き込まれたクチコミで「客が激減した」として、札幌市内の男性が運営会社を札幌地裁に提訴した。
この男性は2012年2月、自ら食べログに経営する飲食店の情報を掲載した。ところがそこに「料理が出てくるのが遅い」「おいしくない」と いった批判的なクチコミを書き込まれてしまった。 直後に店を訪れる客は激減、男性は食べログが原因と考え、店情報そのものを含めて投稿を削除するようカカクコムに求めたが、「食べログ」が拒否したため、店舗情報の削除、および損害賠償220万円の支払いを求める訴訟に至った。
2014年9月4日、札幌地裁は「口コミは営業権の侵害に当たらず、原告の要求を認めれば表現行為や情報が恣意的に制限されることになる」として、男性の請求を棄却した。
「食べログ、削除して」飲食店側の請求棄却「恣意的に情報制限、容認できない」札幌地裁
飲食店の利用者が感想を投稿するグルメサイトに事実と違う内容を投稿されたとして、札幌市の飲食店経営会社が「食べログ」運営会社のカカクコムに店舗情報の削除などを求めた訴訟の判決で、札幌地裁は2014年9月4日、請求を棄却した。
判決理由で長谷川恭弘裁判長は
「原告の会社は法人で、広く一般人を対象に飲食店を営業しているのだから、自己の情報を『個人』と同じようにコントロールする権利はない」
と指摘。さらに
「原告の請求を認めれば、情報が掲載される媒体を選択し、望まない場合は掲載を拒絶する自由を与えることになる。他人の表現行為や得られる情報が恣意的に制限されることにもなり、容認できない」との判断を示した。
判決によると、食べログには「料理が出るまで長時間待たされた」などの投稿が寄せられた。会社側は平成24年12月ごろ以降、投稿や店情報の削除を要請したが、カカクコム側は応じなかった。
無断掲載問題
2010年9月、佐賀市内の飲食店の店主が、食べログの情報削除を求めて佐賀地裁に訴えを起こした。店主によると、自店が食べログに無断掲載され、その内容が最新情報と異なるというものだった。カカクコム側は、適切な注意喚起を行っているとして削除を拒んだ。
この一件はネット上のトラブルの新形態として話題になったが、2011年1月に両者は和解し、店主は訴訟を取り下げ、カカクコムは店の情報を削除した。カカクコム側が和解に応じたのは、これが判例となって訴訟が相次ぐ事態を避けたかった為とも見られている。
2014年2月には、大阪市内のバーが「食べログ」からの情報削除と330万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴した。そのバーは、「秘密の隠れ家」をコンセプトとしており、客にも店の情報を投稿しないよう求めていた。
2013年、店側は「食べログ」にバーの情報が掲載されていることを知り、営業方針を伝えて情報削除を求めたが、カカクコム側は「表現の自由」を理由にそれを拒んだため、訴訟に発展した。