閣議
閣議(かくぎ)とは、内閣の職権行使に際して、内閣総理大臣が主宰し、その意思を決定するため開く国務大臣の会議のことである。
日本の閣議
閣議は内閣法4条で規定されたものだが、会議の手続きについては定めがなく、慣行によっている。閣議には毎週火曜日と金曜日の午前中に開かれる定例閣議と、必要に応じて開く臨時閣議があり、原則として全閣僚が総理大臣官邸閣議室(国会期間中は国会内の閣議室)に集まって行われる。しかし早急な処理を要する案件の場合には、内閣参事官が閣議書を持ち回ってそれぞれの閣僚の署名を集めることにより意思決定とする場合がある。これを持ち回り閣議という。閣議は閣議書に花押をもって署名することになっている。閣議は非公開が原則である。
閣議案件には次のような区分がある。
- 一般案件 (国政に関する基本的事項で、内閣としての意思決定が必要であるもの)
- 国会提出案件 (法律に基づき内閣が国会に提出・報告するもの)質問主意書に対する答弁書なども含む。
- 法律・条約の公布
- 法律案の決定
- 政令の決定
- 報告 (国政に関する調査、審議会答申などを閣議に報告する)
- 配布 (閣議の席上に資料を配付する)
閣議の意思決定には閣議決定、閣議了解の二つがある。内閣としての意思決定を閣議決定、本来は主務大臣の管轄事項だが、その重要性から閣議に付された案件に対する同意としての意思決定を閣議了解と区別するが、その効力に差があるわけではない。意思決定は閣僚の全員一致を原則とする。これは内閣が「行政権の行使について、全国民を代表する議員からなる国会に対し連帯して責任を負う」(内閣法第1条第2項)ことに基づく。
なお、慣例として閣議に引き続き「閣僚懇談会」が開かれる。閣議で取り上げられなかった議題がこの席で了承されることがあり、閣僚が自由に意見を述べたり、情報交換を行うこともできる。逆に、閣議の場は必ずしも閣僚が自由に意見を述べる場ではなく、事務方から上がってきた案件については予め事務次官等会議で調整されていないような事項を閣僚が発言すると、「不規則発言」として扱われる。
閣議では内閣官房長官が進行係を務める。意思決定には参加できないが、内閣官房副長官と内閣法制局長官が陪席することになっている。
閣議及び、閣僚懇談会には公式的な議事録はない。だが、内閣官房長官など閣議に関わる複数の役職を務めた後藤田正晴は著書の中で「閣議では事務担当の官房副長官が議事について、メモ(非公式議事録)を取る慣行になっていた」ことを明かしている。また、自身が官房副長官時代は自身がメモを取ることを嫌いだったため、同じく陪席していた吉國一郎内閣法制局長官に「君がメモを取ればいい」(なお、後藤田は元内務官僚として、吉國の先輩に当たる)と指示し、吉國がメモを取っていた。ちなみにこの法制局長官がメモを取る慣行が後藤田・吉國以降も続いたかは不明である。
よく新聞・テレビなどで閣議の際に閣僚がソファーに座って懇談する様子が伝えられるが、これは閣議室の隣の閣僚応接室の模様であり、閣議自体は非公開。閣議室の内部については、かつてはその様子が知られることはほとんど無かったが[1]、現在は首相官邸ホームページに新・旧両首相官邸の閣議室の写真が掲載されている[1][2]。現在の首相官邸閣議室は広さ約110平方メートルで、直径5.2メートルの円形テーブルが置かれており、通常は閣僚がこのテーブルを取り囲むように着席する(陪席の内閣官房副長官・内閣法制局長官は別テーブル)[3]。
関連項目
外部リンク
脚注
- ↑ 1.0 1.1 旧首相官邸バーチャルツアー -2階正面階段編-閣議室-
- ↑ 首相官邸バーチャルツアー -4階・5階編-閣議室-
- ↑ 新官邸で初閣議 冒頭部分を公開 - 47NEWS(2002年5月7日)