絵具

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絵具(えのぐ)は、絵画の描画・着彩や工芸品等の彩色に使われる材料。

組成

絵具は顕色材と展色材からなる。大抵は他に助剤が加わる。

  • 顕色材 色を顕(あら)わす材料。顕色成分。発色成分。具体的には色素のことであり、大抵は顔料が用いられる。
  • 展色材 色を展(の)べて定着させる材料。大抵は、固着剤と溶剤からなる。
  • 助剤 乾燥促進剤や防腐・防黴(ぼうばい)剤のこと。

主な固着剤の種類

以下のように種類分けできる。

溶剤の蒸発で乾燥するもの 
アラビアゴムアクリルエマルションなど。
溶剤の蒸発と化学的な変化で乾燥するもの 
テンペラ卵黄
酸化重合で乾燥するもの 
乾性油アルキド樹脂など。
熱可塑性によるもの 
熱によって融解した状態で塗られ、冷えて固まるもの。エンカウスティック(蝋画)に用いられる

種類

水性の絵具と油性の絵具がある。乳濁液による絵具は乳濁液用いたものであり、油の中に水性の粒子が分散したWO乳濁液と水の中に油性の粒子が分散したOW乳濁液がある。水で希釈できるOW乳濁液の場合、乾燥後は耐水性をもつ。

水性の絵具

水彩絵具
アラビアゴムを固着剤に用いる。ふつう水彩絵具と呼ばれるのは透明水彩絵具である。不透明水彩絵具にはガッシュポスターカラーがある。乾燥した後も水に溶ける。その性質を利用して、固形水彩絵具や顔彩のような固形の絵具も作られている。
水性テンペラ
卵、カゼインなどによる乳濁液を展色材とする絵具。
水性アクリル絵具
20世紀に入って登場した合成樹脂、アクリル樹脂エマルションを展色材とする絵具。
膠絵具(デトランプ)
主に動物性の膠を媒剤に用いた絵具。日本画岩絵具は展色材の混ぜられていない顔料そのものであり、膠液に溶いて用いる。

油性の絵具

油絵具
空気中の酸素と結びつくことで化学変化して皮膜をつくる乾性油を固着剤に用いた絵具。
溶剤型アクリル絵具
20世紀に入って登場した合成樹脂、アクリル樹脂を固着剤とする絵具。絵画修復などに使われる。
彩漆(いろうるし)
彩漆は、に顔料を混ぜたもののこと。漆の樹液は油性の成分中に水分が分散したWO乳濁液になっている。酸化酵素の作用により主成分ウルシオールが皮膜をつくり硬化する。

参考文献

  • マックス・デルナー著、ハンス・ゲルト・ミューラー改訂、佐藤一郎訳『絵画技術体系』、美術出版社、1980年10月、ISBN 4568300347
  • 佐藤一郎著、『絵画技術入門』、美術出版社、1988年11月、ISBN 4568321468
  • ホルベイン工業技術部編 中央公論美術出版社、『絵具の科学』(新装普及版)、 1994年5月、ISBN 480550286x
  • ホルベイン工業技術部編 中央公論美術出版社、『絵具材料ハンドブック』(新装普及版)、 1997年4月、 ISBN 4805502878
  • ホルベイン工業(株)、「絵具概説」、2005年7月

関連項目