日野・レンジャー

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レンジャーRANGER )は、日野自動車が製造する中型クラスのトラックである。GVW(車両総重量)8トンクラスからGVW20トンクラスの6x4低床車まで幅広いバリエーションを揃えている。日本国外では500シリーズとして販売されている。

歴史

初代(1964年-1969年)

  • 1964年にKM300型として登場。発売当初は3.5t積だった。


2代目(1969年-1980年)

  • 1969年ミケロッティデザインの大型トラック・ZM系と同じテイストのデザインとなる。エンジンは新開発の直列6気筒のEC100型を搭載。エンジンは新開発の直6のEC100型(120ps)を搭載。
  • 1970年ワイパーが対抗式になる(通称ケンカワイパー)。
  • 1972年マイナーチェンジ。フロントグリルが変更されたほか、ウインカーランプにスモールライトが追加される。6t車「レンジャー6」が追加される。
  • 1972年12月6t積みの大型仕様車KR360型が追加された。
  • 1974年155psのEH300型エンジンを搭載した高出力車KL-SSが登場。
  • 1975年マイナーチェンジ。フロントグリルが変更。この2段式のグリルはSDグリルと呼ばれている。

3代目(1980年-1989年)

  • 1980年登場。通称風のレンジャー。昭和54年排出ガス規制適合。
  • 1982年レンジャーターボU登場。
  • 1984年マイナーチェンジ。昭和58年排出ガス規制適合、ヘッドライトを丸型4灯から角型4灯に変更、助手席セーフティウインドウが装備された。
  • 1986年マイナーチェンジ。通称レンジャー+5(プラスファイブ)。エンジンワンキー操作が標準装備された。
  • 1988年マイナーチェンジ。通称ONE UP レンジャー+5(プラスファイブ)。グリル周りを白系統に変更。

アジアなどの海外仕様車では1995年まで「エコノ・ディーゼル(Econo Diesel)」として継続生産されていた。

4代目(1989年-2001年)

第1期(クルージングレンジャー、1989年-1994年)

クルージングレンジャーを参照。

第2期(ライジングレンジャー、1994年-1999年)

ライジングレンジャーを参照。

第3期(スペースレンジャー、1999年-2001年)

スペースレンジャーを参照。

5代目(2001年-)

  • 2001年 フルモデルチェンジして、レンジャープロとなる。中型トラックでは、初めてバンパー埋め込み型のロアヘッドランプが採用された。また、キャブに規格型の角型ハロゲンライトを装備するアッパーヘッドランプのキットも特装車用としてレンタカー向けに用意される。この場合、フロントバンパーはスペースレンジャーの流用となる。当時放映されたCMは、オールCGで描かれロボットが時空を越えてレンジャープロに変形するというものだった。ヘッドライトの外形は後に登場するグランドプロフィア、2代目セレガとも共通である。ただし大型用のプロジェクターライトは純正では設定されていない。
  • 2002年 低公害車LEタイプ車の設定、グッドデザイン賞を受賞。
  • 2003年 エアサス車の拡大、超低PM車の設定。
  • 2004年 マイナーチェンジ。サブネームを使わずに日野・レンジャーと名乗る。エンジンは直噴コモンレール式インタークーラーターボを全車に搭載。J05D、J07E、J08Eに変更され、超低PM排出85%に認定。FC(ショートキャブ)にハイブリッド車、4WD車に高床仕様の「FT」(消防車仕様のみ)をそれぞれ追加。
  • 2005年 新長期排出ガス規制に適合、CNG車の設定。
  • 2006年 全車低排出ガス重量車(排ガス記号BDG-)に認定。
  • 2007年 積載性のある中型免許対応車を新規設定、重量車燃費基準達成車を追加、全車にエンジンイモビライザーとマルチ・インフォメーション・システムを標準装備。
  • 2008年 ハイブリッド車が新長期排出ガス規制に適合、機械式AT(Pro Shift 6)搭載車を追加。
  • 2010年 GVW12トン超車が平成21年(ポスト新長期)排出ガス規制に適合。同時にクリ-ンディーゼルシステム「AIR LOOP」を採用。
  • 2011年 GVW8t~11t車が平成22年(ポスト新長期)排出ガス規制に適合。同時に「AIR LOOP」システムを採用。また、フロントアンダーランプロテクターと運転席側アンダーミラーを標準装備とした。同時にGVW8t車のトレッドを拡大。

6代目(2015年-)

2015年1月15日、世界に先駆けてインドネシアで新型500シリーズ (NEW GENERATION RANGER) が発表された。

ラインナップ

初代・2代目(1964年-1980年)

  • KM(駆動2-4D、積載4tクラス、ショートキャブ)
  • KQ(駆動2-4D、積載4tクラス、フルキャブ)
  • KL(駆動2-4D、積載4tクラス、フルキャブ)
  • KL-S(駆動2-4D、積載4tクラス、フルキャブ)
  • KL-SS(駆動2-4D、積載4tクラス、フルキャブ)
  • KL-SD(駆動2-4D、積載4tクラス、フルキャブ)
  • KR(駆動2-4D、積載6tクラス、フルキャブ)
  • KJ(駆動2-4D、コンテナ専用、積載6tクラス、フルキャブ)
  • WB(駆動2D-4D、パートタイム4WD、積載量4t~5tクラス、フルキャブ)

3代目以降(1980年-)

  • FB(駆動2-4D、積載3.5tクラス、ショートキャブ)
  • FC(駆動2-4D、積載4tクラス、ショートキャブ)
  • FD(駆動2-4D、積載4tクラス、フルキャブ)
  • GC(駆動2-4D、積載6tクラス、ショートキャブ)
  • GD(駆動2-4D、積載6tクラス、フルキャブ)
  • FJ(駆動2-4D、積載8.5tクラス、ショートキャブ)
  • FE(駆動2-4D、積載8.5tクラス、フルキャブ)
  • FG(駆動2-4D、積載9tクラス、フルキャブ)
  • KK(駆動2-4D・4D、積載8.5tクラス、フルキャブ、3代目)
  • GK(駆動2-4D・4D、積載11.5tクラス、フルキャブ、4代目-)
  • FX(駆動2D-4D、フルタイム4WD、積載4tクラス、フルキャブ)
  • GX(駆動2D-4D、フルタイム4WD、積載6tクラス、フルキャブ)
  • FT(駆動2D-4D、パートタイム4WD、積載量4tクラス、フルキャブ)
    日本国外向けにはセミトラクタの設定もあり、日本仕様にはないP11Cエンジンを搭載している。
  • SG(駆動2-4D)
  • FM(駆動2-4D・4D)

デーキャブレンジャー

  • 1984年レンジャー3M(KM)を20年振りにフルモデルチェンジして登場したショートキャブ仕様。3.5トン積みのFBと4トン積みのFCがある。
  • 1990年マイナーチェンジ。平成元年排出ガス規制適合。
  • 1991年デーキャブレンジャーをベースにディーゼルハイブリッドのHIMR塵芥車を開発。
  • 1995年ライジングレンジャーに統合される形で販売終了(HIMR仕様はその後暫く継続された)。


レンジャーとダカール・ラリー

特記事項としてダカール・ラリーへの参戦が挙げられる。

日野自動車創立50周年記念の社内提案がきっかけで1991年の第13回大会に参戦、以降日本車で唯一カミオン(トラック)部門に連続して参戦しており、カマズ(ロシア)やタトラ(チェコ)、ダフ(オランダ)、メルセデス・ベンツウニモグ(ドイツ)等の欧州勢を相手に部門トップ争いを繰り広げている。

ダカール・ラリー仕様のレンジャーは消防車仕様の四輪駆動車「FT」をベースとしており、長さ6.1m×幅2.3m×高さ3.1m、J08Cエンジンの最高出力はターボ付きとはいえ191kW(260PS)と数値的には小柄だが、小柄ならではの取り回しの良さと総重量7tという軽さを武器に大排気量・高出力エンジンを搭載するライバルを脅かすことも多い。1991年大会の選手の負傷、2010年大会の車両故障によるリタイヤがあるものの、排気量10リットル未満や市販車ベースのグループでは上位に入賞することが多く、1997年の第19回大会ではカミオン部門総合トップ3を独占する快挙を達成した。参戦初期は『エキップ・カミオン・ヒノ』というチーム名で日野自動車本体がワークスチームを編成して参戦していたが、現在は菅原義正率いるチームスガワラが実質的ワークスチームとして活動している。

レンジャーでダカール・ラリーに参戦する日本レーシングマネジメント・チームスガワラの菅原義正は1983年の第5回大会から参戦しているベテランで、当初は二輪部門で参戦、四輪部門を経て参戦10回目となる1992年の第14回大会でカミオンに転向、2009年大会までは毎回完走を果たしている(四輪部門を含めると1988年の第10回大会から通算18年連続)。2005年の第27回大会からはコ・ドライバーメカニックとしてダカール・ラリーに参加していた息子の菅原照仁もチームスガワラ2号車のドライバーを務め、大会そのものが中止になった2008年と父・義正のリタイヤした2010年を除いて親子揃って完走している。 なお1995年の第17回大会からは、全国の日野自動車販売会社からチームのメカニックを選抜してダカール・ラリーに参戦する体制を取っている。

  • ダカール・ラリー(カミオン部門総合)におけるレンジャーの成績
大会 ドライバー 順位
1991年 13 J-P.ジョッソー(フランス)
J-P.ライフ(オーストリア)
J.プティ(ベルギー)
J-C.シュマラン(フランス)
7
10
14
リタイヤ(負傷)
1992年 14 J-P.ライフ(オーストリア)
J-P.ジョッソー(フランス)
菅原義正
J.プティ(ベルギー)
4
5
6
10
1993年 15 菅原義正 6
1994年 16 菅原義正 2
1995年 17 菅原義正 2
1996年 18 菅原義正
柴田英樹
6
11
1997年 19 J-P.ライフ(オーストリア)
菅原義正
J.プティ(ベルギー)
1
2
3
1998年 20 菅原義正 2
1999年 21 菅原義正 4
2000年 22 菅原義正 5
2001年 23 菅原義正 2
2002年 24 菅原義正 3
2003年 25 菅原義正 5
2004年 26 菅原義正 5
2005年 27 菅原義正
菅原照仁
2
6
2006年 28 菅原義正
菅原照仁
5
7
2007年 29 菅原照仁
菅原義正
9
13
2008年 30 菅原照仁
菅原義正
レース中止
2009年 31 菅原照仁
菅原義正
14
25
2010年 32 菅原照仁
菅原義正
7
リタイヤ(失格)
2011年 33 菅原照仁
菅原義正
9
13
2012年 34 菅原照仁
菅原義正
9
24

車名の由来

RANGER(レンジャー)

常に進化し、お客様の期待に応え利益をお約束するプロフェッショナルのためのトラックの意である。1964年のレンジャー発売時に、一般公募にて選考された。

SPACE RANGER(スペースレンジャー)

SPACE(スペース)には、安全・快適空間、積載効率の高い。宇宙-先進的。仕事の領域を拡大する。これらを意味することから名が付けられた。

RANGER-PRO(レンジャープロ)

PRO(プロ)には、PROceed、PROgress(常に進化し)、PROspect(お客様の期待に応える)、PROmise(お客様の利益をお約束する)、PROfessional(プロフェッショナルのためのトラック)という思いが込められている。

主なCM出演者

普通型トラックとしては珍しく芸能人や著名人を起用し、特にクルージングレンジャーのCMでは、ダイアン・レインを起用してそれまでのトラックの武骨なイメージを払拭させる事に貢献している。

これらの他にも、レンジャーを5台用意し、子供のナレーションで「1レンジャー!2レンジャー!3レンジャー!4レンジャー!日野レンジャー!!」と『秘密戦隊ゴレンジャー』(NET系列)のパロディをやるCMが存在していた。

生産拠点

関連項目

外部リンク