大島てる
大島てる(おおしまてる)は、事故物件の情報提供サイトを運営する企業およびサイト名。
概要
1837年(天保8年)創業(ただし創業時は不動産とは無関係の事業を営んでいた)。現会長の先々代から不動産関連の事業に進出した。「大島てる」という社名はこの先々代の名前から取っている。事故物件情報サイト「大島てる」の開設は2005年(平成17年)である。
サイト内の事故物件の定義としては、殺人事件、自殺、火災などの事件・事故で死亡者の出た物件としており、対象となる物件(宿泊施設を含む)の住所や部屋番号、元入居者の死因を公開している。
活動当初は対象地域を東京都内および近郊に設定していたが、現在は日本全国及び海外の一部まで広げている。
情報を無料公開しており、収益源としてはサイト内広告やユーザー投稿物件を除いたサイト内公開情報の一覧表販売などがある。
株式会社大島てるの関連会社として大島ぬい事務所があり、船舶の売買を行っている(海事代理士でもある株式会社大島てる会長が兼務)。なお「大島ぬい」とは株式会社大島てるの創業者の名前からきている。
現況
過去に殺人や事故死などがあった物件を知らせる、事故物件公示サイト「大島てる CAVEAT EMPTOR」。
転居や物件購入の際の参考になると、以前から注目されていたが、最近はその情報更新の速度に関心が集まっている。先日、15歳の少年が自宅で母と祖母を包丁で刺殺したとして逮捕された事件では、発生当日、横浜市の現場の住所が“新情報”として公開されていた。
事件は2015年5月18日朝に発生し、少年は同日午後に交番に出頭。報道各社が取材に動くなか、同サイトも午後7時40分に現場の所在地を特定し、情報を載せた。
サイトは2005年にスタートし、2015年で丸10年。運営者の大島てる氏(37)は
「立ち上げ当時、自分は物件を購入して顧客に貸す不動産業務を行っていた。事故物件を購入したのちにトラブルに発展することを避けるため、物件については現地に赴き、1つ1つ調査を重ねてきた。ただ、自分やスタッフだけではすべての事故物件を把握するのには限界がある。データを一般の人に役立ててもらうのと同時に、広く情報を募るため、サイトを立ち上げた」と話す。
事故があった物件は、地図上で「炎マーク」で表示される仕組みになっている。マークをクリックすると、そこでいつ何があったのか知ることができるわけだ。アパートで自殺があった部屋や、火事で死者が発生した土地、死体遺棄の現場など「炎」が意味するところはさまざまだが、事前に情報を得ていればそれらを避けることができる。
リアルタイムで情報が上がってくるようになったのは「投稿制」に踏み切ったことにある。
「2011年に、当初から想定していた投稿制に移行した。ウィキペディアと同じようにネットユーザーが自ら情報を書き込むことができるため、サイトの情報量も飛躍的に増した」(大島氏)
いち早く横浜の現場を特定したのも、一般利用者からの情報提供だった。ただ、誤った情報が掲載される恐れはないのか。
「こちらから確認するのに加え、不動産業界の関係者を含む多くの人々がサイトを閲覧しているので、誤りがあればすぐに指摘が寄せられる。それが事実であれば該当の情報は削除する。指摘が寄せられる環境をつくるためにはサイトの知名度が必要。そのため私自身もメディアに出演し、個別の問い合わせに応じてきた」
事故物件の把握エリアは日本全国に及ぶ。目下の課題は寄せられる情報が大都市に集中し、地方の投稿が少ない点というが、おおむね期待した通りのサイト運営ができているという。
活動の手法
常勤社員は情報発信を担うIT専門職と情報収集を担う営業職により運営され、常設の事務所はなく、多数の協力者やボランティアに支えられている。
情報収集の手法としては、他殺の場合は新聞などのメディアで事件情報を収集し、裁判を傍聴し起訴状の公訴事実により住所などを特定し、現地での聴きこみにより裏付けをとる。自殺の場合は調査が難しいことから、サイト利用者など外部からの情報提供により独自取材を行なっている。
会長のプロフィール
会長の大島学は、1978年生まれ。大島の友人を名乗る者からは「東大法学部を卒業し、宇多田ヒカルも行ったニューヨークにあるコロンビア大学という超一流大学の大学院にも行き」と紹介されているが、大島当人によると、学歴に関するこの記述は偽であり、「嘘や冗談ではなく、勘違い・誤記をしているのだと思います」という。
部屋で死体遺棄事件があったと「大島てる」に掲載された横浜市内のマンション地権者から「掲載内容は事実無根で名誉毀損にあたる」と横浜地裁に民事提訴され、ウェブサイトからの当該情報の削除や謝罪広告などを求められたこともあるが、代理人弁護士をつけないまま勝訴した。判決確定後、原告のマンション地権者から「50万円払うから、情報を削除してくれ」と要求されたが「内容が誤っているという指摘であればもちろん訂正するが、それ以外には応じない」との理由で断った。
事業内容の一つに「落選運動」を掲げていたが、「一応そう書いているだけです。仕事として成り立っているわけではない」と説明し、この業務は休止すると発言した。
関連項目
- 都市再生機構 - 事故物件を特別募集住宅という名称で販売