中国紅十字会
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中国紅十字会(ちゅうごくこうじゅうじかい)は、中国(中華人民共和国)の赤十字社団体の総称。日中間の公的な外交関係が遮断されていた1950年代-1960年代に民間外交を担い、中国残留日本人の帰国(引揚げ)事業や、華人労務者として連行・使役され日本で死亡した中国人の遺骨の送還事業に携わった。2000年11月に成立した花岡事件対鹿島訴訟の和解の枠組みに、和解金の信託先として関与した。
対日交渉の沿革
中国残留日本人の帰国事業
1952年12月に、中国に残留していた日本人の帰国問題について呼びかけを行い、翌1953年3月に日本側の受入窓口となった帰国3団体と「日本人居留民の帰国援助問題に関する共同コミュニケ」を締結。同年末からの中国残留日本人の帰国を実現した。[1]
遺骨送還事業
詳細は 花岡事件 (遺骨発掘・送還運動) を参照
1953年から1964年にかけて、日本の民間団体・中国人俘虜殉難者慰霊実行委員会により、日本に華人労務者として連行・使役され、死亡した中国人の遺骨が中国へ送還された際に、日本赤十字社と協力して、中国側の受入窓口となった[2]。
和解金の支払受託
詳細は 花岡事件 (対鹿島訴訟)#裁判 を参照
2000年11月に成立した花岡事件対鹿島訴訟では、「受難者」全体への補償金の支払いを信託方式により実現するため、原告側の要請を受けて、鹿島建設が支払う和解金の信託先として和解の枠組みに参加した[3]。
和解成立後に設立された花岡平和友好基金の運営委員会には中国紅十字会から委員1人が選出され、同委員会とともに『中国青年報』や山東省・河北省・河南省・山西省・安徽省などの地域メディア・ネットワークを通じて被害者の身元や連絡先を探した[4]。
幹部
- 廖承志 - 1953年7月当時、顧問[5]。1957年12月に副会長として訪日[6]
- 李徳全 - 1954年10月・1957年12月に会長として訪日[7]。1964年11月当時の会長[8]
- 趙撲初 - 1964年11月当時の副会長[9]
- 江沢民 - 1999年当時、名誉総裁[10]
- 王小華 - 2000年11月・2003年12月当時の総会対外連絡部長[11]
- 張虎 - 2009年当時、中国紅十字総会連絡部双辺合作処長[12]
付録
脚注
- ↑ 杉原(2002)p.176、石飛(1996)p.165、田中(1995)p.177
- ↑ 石飛(1010)p.47、李(2010)p.100、田中(2008)p.271、新美(2006)p.306
- ↑ 李(2010)pp.102-103、田中(2008)p.271、新美(2006)pp.221-223、杉原(2002)pp.2002-2003
- ↑ 李(2010)p.105、田中(2008)p.275
- ↑ 杉原(2002)p.178
- ↑ 新美(2006)p.306
- ↑ 新美(2006)p.306、杉原(2002)pp.127,付表4、石飛(1996)p.165
- ↑ 野添(1993)p.218
- ↑ 野添(1993)pp.218-219
- ↑ 李(2010)pp.102-103
- ↑ 新美(2006)p.201、野田(2008)p.296。有光ほか(2009,p.287)では、「国際部長」としている。
- ↑ 有光ほか(2009)p.287
参考文献
- 石飛(2010) 石飛仁『花岡事件「鹿島交渉」の軌跡』彩流社、2010年、9784779115042
- 李(2010) 李恩民「日中間の歴史和解は可能か-中国人強制連行の歴史和解を事例に」北海道大学スラブ研究センター内 グローバルCOEプログラム「境界研究の拠点形成:スラブ・ユーラシアと世界」『境界研究』No.1、2010年10月、pp.99-112
- 有光ほか(2009) 有光健・内海愛子・高木喜孝・岡本厚「『花岡和解』を検証する」『世界』2009年9月号、岩波書店、pp.278-296
- 田中(2008) 田中宏「花岡和解の事実と経過を贈る」『世界』2008年5月号、岩波書店、pp.267-278
- 野田(2008) 野田正彰「田中宏氏に反論する」『世界』2008年6月号、岩波書店、pp.291-297
- 新美(2006) 新美隆『国家の責任と人権』結書房、4-342-62590-3
- 杉原(2002) 杉原達『中国人強制連行』〈岩波新書785〉岩波書店、2002年、4-00-430785-6
- 石飛(1996) 石飛仁『花岡事件』〈FOR BEGINNERSシリーズ74〉、現代書館、1996年、4768400744
- 田中(1995) 田中宏「解説」劉智渠(述)劉永鑫・陳蕚芳(記)『花岡事件-日本に俘虜となった中国人の手記』岩波書店、1995年、4002602257、pp.173-198
- 野添(1993) 野添憲治『花岡事件を見た20人の証言』御茶の水書房、1993年、4-275-01510-X