ルンバ采配
ルンバ采配(-さいはい)は、野球において特定の作戦を揶揄するスラング。特に、リードを許しているチームが9回2死から盗塁を試み、盗塁失敗により試合終了となるケースを指すことが多い。ルンバ走塁、ルンバ監督、単にルンバなどとも。
由来
2008年5月29日の読売ジャイアンツ・楽天イーグルス戦で、2点を追う巨人が9回裏の攻撃で2死一塁としながら一塁走者の矢野謙次が二盗を敢行するも憤死。そのまま試合終了となり、楽天の勝利となった。これに対し、楽天イーグルス監督の野村克也は、試合後の会見場にさくらと一郎の楽曲『バッカじゃなかろかルンバ!』を歌いながら登場した。野村は「バッカじゃなかろうか〜、ルンバ♪」[1]とひとしきり歌ったあと、矢野の憤死について「1点差なら分からないでもないが。勝手にいったんじゃないか。普通は監督は走らせないからな」[1]と述べ、その戦術を稚拙とし疑問を呈した。そのうえで、「巨人は面白い野球をするね」と発言するなど、読売ジャイアンツ監督の原辰徳の采配を批判した。これをマスコミが大々的に取り上げたことで読売ジャイアンツヘッドコーチの伊原春樹が激怒し、野村監督との確執を深めるなど各方面に物議を醸した。
野村のセオリーにおいては9回2死同点からの二盗はそれほど突飛な作戦ではないが、野村監督に言わせれば「120%成功する確信がなければ走っては(盗塁しては)いけないケース」としている。盗塁死による試合終了という締まりのなさも含め、野球ファンに批判される対象になりやすく現在では稚拙な采配や戦略ミス、それを行った人物などを単にルンバなどと呼ぶことも多い。
補足
名物監督として絶大な人気を博している野村が球界屈指の叩かれ役として知られる原をやり込めるというインパクトの強さに加え、当時人気を急速に拡げつつあったインターネットの貢献などもあり収集が付かなくなってしまった騒動であるが、本来の原の「9回2アウト、ビハインドからの盗塁」という采配は、実父で学生野球の名将として知られる原貢の采配がルーツ。原自身も翌2009年に出版した著書で「監督としての自分の原点」と語っており、騒動の以前も以後も特に見解は変わっていない。
当然ながら原が最初に巨人監督をつとめた時期(第1期、2002〜3年)から頻繁に使っており、2002年の開幕3連戦でも9回2アウト1点差からの代走の盗塁刺で試合終了している。この騒動前までは「編成権の少ない采配専任監督としての原の戦術的な傾向」、「(悪く言えば)ハイリスクハイリターンな傾向や、学生野球のように一戦必勝な傾向」の例えなどに積極的に使われることが多かった。
なお最終的に野村が伊原に擦りつけることで収集が付いたためか3者のうちの誰かを種にした不仲話が多いが、3者ともに対談などに定期的に応じており特に不仲というわけではない。