トヨタ・ナディア
ナディア(NADIA)は、トヨタ自動車が製造・販売していたステーションワゴン(セミトールワゴンとの見方もある)及びクロスオーバーSUV。トヨタカローラ店で販売していた。
概要
イプサムのプラットフォームを使用して開発されたステーションワゴン及びクロスオーバーSUV。当時カローラ店の専売であり、5ナンバーカムリ(V40系)の生産終了に伴う営業上の後継車とされた。 全長はイプサムより短いもののホイールベースは同一、かつ3列目シートがない5人乗りと割り切られた為、シートスライド可能な後席シートの足元スペースは兄弟車(イプサム・ガイア)はおろか、トヨタの最上級車であるセンチュリーよりも広い。フラットに収納できる前期型の後席では荷台が段差なく広大にできたり、前席は回転対座が可能であるなど多彩なシートアレンジができた。
発売開始当初「アイポイントの高い5人乗りワゴン車」というカテゴリーが欧州で流行しており、同様のコンセプトをもつ日産自動車のルネッサ及び同ティーノ及びトヨペット店扱いのOpaが競合関係にあった。ただ、ナディアとオーパに関しては日本国内専用車として開発導入され、中古車としてその後各国へ輸出された。
スタイルは2代目エスティマにも通ずる丸みを帯びたワンモーションフォルムで、内装はインパネ上半分及びセンターコンソールを兄弟車とは異なったデザインとし、虚像投影式のデジタルセンターメーターを採用した。 1999年6月にはクロスオーバーSUVのtype SUが追加されたが、当時は2020年現在ほどクロスオーバーSUV市場が成熟しておらず販売面では苦戦した。
エンジンは全車2,000ccエンジンで、当初はポート噴射の3S-FE型ハイメカツインカムエンジンと、標準車(5ナンバー車)の2WDに3S-FSE型ガソリン直噴(D-4)エンジンが搭載された[1]。 D-4エンジン車はリーンバーンとフレックスロックアップの付いたSuperECTの搭載効果により、10・15モード燃費は3S-FE型の11.8km/Lに対し14.2km/Lと大きく改善されていた。
タイヤサイズはイプサムの14インチではなく、外径そのままにインチアップされた195/60R15サイズの偏平タイヤ(後に追加されたtype SUでは215/60R16)を装着していた。またベース車からの変更点として、フロントブレーキが大径化[2]され、重量の嵩む多人数乗車を想定しなくて良い事からサスペンションも変更され、ストロークをたっぷりとった上で応答性を高めたスポーティーな乗り味に振られている。
イプサム3兄弟中唯一の「足踏み式」パーキングブレーキであり、運輸省(当時)届出型式もイプサム・ガイアのXM型に対してXN型としている。
平成初頭のRVブームが去り、乗用車のマーケットがワゴンからミニバンへの過渡期に販売された車両であり、bBやウィッシュなどに人気を奪われ後継機種もなくわずか5年2か月で販売を終了した。
型式 XN10型(1998年-2003年)
- 1998年
- 1999年 6月- type SU追加。一見するとバンパーとホイールのみが換えられているように見えるが、それだけにとどまらずオーバーフェンダーの装着とリアフェンダーが専用設計のボディシェルを持ち、(これによって車幅が1.7mを超え、3ナンバー登録となる)サスペンションの変更、一回り大径のタイヤを使用したクロスオーバーSUVとなっている。ワイドボディ仕様のため型式が変更される(SXN10H、SXN15H)。内装は黒基調の専用内装を採用。
- 2001年4月23日 - マイナーチェンジ。2WD車に新世代D-4エンジン1AZ-FSEエンジンを搭載。外装ではヘッドランプとテールランプの意匠を変更し一部グレードにはディスチャージヘッドランプ(トヨタ初Hi/Lo共通)を装備し、標準車はフロントグリル、フロントバンパーの意匠変更も行われた。内装は、ステアリングの意匠変更、メーターのアナログ化およびオプティトロン化、全車オートエアコン化とともにエアコンパネルの意匠変更、オーディオパネルのワイド2DIN化も行われた。またLグレードには運転席にパワーシートが採用され、Sグレードにはベンチシートが採用された。また前期型では収納を重視し背もたれの大きさに余裕がなく座り心地に難があったため後席の背もたれを大型化し後席の座り心地を向上。抜群の後席足元の広さと相まってより快適性が向上した。
- 2002年4月8日 - 一部改良が行われ、全車D-4エンジンを採用。
- 2003年8月[3] - 販売終了。この当時、同ディーラーから販売されていた2代目カローラスパシオが直接上の代替車種となった。また、標準型はモデル末期に登場したミニバンである初代ウィッシュ、type SUは同ディーラーからナディアの販売終了と同時期にに発売されたであるクロスオーバーSUVであるクルーガーLが間接的な後継車との見方もある。
名前の由来
ロシア語の「希望(надежда)」を意味するナディージタから。また、女性の名前としても知られている。