ケンシロウ
この項目では、北斗の拳の主人公について説明しています。その他のケンシロウについては「ケンシロウ (曖昧さ回避)」をご覧ください。 |
ケンシロウは、漫画『北斗の拳』に登場する、架空の人物。本編の主人公である。
人物
一子相伝の暗殺拳「北斗神拳」の第64代伝承者。ラオウ、トキ、ジャギの義弟であり、ヒョウの実弟。北斗神拳創始者であるシュケンに列なる子孫。出身地は「修羅の国」。赤ん坊の頃「日本」へと移された。かつて恋人のユリアを南斗聖拳(南斗孤鷲拳)の使い手シンに奪われ、胸に北斗七星を模った七つの傷を負わされた。その経緯からシンを宿敵として追う。その途中、元来生き方が不器用だったせいか行き倒れをするなど一子相伝の拳法家にあるまじき末路を辿りかけた(後述の通り、3ヶ月間絶食しても体力が衰えないのだから、相当の期間彷徨ったのだろう)が、コソ泥だったバットや、リン達と出会うことで世間や人々とのふれ合いに深く関わるようになる。再びバットを連れて、KINGと名乗るシンを追い求める旅に出るが、シンに敗れて以後、執念深さと冷徹さを身につけ、悪党に対しては非情に徹することができるようになり、いつしか非情でなければ身につけられない「闘気」を纏うまでにも成長する。
KINGの腹心を葬り、ついにはシンを倒すが、ユリアはその直前に、シンの暴走を止めるため、シンの居城(サザンクロス)から身を投げていた(後に生存している事が判明)。ケンシロウは一時生きる目的を失いかけるが、バットや彼を追いかけてきたリンと共に各地で虐げられている弱者たちを助けながら旅を続けていくことになる。
やがて他の南斗六聖拳の猛者・強敵(とも)との闘いを経て、世界の覇権、そしてユリアを我が物にせんとしていた拳王こと長兄(義兄)のラオウとの対決に至る。その戦いの中での自分自身や強敵たちの様々な怒りや悲しみなどの想いを経て、歴代伝承者の誰もが為し得なかった究極奥義『無想転生』をも会得し、いつしか荒廃した世界に生きる人々の救世主的存在となってゆく。そして物語終局では、「北斗あるところ乱あり」という北斗神拳伝承者の宿命に生きる事を選ぶのであった。尚、ケンシロウが「強敵」を「友(とも)」と呼ぶというアイデアは、イエス・キリストが自分の弟子(12使徒)を「友」と呼んでいたことにちなむ要出典。
筋肉の隆起で服が破けるほどの激しい怒りを露わにすることも度々。弱者や子供達には愛を注ぎ、心に傷を負っていたサウザーやカイオウ、バラン、セイジらの死を情で見送るなど、優しい性格である。しかしジャギやアミバなど同情の余地の無い悪党に対しては残忍と言っていいほどで、しばしばいたぶってから惨殺している。ただ、もともと非情になれなかったせいか、修行時代のジャギやスペードやボルゲの時のように止めを刺さなかったケースがあり、それゆえ後の災厄を招いてしまうこともある。
女性関係はユリア一筋で、妙齢な女性からのアプローチにも関心を示さず、マミヤからのさり気ない好意やリンからの愛に応えることもなかった。しかし、重要な女性キャラをユリアと見間違うことはよくある。基本的には無表情が多いが、たまに温かい笑みを見せる。
バットやリン、レイなど親しい者からは「ケン」と呼ばれる。また神の国(ゴッドランド)襲撃時には自らを死神と呼んでいた。
戦闘は基本的に徒手空拳で行うが、状況によってはヌンチャク等の武具を使う。また、ジャギという反面教師がいたためか銃は手に入る事はあっても絶対に使わない。ただし、悪党を成敗する際にはその場にある物を色々と使う事も。いずれにしろ、ラオウやファルコといった強敵との対決で武器を使うことはまず無い。北斗神拳の極意からか、200トンの大岩を軽々と持ち上げたりもできるが、修羅の国編では第三の羅将ハンとの闘いにおいて、闘気で大岩を浮遊させる等、いつの間にか超能力じみた力を発揮してもいる。カイオウとの初戦で倒された時は、赤鯱・シャチ親子が決死で救助する中、無意識のまま北斗宗家の血に目覚めて、魂でなおも戦った。
現在連載中の『蒼天の拳』ではケンシロウの誕生シーンから始まり、名前の由来や、頭に北斗七星の痣がある事などが明かされている。(カイオウにも北斗七星の痣はある。)
読み切り版には霞という苗字があり、「霞拳四郎」であった。ただ、中国版『北斗神拳』では「健次郎」になっている。
ラオウの遺児リュウを次期後継者に指名するが、短い間に生き様を教えただけで、師父リュウケンのように腰を据えて育てるつもりはないようだ。その為、リュウケンとの育て方の違いゆえに北斗神拳の伝承が一部ファンの間で心配されている。(この点については、北斗神拳の技の多くが代々の伝承者が独自に編み出したものであり、伝承者個々でそれぞれ我流の北斗神拳を伝承しているとも言えなくもない。ケンシロウは、もはや自分が導くのではなく、自分との旅でリュウが、偉大なる人物を知り、その「男の死に様」を見て、哀しみを知る心を刻みつけた事で、彼に流れるラオウの血が、進むべき方向に導いてくれるものと確信しているようである。ただしこの方法では、一子相伝の暗殺拳として秘められている、門外不出の奥義の伝承は、後に棚上げになってしまうのも否めない。)
有名な台詞に「お前はもう死んでいる」があるが、アニメでは多用されたこの台詞は原作では第一話でZ-666に対してと、カサンドラにて、拳王の配下(カシム)に対しての、2回のみの使用である。ただし牙一族を相手に「きさまは既に~」、最終回では「お前は既に~」など似たような台詞はある。
他にも有名な台詞は多々あり、「てめえらに今日を生きる資格はねえ」などがある。アニメにおいては担当声優である神谷の「終わった!!」を、『燃えよドラゴン』のブルース・リーの叫び声「ホワタァー!」のように言うアドリブがメジャーである。
好きな食べ物:世紀末で好き嫌いを言っていられる状況ではないので好物は無い(1986年調査)が、2006年にトリビアの泉でこの事が紹介された際、作者によって「ビーフカレー」が好物という事を公言された(ちなみに、ビーフカレーを結論付ける前に好きな食べ物を原作の武論尊はりんご、作画の原哲夫はわたがしと答えていた)。ちなみに、ケンシロウは修羅の国編で語尾に「~ガニ」とつけるカニのようなキャラ、シエに対し「オレはカニ料理は好みじゃないんだがな・・・」と言っている。
声の出演
- (テレビ・86年劇場版・PS版ゲーム)神谷明(テレビでは子供の頃の声も担当)、堀川亮(子供の頃)
- (OVA)子安武人
- (格闘ゲーム、お台場冒険王)河本邦弘
- (新劇場版・新OVA)阿部寛、儀武ゆう子(少年時代)
身体能力
- (週刊少年ジャンプ特別編集『 北斗の拳 SPECIAL 』のケンシロウのデーターバンクによる。)
- 身長185cm
- 体重100kg。
- B132cm・W90cm・H105cm
- 頭の大きさ59cm、首の太さ45cm
- 肺活量8700c.c.
- 腕の太さ48cm、リーチ187cm、足の太さ63cm、股下92cm、靴のサイズ29cm、
- 握力・腕力・背筋力・脚力計測不能
- 視力・暗闇でも生物のオーラを察知して光の中にいるのと同じように見える。
- 動体視力・放たれた矢も止まって見える。
- 聴力・2キロ先の内緒話も聞き取れる。
- 嗅覚・猟犬並み。
- 味覚・毒物には敏感に反応する。
- 声・様々な音、動物の鳴きまねが出来る。
- 筋力・緊張時なら小口径の銃弾も跳ね返せる。
- パンチ力・厚さ5mの岩も割る。
- 拳の速さ・百裂拳では3秒間に50発。
- キック力・200キロの大男を25mも蹴り飛ばす。
- 足の速さ・100m9秒台。
- ジャンプ力・9m台。
- 潜水時間・53分間。
- 睡眠・1週間寝なくとも耐えられる。
- 絶食・3ヶ月間食べなくとも体力が衰えない。
- 毒物耐久力・常人の致死量の5倍の青酸カリにも耐える。
技
- 北斗百裂拳(北斗の拳・審判の双蒼星・拳豪列伝では一撃必殺奥義となっている。)
- 岩山両斬破
- 北斗残悔拳
- 北斗飛衛拳
- 北斗百方斬
- 北斗四方斬
- 北斗縦列斬
- 列火逆流拳
- 北斗有情猛翔破
- 飛鳥空斬破
- 北斗翻車爆裂拳
- 交手破顔拳
- 交手破頭拳
- 北斗破顔拳
- 北斗撃墜指
- 北斗七死星点
- 北斗七死騎兵斬
- 北斗鋼裂把
- 北斗円環斬襲脚
- 北斗天帰掌(トキも使用)
- 北斗十字斬
- 北斗柔破斬
- 北斗神拳・空極流舞
- 北斗双龍破
- 北斗龍撃虎
奥義・究極奥義
- 転龍呼吸法
- 残悔積歩拳
- 天破活殺
- 拳盗捨断
- 虚無背転
- 水影心
- 幻闇壊
- 無想転生
- 天破の構え
- 醒鋭孔
- 天将奔烈(ラオウも使用)
- 北斗七死闘氣弾
- 北斗有情拳全般
モデル
作者曰く、初期の彼はブルース・リー(このことはゴッドランド編での戦闘描写が燃えよドラゴンの1シーンを参考にしていることからも伺える)に松田優作の性格を組み合わせたものだという。コスチュームに関しては映画『マッドマックス』『マッドマックス2』でメル・ギブソンが演じた主人公マックス説が有力である。天帝編から髪型が変更となり、靴はウェスタンブーツが標準となった。修羅の国編序盤ではシルヴェスター・スタローンが映画『コブラ』で演じた主人公マリオン・コブレッティ刑事がコスチュームモデルである。特徴的な太い眉毛はその後様々なキャラクターに影響を与えパロディネタにも使われたが、「南斗最後の将」編あたりになるとそれほど太くは描かれなくなっている。アニメでは最後まで太い眉毛のまま描かれてしまい、原作との落差が大きくなった。
補足
- リクルートのCMや、雑誌の表紙に2007年10月にイメージキャラクターに起用された。
- 『ジョジョの奇妙な冒険』第6部 ストーンオーシャン に名前のみ登場する。ファンタジーを現実のものとするスタンド能力により、東京に現れてラオウと戦い、勝利するがその余波で東京が壊滅的被害を受けたらしい。なお、第3部の空条承太郎とディオ・ブランドーのスタンド、「スタープラチナ」と「ザ・ワールド」はどちらも北斗百烈拳のようにパンチを繰り出す「オラオララッシュ」、「無駄無駄ラッシュ」を必殺技として使用している。
- そのキャラクター性からさまざまな作品にパロディキャラが登場した。『うる星やつら』 には「北斗君」なる類似キャラが、『 ハイスクール!奇面組』では、 北殿軒戻樹(ほくとのけん もどき)という作者承認のパロディーキャラが登場した他、シューティングゲーム 『70年代風ロボットアニメ ゲッP-X』 に登場する主役ロボット、ゲッP-Xを操縦するゲッPチームのリーダー百舌恵一(もず けいいち)は説明書のキャラクター紹介に「胸に七つの傷がある」と紹介されている(ゲーム本編では披露されていない) 。