エアロビクスダンス

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エアロビクスダンスあるいはエアロビックスダンスと呼ばれる運動はダンス形式の有酸素運動である。

エアロビクスダンスは、ケネス・H・クーパー(Kenneth H. Cooper)のエアロビクス理論をもとにジャッキー・ソレンセン(Jacki Sorensen)が開発したといわれる。1980年代にジェーン・フォンダが火付け役となって広まった。当初は走る動作や跳ねる動作(ハイインパクトと呼ばれる)が多用されたが障害や疲労骨折が多発し[1]、この問題の反省からハイインパクト動作を控える流れができた。それとともに衝撃の少ない、エアロビクスダンスに代わるエクササイズが考案された。STEPエクササイズがその代表である。

概要

音楽に乗って、いろいろなステップを踏む(すなわち下肢を動かす)のが基本である。一般には1、2名のインストラクターのリードに従い複数の参加者が運動する形式で行う。この形式はグループエクササイズと呼ばれ、1回のグループエクササイズをクラスという。エアロビクスダンスのクラスの運動強度や時間は対象者や目的によりさまざまに設定される。例えば初心者向けのクラスでは運動強度は低く、時間は短め(通常30分間程度)であり、熟練者向けのクラスでは運動強度は高く、時間は長め(60〜90分間程度)である。

エアロビクスダンスでは下肢を動かし続けるため、障害防止のために弾力のある床の上で行われる。多くの場合はスタジオと呼ばれる場所[2]で行われる。

一般的なクラス構成

ウォーミングアップ 
体温と心拍数を上昇させ、強度の高い運動ができる状態にする。10〜15分間程度かけ音楽にあわせて体を軽く動かす。多くの場合、静的ストレッチも行う。
メインパート 
音楽にあわせて体を動かし続ける。運動強度、時間は対象者により大きく異なる。
筋力トレーニング
クラスによっては有酸素運動と合わせて筋力トレーニングを行う。
クーリングダウン 
静的ストレッチを行う。

なお、近年ではウォーミングアップとメインパートを明確に分けないスタイルもみられる。このスタイルではウォーミングアップの動きを徐々に変化させて運動強度をあげスムーズにメインパートに移行する。

効果

有酸素運動のページを参照。

特徴

継続性が高い
参加者が楽しさを感じ、定期的に参加するようになることが多い。他の多くの運動では実施することを苦痛と感じ継続することがまま困難である。これに対し、継続性の高さはエアロビクスダンスの大きな特徴である。
身体のいろいろな部位を使用する
一般に、運動種目ごとに身体の動かし方、使用する筋肉は限定される。例えば、ほとんどのトラック競技では上肢下肢ともに前後方向の動きのみである。これに対してエアロビクスダンスでは前後方向、左右方向、上下方向という、三次元のすべての動きを行うことができる。また、拮抗する筋群[3]をバランスよく鍛えることも可能である。ただし、身体の動かし方はインストラクターの振り付けにより決まるため、参加者がこのメリットを享受できるか否かは、インストラクターの技量による。
負荷設定が困難である
運動負荷はステップの種類、上肢の動かし方などにより変わってくる上、参加者自身の動き方にも左右される(大きく速く動けば運動量が大きくなり、小さくゆっくり動けば運動量が小さくなる)。このため、マシントレーニングのように負荷を正確に設定することは困難である。

エアロビック競技

エアロビクスダンスを競技として行うものである。日本ではエアロビックともよばれ、正式名称は"Aerobic Gymnastics"という。日本エアロビック連盟が大会運営している。IOC後援ワールドゲームズの正式種目である。世界エアロビック体操選手権全日本エアロビック選手権大会・全日本学生エアロビック選手権大会・JOCジュニアオリンピックカップ等のユース部門[11〜16歳]の大会も盛況で毎年行われている。2018年6月3~5日にポルトガルのギマランイスで開催された「第15回エアロビック世界選手権大会」[主催 国際体操連盟(FIG)]では日本の斎藤瑞己選手(SKJ所属)が男子シングル部門で2連覇、北爪凛々選手(SKJ所属)が女子シングルで初優勝を果たし、アベック優勝を果たした。

レッスンへの参加

日本では、市町村の公営施設や民間のスポーツクラブで参加することができる。また、地域住民のサークル活動(同好会活動)としてレッスンが行われるケースも多い。

市町村では、住民向けの講座や公民館活動として期間を決めて開催するケースと、施設利用の時間割を決め毎週同じ曜日の同じ時間に開催するケースがある。スポーツ施設の運営を民間に委託しているところでは後者の形がとられている。いずれも参加する都度、料金を支払うケースが多い。

民間のスポーツクラブではスタジオの時間割が決められ、毎週同じ曜日の同じ時間に開催される。民間のスポーツクラブのほとんどは会員制で月会費を支払う方式がとられている。

エアロビクスのレッスンは、いろいろな所で受けることができる。公民館活動や市町村の公営施設で開かれ、定期的にメンバーを募集するものがある。これらは市民参加の講座の一環である形態で、初歩的なクラスが多い。一方、初歩的なものから上級レベルのクラスまで扱っているレッスンでは、スポーツクラブフィットネスクラブのスタジオレッスンが一般的である。スイミング・プールが設置されているクラブの場合には水に浸かって行うアクアビクスもある。

近年の動向

2009年初頭時点の日本では、ダンスエアロビクスが広まりつつある[4]。これは従来のエアロビクスダンスに比べてダンスの色彩がより濃いものである。従来型のエアロビクスダンスでは体幹部の動きが少ないのに対し、ダンスエアロビクスではラテンダンスなどの動きを取り入れ、体幹部の屈曲、回旋を行うのが特徴[5]

記念切手

ワールドゲームズ2001では記念切手が発行されている[1]

脚注

  1. 走る・跳ねるといった両足が同時に床から離れる動作ハイインパクトと呼ぶ。着地の際に体重の約3倍の衝撃がかかる。
  2. ここでいうスタジオとはダンスなどの運動を行う広い部屋のこと。障害防止のために床に適度の弾力を持たせてあり、前面は鏡張りになっている。グループエクササイズで音楽を使用するため、オーディオ機器が設置されている。
  3. 互いに反対の作用をする筋肉。例えば肘関節を曲げる上腕二頭筋と肘関節を伸ばす上腕三頭筋
  4. 「月刊FITNESS JOURNAL」2008年11月号
  5. 体幹部は胴体、屈曲は曲げる動作、回旋はひねる動作。

関連項目