インスタントコーヒー
インスタントコーヒー(Instant coffee/soluble coffee)は珈琲の抽出液から水分を抜き、珈琲粉末状としたものである。それに湯をかけると短い時間で温かい珈琲になる。
概要
加藤佐取の発明
シカゴで働いていた日本人化学者の加藤佐取が「真空乾燥法」を開発し、インスタント珈琲の発明者と長い間信じられてきた。加藤は1901年(明治34年)にニューヨーク州バッファローで開催された「全米博覧会」(パンアメリカン博覧会)で展示した[1]。。 1903年に特許を取得したが(米国特許番号735777号)、商品としては成功しなかったようである。
デヴィッド・ストラングの発明
しかし実際は1889年デヴィッド・ストラング(David Strang)が、「ソリュブル・コーヒー・パウダー」(可溶性コーヒー粉末)の作成法の特許を取得し(ニュージーランド特許番号3518)、「ストラング・コーヒー」として製品化したことが最初であった。
ジョージ・ワシントンの発明
「ジョージ・ワシントン」(George Constant Louis Washington、アメリカの軍人・政治家とは別人)は1909年(明治42年)インスタントコーヒー製法の特許を取得し、「Red E Coffee」として製品化した。グアテマラで珈琲ポットに残る粉末をみて思いついたという。 ワシントンは「ワシントン珈琲社」を創業した。第一次世界大戦時に兵士の飲料用として提供された。「ストラング・コーヒー」(Strangs Coffee)や加藤佐取のインスタント珈琲は販売されていたが、はるかに大規模に製造販売した。しかし、初期のインスタントコーヒーの味は大衆向きではなかったため、大きな成功にはならなかった。
噴霧乾燥コーヒーまで
1929年、ネスレ会長のルイ・ダプレスはコーヒー価格の暴落により大量に余ったコーヒー豆在庫を「可溶性粉末」にできないかと相談を受けた。マックス・モーゲンターラー博士を迎えて、研究した結果、コーヒーの味と香りを保つには、十分な炭水化物を使用して可溶性珈琲を作ることであると気づいた。1938年4月1日「ネスカフェ」としてインスタント珈琲をスイスで発売した。1952年には炭水化物を加えない製法を開発し、1965年にフリーズドライ製法を開発した。さらに1972年にはゼネラルフーヅが噴霧乾燥コーヒーを発明した。ノズル噴霧により300マイクロメートルの珈琲滴を乾燥させて粉末を作る。フリーズドライより製造コストが安くなる。
注
- ↑ 西東秋男編(2005)『日本食文化人物事典 人物で読む日本食文化史』筑波書房