エスニックジョーク
エスニックジョーク(Ethnic joke)とは、ある民族の民族性を端的にあらわすようなエピソードにより笑いを誘うジョークのことを言う。
概要
エスニックジョークとはある民族が一般的に持っていると思われている典型的な性格や行動様式などに着目し、その特徴を端的に表現したり、揶揄するようなエピソードを紹介することで笑いを誘うものである。このため、ある民族が一般的に持っていると思われている特徴、例えば「日本人は集団主義である」、「ドイツ人は論理的である」というような特徴が共通理解となっていて初めて成立するジョークである。
こうしたジョークをエスニックジョークと呼ぶようになったのは1970年代頃であると考えられている[1]。
差別性
エスニックジョークに用いられている民族性とは当然、ステレオタイプなものであり、必ずしも現実と一致しているものではない。この為、差別的ととらえられる場合もありうるものである。
エスニックジョークが親しまれている国では、ネタにする立場の人とネタにされる立場の人の間で、ジョークが差別的・侮蔑的だという理由で確執が生まれたりすることはあまり無く、むしろ互いの民族の典型的な特徴を指摘して笑いあうという関係を楽しんでいることが多い[2]。一方でその民族・集団の性格・特徴の中でも特にネガティブなものが対象にされるということも指摘されており[1]、エスニックジョークを用いた時に民族差別であるととらえられる可能性を示唆している。
ジョークの例
様々な民族の人が乗った豪華客船が沈没しそうになる。 それぞれの乗客を海に飛び込ませるには、どのように声をかければいいか? ・ロシア人には、海の方をさして「あっちにウォッカが流れていきました」と伝える。 ・イタリア人には、「海で美女が泳いでます」と伝える。 ・フランス人には、「決して海には飛び込まないで下さい」と伝える。 ・イギリス人には、「こういうときにこそ紳士は海に飛び込むものです」と伝える。 ・ドイツ人には、「規則ですので飛び込んでください」と伝える。 ・アメリカ人には、「今飛び込めば貴方はヒーローになれるでしょう」と伝える。 ・日本人には、「みなさん飛び込んでますよ」と伝える。
レストランで、自分が頼んだビールの中にハエが混入していたらどうするか? ・ドイツ人は、アルコールなので細菌はいないとハエを取り出してそのまま飲む。 ・アメリカ人は、ハエを取り出してビールを飲み干し、店に対して訴訟をおこす。 ・スペイン人は、ビールには手をつけず、黙って店を出る。 ・フランス人は、ビールには手をつけず、店主に文句を言ってから店を出る。 ・イギリス人は、ビールには手をつけず、店主に皮肉を言ってから店を出る。
この世の天国とは 「コックはフランス人 、警官はイギリス人 、技師はドイツ人 、 銀行家はスイス人、恋人はイタリア人」 この世の地獄とは 「コックはイギリス人、警官はドイツ人、技師はフランス人、 銀行家はイタリア人、恋人はスイス人」
ユダヤ人の男が集まって、それぞれの国の暮らしを話題にしている。 ある男が、「世界で最も幸福な男は?」と聞くと、 「アメリカの家に住み、イギリスの服を着て、中国の料理を食べ、日本の女を妻にした男だ」 と答えが一致する。逆に、最も不幸な男は?と聞くと、 「日本の家に住み、中国の服を着て、イギリスの料理を食べる男だ」 と答えが一致する。じゃあどこの女を妻にしたら不幸なんだ?と聞くと、全員が声を揃えて 「アメリカ女に決まってるじゃないか!」 と言った。
どうしても相容れない相手を追い落とそうとした時、 日本人は周囲に根回しして、精神的に追い詰めて追い出す。 中国人は和解を装って握手をした後に、いきなり背後から刺す。 韓国人は真っ正面から泣き怒鳴り散らして殴りかかる。
酒の席で酔ったアジア人を見分けるには、「この後どうしますか?」と聞く。 日本人は「あなたはどうしますか?」と聞いてくる。 中国人は「おごってもらえるなら飲みに行きます」と言う。 韓国人は何も言わず次の店へ引っ張ってゆく。
このほかにも、「無人島ジョーク」「電球ジョーク」「イングランド人とアイルランド人とスコットランド人」と呼ばれるものなどがある。いずれの場合も特定のシチュエーションにおいて様々な民族の人がなんらかの発言・行動をし、それがその民族のステレオタイプな特徴とよく一致する、というパターンが多い。
参考文献
- クリスティ・デイビス著、安部剛訳 『エスニックジョーク―自己を嗤い、他者を笑う』 講談社、2003年、ISBN 978-4062582681
- 早坂隆 『世界の日本人ジョーク集』 中央公論新社、2006年、ISBN 978-4121502025
- M.ラビ・トケイヤー 『ユダヤジョーク集』 講談社、1994年、ISBN-10: 4062560607
関連項目
出典
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