ブロニスワフ・フーベルマン

ブロニスワフ・フーベルマン（Bronisław Huberman, 1882年12月19日 - 1947年6月16日）は、ロシア出身のヴァイオリン奏者。

ロシア帝国領チェンストホヴァ出身。弁護士助手であり、音楽愛好家でもあった父ヤクブに音楽の才能を見込まれ、６歳からワルシャワ音楽院でイシドール・ローゼン・ロット、 ミエチスワフ・ミハウォヴィッツ、マウリシー・ローゼン、スタニスワフ・バルツェヴィチの各氏にヴァイオリンを学んだ。９歳の時にはベルリンに行き、ヨーゼフ・ヨアヒムに演奏を聴いてもらってベルリン高等音楽院への入学を許された。ベルリンではヨアヒムの助手であるカール・マルケスのレッスンを受ける一方で、カロル・グレゴロヴィッチにも指導を受けた。1893年からフランクフルトでフーゴ・ヘールマン、パリでマルタン・マルシックの各氏に師事。演奏活動はワルシャワにいた1890年から行っていたが、1895年にウィーンでアデリーナ・パッティの演奏会に出演し、ヨハネス・ブラームスが聴衆の中にいる状況でブラームスのヴァイオリン協奏曲を演奏してブラームスの称賛を受けた。その年のうちにアメリカ、1897年にロシアに演奏旅行に出たが、1898年には疲労の為、一時的に演奏活動から遠ざかっている。1902年から演奏活動を再開し、ヨーロッパの各都市を巡演。1910年にはロンドンで女優のエルザ・マルグレーテ・ガラフレスと結婚したが、1913年には離婚している。第一次世界大戦中からベルリンを中心に演奏活動を行い、1922年からはヴィルヘルム・フルトヴェングラーの指揮するベルリン・フィルハーモニー管弦楽団と頻繁に共演した。1920年から1924年までのアメリカへの演奏旅行を通してアメリカの社会制度を知り、政治活動にも興味を持つようになった。1933年にウィーン国立音楽院の教授となったが、ナチスの台頭により、1935年にパレスチナに移住した。1936年にはナチスに迫害されたユダヤ人音楽家の為にパレスチナ管弦楽団を結成し、アルトゥーロ・トスカニーニを初の演奏会の指揮者に招聘した。なお、フーベルマン自身は旗揚げ公演には出演しなかったが、世間の注目が自分にではなく、オーケストラに向くことを慮ってのことである。1937年にオーストラリアとアジアに演奏旅行中、飛行機事故によりスマトラ島に緊急着陸した際に両腕に重傷を負ったが、懸命のリハビリで1938年末に演奏活動に復帰した。1940年に南アフリカに出かけた際、第二次世界大戦の影響でそのままアメリカに行き、1945年まで当地で活動した。1946年にチューリヒで演奏した後、体調を崩して演奏活動が継続できなくなった。

コルシエ＝シュル＝ヴヴェにて死去。