入浴
入浴(にゅうよく)とは、主に人が身体の清潔を保つことを目的として、湯や水・水蒸気などに身体を浸すことを指す。
入浴施設の構造物に関しては風呂を参照。
地域における入浴習慣
四国の一部では新築の家あるいは風呂のリフォームをした際、一番風呂を通り掛かりのホームレスや御遍路(四国八十八箇所巡りの巡礼者)、老人に使わせた上、応接間で馳走(あるいはうどん)を振舞うと云う風習がある所がある。
医学的知見
一般に適度な入浴は皮膚の清潔を保ち、心身のストレスを取り除く効果がある。長期間入浴せずシャワーも浴びなかった場合、衛生状態が保たれず皮膚炎や感染症を引き起こす可能性がある。
例えば中世頃にペストが大流行した時、入浴の習慣のないヨーロッパ人の間では流行したが、入浴の習慣を先祖から受け継いできたユダヤ人はなかなか感染しなかった。このことから「ユダヤ人が毒を盛った」と疑われ、各地でユダヤ人に対する虐殺が起きた[1]。
1960年代にヒッピー文化が流行した時には、現存の文化を否定する意味で入浴、歯磨きといった衛生概念をほとんど行わない習慣が流行した結果、感染症が広まった[2]。
入浴した時に熱くも感じず冷たくも感じない温度を不感温度といい、36~37度程度である。この不感温度での入浴した時に消費されるエネルギーが最も少ない。不感温度より高くても低くても入浴中に消費されるエネルギーは増加する。また42度以上の高温の入浴や洗いすぎは皮膚の角質層を破壊し、痒みや皮膚炎に繋がる。
不感温度よりも5度以上高い、熱い温度のお湯に入浴すると、入浴開始直後は血液の流れを皮膚表面から遠ざけようとする身体的現象が発生する。また水圧により血管が押しつぶされ、心臓に加わる負担が大きくなる。高血圧症や心臓に持病を持つ人が熱い湯に入浴することを避けるように言われるのはこのためである。また入浴時間が長くなるにつれて、体温の上昇が始まる。すると身体の放熱をするために血管の拡張がおこり、脳や内臓に回る血液の量が減少する。これは血圧の低い人が湯上りの立ちくらみを起こしやすい原因となっている。
入浴介助
入浴介助とは自力での入浴行為が著しく困難な者に対し、他者が介助を行うことである。高齢や障害などにより入浴介助を必要とする人は多い。身体を清潔にする他、精神的、肉体的な苦痛と緊張を緩和させる、排泄作用を促進させる、睡眠を助長するなどの効果があるが上述の他にも転倒、意識喪失などのリスクもあり福祉・介護における専門性が要求される重要なサービスのひとつである。
入浴介助にはほぼ自立できる人を対象とした見守り、片麻痺のある人を対象とした入浴介助、シャワー入浴介助、寝たきりや車いすに乗ったまま行える機械浴の介助などがある。
動物の「入浴」
ペットを飼い主が湯に入れて洗うことも「入浴」「風呂に入れる」と表現されることがある。また日本では、野生または飼育下で湯につかるニホンザルがおり、「温泉猿」として観光客らに注目されている。