性風俗産業に対する差別
性風俗産業に対する差別（せいふうぞくさんぎょうにたいするさべつ）は、職業差別の一つで、性風俗産業及びその従事者に対する差別である。
概説
今日の職業差別で最も深刻なのは性風俗産業（アダルトビデオ、ストリップ、風俗店等）及びその従事者（性風俗産業の従事者については以下「性風俗関係者」と呼ぶ）に対する差別であると考えられている。人種差別・民族差別・性差別等は克服に向けての努力がなされているといえるが、職業差別、とりわけ性風俗産業に対する差別は非常に根強く、最も克服が困難な差別であるといえるからである。又、職業差別を推進する側は「雇用者側は、その人間を雇い入れた時に、雇用者側に不利益または損失が出ると判断した場合には、雇用を拒否する権利を有するので、それが差別であるかどうかを判断するのは非常に難しい。又、社会的風潮が性風俗業界に対して偏見をもつ現在、性風俗業界出身者を雇用する事により雇用者側に不利益が出るとも考えられる」と主張している事も性風俗産業に対する差別が助長される原因になっていると考えられる。
このような現状から、性産業従事（あるいはかつて従事していた）者への差別がまかり通っているにも関わらず、性産業の利用に関しては社会的に合意されているという、権力関係が存在する、いわば「ダブル・スタンダード」が差別の根底にあるともいえる。
差別の具体例
- 人名録で性風俗関係者が収録対象外とされている。
- 週刊誌・実話誌等でアダルトビデオに出演した女子学生を、在籍する大学のパンフレットに掲載した事に対しバッシングを行った。
- ゲイビデオに出演したアマチュア野球選手がプロ入りする事が阻止された。
- ウィキペディア上において、性風俗関連用語を削除依頼に出したり、出身都道府県別の人名一覧において性風俗関係者を隔離したりする等の中立性に疑問のある編集が行われている。
性風俗産業に対する差別への修正主義
性風俗産業及び性風俗関係者に対する差別を克服する動きに対して、「性風俗産業に対する差別はない」と主張もある。
性風俗産業に対する差別撤廃論の主張は、「『今日の職業差別で最も深刻なのは性風俗産業（アダルトビデオ、ストリップ、風俗店等）の従事者（以下「性風俗関係者」と呼ぶ）に対する差別である』とする。人種差別・民族差別・性差別等の他の差別に対しては批判的な立場が多数派であるのに対し、性風俗関係者に対する差別は日本を含め多くの国において公然と行われているから、というものである」という考え方だが、それをいうなら人種差別の代表例とも言える南アフリカ共和国のアパルトヘイトに対しても「アパルトヘイトは『1948年に法制化され、以後強力に推進された』という主張もある」といえる。このような実在する差別を否定する言説に対しては「差別を助長するもの」という批判も根強い。
