キチガイ無罪(2)

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「キチガイ無罪」とされた被告はどうなるの?

刑法というのは罪の認識があって犯罪を行ったものに施行されるものなので、善悪の判別ができないような重度の精神病者は仮に普通の刑罰を与えて刑務所に収監しても、まず他の受刑者と集団生活ができない、刑務作業(労役)ができない、管理する側の刑務官も余計な予算を増やして増員しなければ監視できない、などの不都合がでてきてまともに更生させることが困難であり、そもそも「更生」の観念も失している状態なので専門家の治療なくして通常の刑務官に扱える代物ではないので、通常の刑罰執行→刑務所に収監という手順が踏めない=罪に問えないというだけなので、刑務所ではなく隔離病棟に何十年も監禁される事となります。人権派の人が言うには隔離病棟は刑務所のように最低限の人権が守られるような場所ではなく人として扱ってもらえるような場所ではないので、治療が済んでから通常の手順を踏んで刑務所に入れるべき、と擁護されるくらい酷い場所です。事実上、重犯罪を起こして「キチガイ無罪」となった人はまず出てこれないか、出てきても精神を回復する事なく自殺したりとまともな人生を歩めません。「通常の刑に問えない=キチガイ無罪=すぐさま釈放、自由の身」ではないのです。死刑を執行するにしても拘置所でしばらくは管理しなきゃいけないわけで、キチガイ無罪になるような獣は通常の施設じゃ管理できないのです。

キチガイ無罪は簡単に勝ち取れる?

重大犯罪が発生する度に精神鑑定が行われたりして、「またキチガイ無罪か?」などと思われる事も多いと思いますが、最近の風潮としてとりあえず精神鑑定を依頼して時間稼ぎをしようという被告が多く、「ダメ元」で申請するケースが多々あります。ただ、このページで例が挙げられているようなケースは申請全体からみればごくごく希なケースで通るケースは0.01%もないです。昔はボチボチあったようですが近年になるにつれ、余程の事がない限り「キチガイ無罪」は通らなくなっており、「精神に異常がないので通常の刑務所へ行ってね」という結論を出すための鑑定が行われるための儀式みたいなものになりつつあります。ここを読んでいるあなたが何らかの罪を犯してしまった際に「キチガイのフリして(*´ρ`*)アゥ‐って言ってればキチガイ無罪になるんじゃね?もしかして」とか思ってるんならそんなん無理です。オウム真理教を代表とするカルト教団の信者とか何人も捕まって精神鑑定受けてるけど誰も罪が軽くなったり、無罪になってないでしょ?そういう事です。

何故弁護士はやたらと「心神喪失状態にあったので責任能力はない」とか言いたがるのか? 重大事件が発生する度に見ることが多い、上のフレーズですが、そもそも「弁護士」という職務は弁護士個人の倫理観や正義感に基づいて行うものではなく、「被告の罪を少しでも軽くする為」に存在するわけです。(検事の役割に相対して)なので弁護士が「求刑は妥当です」とか「求刑は軽すぎる!」とか認めてしまっては裁判が成立しないわけで、どんなクズみたいな犯罪者でも「弁護」するのが仕事なわけです。なので一部の「アレな」人権派弁護士を除いても、職務上どうしても「加害者の味方」のようになってしまう論調にならざるを得ず、損な役回りと言えます。(その分高い報酬を受け取るわけですが、支払い能力のない重大犯罪者の弁護を委任された国選弁護士とかは雀の涙の報酬でクズを弁護しなきゃならんのでご愁傷様でもある)そういった事情を考慮した上で考えて欲しい。君が重大犯罪者の弁護を依頼された弁護士だとして、「なんとか弁護しなきゃいけないけど、こいつ本当に身勝手で情状酌量の余地もねえクズだな…」となったらどうしますか?繰り返しますが「求刑は妥当」と弁護を投げる権利はないわけです。そこで何の救いようもないクズ加害者の弁護法の苦肉の策として出たのが「心神喪失で責任能力なし」なわけです。他に弁護する材料がないって事です。もちろん立場上弁護しなきゃならんからこう言うわけで、それがまともに通って「無罪」になる事がない(どころか減刑の理由になることすら稀)のは過去の判例をみれば一目瞭然です。弁護士の苦労を察してあげてね。

キチガイ無罪は必要ない?

上記の通り、「キチガイ無罪は簡単には成立しない」「キチガイ無罪=すぐに無罪放免ではない」「刑務所に入れるという大前提が成立しないので入院させる=通常の刑罰に問えない」というのは御理解いただけだろうか?つまりキチガイ無罪を撤廃してしまうと、刑務所は精神病棟も兼ねる事になり、コミュニケーションもまともに取れない精神疾患者と通常の囚人が一緒くたになってしまい刑務官の負担は多大なものとなり、人件費やそれに伴う用地拡大の費用など大幅に予算も人材も必要となってしまうのである。よってキチガイは刑務所ではなく病院に軟禁、というのが筋になるのは仕方のない部分もある。また、このページで紹介されているような「通常の感覚で言えばこんな重罪を犯して無罪はおかしい」という案件もあるのだが、当然そのまた逆もしかりであって、例えばこんな事件がある。1968年に起こった「矢坂実父殺し事件」。簡単に説明すると、中学生の頃から実父に強姦され続け子供も出産した娘が29歳の時に実父を絞殺したという事件である。地裁では心神耗弱で無罪、高裁で実刑判決、最高裁で心神耗弱を認め執行猶予判決となった事例である。これ、もし心神耗弱が認められず、実刑になってたら娘に救いってありますかね?なので、正当な理由があるのならばキチガイ無罪は存在しても仕方ない部分もあると言わざるを得ないのである。